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スタートアップがいかに社外リソースを使い成長するか(全1記事)

2019.05.17

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足りないリソースは外部を使い倒すべき スタートアップが事業をスケールさせる極意

提供:株式会社OKPR

2019年3月20日、TRUNK HOTELにて、「Microsoft Meets Startup vol.1」が開催されました。本イベントは、「ビジネスを共に創る」をコンセプトにしたMicrosoftのスタートアップ向けグローバルプログラム「Microsoft For Startups」のスタートから1年が経過したことを記念するもの。今回は、「スタートアップがいかに社外リソースを使い成長するか」と題して、さまざまな分野で活躍するスタートアップの方々が飲み交わしながらざっくばらんに語り合いました。

スタートアップが社外リソースを使って成長するには

早川晋平氏(以下、早川):本日はよろしくお願いします。株式会社Hubbleの早川と申します。先ほど、MicrosoftがGitHubを買収したというのがありましたけど、私たちは契約書のGitHubを作っています。会社のフェーズは、シリーズAの調達を5月末目標で進めている状態です。リリースしたのが2017年10月で半年前なのですが、やっと今年に入って大きく成長してきたというフェーズになります。

本日は社外リソースを使い倒すということで、かなり僕たちも使い倒しているので、それを発信していけたらなと思っております。本日はよろしくお願いします。

(会場拍手)

堀口純一氏(以下、堀口):続きまして、ZEROBILLBANKの堀口と申します。今日はよろしくお願いします。会場のみなさんがだいたいどんな感じの参加者か聞きたいんですけど、スタートアップをやっている方って、どれくらいいらっしゃいますでしょうか?

(会場挙手)

半分くらいですかね。じゃあ、新規事業やっているような方たち、イノベーションをやっている方はどうですかね? 

(会場挙手)

ありがとうございます。なんとなく今日の属性がわかりましたので、そのへんに合わせたトークをやらせていただきたいなと思いますので、よろしくお願いします。

僕自身、前職で日本IBMの経験があって、大企業側の論理と、そのあとシンガポールのIBMに3年間いまして、海外での生活(を経験してきました)。

それから、イスラエルでの起業を経験しておりますので、Startupの立場からイノベーションをどうやって起こすかという3つのバックグラウンドで、外のリソースをどう使って自分たちの成長につなげるかという、けっこうリアルな話ができるかなと思います。どちらかと言うと、今日はそのあたりのお話をシェアできればなと思いますので、よろしくお願いします。

(会場拍手)

自社で賄えない部分をどう調達していくか

園生智弘氏(以下、園生):みなさん、こんにちは。TXP Medicalの園生と言います。私は、救急集中治療医をやりながら、救急医療のデータベースシステムの開発などをやっています。「救急医療って医療のほんの一部でしょう」と思われちゃうこともあるんですが、実は患者さんが医療機関に最初に来る時って、救急で来るか紹介で来るかしかないです。

なので、救急のところを押さえることはかなりキーで、我々はそこを事業として進めておりますので、そのへんのお話ができればなと思います。

外部リソースという意味では、実はうちはVCもアクセラレータープログラムも入っていないんですね。ただ一方で、個人の医者ができることは非常に限られていますので、いろいろな自社で足りないリソースをどうやって調達して、どうやってスピーディーに展開していくか。そのあたりをお話しできればと思います。よろしくお願いします。

(会場拍手)

梅田琢也氏(以下、梅田):Sun Asteriskの梅田と申します。よろしくお願いします。僕の会社は、社会課題を解決するクリエイティブスタジオという感じで、この間社名を変更して、ブランドのチェンジなどをやっていたんですけれども、どちらかというと外部リソース側の会社です。

約1,000人くらいのエンジニアを抱えていたり、デザイナーだったり、いろんなプロフェッショナルな人材がいます。みんなで課題解決をして去っていく、アベンジャーズとかワンピースのような組織を目指しているので、おもしろいスタートアップの方たちといろんな話ができればいいなと思っています。よろしくお願いします。

(会場拍手)

スタートアップをやっていく上での課題

梅田:まず最初の話題なんですけど、スタートアップをやっていく上での営業の課題。先ほど村上臣さんが、非常に抽象度の高いおもしろい話をされていたので、すごく抽象度の低いリアルな話ができると、みなさんの日々のアクションだったり、困った時に「あいつ、あんなこと言ってたな」と、なんとなく心の支えになるとか。そういう話ができればいいと思うのですけど、どうでしょうか。

