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グラウド株式会社 星野真己 氏(全1記事)

2019.05.31

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作業的総務から“戦略的”総務に大胆シフト kintoneで「脱属人化計画」に成功したエピソード

提供:サイボウズ株式会社

2019年4月18日、kintone公式ユーザーズイベント「kintone hive fukuoka vol.4」が開催されました。kintone hiveは、日々の業務でkintoneを活用しているユーザーが一堂に会し、業務改善プロジェクトの成功の秘訣を共有するリアルイベントです。本記事では、福岡県のグラウド株式会社の星野真己氏が登壇。「『餅は餅屋』のすゝめ」をテーマとし、kintoneで成し遂げた脱属人化計画を語ります。

グラウド株式会社、「『餅は餅屋』のすゝめ」

星野真己氏:初めまして、グラウド株式会社の星野と申します。今日はkintoneの導入の背景から、これからの課題と対策までをお話しできればと思います。タイトルは「『餅は餅屋』のすゝめ」です。自社が得意なことは、自社がやる。不得意な分野はプロに任せる、という意味です。

さまざまな業務はありますが、作業的な部分で弊社が不得意な部分はプロの方のご意見を聞いたり、お力を借りながら業務改善をしていきたい思いがありまして、こちらのタイトルになりました。

kintone導入の背景なんですが……2015年に業界の大きな煽りを受けました。グラウド株式会社は九州が拠点だったんですが、東北で30名ほど拡大しました。30名ほど拡大をしたのはよかったんですが、合計の人数が60~70名になりました。その30名とは会ったことも、喋ったことも、面接をしたことも正直ありませんでした。

その中で、どういうふうに彼らを管理していく必要があるのかが大きな課題になりました。そこで、見えない社員を管理するために出会った必要なツールが、今回のkintoneということになります。ここから劇的に業務改善が始まっていきます。本当に東北が拡大した時は、1年くらい赤字が続いておりました。

どうしても、見えない中でのスタッフ管理がうまくいかないことが続きました。なぜ、そこでそれだけのお金がかかっているのか。人がいないのか。どうやったら人を増やせるのか。こういったところが大きな課題でした。そこからお話をさせていただきたいと思います。

「その作業、量が5倍になってもできますか」

プロフィールですが、星野真己と申します。福岡県の朝倉市出身です。クラウドサービスがとにかく好きで、Word、Excelを使うことがほとんどなく、Googleドキュメントやスプレッドシートを活用しています。一番社内で浸透しているであろうと思われるのがkintoneです。

会社説明をさせていただきます。グラウド株式会社は、情報通信サービス事業を中心として、営業戦略支援を行い、共に事業を解決することに特化した営業受託会社です。メインの取引先様に関しましては、NTT西日本さん、東日本さん、ドコモさんです。

他にもたくさんのドコモショップさん、商社さんと取引をさせていただいています。現在の事業エリアは、九州、関西、関東、東北で、昨日時点で129名くらいにはなっていると思います。

ここでみなさんに1つ質問させていただきます。「その作業、量が5倍になってもできますか」と。たぶん聞いている社員からは「星野さん、またそれですか」と言われると思います(笑)。ですが、これが重要な改善ポイントだと正直思っています。「今、10名だからやってます」という作業も、弊社の中にはたくさんあるんですね。

10名だからやれていることを50名・100名になっても続けられるかが、業務改善の大きなポイントだと思っています。グラウドが当時抱えていた課題ですが、30名増えたにもかかわらず、管理職は3名しかいませんでした。

30名を3名で管理していく上で、管理の方法がわからない。管理をしているのかもわからない。管理はしていたみたいなんですが、管理の仕方にすごく時間がかかってしまって、管理職が管理職の仕事をできない。事務処理に追われて、管理機能が完全に麻痺しておりました。

