2024.10.10
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眞々部貴之氏(以下、眞々部):じゃあ次は、岡本さんと中村さん、あともう1回清超さんにもご質問させていただきたいと思っていまして。このお三方でいきたいと思います。
岡本さんと中村さんと清超さんの特徴は、もともと飛騨市外に住んでいたり、飛騨市以外のお生まれだったんですけど、今は飛騨市に移住している、もしくは半移住状態という。関係人口の定義からは外れているんですけれども、これも1つの自治体や地方との関わり方なのかなと思います。
それで、そもそもなぜ移住したのかということですよね。移住する前に飛騨市と関係人口的な関わりがあったのかを教えてください。
三好清超氏(以下、三好):私は本当に(飛騨市との関わりが)ないまま、試験に合格させていただいて市役所の教育委員会の学芸員にしていただいたというところです。
眞々部:突然来た?
三好:突然来ました。
眞々部:なんで飛騨市にしたんですか?
三好:一番最初に合格をもらったからです。
(会場笑)
眞々部:そもそも知ってました? 飛騨市って。
三好:受験をする時に、そこがどういう場所かとか、どういう歴史があるのか、どういう遺跡があるかは勉強していました。
眞々部:そうですよね。なんだかすごくピンポイントですね。それ以来、もう20年ぐらい住んでいらっしゃって。
三好:そうですね。もう飛騨の歴史がめちゃめちゃおもしろいですね。それはもう、本当にいいフィールドに来させてもらったなと思っています。
眞々部:ありがとうございます。じゃあ中村さんはどうですか?
中村文香氏(以下、中村):私は東京に住んでいて住民票も東京にあるんです。ロフトワークさんという会社が渋谷にあって、そこの会社にいっとき間借りをしていたことがあって、その方々が飛騨市に「FabCafe Hida」という、モノづくりのカフェを作ることになりました。
そこでお手伝いを募集していて、たまたま知り合いがその募集の投稿をFacebookでしていて、「ちょっとお手伝いに行きたいです」と声をかけたんですね。それがきっかけでした。正直「飛騨ってどこ?」という状態で、参加を決めたときに初めてルート検索で「飛騨にどうやっていけばいいのか」を知って、それから関わるようになった感じですね。
眞々部:なるほど。じゃあ、本当に知らなかった?
中村:まったく知らなかった。
眞々部:関わるようになってから住むまでって、どれぐらいかかったんですか?
中村:2018年の6月にキャンプが1ヶ月間あって、そこでまず1ヶ月間は泊まっていたんですよね。厳密に言えば、実は今も住んでいるとは言えないような状態でして。2週間東京、2週間飛騨みたいな状態で……頻繁に通うようになったのはなぜかということですか?
眞々部:そうですね。
中村:まず飛騨に1ヶ月間滞在している間に、けっこういろんなところへ連れて行ってもらったりご飯を食べに行ったりしたんですが、その時にいろんな方に出会いました。そこで仲良くなったというのが一番大きくて。
飛騨市っていっぱい魅力があるんですけれども、とにかく飛騨市に行った人たちと仲良くなって、その場所が居心地良くなったというのが一番の理由ですね。
眞々部:別に「飛騨がいいな」と思っていたわけでもなく、行ってみたらすごく仲良くなって良かったというような流れなんですね。
中村:そうそう。良くしてもらって、居心地良くって「もうちょっといようかな」みたいなことが続いた感じですかね。
眞々部:これも清超さんとはちょっと違うパターンかもしれないですね。
眞々部:岡本さんは地域おこし協力隊として、今も現役ですか?
岡本文氏(以下、岡本):はい。現役で10ヶ月ほど経ったところですね。
眞々部:地域おこし協力隊というのは、自分で行くところを選べるんですか?
