2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
ミニセミナー(2)LGBTツーリズムについて(全1記事)
提供:東京都産業労働局
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小泉伸太郎氏(以下、小泉):みなさま、こんにちは。私は株式会社アウト・ジャパン代表取締役の小泉と申します。本日は、数あるセミナーの中からこちらの「LGBTツーリズムについて」をお選びいただきまして、ありがとうございます。
そして、後ろでお立ちになっている方々がいらっしゃいますので、本当に心苦しいのですが……今日は40分お話しさせていただきますが、立っていることも忘れるぐらい楽しいセミナーにさせていただけると思いますので、よろしくお願いいたします。
さて、1つ質問でございます。みなさまの中に、LGBTのセミナーをお受けになった方はいらっしゃいますか?
(会場挙手)
小泉:多いですね、ありがとうございます。それでは、「LGBT」という言葉を聞いたことがある方はいらっしゃいますか?
(会場挙手)
小泉:すごく多いですね、うれしいです。北から南までけっこう講演させていただいているのですが、なかなか地方に行くと、どうしてもまだ(「LGBT」という)名前も知らない方々も多いので、みなさまにLGBTを知っていただけているだけでも心強いです。がんばっていきますので、よろしくお願いいたします。
それでは、まず私の自己紹介をさせてください。私は、株式会社アウト・ジャパンならびにSKトラベルコンサルティング株式会社という2つの会社を経営しています、小泉と申します。私はもともとホテルマンでした。ホテルで13年間働いていまして、ベルボーイから宿泊予約、そして海外営業をやっていました。
その頃からインバウンド……海外から日本にお客さまを呼んでくる仕事をやっていました。その後にスキー場の開発を経営している会社(での勤務)や、あとは私自身も旅行会社等を立ち上げてやってまいりました。
本日の「LGBTツーリズムについて」のセミナーに関しましては、こちらの2つの会社にも触れながらお話しいたします。まずアウト・ジャパンは、LGBTのコンサルティングをやっている会社でございます。「LGBTフレンドリーになりたい」という企業の方々に対して、コンサルティングを行っている会社です。
もう1つのSKトラベルコンサルティングに関しましては、「Out Asia Travel」というLGBT専門のランドオペレータをやっています。海外のLGBTの方々が日本に来たときに、私どもがアレンジメントをしています。この2つの会社の私見ならびに実績を踏まえながら、お話をさせていただければと思います。
今日の題目は、このようになっています。すでにLGBTをご存じの方が多いということで、「LGBTとは」に関しましては、少しお早めにご説明させていただきます。
LGBTには、4つがございます。まず「L」がレズビアン。こちらは、女性を好きになる女性の方。次に、「G」はゲイです。こちらは、男性を好きになる男性の方。そして、「B」はバイセクシュアル。こちらは、男性も女性も好きになる方。最後に、「T」はトランスジェンダー。自認する性別と戸籍上の性別が一致しない方でいらっしゃいます。
この「LGBT」は頭字語なんですけど、性的マイノリティの総称の1つとして言われています。そして、今の人口に関しましては、7.6パーセントから8パーセントぐらいと言われています。何度も手を挙げさせてしまって申し訳ないのですが、みなさまの中に、AB型の方はいらっしゃいますか?
(会場挙手)
小泉:ありがとうございます。それでは、左利きの方はいらっしゃいますか?
