2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
ケーオー商事株式会社 片山昭氏(全1記事)
提供:サイボウズ株式会社
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片山昭氏:こんにちは。ケーオー商事の片山と申します。本日は、「諦めかけていたSFA(営業支援システム)導入をkintoneで実現!!」というテーマで発表させていただきます。
さっきまでリラックスしていたんですけれども、司会の方が上手でしたので、非常に緊張してきました。とちるかもしれませんけれども、よろしくお願いします。
私は片山昭と申します。地元の松山商科大学、現在の松山大学を卒業後、今の会社に入社しました。バリバリの文系です。昭和32年生まれで、とうとう62歳になってしまいました。
ちなみに、会場に私より年齢が上の方はいらっしゃいますか? ……あ、何名かいらっしゃいましたね(笑)。すみません、想定外です(笑)。
(会場笑)
片山:たいして考えていなかったもので、ちょっと動揺しています(笑)。kintone界隈で最高齢を目指して、がんばっていきたいと思います。よろしくお願いします。
私的トピックスといたしまして、「kintone CERTIFIED」の「Associate 2018」を昨年取得いたしました。kintoneは老化防止にも役立っています。
会社の名前はケーオー商事と言いまして、愛媛県今治市でOA機器やオフィス家具、事務用品などを販売しています。「kintone」は、発売当初の2011年から使用しています。あと昨年、サイボウズさんのパートナーにも選ばれました。
今日は県外の方も多いと思いますので、私の地元の今治のことを紹介させてください。今治はご存知でしょうか?
(会場笑)
ここにすべてが書いてあります。いろいろありました。しかし、これだけじゃないです。
今治、いいところもこんなにたくさんあります。機会がありましたら、ぜひ今治にもお越しください。
前置きが長くなりましたが、本題に入っていきます。まず、「なぜ我々が『kintone』を使いだしたか?」をご理解いただくために、簡単に業界のご説明をいたします。
かつてOAブームがあったのをご存知でしょうか? 1980年代にはワープロ……もはや死語ですね。ワープロとかFAXが一般企業にも普及し始めていました。
あとコピー機。デジタルコピー機が出てまいりました。1995年にはWindows95が発売され、パソコンがあっという間に広まっていきます。コピー機はFAX機能を内蔵した複合機が一般的になってまいりました。2000年代になりますと、複合機はパソコンのプリンターになり、ネットワークにも接続されます。また、カラー複合機が一般的になってきました。
このように我々の業界は、技術革新のおかげで次々と新しい、画期的な製品が発売されていきます。営業力があまりなくても、(製品の力で)比較的容易に販売できていた時代が長く続いていました。
これが21世紀になりますと、OAブームも終焉を迎えます。さすがに大きな技術革新はなくなり、画期的な製品も出なくなってきます。我々は機能紹介だけで販売しており、営業力がないものですから、どうやって販売すると言いますと、もっぱらコスト削減提案だけなんです。同業各社もコスト削減提案をしますから、業界内で価格競争が激化し、利益も低下しています。
じゃあ、利益が低下するのをどうするか。単価が下がりますから、PRの量を増やすしかないんです。そこで提案先・訪問先を増やすために、さまざまなリスト管理をしていました。「○○攻略リスト」「リースの満了リスト」など、さまざまなExcelファイルが社内に蔓延していました。
そのようなとき、2009年に社長に就任いたします。競争はどんどん激化しまして、売上の伸びも止まってまいります。当然、利益も低下してきました。さらにICTの普及により、商品は多様化しています。従来のリスト管理だけの営業ではもうやっていけなくて、「営業スタイルを変えないといけない」と思うようになってきました。
そこで、「Access」による顧客管理にチャレンジしました。しかし、我々は基本的に文系ですから、すぐに挫折(笑)。諦めちゃいます。そのようなときに、SFAを知りました。「営業効率をアップするために、これからはSFAを導入しよう」と思うようになりました。
ご存知の方も多いと思うんですが、簡単にSFAのことをご説明します。「Sales Force Automation」の略で、日本語では営業支援システムと呼びます。具体的には、営業活動を記録・報告・分析する機能、案件ごとの進捗状況を把握する機能、予算と実績を対比して目標達成率や達成状況を把握する機能、そしてお客さまの情報や実績を管理する機能。
これらの機能により営業部門の支援を行い、営業力を強化する仕組みのことをSFAと呼びます。
「これからはSFAだ!」ということで導入を検討していたんですが、調べていくと、いろいろ問題があることがわかってきました。
まず、価格がけっこう高いんです。当時の我々の事業規模ですと、ちょっと導入が厳しいと思いました。あと、高価なSFAを導入したものの、活用しきれない事例もけっこうあるという話も聞きました。また、Salesforceのことも知りましたけれども、どこに相談していいかよくわからないし、単純にコストがまったく合わなかったんです。ということで、「ウチじゃSFA導入は無理かな」ということで、諦めかけていました。