岡本:選べるのですが、私は協力隊があったから来たわけではなかったんです。まず関係人口でもなければ、飛騨の場所も知りませんでした。
飛騨に来る前は花を生けるフラワーアレンジメントなどの仕事をしていたのですが、それがけっこうハードで、仕事で身体のいろんなところにガタが出始めて。それを自然のもので身体の中からケアしたいなと思って調べていたところ、薬草というものがあると知って。
ある本を手に取ったところ、飛騨古川にある旅館が薬草の料理を出しているよという情報を見かけて、これは食べてみなければわからないと思い、飛んで行ったのが去年の夏でした。そこで「協力隊という仕事があるよ」と知って、たまたま関わることになりました。
眞々部:じゃあ、現地に行ってから協力隊になったみたいな感じなんですか?
岡本:そういうことです。8月に初めて飛騨に行って、10月から協力隊になりました。
眞々部:すごいですね。やっぱり飛騨市というのは知らなかった?
岡本:知らなかったです。すみません(笑)。
眞々部:この会場にいる人たちはけっこう飛騨市に行ったことがある人たちが多いんですけど、みなさんが移住する前の関わり具合と会場にいる人たちの関わり具合を比較すると、圧倒的に会場の人たちのほうが飛騨意識が高いような感じですね。
岡本:飛騨は本当にすてきなところだと、住んでみて改めて思ったんですけど。初めて来たときの空気、景色、それから人の温かさは、今まで感じたことがないなと思いました。
今まで父の仕事の関係で福岡や大阪や千葉に住んできたんですけれども、ましてや雪国は初めてでしたし、最初の仕事は東京だったので、本当にガラリと環境を変えて暮らし始めました。すると、まず身体の調子が良くなってきたことと、本当に人に助けられているなということを日々感じるようになりました。
眞々部:関係人口、交流人口、定住人口みたいな流れがあると思うんですけど、このお三方の話からは、そんなにスムーズにステップアップしていくわけではなさそうだなという感じがしてくるかな、とちょっと思いましたね。
清超さんはどうですか。もし自分が関係人口だったとしたら、どんな関わり方をしていたと思います?
三好:別の所に住みながら、飛騨の歴史を調べに来る人にはなっていたかもしれないと思います。
眞々部:関係人口という感じではないですよね。ピンポイントに発掘するみたいな。狭い入り口から入ってきて、突然移住してしまうようなことがあり得るらしいなとわかってきました。
それでは他の質問を見てみましょうか。「飛騨市から逃げていく人の特徴」、これはちょっとまた別の機会にしましょうか(笑)。他には「地域ごとに適度な人口数があるか」などもありますね。あ、飛騨牛に関心がある人もいますね。なるほど、ちょっとビッグクエスチョンが多いので、また選んでお聞きしたいと思います。
じゃあ、ここで移住してしまった側のセッションということで、2つ目の終わりにしたいと思います。ありがとうございます。
(会場拍手)
お寿司は次のセッションの途中で、兎洞さんが突然持って行きますので、みなさんはネタを見て、「そうだったんだろうな」と思っていただければと思います。
眞々部:じゃあ次ですね。移住・半移住から、今度は関係人口になっている、あるいは関係性を持っている方。自分が関係人口かどうかはわからないのですが、関係性は持っている人たちということで、残りの吉岡さん、永岡さん、そして杉野さん、杉本さんに聞いてみたいと思います。なんだかみんな名前が似てますね(笑)。それでは始めていきたいと思います。
さっきは「突然移住することにした」というパターンだったんですけど、今度は「今は移住していないけど、なにがしか関係性を持っている」というみなさんだと思います。関係性を持つようになったきっかけというか、なんで関係性を持つようになったのかを教えてください。じゃあ、お杉さん(杉野氏)からどうぞ。