(会場挙手)
小泉:ありがとうございます。この7.6パーセントから8パーセントという数字は、AB型もしくは左利きの方と同じ数字と言われています。ですので、みなさまのかなり身近にいらっしゃる存在ということで、認識していただければと思います。
性を考える切り口に関しましては、4つございます。まず1つ目は、「性別」です。生殖機能や染色体の部分。そして(2つ目の)「性的指向」は、どの性別を好きになるかということです。3つ目が、「性の自認」です。自分自身の性別を、どう考えて認識しているか。最後に、「性の表現」です。「こういう服装」や「こういう髪型」であったりとか。例えば、私が男性であっても、女性の髪型や恰好をしていることもあります。そういう4つの切り口がございます。
みなさまがLGBTのことを存じ上げていることを踏まえながら、簡単にご説明させていただきました。
それでは、本題に入ります。「LGBTツーリズム」でございます。こちらは何でしょうか? こちらは、LGBTの旅行者をマーケティングの対象にした、観光施策でございます。実際に、このLGBTの方々がそこに行って楽しんでいただけるか、(観光地自体に)魅力的な旅行先になっていただけるかの認知を広げていき、そういう方々にどんどんその場所に来ていただくことをやっている施策でございます。
ですが、みなさまのようにLGBTのことを理解していただいて、そして「迎えたい」という一人ひとりの気持ちは確かに大事だと思うんですけど、それでは「点」でしかないので。それを自治体とか、こちらの(スライドにある)場所ですと、東京都です。そういうところが主導のもと、受け入れの地域や施設等でこのような研修を行っていただきまして、LGBTのお客さまが気持ちよく楽しめる環境を整えていくことが、必要になっています。
先ほどから「LGBTツーリズム」とか「LGBTの方」と申し上げていますが、じゃあ、LGBTのお客さまはどんな方々なのか? こちらの「Out Asia Travel」のお客さまを例にとりつつ、統計資料も入れながらご説明させていただきます。
まず、「LGBTフレンドリー」という言葉がございます。こういうことを表明することによって、この評判が旅行商材やサービスの購入に影響してまいります。その他、過去に訪れたところに再訪するリピーターになるという傾向がございます。
ですので、東京都としましては、まず東京都が「LGBTフレンドリーですよ」と申し上げることによって、その方々がいらっしゃる。そして、その方々が「すごくいいね」ということで再訪(されたり)、もしくはお友達等にお伝えされたりして、その方々がどんどんいらっしゃるということです。
統計資料にはこう(「『LGBTフレンドリー』という評判が、旅行商材やサービスの購入に影響する」などと)出ていますが、本当にそうなのでしょうか? 私どものお客さまをご案内しながら、ご説明させていただきたいと思います。
まず、Lです。レズビアンの方。実は新宿2丁目というゲイの(方々がいらっしゃる)エリアがございます。そちらにはレズビアンバー・ゲイバーや、女装している方がショーをする、そういうバーが集まっている場所があるんですけど。(スライドを指して)こちらのお客さまは、実はアメリカから来たお客さまです。
(写真に写っている)真ん中の女性は日本人なんですが、こちらはレズビアンバーのオーナーの方です。右側の黒人の女性と左側のフィリピン人の女性は、お二方ともアメリカのロサンゼルスに住んでいます。この方々が、私どもに依頼してまいりました。
最終的には、「15名ほどで、家族も連れてみんなで遊びに行く」という旅行でした。実は私どもは、お客さまのマーケティングやウェルカム(の意図)も含めて、必ずお客さまとお食事をしているんです。「このお二方はどんな方々なのかな?」と思って、いろいろなお話を聞いてみたところ、実は結婚しているそうです。
アメリカは、同性婚が認められているので。「どんな結婚式なんですか?」と聞いてみたら、この2人は結婚式に5億円をかけたそうです。「どうすれば5億円もかけられるのか?」とよくよく聞いてみたんですけど、実はこの方々、教会を買ったらしいんです。教会を買って全部改装して、自分たちの結婚式に使ったらしいです。
それは、別にお金を持っているからそういうことをしたかったわけではなく、自分たちが住んでいた教会に少しガタがきてしまったということで、それを保全したかった。自分たちの結婚式もしたいから、「じゃあどうせなら、そこで結婚式をしよう」という話になって、お金をかなり使ったらしいです。
