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Eoliaが考える生活者とのエンゲージメントづくり(全2記事)

2019.08.22

Brand Topics

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家電の中で唯一エアコンだけに購入基準がないーー空気の質に着目したパナソニックのブランド戦略

提供:株式会社オールアバウト

2019年7月24日(水)、25日(木)の二日間、デジタルイノベーションの最新トレンドをキャッチアップできるイベント「日経クロストレンド FORUM 2019」が、赤坂インターシティコンファレンスで開催されました。日経BP社主催の本イベントには、ビジネスの最前線で活躍するスピーカーが数多く登壇。このパートでは、パナソニックのエアコン「Eolia」が考える生活者とのエンゲージメントづくりのセッションの模様をお届けします。同製品のブランディングを担当した清水氏、コンテンツの制作支援で参画したオールアバウトの大和田氏の両名が、ブランドメッセージを浸透させるうえでメディアが果たす役割について語りました。

ブランドとメディアがタッグを組んだ

大和田誠氏(以下、大和田):本日、「Eoliaが考える生活者とのエンゲージメントづくり」ということでお話をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

まず、本日のアジェンダは3点ですね。「Eolia(エオリア)」というエアコンブランドのご紹介と戦略。そして、ご一緒させていただいている「Air Letter」というオウンドメディアのご紹介と、そこで成し遂げられたこと。最後に、2019年度の施策を通して、パナソニックさんと弊社で取り組みさせていただいていることをご紹介させていただきたいと思います。

まずはじめに、清水さんから自己紹介をお願いします。

清水孝志氏(以下、清水):パナソニックの清水と申します。よろしくお願いいたします。私は他社から転職して、2年半前にパナソニックに入社しております。この2年半、今回ご紹介させていただくエアコンの「Eolia」や、CMでご覧になったことがあるかもしれませんが、「ジアイーノ」という商品など、空質ブランドのブランドマネジメントの担当をやらせていただいています。よろしくお願いいたします。

大和田:私は総合情報サイト「All About」を運営する株式会社オールアバウトに、新卒で2007年度に入社しました。10年間ずっと広告の営業をやらせていただいております。そこから今年、2019年度に、このあとご紹介する「All About PrimeAd(オールアバウト プライムアド)」の開発・セールスを行っているプラットフォーム開発部に異動してきまして、今に至ります。

それでは進めさせていただきます。本日のセッションのテーマを設定させていただいております。

一つ目は「生活者目線の情報発信をすることがブランドの命題である」。もう一つが「生活者を捕捉するためにメディアを有効活用すべき」。この二つを本日のテーマとしてお話したいと思います。

「暖かい」「冷たい」では測れない空気の質を追求

まずは、エアコンブランドの「Eolia」のブランドと戦略について、清水さんからお話をお願いします。

清水:パナソニックをご存知の方は多いと思いますが、弊社ではいろんな事業をやっております。私は量販店で販売している家電を扱う、アプライアンス社に所属しております。

実はこのアプライアンス社では、電池や太陽光パネルといったいろんな商品を取り扱っております。

大和田:多いですね。

清水:1万品番ほど取り扱っておりますね。私はその中でも空質ブランドを主に担当しています。

大和田:ではさっそく、エアコンブランド「Eolia」のご紹介をお願いします。

清水:私が入社してからいろんな方とお話しをする中で、「エアコンで知っているブランドはありますか?」と聞いてみても、残念ながらほかのブランドが出てくることが多かった。私どものEoliaというブランドは「健康な空気と暮らそう」をブランドメッセージとして発信しております。

「冷たい」「暖かい」だけではなく、私どもは空気の質にこだわって商品を開発しており、このようなブランドメッセージを発信させていただいています。

大和田:それでは、Eoliaの特徴をお願いします。

清水:エアコンは「吸って吐いて、吸って吐いて」という機能があるので、弊社では空気清浄機能をエアコンにつけております。そうすることで、エアコン内部に有害な物質を入れさせない構造をもっています。みなさんのなかにはカビ臭さが気になるという方が多いかなと思いますが、そういったところを解消するためにエアコン内部の清潔性にこだわったオートクリーンシステムを導入しています。

あとはお部屋に吐き出す風に、「ナノイーX」というマイナスイオンを搭載しています。内部に有害な物質を取り込ませなければ、外に出す空気はきれいになります。そういった意味で空気の質にこだわっています。

エアコンには購入基準がない

大和田:「ナノイーX」はブランド認知も強いと思っているんですが、健康的な空気について少しお話を進めていきたいと思います。まず「どういう基準でエアコンを選んでいますか?」について。

清水:先ほどお話ししましたが、家電量販店にエアコンを買いに行かれたときに、おそらく購入基準を持っていない方が比較的多いと思います。だいたい価格やメーカー名で決めることが多いのではないでしょうか。

大和田さんは何を基準に選んでいますか?