杉野弘明氏(以下、杉野):はい、お杉です。こんにちは。私は飛騨と関係性を持つというか、もともとは飛騨市に仕事として行った身です。ただ、そのあとにおもてなしを受けまして、人々にすごく感じるものがあって、そのあと飛騨によく通うようになったと思っています。
魅力の一つとしては、おいしい飛騨牛を食べさせてもらって。でも、飛騨牛そのものがおいしかっただけじゃなくて、そこに一緒に連れていってくれたりとか、行った先のお店でいろんな人を紹介してもらったり、いろんな人と話をさせてもらったり、そういったつながりで広がっていったということですね。
こういったことを飛騨市で体験させてもらったのが、とてもよいことだったなと思っております。私が何に惹かれたのかというと、それがきっかけだったと思います。
眞々部:(人と)つながれたことですね。ありがとうございます。
眞々部:じゃあ次は杉本さん。お願いします。
杉本あおい氏(以下、杉本):私は空気を読まないことに定評があるので、あえてそこを崩さずにいきたいんですけど。正直、私はまだ、(私自身を)飛騨の関係人口だと思っていないんですね。
何度か訪問させていただいたりして関わりを持っているのは、ひとえにこのプロジェクトがあるからです。このプロジェクトは本当に大好きだし、これからも続いていけばいいとは思っていますけど、それを抜きにしてもなお自分が飛騨と関わり続けて関係人口になるかと言われたら、ちょっと今の時点ではまだわかりません。
それはなぜかというと、まず遠い。私の住んでいる逗子市から6時間ぐらいかかります。ジャカルタとか行ける、みたいな(笑)。
そういう距離感だし、あと私は水産の研究所に勤めている海の人なので、あんまり山深いところには行きたくない。
眞々部:海、ないですもんね。
杉本:そうそう。海なし県なんですよね。というので、ちょっとそれは率直な意見として言わせていただきました。
眞々部:杉本さんが関係人口っぽくなっているところってあるんですか?
杉本:それは石垣島かな。もう「more than 関係人口」ですね、石垣に対しては。
眞々部:こういう人は、もう関係人口にならないんですかね。それとも、こういう人は関係人口になってもらうべきなのかどうか。果たして杉本さんは関係人口なのか、関係人口ではないのかというところも、客観的にディスカッションができたらと思います。
眞々部:じゃあ、吉岡さん。
吉岡弘隆氏(以下、吉岡):吉岡と申します。きっかけってぜんぜん意識していなかったんですけれども、神岡町にスーパーカミオカンデという実験施設があって、1年に1回、一般公開されるんですよ。それをWebかなにかで発見して、「なんかおもしろそうだな」と思って申し込んだら抽選で当たりまして。それでスーパーカミオカンデの公開日に行ったのが、たぶんきっかけですね。
そこの実験施設についてはぜんぜん知らなかったんですけど、ニュートリノがどうだとか、なんかちんぷんかんぷんなことを一生懸命熱く語る研究者がいるところだったんですね。自分的には、その熱いところがおもしろいなって思ったんです。それがノーベル賞を取ったり、世界中の物理学者が神岡町に来て研究しているというのが、なんかもう超熱いなと。
眞々部:それから通うようになっていますよね。
吉岡:(笑)。それも変な話で。私は以前、楽天という会社に勤めていまして、その関係で「飛騨と楽天と東京大学でプロジェクトがある」ということを眞々部さんがずっとやってるのを知りまして、「吉岡さんも参加しちゃえよ」と話が来たんです。
なんだかおもしろそうだからと、たまたま行ったら、それがまたおもしろい感じで。飛騨市とか観光協会のみなさんと知り合いになっちゃって、みんなで飲み食いしているうちに「もう飛騨に行っちゃえ。お祭りに参加しようぜ」というところで。それはもうプロジェクトとぜんぜん関係なく行ったりもしていました。