ですが、(さらに)よく聞いてみると、右側の黒人の女性は、アメリカで100校以上の学校を経営されている方。左側のフィリピン人の女性は、移民であるにも関わらずがんばって勉強をして、歯医者さんをされているそうです。ですので、お二方ともお子さんはいない。かなり稼いでるということで、女性版のダブルインカムですよね。ということで、かなりのお金を使って、盛大に(結婚式を)やった。
でも、やはりこれだけ有名な方々なので、結婚式を3回しちゃったそうです。なので、「ちょうどよかったですね」と言っていました。教会も3回使えたし、その後は一般の方々に教会を開放されて、今でもみなさまにお使いいただけるということでした。
次に、Gのゲイのカップルです。(写真を指して)この白髪の紳士の方々です。実は、左側の方から私どもに連絡がきて、まず一番初めに言われたことが……実名を出してしまって申し訳ないんですが、「帝国ホテルに泊まりたい」。そう言われたので、「そうですか、わかりました」と手配してみました。
そして、東京・京都・大阪など(日本国内の)全部に行かれた後にお食事をして、「なぜ、帝国ホテルがよかったんですか?」と聞いたら、「実は、昔泊まったんだよ」と言われたんです。「そうですか、いつ泊まったんですか?」と言ったら、終戦後ぐらいだったそうです(笑)。
よく聞いてみると、この方々は、実はブッシュ大統領(の側近をしていた方々)です。息子さんではなくて、お父さんのほう(ジョージ・H・W・ブッシュ氏)です。その補佐官等をやられていた方々でした。
日本に来る機会があったときに帝国ホテルに泊まっていて、やはりそこのサービスがすごくよかったから……「たぶん、日本に来るのは今回で最後になってしまうかもしれないので、再訪したい。(以前)泊まったところに泊まりたい」。先ほどの統計にあったもの(過去に訪れたところに再訪する傾向があること)と同じですよね。やはり、帝国ホテルさんのサービスがよかったんでしょうね。「もう一度泊まりたい」と(いうことで、再度)いらっしゃいました。
次は、Bのバイセクシュアル(の方々)です。(写真を指して)この方々は……すみません、(私の)顔が真っ赤で。今日も真っ赤な顔をしていますが(笑)。(緊張しているだけで)お酒を飲んだわけじゃないんです。これ(写真に写っている私)は、お酒を飲んでいます。新宿2丁目に日本酒を楽しめるゲイバーがあるんですけど、ここで飲みました。
右側の男性が、イスラエルからいらっしゃったバイセクシュアルの男性。真ん中の男性が、ラオスに住んでいるラオス人のゲイの男性。実は、この2人はお付き合いをされています。ですが、右側のバイセクシュアルの男性に関しましては、もう本国に奥さまもお子さまもいらっしゃいます。ですが、それを隠しながら生活されているそうです。
ですので、真ん中の男性と恋人関係ではあるのですが、どうしても海外に行くことでしか会えない。ですが、「これを誰かに知らせてしまうといけない」ということで、ちょっとお忍び的な感じで私どもにお話がきました。こういう事情もいろいろとあるということを、みなさまに認識していただければと思います。
そして、残念ながら私どもでは、Tのトランスジェンダーの方々の(LGBTツーリズムの)取り扱いをしていないんですが……最後に、ちょっとおもしろいケースがございます。
(写真を指して)これは……すみません。私がまた飲んでいるんですけど、日本酒のバーです。6人のアメリカ人の方が、「ゲイバーのツアーに行きたい」ということでいらっしゃいました。6名さまがいらっしゃって、どの方がどの(ご出身の)方かわからないと思いますが、右側の4名がサンフランシスコ出身、左側の2名がニューヨーク出身だそうです。そして、たまたま友達だったので「日本で会いましょう」ということになりました。
ここでお酒をいっぱい飲んでお話をしてみると、いろいろな話が出てきました。よく聞いてみると、すごく……言い方は失礼ですが、職業が違う。
例えば、この中のどなたかは会社を経営していて、サロンを4つ持っているとか。もしくは、コンシェルジュをやっている方とか。(ほかの方々は)そうではなく、もう少し違うお仕事をされている方でした。私が勝手に想像するにあたって、おそらく年収ベースの部分にかなり差がある方もいらっしゃるのかなと思ったんです。
