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パネルディスカッション/座談会(全2記事)

2020.01.30

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世界の自動車産業を支えるボッシュの魅力とは 現役エンジニアが学生たちに語った仕事論

提供:ボッシュ株式会社

2019年12月12日、ボッシュ株式会社の渋谷本社で理系学生向けのイベントが開催されました。ボッシュのエンジニア業務として、実際にどんなことをしているのかなど、学生たちの疑問にボッシュで活躍するエンジニアが答えました。イベントでは、会社概要のあとにエンジニアたちのパネルディスカッションを実施。パワートレインソリューション事業部やシャシーシステムコントロール事業部などの4つの事業部門から社員が参加し、それぞれが考えるボッシュ独自のカルチャーや業務内容を紹介しました。(注:本記事での登壇者の発言はボッシュ株式会社ではなく、個人としての見解です)

ボッシュのエンジニアたちのキャリア

司会者:さっそくパネルディスカッションをスタートさせていただきます。和田さん、小高さん、朴さん、齋藤さん、岡本さん、佐藤さん、二宮さん、お願いします。和田さんにはパネルディスカッションの進行も務めていただきます。

さまざまな事業部門から参加いただいているので、簡単に自己紹介をしていただこうかなと思います。和田さんから1人1分程度でお願いします。

和田氏(以下、和田):入社11年目で、インジェクターと呼ばれる部品などの燃料バルブの設計開発を長く担当しておりました。昨年から社内の、主にASEANのエンジニアのトレーナーをしており、月に1回マレーシアやベトナム、タイに出張しています。

ボッシュに入社した理由は2つあります。1つはインターナショナルな環境で仕事をしたいということ。もう1つはモノづくりをできる会社で働きたいと思ったことです。いろいろ探し、ボッシュがその条件に一番合致したので、第1志望で入社しました。

司会者:ありがとうございます。次、小高さん、お願いします。

小高氏(以下、小高):はじめまして、小高と申します。私は去年入社して今年で2年目になります。モーターサイクル&パワースポーツというバイク向けの製品を扱う事業部で仕事しています。

ボッシュに入社したきっかけは、私もインターナショナルな環境で、自分でモノを作って、それを世界に広めたいという考えがありました。モーターサイクル&パワースポーツ事業部はグローバルの開発拠点が横浜にあり、事業部別採用で希望してエントリーし、採用していただき今に至ります。よろしくお願いします。

司会者:ありがとうございます。次、朴さん、お願いします。

朴氏(以下、朴):こんにちは。朴です。所属はパワートレインソリューションズで、現在48ボルトのマイルドハイブリッドのECU(Electronic Control Unit)のプロジェクトマネージャーをしています。2010年入社で社歴は10年目になります。

ボッシュに入社したきっかけは、モビリティに関わる仕事がしたくて、就職活動当時の二輪世界一、四輪世界一、自動車部品世界一の企業を受けていき、たまたまボッシュとマッチしたことがきっかけです。よろしくお願いします。

司会者:ありがとうございます。齋藤さん、お願いします。

齋藤氏(以下、齋藤):みなさん、こんにちは。齋藤と申します。私は他のメンバーと違って転職組になります。今の所属はアグリカルチャービジネスユニットという農業関連のIoTのサービスを提供する部署で、来年は新卒採用はないので、残念ながら今の部署でみなさんを採用することはできないのですが…同じ会社ですので、今日はよろしくお願いします。

ボッシュの社歴は4年で、アグリカルチャービジネスユニットに入ったのは半年前です。その前はシャシーシステムコントロール事業部の部署にいました。そのあたりも含めて、今日はみなさんとお話ができればなと思っております。入社したきっかけは、グローバルな環境で仕事がしたいなと思ったこと、やはり業界のプレゼンスといいますか、ボッシュが世界最大級の自動車システムサプライヤーなので選びました。

司会者:ありがとうございます。岡本さん、お願いします。

さまざまな社歴のエンジニアが登場

岡本氏(以下、岡本):岡本と申します。自分はシャシーシステムコントロール事業部の中のエアバッグの制御ユニットの開発部署におります。今は新規受注プロジェクトのリーダーをしており、2009年にボッシュに入社し、今年で11年目になります。

ボッシュに入ったきっかけは、日本のメーカーより海外に拠点がある自動車部品メーカーに興味をもっていて、そういったメーカーを見るなかでボッシュに惹かれ、ボッシュに決めました。

司会者:ありがとうございます。佐藤さん、お願いします。

佐藤氏(以下、佐藤):みなさん、こんにちは。佐藤と申します。所属は、シャシーシステムコントロール事業部のABSやABS用の部品を作っている栃木工場で、生産技術開発部で働いています。社歴は今年で8年目です。