そうしていると、今年のスーパーカミオカンデのツアーがあるというのを聞きつけて、「じゃあ、そのボランティアやっちゃいます」と手を挙げて。ボランティアだったら好きなだけ構内に入って見たりできるから、抽選で当てるよりもボランティアをやったほうが得だなって思ったんですね。
眞々部:裏口入学みたいな(笑)。
吉岡:そう。ボランティアを始めると、最初に一度講習みたいのがあるんですよ。「ガイドはこういうふうにやるんですよ。安全運転はこんな感じで」という内容で、ある意味で二回構内に入れるわけです。もう、「お腹いっぱいになるほどスーパーカミオカンデを満喫しちゃったぜ!」ぐらいの、なんかわけのわからない感じで、いつの間にか関係人口になっちゃいました。
眞々部:ありがとうございます。そうだ。あと高木先生も飛騨市外に住んでいて、今はちょくちょくいらっしゃっている感じですよね。たしか飛騨市ファンクラブの会員番号が……。
高木朗義氏(以下、高木):96番です。
眞々部:96番。10番台だというのを、さっき名刺交換するときにすごく自慢してくれたんですけど。
高木:はい。自慢です(笑)。私が飛騨に一番最初に入ったのは12年前なんです。もうかれこれ10年前なんですけれども、さっき紹介の中で「ふるさと種蔵村」という、棚田と板倉の非常に風景がすてきな集落があるんですけど、そこの支援に入ったのがきっかけです。毎年1回「種蔵新そばまつり」をやっていて、そこに学生を連れてボランティアに行くんですね。
それを12年続けていって、もう今は十数軒もない十何人とかの集落なんですけど、そこの方々のお手伝いをしているという。
それが今、「ふるさと種蔵村」という架空の村をつくってしまって、今はその副村長をさせてもらっています。最初は巻き込まれ側だったんですけど、今は巻き込み側にいます。これからどうやって集落の美しさを維持していくのかを今考えています。
眞々部:ありがとうございます。最後に永岡さんから、きっかけについてお願いします。
永岡里菜氏(以下、永岡):私は「おてつたび」というサービスをやっているんですけれども、飛騨市にちょっとご縁があり、何回か足を運ばせていただいています。今年はタイミングを見て二拠点居住先にしたいなと、リアルに思っているぐらいです。
私自身が東海出身というのもあるので、東海のほうに親しみがあるところはあるんですけれども。ただ、私が関係人口というよりは、おてつたびを通してどう関係人口をつくっていくのかという話のほうが、どっちかというと文脈としていいかなと思います。
「おてつたび」とはどんなサービスかといいますと、お手伝いと旅を掛け合わせた造語になっていまして、短期的・季節的な人手不足で困っている地域の方や農家さん、宿泊事業者さんとかと、知らない地域へ行きたかったり都心で経験できないことをしたいと思っている人……今は主に大学生が多いんですけれども、その両方が出会うWeb上のマッチングプラットフォームになっています。
私は三重県の尾鷲市(おわせし)というところで育っているんですけど、当たり前ですけど、東京の方は尾鷲市をぜんぜん知りません。「どこだ、そこ?」みたいな感じの地域でして。そういった地域にもっともっと足を運んでほしいなと思ったときに、やっぱり交通費だったり、「そこで何するんだ?」問題だったり、金銭的ハードルや心理的ハードルがあるなと思っています。
東京から尾鷲に行くためには、なんだかんだ交通費だけで4万円ぐらいかかるんですね。向こうで宿泊するとなったら、5〜6万円かかる。そうなったら、どうしても「じゃあLCCで海外行こうかな」とかになってしまうなと思いまして。
逆に「尾鷲って何があるんだろう?」と思ったときに、人ってどうしても魅力が顕在化している地域に行きがちです。であれば、いったんそういうことは考えなくていいので、「まずはちょっと尾鷲に来てみませんか。尾鷲でちょっと地域の仕事をしてもらって、交通費分をペイしてもらって、お手伝いを通じて地域の人と仲良くなってもらって、地域の魅力を知って帰ってきてください」というかたちでやっているサービスになっています。