堀口:ありがとうございます。そうですね。リアルな課題でいうと、今、弊社ではブロックチェーンとスマートコントラクトを、エンタープライズに向けてSaaSを提供しているのですけれども、実は人材はそんなに課題じゃないんですよね。

いま何が課題かをあえて言うと、2つありまして、1つはシンプルに、お客さまが大企業なので、時間軸の捉え方がぜんぜん違う。例えば我々スタートアップの観点からすると、それぞれのステージで異なりますが月何百万か何千万か程度の差はあれ、限られたリソースでバーンレートをあげながら新しいものを作っている。

それで、やっぱり1分1秒でも早く、いいものをお客さまと一緒に作りたいというものに対して、日本の大企業さんって、まあゆっくり進んでいると。年度予算があって、稟議プロセスがあって、取締役会で却下されて。「なんで大企業さんじゃなくて、スタートアップのZEROBILLを入れたの?」みたいな。

このへんの時間の認識が、やっぱり大きく違う。ただ、うまくいく時には、大企業さん側にそういうスタートアップのことをわかっていただける方がいらっしゃる。これだけでぜんぜん違って。

我々としては今、ZEROBILLのファンクラブを、まさに本日ここに集まっていただいているようなコミュニティの場を作って(人を)集めて、よりうまく自分たちの事業を加速できるような環境を作りたいなというのがあるのですが、いかんせん予算がつかないと動けない。この大企業の壁をどう低くできるかなというのが、1つの課題ですね。

梅田:堀口さんの先ほどの自己紹介の最後かな。イスラエルとIBMという、大企業を扱うのがすごく上手そうだと勝手に感じているんですけど。やっぱりそこは強みでありつつ、すごい課題感があるように感じると。

危機感やスピード感のなさは日本全体の課題

堀口:そうですね。課題を楽しんじゃうタイプなので、あんまり課題には思わないんですけど、「日本企業全体として、そのスピード感でいいの?」というのが大きな課題ですよね。さっき村上さんの資料にもありましたけど、ニューヨークの大通りの景色が13年で馬車から車に変わった。

みなさん、日本で何が起きるかというと、これから5Gですよ。5Gになった瞬間に、データベースの構造も大きく変わっていくはずで、もしかしたらスマホはなくなっちゃうかもしれませんよね。たぶん近い将来、ドラゴンボールのスカウターみたいなものが登場して、カチャッという感じで指示ができる、意思が伝えられる。相手のスコアや表情もわかる。

こういう世の中がくるはずなんですけど、誰もそういうことは、特に大企業の方はわかりづらいんです。こういうのが日本だとなかなか伝わらないというのは思っています。僕はイスラエルに2年間住んでいたんですけど、実はこんな攻殻機動隊に出てきているようなことばっかりやっていたりします。

脳に電磁波をあてて、「あなたの第一印象を変えます」というようなことも普通に起こっていて。こういう環境にいないと、やっぱり危機感みたいなものが醸成されないと思う一方、僕自身もそのような危機感をうまく伝えきれていないことがきっと課題だろうし、日本全体の課題じゃないかなと思っています。

梅田:僕もブロックチェーンが大好きすぎてつらい系なんですけど。弊社では昨日ブロックチェーンのゲームを出したりとか、いろいろやりながら。

ブロックチェーンが好きな大企業の新規事業、もしくはそれを導入する担当の人って、いわゆる稟議プロセスとかもあるけど、その領域において進んでいる最先端のトップ1パーセント人員みたいな感じなんですよ。

それでもやっぱり、そのスピード感って(遅いなということを)……彼らに感じるのか、もしくは、その奥にある意思決定機関みたいなものに感じるのか。

堀口:そう、どちらかというとそこかもしれないです。会社の中における、意思決定プロセスの日本人の勇気のなさ。みんなで渡れば怖くないんだけど、1人じゃ渡らないという。ここがなんとなくちょっと、日本はまだまだこれからだなと思うんですよね。

梅田:ブロックチェーンが世界を、日本を変えるみたいな。

堀口:まずは日本から変えていきましょう!