大和田:やっぱり価格を見てしまいますよね(笑)。そこで、機能のご紹介ですね。こんなにいっぱいあるというところが購入の決め手になる。

清水:実はこれだけたくさんの機能があります。一つひとつを説明すると、すごく長くなってしまうので割愛いたしますが、エアコンにはこういったいろんな機能があります。清潔性、快適性、省エネ性などを含めて、機能として持たせて、トータルとして「清潔性」を打ち出す。そうやって、「健康な空気」というコミュニケーションをさせていただいています。

大和田:これはエアコンに求めるもののランキングですね。

清水:これは定期的に調査をしていましたが、やはり冷房機能や省エネ性が上位です。しかし最近のトレンドでは、清潔性やエアコンの内部も着目されていることが多くなっています。ですので「Air Letter」では、「冷房とか暖房、基本的な機能ではなくて、空気の質というところにこだわりませんか?」とコミュニケーションを展開しました。

水や食べ物は選ぶのに、なぜ空気は選ばないのか?

清水:ところでみなさん、一日にどれだけ空気を吸っているかご存知ですか? 実は18キロも吸っているんです。水は多い方でもだいたい2リットル、重さにして2キロほどを飲んでいると、世間では言われています。実は、空気はその9倍以上。「18キロも吸っている空気を選ばないなんてあり得ますか?」というメッセージを送っています。

今はミネラルウォーターを買う時代ですが、20年前はわざわざ買うなんて考えられなかったかなと思います。食べ物に関しても、健康志向や食の安全性などのこだわりを持っている方が多いかなと思います。「水とか食べ物を選んでいるのに、空気を選ばなくてもよいのですかね?」というところで、私どもとしては「水や食べ物を選ぶように、空気を選びませんか?」という思いを込めて、ブランドメッセージを発信しています。

大和田:このお話を聞いたとき、納得感があるなと思いました。なぜ水や食べ物を選ぶのに、毎日吸っている空気は選ばないのか。そこがブランドのコンセプトの部分ですね。

清水:はい、2016年からリブランドで発信していました。そのときに、「これからは、『空気』も選ぶ時代です」という啓蒙というか、「空気に対する注目をしてください」というメッセージを始めてきました。

大和田:空気にもしっかりと興味を持ってもらいたい。ということで、今回ご紹介する「Air Letter」ですね。啓蒙できるような場所を一緒に作っていこうという流れになった。経緯としてはこんな感じで大丈夫ですかね。

清水:そうですね。たぶんこの会場にいらっしゃる方で、空気のことをちゃんと考えたことがある方は、少ないんじゃないかなと思っております。空気清浄機とか、そういったレベルでは気にしている方はいるかなと思います。ただエアコンが一番、空気を吸い込んで吐き出す機能で室内の空気を動かしています。そこに対する注目をしていただきたいという部分で、こういうかたちを取りました。

大和田:これが一つのエンゲージメントの戦略になっています。

ブランドメッセージの定着にメディアが一役買う

大和田:次のパートで、実際にご一緒させていただいた「Air Letter」という施策の紹介をさせていただきます。2017年11月9日、「いい空気」という語呂合わせの日に合わせてスタートしました。

前提となる課題の部分ですね。こういった戦略を組むとなったときに、まず生活者に対して、どのようにして空気を選ぶという価値自体に興味を持ってもらう場をつくるか、という課題感がありました。

清水:そうですね。私たちだけでなく、たぶんいろんなメーカーさん、発信する側の方々が感じている課題だと思います。ブランドとして発信しているメッセージをお客様に届けるには限界がある。

そこで、生活者により刺さる方法を考えたときに、メディアさんと一緒に情報をつくっていくことが大事かなと思いました。ここの「空気を選ぶ」という価値観づくりをするときですね。