「おてつたび」は本当にありがたいことに、メディアにも取り上げていただきまして、人数も増えてきているような状況なんですけれども。一番うれしいなと思っているのがお手伝いした人の再訪率が高いところなんですね。「おてつたび」後のプライベートでの再訪がすごく高くて。
そういう意味で、今まで5名ぐらい飛騨市さんとご一緒してますけど、なんと飛騨市さんの場合は100パーセントが再訪しているんですね。それってなんでなのかなと思ったときに、今までお話しされている中にヒントがすごく散りばめられていたなと思っていまして。
受け止めてくださる人が多いことだったり、とてもやさしいことだったり。そういったところで、ついつい「また来ようかな」と思えるような関係性が紡げるんだろうなと思っています。
眞々部:ありがとうございます。ここまでは若干自己紹介的な面もあるかなと思いますけれども、ここからディスカッションに移っていきたいと思います。ここでも最後拍手をお願いします。
(会場拍手)
じゃあ、兎洞さん、お寿司を用意していただいて。ということで、ここからは関係人口について気になっているところを掘り下げていきたいと思います。1つ目は私のほうから……。
兎洞:吉岡さんと高木さん、地域おこしをやられている方にマグロをお渡ししたいと思います。
小林:おお。
眞々部:ちょっと理由は定かじゃないですけれども(笑)。
兎洞:手渡しですみません。失礼します。
吉岡:ありがとうございます。
眞々部:それでは進めますね。都市に住んでいる人がここには多くて、高木さんと清超さんは今飛騨に住んでいらっしゃるんですけれども、残りの人たちは今けっこう都会に住んでいるみたいなところがありますよね。
高木:私は飛騨に住んでないです。
眞々部:あっ、住んでないですね。そうか岐阜か。岐阜も都会ですね、すみません。
そういうことで、この会場にいる人たちも都市に住んでいる方たちが多いと思うんですけど、けっこう関係人口って「地元がよくなりました」「地域がよくなりました」という文脈が多いと思います。逆に我々都市側の人間が、地域と関わることのメリットは何だと思われますか?
ここからは挙手制でいきたいと思います。都市の人間にとって、地域と関わる、新しい関係性をつくり出すことのメリットはなにか。じゃあ中村さんから。
中村:私は東京に住んでいて、飛騨に行ったり来たりしていると言ったんですけど、その中で「やまなみ」という宿をやっていまして。宿を開けてみて気がついたことなんですけど、田舎を持っていらっしゃらない都市部の方が「やまなみ」に泊まりに来てくださったときに、「自分にふるさとができたみたいだ」という表現をしてくださって、そういうのが1つあるかなと思います。
眞々部:ありがとうございます。なるほど、もう1個ふるさとができると。
眞々部:ありがとうございます。じゃあ永岡さん。
永岡:私が地域に惚れ込んだ理由としては、東京にいると資本主義ですべてが回っていて、「永岡里菜」としてではなくて「〇〇会社の〇〇さん」というようなかたちでの肩書がファーストになってしまっていて。肩書に群がる人たちが多いなというのをすごく感じていたときに地域にお邪魔すると、そうじゃなくて自分個人として判断してくれる人たちが多かったということがあります。
あと、資本主義ではない違う経済で動いているところが、個人的にはすごく好きだなと思ってまして。「おてつたび」に行ってくれた子たちがよく言うんですよ。「東京にいると、肩がぶつかると『フンッ!』ってなっちゃうんですけど、おてつたびに行ったらもっと人にやさしくなれると思いました」って。
眞々部:なんか殺伐とした感じがあると?