医療ベンチャーの前に立ちふさがる、大病院の壁

園生:ありがとうございます。うちは大病院を対象に事業をやっているのですが、まず医者という生き物が若干面倒くさいんですよね。

医者って給与所得高いけど、例えばこういう場所もそうですけど、こういうキラキラした場所って怪しいと思ってるんですよ。僕らが仕事をしている場所って、下に手袋が落ちていて、場合によっては注射針やマスクも落ちているんですよ。

だから、(今日の会場みたいに)きれいなところだったら「怪しいんじゃないか」とか「変な仕事して荒稼ぎしてるんじゃないか」とか言われるわけですよ。だから、過度なキラキラというのは非常に逆効果なんですね。

一方で、お医者さんに対してはロジカルに話をすると、けっこう通じるんですよ。ただ、でかい病院ってもう1つ大きな壁があって、情報部門の人たちがいるんですね。この人たちはロジックが通じない場合があるんですね。

病院のポリシーにクラウドにものを上げちゃいけないと書いてあったら、ガイドラインがあるって言っても無視されちゃうし。無視されるくらいだったらいいんですけれど、うちみたいな名前のない企業ですので、大病院にいって、クラウドの「クラ……」ぐらいまで言ったところで、「うちはクラウドはだめなので、もう来ないでください」くらいの取り扱いです。

周囲の信用を得る上でも外部リソースが役立つ

園生:僕らがそこに対してどうアプローチしているかというと、まさに外部リソースですね。Microsoftさんの力をめっちゃ借りたいんですよね。

医療情報のガイドラインでクラウドに情報を載せちゃいけないなんて、書いてないですよ。クラウドは安いし、AIもできるし、なんなら病院の情報部門って、Amazon、Microsoft、Googleと同じくらいの情報セキュリティを担保できますか? どう考えてもこっち(クラウド)に置いたほうが安全なんじゃないの? と。

ロジカルに言うと、お医者さんはわかってくれるんです。でもやっぱり、情報部門の人たちは、めっちゃ首を傾げます。ただ、この間とある地方の県に行ったわけですよ。僕がその話をしたんですよ。めっちゃ首傾げてるんですよね。

(そこで僕の次に)Microsoftの担当者に講演してもらったんですよ。世界のMicrosoftが、うちは医療上のガイドラインに従ってクラウドでお預かりしています。絶対うちのCEO自ら、「データはお預かりするけれども、手をつけない」と言ってますから、「ドヤ!」って言うわけです。

めっちゃうなずくんですよ、あの人たち。「なるほど、それ(Microsoftがそう言う)ならありかもしれない」と。Microsoftは病院のシステムに入ってるじゃない、と。ここの扱いの違いは、もうスタートアップだけではどうにもならなくて。

梅田:大企業と大企業の事業部と上層部の確執を考えてみると想像がつくかもしれません。官僚となんとか……みたいな。

園生:医者がもう一点厄介なのは、基本は理系のエリートなんですよ。だから、なんなら、情報システム屋やそこらへんのITベンダーよりもプログラムを書ける人もいるんですよ。それで、自分で研究用のシステムを平気でポンポン書いている人もいっぱいいるんですよ。

そういう人から見ると、実はIT企業は、かなり馬鹿にされている場合もあるんです。これがまた非常に難しいですよね。Microsoftを引っ張ってこないと、そういう人にもものが言えない。

病院という組織の壁を突破する方法

梅田:権威をうまく使って課題を解決するような。

園生:そうですね。スタートアップでは、作っているサービスへの思想とか、どれだけ熱い思いでやっているからこのシステムができた、入れたらこんなに変わるとか語れるのが大事だと思ってます。それを伝えれば、医者はほぼ100パーセントいけるんです。

早川:あ、医者には伝わる?