ボッシュに入社したきっかけは、実はちょっとした手違いといいますか。就活サイトに登録した際に「エージェントに一括登録」みたいなチェックボックスを外し忘れたところ、よく知らないエージェントから「佐藤さん、ボッシュって会社を知っていますか?」と電話がかかってきて。

実は当時ぜんぜんボッシュを知らなかったのですが、それをきっかけに説明会に参加してみて、話を聞いて面白そうだと思い、そこからあれよあれよと気づいたら入社という流れでした。

司会者:ありがとうございます。最後は、二宮さん、お願いします。

二宮氏(以下、二宮):みなさん、こんにちは。二宮と申します。私の所属はシャシーシステムコントロール事業部で、その中の自動運転システムを開発する部署におります。現在担当している仕事は、クルマに搭載しているセンサーを使ってクルマの周りの環境を認識する認識システムの開発です。

2018年に入社して2年目です。入社したきっかけは、就活の時にもともと自動運転や運転支援システムの開発に携わりたいと思っていて、その中でボッシュが事業部や職種を選んで応募できるということでしたので、そこに魅力を感じて決めました。

働いて実感した「ボッシュの魅力」

和田:では、パネルディスカッションを始めさせていただきます。今日はみなさんから事前にいただいた質問から、こちらで何問かピックアップしてご用意しています。順にパネラーに質問していきたいと思います。

まずは「働いて思う、ボッシュの魅力」ということで、いろいろあるとは思うのですが、二宮さんからよろしいですか?

二宮:今は入社2年目ですが、若手のうちから活躍できる、いろいろな仕事に挑戦させてもらえるところが魅力かなと思います。

自分の例で言うと、海外出張に入社1年経たないうちから行く機会があり、自分の上司と「自分はこんなことやりたい」ということを定期的にミーティングで話し合える機会があります。上司からのトップダウンじゃなくて自分から「こんなことをしたい」と提案して、それを実際にできる環境があります。

和田:ありがとうございます。中堅どころの岡本さん、よろしいですか?

岡本:私が思うボッシュの魅力で、働いていると本当にいろいろな人がいます。いろいろな国の出身の人、いろいろな考え方の人がいて、本当にみんなバラバラです。ですけど、みんな目指すところは一緒で、いいモノを作るところにあると思うので、それに向けていろいろな考え方を合わせてどういうアプローチを取っていくかを考えられるのがいいですね。

そんななかで、自分でリードして、自分がちゃんとリーダーシップを取っていかないといけないという思いがすごく出てきまして、そういったところがやはりボッシュの中で働いていておもしろいと感じています。

和田:ありがとうございます。新卒で入られた方2名が続いたので、齋藤さん、キャリア採用で入られた視点から何かあればお願いします。

齋藤:私は社会人歴も20年近くになります。だいたい年齢もみなさんが察するところです。

ボッシュに入ったのは4年前で、その前は日系の電機メーカーにいました。そこと比べて感じたところをメインに話すと、ボッシュは、いろいろなキャリアパスというか、みなさんが選べるキャリアや道があります。それを会社が支援しているし、そのためのトレーニングなども非常に充実しています。信じられないぐらい充実していて、正直びっくりしました。

私がいた会社や、大学の同期など、私の知る範囲での話にはなりますが、日本の会社では部署に入ったら基本的にその部署で一生を終える、というような人が多いです。とくに私の上の世代の方ですね。

ちょっと一声「ほかの仕事をやりたい」と言うと、「行ってもいいけど、もう二度と帰ってくるな」などと言われるようなこともあったり、ある特定の部署から抜けちゃったら「あの人はもう出世コースから外れた」みたいに思われるケースがなきにしもあらずですが、ボッシュではほとんどないと思います。

私も半年ぐらい前に自動車の部署から農業・IoTという畑違いの部署でマネージャーというポジションになったのですが、前の部署の上司から「いいキャリアパスになるから行ってこい」と言われました。それぐらい良い環境がボッシュにはあると思っています。

司会者:ありがとうございます。では、ここでみなさんからご質問があればお受けしようかなと思います。

自動車部品の分野のエンジニアはなぜ農業分野に行ったのか

質問者1:齋藤さんにご質問があるのですが、もともとはシャシーシステムコントロール事業部で働かれていたということだったのですが、そこから農業にいこうと思われたきっかけは何だったのでしょうか?