永岡:東京だと、どうしてもやさしさの連鎖ができにくくなっちゃうんじゃないかなと思っています。みんなが余裕がないからだと思うんですけどね。誰が悪いとかではなくて、仕組みがそうなっているんだと思うんですけれど、それが地域に行くともっと緩和されるところがあるんじゃないのかなって。
眞々部:東京よりもちょっとそういう面があるということですね。
永岡:うん。そうかなと。
眞々部:ありがとうございます。ほかの方いかがでしょうか? 誰か。
高木:私はボランティアで学生たちを毎年飛騨市に連れていくんですけれども、やっぱり学生たちも都会に住んでいる子たちがほとんどなので。だから、やっぱりあんまりやさしさに触れていないとか、あるいは本当の自然の良さに触れていないとか、人の温かみに触れていないとか、そういうことはありますね。
逆に言えば、今まで生きてきた世界とはぜんぜん違う世界がそこにあって、「すごく良かった」「楽しかった」「すごく気持ちが良かった」ということを、振り返りで言う子が多くて。そういう魅力が本当に飛騨にはあるんじゃないかなと思っています。
眞々部:ありがとうございます。確かにそうですね。私も東京に住んでいるんですけど、東京でコミュニティ感を得られることってあんまりなくて。飛騨市では「すごく離れているのに、ここはコミュニティ感あるな」と感じるときもすごくあります。
あおいさんはどうですか。「自分は関係人口じゃない」と言ってましたけど、なにかそういうのって感じたりします?
杉本:飛騨で、ってことですか? そうですね、やっぱり感じますね。先週末に行かせていただいたときに、ずっともう缶詰状態で分析させられていたんですけど(笑)。
ちょっともう煮詰まりすぎて、ふらっとランニングに行ったんですよ。そうしたら、普通の生活風景をほぼ初めて飛騨で見ることができて。なにか特別なものがあるわけではないかもしれないんだけど、なんだか人が笑顔で生きていられるという、当たり前のことのようでちゃんとそういう風景が見られたというのは、飛騨っていいところなんだなと思いましたね。
周りの人たちが「また来たい」と言う意味が、私の中でちょっと腑に落ちた瞬間がありました。
眞々部:ありがとうございました。ここまで聞いていると、関係人口を結ぶ先は田舎じゃなきゃだめな気がしてきたんですけれども。田舎じゃなかったら、都会の人にはメリットがないんですかね。
杉本:田舎の定義次第ですね。
眞々部:田舎の定義次第? ここではないどこかならよいとかですか。
杉本:例えば江戸川区とか。江戸川区のNPOに関わっているんですけど、めちゃくちゃ強いコミュニティがあるんですよ。すごい大都会なんだけど、もう下手したら本当に飛騨とかと変わらないような風景が大都会の中にもあって。でも、私たちはそれを田舎とは呼ばないじゃないですか。でも、そういうところだったら、大都会の中でも得られるものは農山漁村と同様にあるんじゃないかなと。
眞々部:ありがとうございます。吉岡さん、なにかしゃべりたい感じですか?
吉岡:今のお話をいろいろ聞いていて、都会にいると地域コミュニティとのやりとりはすごく難しいと思っていて。そういうリテラシーって、少なくとも私はすごく減っているというか、ほとんど持っていないなと思うわけですよ。
自分は東京に生まれて、東京で育って、結婚してそこに住んでいたりするんだけど、地域とのコミュニティを会社員としてなにかできるかというと、町内会はあることはあるんだけど、ほぼゼロじゃないですか。
実は私、60歳になって定年退職したんですが、そういう組織から離れてみたときに地域コミュニティが受け皿になり得るんだけど、そのリテラシーがないからどう入っていっていいのかわからないですよね。
その中で、単なる旅行だとA地点からB地点に移動するだけになっちゃうんだけど、もう少し半歩だけ踏み込んで旅館に泊まって、次の日に近くの喫茶店にモーニングを食べに行くと、近所のおじさん同士がなんか楽しそうに話してて。常連さんがやっているわけですよ。そういう地域のコミュニティ力みたいのは、都会に行けば行くほど枯渇しているから、そこに入りたいなという本能的ななにかがあるのかなと思いました。