園生:医者はロジカルに考えるので、こんな熱い思いを持って「先生、こういうシステムほしいでしょう。僕もほしいから作った。いいでしょう」と言って伝わります。それを医者が情報部門に持っていくわけですよ。「あ、病院ポリシーで無理ですから」みたいな。「だいたい、こんな(聞いたことない)会社とうちの病院は取引ができないので、さようなら」という話になって。

そこに対して、現場の医者って、どうやって戦ったらいいかわからないんですよ。新しいものを取り入れたい時に、バックに大きい会社がついていればいいのか、自分が折れればいいのか、安ければいいのか。

そこに対して我々が、こういうところをよくしてあげると、病院の情報部門をクリアできるよということをアドバイスするんですね。

領域の近い大手企業と組んで、事業をスケールさせる

梅田:構造上の問題がすごくあるという感じ。たぶん本題にいかないといけないと思うんですけど、今挙げられていた課題を解決すべく、外部リソースを使う。KPIなのかオフラインなのかを伸ばすために、社外のリソースを活用するという方法はあると思うんですけれども。まずは、どういった取り組みをしているのかを聞けたらなと思います。

早川:ありがとうございます。電子契約サービスのクラウドサイン・ドキュサインってご存知ですか? 僕たちは彼らが提供する「締結」より前の、契約書のやりとりを効率化するサービスを提供しているんですよ。メールでのやりとり、やWordの送り合い、バージョン管理などです。そこを効率化し、各交渉を高速化し、かつ証拠も残していく、そのためにサービスを作っています。

なので、ある意味、そこから一歩も出ないと、今のところ宣言しております。これで何がいいかというと、クラウドサイン、海外ではドキュサインとパートナーシップを組んだサービスの連携。あとは、一緒に販売していこうと。それで、お互いに顧客紹介を行うことで、セールスリソースを賄っていこうと。

梅田:いわゆる近い領域の強いパートナーと一緒に組むことで、自分たちのサービスをスケールさせるというような。

早川:そうですね。例えば先ほどおっしゃっていたとおり、Microsoftがついているとか、僕らで言うとクラウドサインさんととても良い関係を築かせていただいております。

SaaS事業者が必ずやるべき、外部リソースの活用法

梅田:今後、いわゆる事業会社から資金調達したりした時に、最も期待される効果という感じだと思うんですけれど。

早川:リアルな話ですよね(笑)。

堀口:おもしろいですよね。雰囲気が違いますよね。

早川:はい。エキサイティングじゃないですか。そこがリアルで。SaaSの初期フェーズで大事だと思っていることは、自分たちがやる領域で圧倒的にナンバーワンになること。そこから足を出さない、極める、これが大事で、かつ、周辺にあるサービスと連携をしていくことがものすごく重要だと思っています。

困っている者同士が三社座組みをする意外なメリット

堀口:そうですね。外部リソースって、けっこう使い倒したほうがいいですよね。さっき僕が課題だと言ったのは、「大企業だとなかなか進まない」と言ったじゃないですか。実は進める方法には意外とコツがあってで、仮にお客さんが新規事業で売上が立たないとか悩んでいるとします。新規事業って、売上が立ちづらいですよね。

その時は、新規事業部門同士でつなげるんですね。お客さんに案件を紹介して、その案件を一緒にお客さん目線で作れませんかと。

ここはですね、意外と困っているもの同士が外のリソースを使い合い、「じゃあ予算はお互いに持ち合っていきませんか?」とか、「ZEROBILLさんに新たな座組みを作っていただいたいので、ZBBプラットフォームを使いましょうかね」というようになってくると、意外に進みやすいんじゃないかなと最近わかってきまして。

梅田:三社座組み。

堀口:そうです。

梅田:いわゆる業務提携の仲介的な? なにかブロックチェーンでやったり。

堀口:そうなんです。実はブロックチェーンと相性がよくて、相手のデータベースはそのままでいいんですよ。ただ、僕らがデータをちゃんと安全に流通できるという基盤を作るので、「このプラットフォームを使ったかたちでどうですか?」。というのは、実はユダヤ人の考え方で。

ユダヤ人って何がすごいかというと、自分の頭の中の情報と友達の頭の中の情報をすぐ交換するんですよ。アイデアを出し合って、話をしながら「ここをこういうふうにできますから、こんな事業もできますよ」というアプローチがすごく得意な人種で。これに、僕は学びがあって。

意外とスタートアップでも、「あっ、ZEROBILLさんの紹介だったら信頼できるね」という信頼感が伝播して、まさにブロックチェーンみたいな感じになって。そうすると、意外と早いんじゃないかなと最近気づいて。

企業規模よりもコミュニティがあることが強み

梅田:僕もけっこう海外に長く住んでいたんですけど、イスラエルとかで一般的に使われている、要は自分たちにないリソース……たぶん一番重要なのは、会社の成長とかなので。インハウスでやる中でも、KPIを伸ばすとかいうのがたぶん最も重要だと思うんですけど。

「日本ではこれは盲目的にこうなっているけど、海外だったら実はこうしてるよね」というものって、ある?