齋藤:いいクエスチョンですね。よく聞かれます。

私のバックボーンに近い仕事が、実はIoTの仕事だったということがあります。もともとワイヤレスコミュニケーションやスマートフォンを作る会社にいたのですが、実はその部署にいた人間が前の同僚でした。そういうつながりで「どう? 今、人が足りてないんだけど、君にピッタリだよ」という誘いがあったのも1つあります。

個人的には、ほかの業界から自動車業界に来て、もっと自動車のことをやりたかった気持ちはあります。一方で、IoTというすごく新しくてユニークで、Bosch Japanでもやっている人が少ない事業なので、このチャンスを逃すと次はしばらくないかなと思って決めました。

質問者1:ありがとうございます。先ほど、他の部署に行きたいと言ったら「もう戻ってくるな」と言われることはないとおっしゃっていたのですが、もし今働いている場所でなにか得るものがあって、またそれを自動車の部門に持ち帰りたいという考えはありますか?

齋藤:はい。それはいつでも思っていますね。あまり積極的にこういうことを言うと僕の上司に怒られちゃいそうですけど(笑)。私も1つの部署にずっといることは考えていません。もちろんそれが会社と僕のニーズやウィッシュに合致すればですが。

それに加えて、元いた部署の方ももちろん同じ会社なので時々お会いしますが、「どう、戻ってこない?」という会話もすごくたくさんあるので、それは1つのオプションだと思っています。

質問者1:ありがとうございます。

司会者:ありがとうございます。それでは、2問目にいきます。

ボッシュで学んだこと、伸びたスキル

和田:2問目は「ボッシュで学んだこと、伸びたスキル」ということですが、まずは若手の小高さんからお願いします。

小高:先ほど説明させていただいたように、私はモーターサイクル&パワースポーツという日本にグローバル本部がある部門でバイク用のABS(アンチロック ブレーキ システム)の開発を担当しています。やはり伸びたスキルとしては、専門的な知識が伸びました。

また、これぞボッシュに入って伸びたなと思うのが英語です。なぜかというと、私のチームリーダーやマネージャーの方がドイツ人で日本語を話せないので、コミュニケーションや報告は全部英語になり、毎日すごく英語を使います。

ABSを開発しているといいましたが、ABSを作るためのプロジェクトチームに今入っています。新しいモノを作るときに、モノを作るチーム、ソフトウェアを作るチーム、工場で大量生産する体制に入るために工場の人たちとも連携し、プロジェクトチームを組んで仕事を進めます。そのプロジェクトリーダーもドイツの人で、チームメンバーにはインドの社員もいます。

プロジェクトチーム内の共通語は英語なので、やはり英語は使う機会が本当に多くて、英語は伸びたかと思います。ちなみに、ボッシュ入る前のTOEICは430点くらいでした。それでも、なんとか仕事をやっています。

(一同笑)

司会者:ありがとうございました。本日も出張から直行してくださったんですよね。

小高:そうです。今日は月曜から中国に行っていて、中国の会社と英語でミーティングをしていました。

和田:ありがとうございます。次、朴さんお願いできますか?

:自分も英語が伸びたのはもちろん、加えて、結果思考が身についたかなと思っています。日本人だけで完結するプロジェクトは基本的にはありません。今の業務はソフトであればインドやベトナムと仕事をすることが多い。センター的なハイブリッドのファンクションだと、ドイツ・オーストリアがメインです。

基本的に今のプロジェクトも、私が日本語ネイティブとしてお客さんとの窓口をやっていますが、プロジェクトメンバーは、ソフトはインドの人で、ファンクション担当はオーストリアの人なので、基本的には英語でコミュニケーションを取ります。

そのなかで、どうやってプロジェクトをリードしていくか、リーダーシップを発揮しようとすると、やはり結果が重要ですね。「みんなでどの山を登ってるんだっけ?」「どこが頂上なんだっけ?」を見失ってしまうと、途端にチームが瓦解してしまうので、そこはボッシュで学べた一番伸びたスキルかなと思っています。

司会者:ありがとうございます。ここでまたみなさんからご質問をお受けします。

質問者2:マネージャーはドイツなどの外国の方が多いように思うのですが、マネージャーは日本人と外国人はどれぐらいの割合なのでしょうか?

司会者:渋谷本社より横浜の開発センターの外国籍の社員の割合は高いですよね。何割ぐらいですかね。みなさんの感覚値ありますか?

岡本:私の部門だと、マネージャーレベルで半分ぐらいが外国人のイメージですね。

司会者:事業部や部門によっても異なりますが、全体で40か国以上の外国籍の方がいて、インターンも含めて400人弱がいます。

英語力を養う研修が充実している

質問者3:先ほど会社説明で語学研修に触れている箇所がありました。小高さんは英語がもともと苦手だったというお話ですが、いきなりトップの方がドイツの人だと基本的な英語や専門用語が難しいと思います。そういう研修は充実しているのでしょうか?