別にそれは飛騨じゃなくてもいいのかもしれないけど、その微妙なバランス感というのはたぶんあって。限界集落だとそこに泊まれないけど、飛騨ぐらいの所だったら泊まれるとかね。だから、そんな感じでいま腑に落ちています。
眞々部:ちょうどよさの話ですね。本当に都会すぎると、そもそもコミュニティにアクセスできないような状態になっていると。
吉岡:まぁ、入れないですよね。
眞々部:江戸川区ぐらいだったらあるかもしれないけれども。飛騨市はちょうどいい。
吉岡:それぐらいのサイズ感なのかなと。
眞々部:都会にいる人としては、需要としては「コミュニティの一員になりたい」というところがあって、供給側としては「コミュニティにちょっと欠落している人が欲しい」みたいな、なんかそんな状態になっていればいいのかなと。
吉岡:そうですね。だから、行く人間もある程度そういう雑談力のある人みたいな感じで、ツンツンしている人は、行ってもなかなかすぐには飛び込めない感じだと思うんですよ。なんとなくいい塩梅というのは、どこかにあるんじゃないかなと思いました。
眞々部:なるほど、ありがとうございます。ではお杉さんどうぞ。
杉野:都会とか田舎は別に関係ないんじゃないかって、ちょっと思いまして。(当日は会場でオンライン上で質問を募っていたので)今、「子どもは場を選べない。生まれた場所で都会か田舎かが決まる。子ども関係人口といった取り組みはありますか?」という質問をしていただいた方、もし差し支えなければ挙手をいただくことはできますか? ……あっ、ありがとうございます。私の個人的なポケットマネーからアメを差し上げます。
(一同笑)
今後もいい質問をされた方にはこのアメを。こちらです、ありがとうございます。この質問にそのまま直接お答えするというわけではないんですけれども、もっと時代が遡ると、生まれた場所が終の住処になっていて、コミュニティを出ることもなく人生を終えるというところがあったと思います。
少し近代化したときには、都市のほうに寄る、移住してそこで働くというようなモデルがずっとあったと思うんですけれども、今の時代は少しもう一歩先に進んでいるのかなと思っていて。質問者のおっしゃるとおりで、ご自身の感覚で「ここに住みたい」であったりとか、もしくは住まなくても、今回のテーマである関係人口的に関わっていくというのがいくつかできるかなと思っております。
ほかのご意見でも「関係人口って、0.2の割合だけで人口を換算するのか?」とかおもしろいご意見をいただいていたと思うんですけれども。もしかしたら投票とか選挙も、自分の票を分けて、地域に関わっている分だけ、「こっちには0.7、こっちには0.3」とか、そういう時代が来るのかもしれないんですけれども。今の時代、だんだんそうなっていってるのかなと思っています。
なので、都会と田舎という二項対立というわけではなくて、地域そのものに人がいろんなかたちで関われる時代というか、今からその未来が来るのかなと私も思っております。
子どもが生まれてくる場所はとても大事なものだと思うので、そこはホームタウンとして持っていただき、大人になって自由選択になったときに、住める場所も関わる場所も自由に選択できる社会というのはとても健康的ですし、そういう自由の幸せというのもあるのかなと思っています。
眞々部:ありがとうございます。今の比率の話でいくと、ふるさと納税とかもそうですよね。あれはもう納税する先の何パーセントかを特定の自治体に出してしまいます、ということなので。投票というのはまだないかもしれないですけど、すでにそういうことは起こっているんじゃないかなと思いました。
じゃあ、このセッションはいったん終わりにしたいと思います。ありがとうございます。……あっ、市長から。わかりました。市長、お願いします。
都竹:あっ、これで終わりなら、またあとでいいですよ。
眞々部:じゃあ、いったん締めて、その市長のコメントからいきましょうか。
都竹:はい。じゃあ、またあとで。
(会場拍手)
眞々部:兎洞さん、お寿司をお願いします。じゃあ、市長、お願いします。
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