どんな方々なのかなと思って、ちょっとFacebookを追ってみました。(わかったこととしては)まず、ビジネスクラスに乗っていました。こちらは、みなさまが同じ飛行機に乗っていました。そして、六本木の高級ホテルに泊まっていました。そして、こちらのレストランでおいしいものを食べていました。
実は、私どもがレストランを2つご案内したんです。1つは、名前は言えませんが、有名な鉄板焼き屋さん。もう1つは、1万円ちょっとでお楽しみいただける、日本食のフュージョンレストランにご案内したんです。そうしたら、(Facebookの投稿には)日本食のほうしか出ていなかったんです。
「なんで、ここしかFacebookに載せないの?」と申し上げたところ、やはり鉄板焼き屋さん(にも行ってはいました)。3万5,000円したらしいんですけど。「すばらしかった。おいしかったしサービスもよかったけど、3万5,000円までの価値はなかった」とはっきり言っていました。ですが、この1万円の(フュージョン)レストランでは、1万円を払った以上のものが得られたということです。
全世界を回られていいものを見ている方々なので、やはりバリューがわかるんですよね。いくら高いお金を払ったからといって、すべてがいいものとは限らないということです。だから、どういうレベルであってもサービスをよくすることで、このようにお客さまのFacebookで投稿されることによって、拡散される可能性がございます。
いろいろなビジネスをされているみなさま方に関しましては、私はチャンスがあると思っています。最後に、みなさまはマリオカートに乗っていました。すごく楽しまれていらっしゃいました。
こういうところから総合的に私どもで判断させていただいて、LGBTの特徴をご案内させていただきたいと思います。
まず、「富裕層(?)」。括弧してハテナとしています。なぜかと言うと、国内外のLGBTの方にも、お医者さんとか弁護士・会社経営など、高収入の方がかなり多いはずです。実際に私どものお客さまともお話ししていても、そういう方々がほとんどです。もともと日本に来るにしても、高収入の方しか来られないとは思うんですけど、その中でも群を抜いています。
なぜかと言うと、アメリカから日本に1週間から10日間ぐらいいらっしゃる場合、飛行機なしでホテルやツアーとかを入れると、通常はだいたい3,000ドルから3,500ドルと言われているんですが、この方々はやはり、その倍以上のお金を使っていらっしゃいます。ですので日本に来る場合、飛行機も入れると、だいたいお1人あたり120万円ぐらいを使っている感じがします。
ですが、(ここで申し上げたいのは)先ほどの6名さまのお話です。私が勝手に想像していますが、おそらく年収ベースではまったく違う方々が6人もいらっしゃるのに、みんなが同じサービスを受けている。これは、おそらく「お金をかける」という気持ちの部分が違うはずなんです。
みなさまも、もしかしたら……人によると思うんですけど、「やっぱり、このお金があったら貯金しておこう」、もしくは「どんなに旅行しても、この部分はセーブしよう」「ホテルは、ちょっと安くしておこう」とか、いろいろな予算繰りをすると思います。
LGBTの方々って、そういうものがあまりない傾向にあるんです。(お金を)使いたいときに使う。そして、「じゃあどうするの? カード(の分を)、次の月に払わなくちゃいけないんじゃないの?」と言われたときに、「いいよ、がんばって稼げばいいじゃない」という方が、けっこう多いんです。
ですので、先ほどの6名の方に関しましては、やはりみなさまが同じサービスを受けていたということは、おそらくそういう(使いたいときにお金を使うという)ことなのかなと思っています。これはぜんぜん辞典にも載っていませんが、私は勝手に「精神的富裕層」の方々が多いんじゃないかと思っています。
(LGBTの特徴として)次に、先ほどご覧いただいたように、Facebook・Instagram等での投稿がとても多いです。その他に、ロイヤリティです。先ほどの白髪の男性の方が(おっしゃっていたように)「帝国ホテルにもう1回泊まりたかった」。その他は、ちゃんと統計資料でも出ていますが、「LGBTフレンドリーな場所・サービスをリピートする可能性が高い」ということです。
ですが、最後に1つ(申し上げると)サービスに厳しい目があることは、私どもでもわかっています。これは(何かと言うと)よくお姑さんが、お嫁さんが掃除した後にこうやって(棚の上などを指でなぞって、「まだホコリがある」などと)やりますよね。よくテレビでありますよね。そういう感じで、すごく厳しいんです。やっぱり世界中のいいサービスを見ているので、いろんなサービスに対して厳しいんです。なので、先ほどのレストランに関しましても、そういう意見が出てきているということです。