小高:研修は充実しています。英語に関してだと、グループで取れるレッスンや1対1の講座もあって、希望すれば受けられます。

専門的な言葉に関してでは、私はABSを開発しているのでABSに関連するワードを使います。別の人はソフトウェアを作っているので、ソフトウェアに関連する言葉を使います。そういう授業はないので、仕事をしていくなかで覚えていきました。

私が担当するABSだと、「ABSはこういうメカニズムで動いています」というような新人教育資料があります。英語も学びながらメカニズムを学んで、実際に上司と英語で話しています。学んで・使って、を繰り返して身に着けています。

司会者:ありがとうございます。ほかにご質問されたい方はいらっしゃいますか?

質問者4:朴さんに質問です。チームを率いる上で結果思考、結果が重要ということでした。エンジニアとして問題にいろいろと取り組んでいると思うのですが、常に結果が出るとは限らない状況で、もし仮に十分に示せる結果が出ないときはどういうところを注意してチームを率いているのかを聞かせていただきたいです。

:「結果=成功」という切り口でご質問をいただいたのかなと思いますが、必ず成功というか、ボッシュだけがウィンになるケースは少ないです。着地点や妥協点を見つける作業はやはり必要になってきます。

ただ、そこに向かってどう説得していくか、どうストーリーを作っていくかがプロジェクトリーダーの役目だと思いますので、たとえベストな結果を得られなかったとしても、ある一定の成功や妥協点を見つけるところは常に考えながらやっています。なので、そこを見失ってしまうと、全くもって成果が得られないこともありますので、それは避けるべきだと常に考えていますね。

不測の事態が起きたときの心得

和田: 3問目です。「今まで経験して大変だったこと」。まず二宮さんからうかがわせていただきます。

二宮:私は現在、認識システムの開発をしているのですが、今は先行開発の段階なので完成車メーカーの方と一緒にそのシステムを使って、テストなどをしています。

その中で自分たちが思っていたようなパフォーマンスが出なかったり、そういう不測の事態に遭遇してしまったときに、問題がどこにあるのかを切り分けて対策を考えます。お客様がいる仕事なので、限られた時間のなかで、その対策まで持っていくところが、すごく大変な経験でした。

和田:今日、栃木の工場から来られている佐藤さん、お願いします。

佐藤:大変だったことは、私が入社してから3年目ぐらいのときのことです。自動車に使われている技術や自動車部品はボッシュが開発して、他社が追従するのがよくある流れでした。

当時私が担当していた製品も、ボッシュが最初に性能が良いものを開発したのですが、実はその後に他社さんが少しだけ軽い製品を出したんです。ボッシュはさらに次の世代の製品を開発中だったのですが、上の人たちから「早く開発するように」、と通常よりもはるかに短納期の開発期間が課されました。

もちろん、生産設備の開発も必要で、さらにお客さんに売るスケジュールも非常にタイトだったんです。そこでさまざまな不測の事態が起きました。例えば、組みあわせるべき2つの部品は、通常では最終的に同じ数が必要になりますが、同じタイミングで同じ数量が届かなかったりと、社内で状況把握に混乱してしまう状態になってしまった。

どのような組織や業務においても、このようにイレギュラーな事態では責任範囲や担当が曖昧になってしまうことがあります。

私は生産技術の業務の枠を超えて、自分から購買やロジスティック、品質保証、製造など、いろいろなところの部長さんを呼んでミーティングして、「今こんな問題が起こっています」とお話ししました。躊躇せずに自分からミーティングを設定してコミュニケーションをとり、自分でイニシアチブを持って解決していく必要があり、そのときはめちゃめちゃ大変でした。

司会者:なにかここで聞いてみたい質問とかありますか?

質問者4:さっきのお話で、他社さんが少しだけ軽いのを出してしまったというのは、それは市場の調査が遅れてしまったがために「他社がこういうのを開発している」という情報が事前に入ってこなかったのか、それともただの怠慢だったのか。どちらなのでしょうか?

佐藤:開発中の技術情報は漏れることがありません。例えばボッシュは開発にすごくお金を使う会社なのですが、AIやIoTなどのいろいろな技術を今もドイツの本社とかでセンターを作って投資しています。その情報を同業他社さんが知っているかというと、知りえることはありません。

うちも同様に、その製品が出るまでは知りませんでした。その製品が出た直後は情報が入ります。「出るらしい」という噂も入ってきます。こういう噂の時点で何グラムか負けている情報が来て、他社さんが売り始めるぐらいの時点で「短納期で開発して」みたいなことが当時決まったという流れです。

質問者4:そういうことは多いのでしょうか?

佐藤:私が経験したのはその時だけです。

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