大和田:そうですね。

清水:やはり(生活者との)接点はメディアさんのほうが多いですし、どんなことを思っているかという情報の把握も、メディアさんが得意とされているかなと思っています。当然「読んでいただかなきゃいけない」「見ていただかなきゃいけない」という情報づくりのテクニックもお持ちかなと思っていましたので、メディアさんとどうやって情報をつくっていけるかというのが、僕たちのアンサーというか、関係になっています。

大和田:新しい価値観を浸透させるために、より生活者に近い立場のメディアを活用していくのが一つのポイントになったということです。

ということで、ブランドの「Eolia」とメディアの「All About」が一緒になって取り組みをスタートしました。

「壊れたから買い替える」という価値観を変える

まずはエアコンの購入機会の振り返りです。上の緑色の部分に関しては、日常生活についてです。エアコンも家電ですが、一般的に家電の寿命は10〜13年と言われています。そのへんはいかがでしょうか?

清水:今年は去年に比べるとあんまり暑くないですよね。今日は暑くなってきましたけれども、だいたいこういうふうに暑くなってくると、「さあ……」といってエアコンをつけると「効きが悪い」となって、慌てて買いに行かれている方が多いというのが現状です。とはいえ、実際の工事でつけられなかったという方も多い。そういった、単なる故障で買い替えをしてほしくないというのもあるかなと思っています。

大和田:最近、僕も冷蔵庫が突然壊れて修理をお願いしたりしたんですが、ふだん使っている途中でいきなり壊れてしまうと、パニックになるなと思いました。生活を乱すんだなという経験を最近したところですね。

もう一つが、エアコンは住宅設備という視点がありますので、生活者の生活環境が変わるタイミングが買い替えタイミングですね。ライフステージやライフスタイルが変わるとき。あとは引越しや住み替えなどのタイミングで変える方も非常に多い。

清水:やはり、先ほどの「壊れたから買い替えます」だと、すぐつけられるものが優先になるので「なんでもいいからつけてください」というのがお店で聞かれる会話です。こういうコミュニケーションを変えていきたい、お客様の意識を変えていきたい、というのが私たちの思いと課題ですね。

大和田:ほかの家電もそうかもしれないですが、エアコンに関しては、需要が発生したタイミングでやっと製品のことを考える。エアコンには事前の価値観がないというのが問題になっている。これが今回のテーマでしたね。

なぜか“自分事化”されないエアコンの悲哀

大和田:そしてパナソニックさんの事前調査で、白物家電全般の購入決裁者のほぼ9割が女性というところがわかりました。

清水:今だと家事に参画されている男性も多いですが、冷蔵庫や洗濯機は女性がこだわって選ばれているケースが多いと聞いております。ところがエアコンに関してはおもしろい話があって、押しつけ合いをしている。「あなたが決めなさい」と。

大和田:正確には購入の決裁権が5対5ではないということですね。

清水:意思を持って買われている方が決して多くはないということが、さまざまな調査とかインタビューを通して発見されました。

大和田:本来的に白物家電は女性が価値観を持って購入するもの。冷蔵庫を買うときのように「野菜室がちゃんと大きいものがいい」などの価値判断を、エアコンでもしっかり持ってもらうというのが大きなテーマでした。

「Air Letter」の施策のポイントは、事前の価値観の部分です。まずは「空気を選ぶ」という事前認識を持ってもらいます。需要が発生したタイミングでその価値基準に基づいて、「Eolia」という健康空調ブランドを選んでいただく。そういう流れを理想的な状態として求めていったという流れです。

ただ、空気を選ぶことだけを一方的に生活者に対して伝えていっても、自分事化されない。ここはマーケティングでも非常に重要だと思うんです。

清水:弊社を含めた日本の家電メーカーは、ある程度の認知があります。「聞いたことがあるメーカーのどこかだったらいいだろう」と思っている方が多いというのは、肌で感じています。

エンゲージメントのお話をしていますが、「どこかのタイミングで、きちんと思い起こしてほしい」ということで、お客様が日頃から興味があることや課題感から需要をひっぱり出して紐づける。それにより、ブランドとのエンゲージメントを作っていったのが今回の施策の肝です。

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