スタッフをケアできないために始まったスタッフ離れ。スタッフ離れからの人手不足。人手不足からの時間外労働の増。そこから、「私たち、なんのために働いてるんですか?」「グラウドってどの方向へ向かっていってるんですか?」というようなスタッフからの不満が、たくさん挙がってまいりました。

kintoneアソシエイトは「餅屋」

業務改善が急務であるというところで出てきたのがこちらです。ドン。

「餅屋」の登場です。kintoneの認定アソシエイトさんが、弊社のすごく大事なパートナーさんです。今日も応援に来ていただいています。スライドのロゴにあるように、後ほども登場するSACCSYさんといいまして、当時ご紹介いただいた時はまだ個人でやられていました。

資格があるとか、そういうことじゃなく、たぶん趣味でkintoneが好きだったんじゃないかなという方でした。社労士事務所にお勤めだったので、そこからご紹介いただいて、最初のアプリを導入することになります。

私どもはkintoneをはじめ、kintoneアソシエイトさんも餅屋と定義付けております。最初に説明するアプリですが……先ほど30名いるとお伝えしたんですが、30名が1名ずつ違うところに出勤してました。

弊社はいわゆる人材派遣のようなかたちで、従業員を自宅からお店まで直行直帰で出すという仕事をしております。今も30名以上おりますが、当時は30名が30店舗、違うお店に直行直帰で出勤していました。

そこで勤務が終わった報告をする時にメールをするんです。メールをベタ打ちで送ります。管理者が3名いますが、30名分、30店舗分を3名の管理職が拾って、たぶんExcelに移します。そのExcelも、3人がそれぞれExcelを、たぶん3ブック作っていたんだと思います。その3ブックを使って、それをまたたぶん誰かが集計して……ということを続けていたみたいです。

管理職が管理職の仕事をしていなかった

これが本当に、赤字の原因の1つだったと思うんですが、管理職が管理職の仕事をしていなかったんですね。私どもとしましては、「管理職には高い給料を払っているじゃないですか」と思いました。それにもかかわらず、そういう事務的な作業をやっているのは、「時間とお金がもったいないな」とすごくショックを受けて、そこで導入したのがこちらのアプリです。

お店での勤務が終わったあとに、kintoneのアプリを開いてもらって、ここにスタッフが自分の名前、店舗名を入れていきます。

ただ、ここに関しては他のアプリと連携しまして、ルックアップで入力規則をつけます。例えば、入力を個人ごとにすると、名前に変な半角・全角スペースを入れたり、名字だけにするスタッフがどうしてもいるので、そこをきれいにデータ化できるようにしました。

お店の名前に関しても、弊社の中では氏名一覧、部門一覧、営業所一覧という、もともとのデータベースのアプリを作っています。そこから必ず呼び出すことにしました。赤い米印が付いてる項目は、必須項目になっておりますので、入力は避けられないところです。

アプリとの連携で、きれいなデータ作成を実現しました。スタッフは数値を入力するだけです。これでCSVで書き出す必要もないですね。個人別、月刊獲得数をグラフ集計して……スライド下の黒いところは実際の名前とお店が入ってます。

スライド左は「ドコモ光獲得」の当月実績です。当月実績をグラフ化して、「例えば誰が一番取っているな」「この人はこの実績がすごく強いな」というところを可視化しました。

仕組化による「脱属人化計画」

可視化することで、従業員の脳みそに、目で直接伝えることができるようになりまして、成果の向上が見られました。これが導入の効果、その1です。管理職の3名の稼働がかかっていたものを、事務員1名とアソシエイト1名の稼働で賄うことができまして、作業人員の大幅な削減ができるようになりました。

時間もそうですけど、人件費の部分に関してもかなり削減の効果が出ております。日々リアルタイムでの実績が確認できましたので、成果・向上がかなり大きく出ております。

というのも、従業員、外部の委託先のスタッフさんも含めると、当時30名だったのが、今は60名に増えて、お店は15店舗増の45店舗です。売上にも非常に貢献しているという実績が出ております。

もう1つの導入効果です。仕組化を非常に重要視しておりまして、仕組化によって、量が倍になっても、作業者が変わっても、同じ工程でできる仕事を増やすところを意識して改善しているところです。