堀口:なんか変な話なんですけど、普通ユダヤ人にとって、大企業に勤めているサラリーマンって負け組なんですよ。どっちかというと起業している人たちが偉いし。そうすると、あんまり守るものがなくて、コミュニティがあって強いんじゃないかなということは思いますね。

梅田:ファミリーコネクションが強い?

堀口:そうそう、ファミリーコネクション。「友達の友達の友達は俺のもの」みたいな、このへんの感性がちょっと強いですよね。

梅田:大企業も御社のリソースを活用して、いわゆる分散型のシステムを導入して……みたいに、ちょっと試してみたり。

堀口:そう、試してみて。そうすると、僕らのZEROBILLにつながっているお客さんのリソースを自分たちで使えるというようなシーンを……なんだろうな。企業側のまとめ役みたいなポジションになりつつあって、ちょっとドキドキしていましたね。

梅田:(笑)。全員、外部リソースを使っているという。

堀口:そう。日本ってピンポイントというか、1対nはけっこう強いんですよ。だけど、n対n環境を日本のマーケットに作るって、けっこう難しくて。そんななかでも、意外とブロックチェーンって、n対nでみんなが主役になれる。これは意外といいんじゃないかなと思ったんですよね。

ブロックチェーンの活用の可能性

梅田:なんか「こういうノウハウを使いたい」みたいな、「こういう外部リソース使いたい」みたいなものはありますか?

堀口:例えば、さっきドラゴンボールのスカウターの話(5Gにより指示や意思疎通の方法やUXが変わって、スカウターのようなもので相手のスコアや表情がわかるようになる未来)をしたじゃないですか。

たぶん、ぱっと梅田さんを見ると、「ファシリテーター」とか「スタートアップの戦闘能力が高い人ですね」と(わかるようになる)。こういうものが何かというと、その人の実績などですよね。そうすると、そこの実績が(これまでは)開示がされてなくても、スカウターのようにピッとわかれば……それって、おもしろいですよね。

梅田:それはおもしろいですね。

堀口:ブロックチェーンだからできることって、そういうことかなと思うので。

梅田:ありがとうございます。

堀口:これね、みんなが(酔っていて)聞いていないから言える話。

梅田:(笑)。

堀口:けっこうおもしろい話をしてるんですけどね。ね? 

園生:ありがとうございます。ちょっとこの会場の空気はあれですけど、盛り上げていただいて、ありがとうございます(笑)。

能力が高い人ほど外部リソースをうまく使えない

園生:さっき、これから必要とされる人材の話があったじゃないですか。ハイブリッド人材。これは、医者をピックアップするとめっちゃいいと思うんですよね。

中学受験とかあるじゃないですか。あの中学受験の全国の1番〜100番がいるんですよ。全国の1番〜100番の人の中の90人弱は、国立大学の医学部に行ってるんですよ。自分自身でちょっと昔の(中学受験時代のデータ)を引っ張り出して調査すると、そうなんですよ。だから、頭脳的なポテンシャルがものすごく高い人がそういう場所にいる。

ただね、能力が高い人って、外部リソースを使えないんですよね。

例えばOCRとか音声認識という領域は、世界一良いものを自分一人で作れるわけがないじゃないですか。まぁ、なんとか動くものは作れるかもしれないけど。中途半端に作れちゃうがために、例えば、MicrosoftやGoogleがめっちゃいい汎用AIを出しても、それをググらずに自分で作るんですよ。

実際、僕の知り合いの先生で、Pythonで映像のテキスト抽出アプリを個人で作っている先生がいるんですよね。

堀口:最近、がんとか発見してますよね。

園生:がんの自動抽出のアプリも、医者個人で作っている先生を複数人知っているんですね。だから、中途半端にはできちゃうんだけど。

優秀な人なら、一人で10人分の働きはできるかもしれないけど、3桁の人の働きを代替するのは無理ですよね。「さすがにこれは勝てないですよね」というところを、自分の限界を理解してやらないといけないかなと思うんですよね。