ですが、別にLGBTの方ではなく一般の方々でも、いろいろなサービスに厳しい方はいらっしゃると思うんです。そういう方々に対していいサービスをしていけば、そのお店もしくは施設自体のサービスがもっと向上されていって、いろいろな方が来ても楽しめる空間ができると思っています。私は、これを東京都として全体的に(実行)できたらいいなと思っています。
それでは、「東京都もしくは日本で、こういう方々をどうやって引っぱっていくか」というお話を簡単にさせていただきます。
まず、マーケティングのイメージに関しましては、ほとんど同じです。一般的な企業の方々がどうマーケティングしていくかということと、まったく同じです。ですが、LGBTの場合がちょっと違うというのは(何かと言うと)、まず当事者(の意見)です。LGBTの方々の意見を聞いた上で、「何が本当に欲しいのか?」「どういうものをサービスされたほうがいいのか?」ということが、まず必要ということです。
(マーケティングのイメージのスライドを指して)私どもは、レインボーで6段階にしています。初めの一歩に関しましては、みなさまも(すでに)始まっています。すでにこういうセミナーにいらっしゃる、「興味を持つ」という時点で始まっています。
そこからどんどん上がっていって、下の3つに関しましては「基本形」で、不平等を正していく部分です。その上の「発展形」は、「どうやって不平等を正していくか」、そして「できた商品をアピールしていくか」にかかっていると思います。
まず、下の段階の理解や浸透に関しましては、やはり先ほどから何度も申し上げているとおり、「LGBTフレンドリー」という場所に訪問するという統計が取れていますので、こういうセミナー等で認識を高めていくということです。その他、ホテルさん・レストランさん等に関しましては、覆面調査・ミステリーショッパーもされたほうがよろしいかと思います。
その他、実は「IGLTA」と申しまして、国際ゲイ・レズビアン旅行協会というものがございます。日本で言うと「JATA」で、そこまでの(規模の)組織ではないのですが、LGBTツーリズムを普及させるという団体もございますので、こういうところに加盟することもよろしいかと思います。(スライドを指して)日本では、IGLTAに加盟されているメンバーがこれぐらいいらっしゃいます。
次に、サービスです。こちらはやはり、先ほど申し上げたとおり、「LGBTの方々がどういうことを思っているのか」を聞き出していくことが必要だと思っています。LGBT調査会社に対してのLGBT意識調査とか(を行います)。
あと、実はLGBTの方々には、世界でプロフェッショナルな方がかなりいらっしゃいます。例えばインフルエンサー・ブロガーならびに、LGBT専門の旅行会社やメディアがあるんです。そういう方々をまず日本に呼んで、日本のいいところを見ていただいて、どんどん発信していただいたり、LGBTの旅行商品を作っていただいたり……ということで、LGBTの方々が日本にいらっしゃる販路をどんどん広げていくということです。
そして、プロモーションに関しましては、お台場とかでやられているJATAの旅行博(ツーリズムEXPOジャパン)などがありますよね。そちらと同じようなかたちで、実は国内外でLGBT専門のコンベンションや専門コーナーが設けられている旅行博等が存在するんです。なので、こういうところにいろいろと出展していただいて、どんどん広めていくことも必要だと思われます。
例えば海外のコンベンションですと、IGLTAのグローバルコンベンション。こちらは、後でご説明させていただきます。また、「ITB Berlin」という大きな旅行博にLGBTコーナーがあるとか。
あと、実は東京でも「(レインボー)プライドイベント」というものが行われているのをご存じですか? 「パレード」という言葉は、よく聞いたことがありますよね。ゲイパレード。それが実は、東京でも開かれているんです。代々木公園で毎年行われていまして、こちらが(2019年は)4月28日と29日です。今年も行いますので、もしご都合がよろしければ、代々木公園にお越しいただければと思います。