当時は管理職3名だったんですが、仕組化による「脱属人化計画」ができました。かっこよく言わせていただいていますが、事務員1名とアソシエイトさん1名、計2名が稼働しています。アソシエイトさんはフル稼働ではないとは思いますが……。

正直、事務員さん1名と、kintoneのアソシエイトさん1名を足しても、管理職1名の給料にはならないです。というところで、同じ工程でできる仕事を増やしました。

「神アプリ」で大幅な効率化

こちらが導入例その2です。報告書アプリといいまして、その月の頭に必ず発生する作業です。これが大変な作業で、管理職と事務員が一緒になって4~5日かかってやっていたと思います。

Wordのテキストに表を挿入して、そこに日数を全部手打ちで入れていくんですよ。クライアントが大手さんなので、「必ず紙で郵送して請求書と一緒に合わせて出してください」という内容になっていました。それを出すのが本当に大変でした。毎日、勤務シフトなどを見ながら作成するんですが、さきほど言っていた「やってられない仕事」が、これに該当すると思います。

本当にもう、嫌になるんじゃないか、ノイローゼになりそうな仕事だったんじゃないかなと思います。こちらのアプリを導入して、うちでは「神アプリ」と言われるようになりました。「kintone hiveに出るんだったら絶対に言ってきてください」と言われたくらい、強い効果を発揮しています。

3~4日かかっていただろうという仕事が、正直1日……いやいや、1時間くらいで終わっています。昔は30名・30店舗。今は40店舗なんですが、実際のところ、60人いるので、60枚作らないといけないんですよ。

昔は勤務シフト・勤務表と照らし合わせながら、スタッフの勤務日と休日を選んでいたんですが、アプリ化したことによって、勤務日・休日を勝手に拾ってくれるようになりました。

最初に合計勤務時間の算出を自動でしますので、時間数は自動計算になります。これを、なんとアソシエイトさん、印刷機能を付けてくれました。すいません、お店の名前がスライドに出ていますけど、たぶん大丈夫だと思います(笑)。許可は取っていないですけど。

(会場笑)

携帯を買いに行く時は、このお店に行ってください。遠いですけど(笑)。なので、勤務完了報告書を必ず出さなければいけないんですけど、たぶんWordなどに詳しい方はわかると思いますが、白紙のWordに一から表を挿入して勤務完了報告書の資料を作るのは、すごく面倒くさいと思います。Wordでこれを全部作っていました。

これに、アプリから自動印刷機能を付けることで、「印刷もあっという間!」という導入例があります。

「戦略的総務」へのシフトに成功

導入効果その2です。導入前から導入後……2016年に導入いたしましたので、2年、3年くらい経ちます。導入前は総務・事務が3名おりましたが、いったん今は1名まで減らすことができました。

最近増員はしたんですが、今までのルーティン作業であれば、3名の仕事が1名でできるようになりました。これは紛れもない事実としてあります。残業ももルーティンだけであれば、現在はほぼありません。

作業的総務から、「戦略的総務」にシフトしたかった。それに、必ずkintoneの仕組み化が一役買っていたと思っております。「これもアプリ化したらいいんじゃない?」みたいな声が、総務の3名から挙がるようになりました。一般事務員だった人たちが、自発的に業務改善を意識できるようになりました。今では何名か(アプリを)作れるスタッフが増えております。

ただ、2人が減って404時間削減としたので、「総務部から抜けた残りの2人はどこ行った?」となると思います。NさんとUさんの2人は営業部へ異動しました。Nさんは去年、大阪に転勤して、管理職に昇進しております。今も業務改善にはすごくアンテナを立てて働いてくれています。