そのようなときに、kintone発売の記事をたまたま発見します。5分でできて30日間無料とのことだったので、さっそく申込みしました。営業日報アプリを、試しに自分で作ってみました。たしか日曜日に作ったんですけれども、1日がかりで苦労したものの、その日に完成したんです。Accessの『顧客管理』はぜんぜんだめだったんですけれども、kintoneの『日報管理』ならできるかもしれないと思うようになってきました。
「とにかく営業スタイルを変革したい」「変革しないと会社がやばいな」と思っていましたので、SFAの導入はいい加減諦めて、代わりにkintoneを導入することにしました。それが2011年12月のことです。
こちらが導入後、約8年近く経った、現在の弊社のkintoneの概要です。顧客DBアプリを中心に、「案件」「営業日報」「受注票」、その他さまざまなアプリが関連付けされています。また、下では販売管理システムから得意先マスタや売上明細データ、その他各種マスタデータが定期的に送られてきます。また、CTIという電話のシステムを導入しまして、顧客DBと連携しています。
また、メーカーのRICOHさんから複合機の機器情報の保守履歴ですとか、使用状況を送っていただいて、それがkintone上で見ることができています。SFAを諦めて導入したkintoneなんですが、なんとなくSFA的に使えるんです。じゃあ、実際に画面を見てみます。
こちらが顧客DBアプリの詳細画面です。複数のアプリが関連付けされていますので、タブ表示プラグインを利用して、タブを切り替えて使用します。
この画面は「受注票」アプリの「関連レコード一覧」です。お客様のご使用されている機器の情報が確認できます。左の「基本情報」タブでは、住所や電話番号等の「得意先マスタ」の内容を、右の「訪問履歴」タブでは「営業日報」に入力された訪問履歴を、「案件情報」タブでは「案件」アプリの内容を表示します。
また「売上履歴」タブは「販売管理システム」から送られてきた「売上明細データ」を表示し、その隣の「品群別実績」タブでは、その売上明細Dataを得意先毎/商品群別に集計した結果が確認できます。
こちらがCTIです。お客さまから電話がかかりますと、CTIがポップアップで立ち上がります。左がお客様の名前、右側にはkintoneの顧客DBの内容が表示されています。電話対応しながら、お客さまの詳細が確認できますので、電話対応がスムーズになります。さらに、左下の「顧客詳細」ボタンをクリックしますと、先ほどの顧客DBの画面が立ち上がります。電話対応しながら、お客さまのご使用機種とか、営業の訪問履歴とか商談履歴とか、納品履歴が確認できます。
さらにCTIを導入しまして、電話を受けた後のオペレーションが劇的に改善します。例えば、プリンターのトナーを受注した場合のデータなんですが、品番を言ってくださらない方っていらっしゃるんです。「当社で使っているプリンターのトナー持ってきて」みたいな注文です。
そんなとき、従来はExcelの「使用機器リスト」でお客様のプリンター型番を確認し、型番がわかればメーカーのホームページにいって、そのプリンターのトナーの品番を調べる。
あるいは、販売管理システムで過去の納品履歴を調べて、以前にお届けしたトナーの品番を調べるなど、けっこう面倒くさい方法で調べていました。さらには過去の納品履歴を調べて、半年前と同じトナーをお届けしたら、実は先月、営業がプリンターを入れ替えており、開封したトナーが無駄になったこともありました。
CTI導入後は一変します。まず、先ほどのCTI画面で「顧客詳細」ボタンをクリックします。そうしますと顧客DBアプリが立ち上がりますので、「機器・取引先」タブをクリックしましたらプリンターが確認できますので、プリンターの右にある「機種略号」ボタンをクリックします。これはリンクになっていまして、クリックすると機器情報アプリが立ち上がります。それで、こちらのプリンターのトナーの品番が確認できます。わずか3ステップで確認できるようになりました。
このように大変便利に活用できているkintoneによるSFAの仕組みなんですが、一朝一夕にできたわけではありません。まず、当初1年目は営業日報アプリだけを使用していました。というのは、弊社が初めて使い出したときには、ルックアップや関連レコード一覧の機能は、まだkintoneにはなかったんです。それで1年間、営業日報アプリ1本でやっていました。
試行錯誤をしながら、kintoneを勉強してきました。ルックアップも追加され、1年経ったころに、やっとルックアップと関連レコード一覧の使い方を覚えたので、「案件」アプリを作成し「営業日報」入力時に、案件を関連付けするようにしました。
アプリが増えてきましたので、「お客さま情報を一元的に見たいな」と思いまして、先ほどの顧客DBアプリを作成します。お客さまの情報はだいぶ見えてきましたので、今度は「売上に関する結果も『kintone』で見たいな」と思いまして、他システムと連携を検討します。