梅田:そういうものは、オンプレで回してるんですかね? クラウドは使えないですよね。

園生:そういうものはクラウド上で作っていたりします。そこに個人を特定できる情報を載せなければいいので。

10年かかることを半年か1年で実現する方法

園生:このへんは、僕自身は周りのすごく頭がいいやつに勝てないと思ってるので、「みんなが10年でやってきたことを1年でやるには、どうしたらいいかな?」と。

例えば、クラウドワークスというサイトがあるんですけど、医者がけっこう登録してるんですね。そこを使って、うちはいろいろなAI教師データとかを作ってます。そうすると、実は僕自身でやったら10年はかかるデータセットが、半年でできちゃうと。

こういうのはものすごく強烈ですよ。なにかドクターがすごいおもしろそうなネタを持っていて、うちの会社がMicrosoftのAPIとFileMakerで1ヶ月で実装して、ちょっと商品を整えてぶち込むわけですよ。「やべえ」みたいな。「この会社、天才か?」って話になるんですよね。

そういうかたちで複数の力を結集して、自分の見せ方を考えている。……というところが、たぶん個別単位としてはすごく優秀なお医者さんたちに、今足りないものなんじゃないかなと思うんですね。

意思決定層が世代交代すると、医療の世界は激変する

梅田:医者や医学自体はもう人類の知の集大成じゃないですか。でも、それを個人の頭の中にインストールするという観点から言うと、その人が全部覚えなきゃいけないというものを、いわゆるインターネットやテクノロジーのレイヤーでは、誰でもボタンを押せば、経験や知識を積まなくても同じアウトプットが出る。そういう乖離がある、という理解でいいですか?

園生:32歳より若い先生たちは、みんなすごく知識シェアします。自分で作ったスライドでいいものができたら、ネットに置こう。みんなで見てもらう。実はそれ以上の(年齢の)先生方は、けっこう嫌がるんです。

「俺が10年もかけて作ってきたものを見せるかよ」「じゃあ先生、会社を作って売ればいいじゃないですか?」と言ったら、「いや、そういうのはちょっとよくわからないから、それはできないけど。とりあえずシェアはしない」。

そう言っているうちに、若いやつがスクラム組んで作った、よっぽどいいものがネットに上がっちゃうんですね。

こういうところに気づいていかないと、たぶんこれからの医療界は変わらないかなと思うんだけど。35歳未満のお医者さんはITリテラシー高いので、僕が医療AIの話をしても、別にあんまり変なことを言われないんですよ。

だから、たぶん10〜15年してそこが意思決定層になると、医療ベンチャーの立ち振る舞いとか、これからの世界ってすごく変わると思うし。様変わりして、本当に医療AIの世界はすぐかなとは思っています。

梅田:いわゆる医者の先生たちはあんまり外部の人と関わらないので、それは理解した上で(外部リソースを)使うという話だと思うんですけど。VCからもお金を入れていないし、アクセラレーターとかも使っていない。

ということは、いわゆる資金的なリソースを外部から入れていないということだと思うんですけど、ほかの外部のリソースを使って事業成長にコミットしている部分って、なにかあったりするんですか?

医師が起業するメリットとデメリット

園生:そうですね。「どのぐらいお金がかかるかな ? 」というところは、最初にきちんと試算していて。言うても個人資金がそこそこあって、それを3分割して起業するのが一番成功率が高いというような話がありますよね。うちの会社もそんな感じです。

お医者さんの場合は、仲の良いビジョンが合う先生たちと自己資金で始める。それでとりあえず回る。その場合別に外部資金を調達する必要はあんまりないです。

とはいえ、大変ですよ(笑)。もう奥さんが「なんでお医者さんなのに会社をやらなきゃいけないの? しかも、ぜんぜんいい生活ができないじゃん。社長になったのに」ということを日々言われています。

梅田:たぶん時間がもうあんまりない感じですけど、山口に行ったという話などもあるので、そのへんの話はまた個別で、もし興味ある方がいれば聞いてください。

園生:一応、個別にお話しできる方がいれば、ぜひよろしくお願いします。

梅田・堀口・早川:ありがとうございました。

(会場拍手)

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