もう1人のUさんなんですが、東京事務所を2月に新設しましたので、そちらの立ち上げメンバーとして選出されました。新規案件の即戦力、ユーティリティプレーヤーとして、事務・営業もできますし、業務改善もすごく気にしてくれて、がんばっています。営業部の売り上げに貢献しています。

kintoneのおかげで生まれた数々の成果

業務改善の効果を総合的に見て、管理職の稼働時間を確保することが急務だったので、そこはkintoneを導入してすごく充実したスタッフケアができるようになった。働き方が見直せるようになった。適材適所で成果が向上した、というようなかたちで結果が出ました。

スタッフケアをきちんとやれば、雇用の安定、離職率の低下にも貢献できますし、働き方を見直すことで……例えば総務部門などは主婦が多いんですよね。なので、お迎えがあって、必ずこの時間に帰らなきゃいけないとか、急に休むことが絶対にあります。子どものインフルエンザで4日休むこともある。

そんなことが続く中で、誰でもわかる仕組み化によって、誰でもできる仕事を増やしたことで、短時間正社員の雇用促進、有給の計画的消化ができるようになりました。どこの会社さんも今、「どうしよう」となっていると思うんですけど、kintone導入で課題を計画的に改善できる体制になりました。

具体的なビジョン設計の実現は、人と、見える化によって可視化された業務を測ることで、「ここってこういうふうにしたほうがいいよね」「ここはこうすれば、自分もキャリアアップできるんじゃないか」と考える社員を増やすことにつながっています。。

これらが、東北エリアがすごく率先してkintoneを使っている理由だと思います。自分たちで「この報告書はkintoneにすればいいよね」ということを、すごく実践してくれているのが最近よくわかります。恐らく、それもあり、人が増えたんだろうなと思います。

九州はそんなに人が増えなかったんですけど、東北はすごく人が増えました。そういった社員が増えているところが、大きな変化じゃないかなと思っています。

業務改善をクラウドでやる意味

kintoneの認定アソシエイトさんのSACCSY様なんですが、ここから投げ込んでいただいたアプリは50アプリを超えていると思います。業務改善課題が50個以上あったんだろうということがわかります。

そこから業務改善をずっと続けていくことによって、社員数も増えましたし、自発的・能動的・主体的な社員がかなり増えたんじゃないかなと思っています。

個人がkintoneを使って、さらなるその効率化・能率化の部分を意識していくことによって、「こういうふうにすれば、もっと作業スピードが上がるんじゃないか」「売り上げに貢献できるんじゃないか」「管離職の稼働を確保することができるんじゃないか」ということを考え始めて、そこで社員が初めて育つ。なので、社員が育ったから業務改善がルーティン化したんです。

ルーティン化した業務改善で、業務の生産性向上と、社員の育成と、企業の成長が見えてきたなと思っています。これがkintoneの導入効果で一番大きなものだったかなと思います。「クラウドのサービスの利活用=業務改善」であるとわかりました。

これはkintoneに限った話ではなく、正直Googleやクラウドサイン、freeeなど、いろいろあると思います。遠隔地で仕事をしている私たちにとっては、本当になくてはならない存在です。もうkintoneやGoogleが潰れたらどうしようと思う人がいるかもしれないんですけど、その時は世界が終わるから、もういいかなと思っています(笑)。

(会場笑)

最初の質問の答えが、「今しかやれないことは、もうやめましょう」ということでした。今からできる業務改善を、クラウドでやりましょう。弊社の場合は、kintoneの効果が表れております。

これからの課題ですが、みなさんがおっしゃるように、スタッフへの浸透がなかなかできないんですよね。

「嫌だ、もうやりたくない」「Excelのほうが速いやん」というスタッフがすごく多いんですけど、今回資料をまとめていて気付いたのは、こういう「発表会」を社員に向けて実施すればよかったんだなと思っています。

そこからいろいろkintoneを使って、「こういうことをしたら業務改善できたよ」「こういうことで人員削減できたよ」ということを、実績としてみんなに伝えていく。

それを自分のものにしてくれる社員がどれだけ増えるかをこれからの課題として、グラウド株式会社は取り組みを続けてまいりたいと思っております。以上です、ご清聴ありがとうございました。

(会場拍手)

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