弊社の販売管理システムは、オンプレの「PCA商魂」というソフトを使っています。このPCA商魂とkintoneの連携は、さすがに自分でできなかったので、両方に詳しいSIerさんを探して、連携を依頼しました。さらに先ほどのCTIと、さらに円滑化するために機器情報も送ってもらいます。このように、5年近くの歳月はかかりましたが、kintoneがSFAっぽくなってきました。
じゃあ、個々のアプリを見てみます。こちらが「案件」アプリです。「営業日報」入力時に「案件」をルックアップしますので、案件の「関連レコード一覧」で「営業日報」の商談履歴が確認できます。
さらに日報と案件が連携しますと、さまざまなメリットが出てまいります。商談合計件数がわかるだけじゃなくて、案件の数とか、個々の案件の商談回数が確認できます。それを月末に集計するのではなく、今月の結果を見たいとき・確認したいときにリアルタイムで確認できます。例えば、グラフのA君の例ですと、合計15件の案件に、合計59回訪問しています。さらに個々の案件では9回と、けっこう商談もたくさんしています。
しかし、たった15件の案件で、「今後、新規の案件が開拓できていますか」ということが、ちょっと心配です。一方、下のB君の例ですと、27件の案件に訪問しているんですが、1回しか訪問していない案件がものすごく多いんです。これは当然、1回じゃランクアップしませんので、継続訪問をするように指示・指導が必要になります。
こういったことが、月が変わってからじゃなくて、例えば半月経ったときに確認できますので、適切なアドバイスをして、後半に軌道修正することも可能になります。
こちらは受注票アプリの例です。受注票アプリとは、商品を受注したときに販売管理システムに入力するための、受注明細データを入力するアプリです。単に商品明細だけではなくて、リース情報、例えばリース会社とか月額リース料とか、リース期間等も入力します。それから機械ごとの番号、製造番号も入力します。販売先のデータベースとして利用しています。
従来は、それをExcelで「リース管理表」とか「使用機器リスト」といったように、別途Excelで入力していました。そういったExcelを入力する手間が不要になっています。
さらに過去の受注票は、4年後、5年後にはPRリストになります。こちらは、受注してからの経過年数で絞り込んだ、受注の一覧です。導入後4年経っていますから、そろそろ次の提案もしていかないといけません。従来は、こういったのもExcelで実際に作っていましたが、何も作らないで絞り込むだけでできます。
さらに、実際に提案を開始すると、「案件」アプリに入力するんですが、新規の案件入力時に、下取機の「受注票」をルックアップします。さらに、今度は逆にルックアップされた下取機の「受注票」に、「案件」を自動的にルックアップするようにカスタマイズしました。
そうしますと、4年経過した受注一覧を見たときに、こちらでルックアップされているか、されていないかがわかるんです。まだリプレイス提案のできていない(案件化されていない)古い案件の、受注票が把握できます。
さらに、受注票では通知機能を使っています。リマインダーで、提案遅れとか契約更新漏れをお知らせしてくれます。例えば、リース満了の1年前、導入後4年経過した直後など。また、毎年更新する契約の場合は、更新日の1ヶ月前など、kintoneから通知が飛んできます。さらにE-Mailでもお知らせできます。ダブルでできますので、漏れなくできます。
こちらが販売管理システム。PCAとの連携です。1日3回、データを同期しています。さらに、データを送った明細だけじゃなくて、それを商品群ごとに、今期と前期の実績金額を計算し、前年比を計算しています。画面の上部が今期で、真ん中が前期、下が前年比です。
このように、当初はSFAを諦めて導入したkintoneなんですが、必要に迫られ、徐々にアプリを追加した結果、結果的にSFAの機能を順次追加できて、弊社独自のSFAが完成したという感じです。このように、時間とスキルに応じて順次アプリを追加でき、また、環境の変化に応じて簡単に修正できる。それがkintoneのいいところじゃないかと思っています。
ここでkintone導入効果です。2011年12月にkintoneを導入する前は、正直業績も伸び悩んでいまして、赤字になりかけたこともありました。しかし、導入した後は、おかげさまで右肩上がりで順調に推移しています。導入前と比べまして、売上で170パーセント、利益で380パーセント。
しかし、kintoneを導入して一番良かったことは、業績面だけじゃなくて、実は「業務改善をする習慣がついた」ことではないかと思います。その結果が業績につながっています。kintoneは、思いついたときに自由にアプリが簡単にでき、また修正も簡単にできる。その結果、「ちょっとこれやってみよう」とか「ちょっとあれやってみよう」とか、「ちょっとここ直してみよう」と考える習慣がついてきました。
それがkintoneを導入して、一番良かったことかなと思っています。
弊社は社員とも仲が良くて、けっこう飲み会も多い会社です。
非常にアットホームな雰囲気なんですが、実はちょっとブラックなところがありました。今年の4月からは、タイムカードアプリと有給休暇申請アプリを新たに作成しまして、今現在、働き方改革にもチャレンジしています。以上となります。
ご清聴ありがとうございました。
(会場拍手)
サイボウズ株式会社
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