次に、広報・プロモーションに関しましては、先ほど申し上げたようなLGBTの旅行会社やメディアが存在しますので、こういうところに国別とかターゲット別、あと紙媒体・Webサイト等もございますので、細かい広告を出すことも可能です。弊社アウト・ジャパンに関しましても、LGBTフレンドリー企業に(名前を)入れていますし、イギリスの富裕層のLGBT向けのマガジンとか、レズビアン向けのマガジンもございます。
私が専門的なことをお話ししてしまって、またお話の内容も(切り替わりが)早いですので、もしおわかりにならないことがございましたら、後ほど質疑応答の時間も設けさせていただきますので(ご質問ください)。とりあえず、次に進めさせていただきます。
それでは、日本企業にはどのようなおもてなしなどがあるでしょうか? こちら(のお写真)で、いくつかご説明させていただきます。
まず、日本航空さまです。すみません、また私は……今度はウイスキーのゲイバーで飲んでいます。飲み過ぎかどうかわからないんですけど、実は私、去年の8月に肝臓を壊してしまいまして(笑)。しかも大阪で入院してしまいました。今はちょっとお酒を控えているんですけど、ここでは飲ませていただきました。
ウイスキーバーで飲んでいまして、(両サイドに)外国人の方と真ん中に私がいるんですが、このお二方は、実は今回ハネムーンでいらっしゃったそうです。お二方ともサンフランシスコに住んでいらっしゃるんですが、1人はアメリカ人、1人は中国からの移民です。ですが先ほど申し上げたとおり、アメリカでは結婚ができるので、お二方は結婚されてハネムーンする(ということです)。
お一方がアメリカ(のご出身)なので、まずアメリカで結婚式をした。そしてその後に中国で、この中国人の方のご家族にお披露目したということです。そのときにたまたま、ちょうど日本航空をお使いだったので、日本に3日間ストップオーバーをされました。そこで聞いたお話が……びっくりしたんですが、「知ってる? 日本航空ってすごくない?」と言われたんです。「何が?」と思って聞いてみたら、写真を見せてくれたんです。
(写真を指して)まず、(お二方は)ファーストクラスに乗っていたんです。これがファーストクラスの写真なんですけど、なんかこれ……ケーキがありますよね。ちょっと拡大してみます。「HAPPY WEDDING!」(と書いてあります)。「そうなんだ、JALさんすごいな」「男性(同士)の結婚した方でも、ウェディングケーキを出すんだ」と。
もちろん私は、もともと(お二方が、自分たちから)「ウェディングなんです」「ハネムーンなんです」と言っていたんだと思ったんです。そうしたら違っていて、その場でフライトアテンダントの方に「僕たち、結婚したんです! わーい」みたいなことを言ったら、これがすぐに出てきたそうです。すごいサービスですよね。
その他にも、こういう手作りのお土産もくれたそうです。これには、実はポイントが1つあって。この折り鶴を見てください。両方とも同じ色ですよね。これというのは、まったく性を関係なく、本当に2人が楽しく過ごしてくださいという意味を込めて作ったそうです。
実は日本航空さまに関して、私どものセミナーも行わせていただいていますし、かなり毎年のように研修をされているので、このような成果(が出ました)。こういうお客さまが来たときには、すぐにこういう対応ができる準備が整っているという、すばらしい例だと思いました。
次に、ホテルグランヴィア京都です。京都駅の上にある、5つ星のホテルさんです。こちらは、「同性婚(の挙式)ができる」というパッケージの売り込みをしています。
そしてその他にも、もちろん売り込みはしているんですが、ちゃんとLGBTマーケティングにもどんどん協賛を出しています。例えば、国内のLGBTイベントにこうやって出展して、いろいろなものを販売したり、LGBTの方々にお声をかけたりしています。
その他には、海外ではこのようにコンベンションにも出展されています。実際にホテルでウェディングをされているお客さまって、あまり多くないらしいです。ですが、やはりこの右側(の写真)でも、「女性同士の結婚が白無垢でできる」というものがキャッチーで、これを見たLGBTの海外メディアの方々が、こぞって取り上げる。それによってLGBTの方々が、「じゃあ、このホテルはフレンドリーなんだ」ということで、かなり押し寄せているというお話は聞いています。
その他にも、「誰でもトイレ」というかたちで、どの方でも入ってくださいというおトイレを設置しています。これはいろいろな当事者の方々から意見があって、「このピクトグラムがいいかどうか」とか、「LGBTのレインボーが、本当にいいのか?」という物議は醸し出されています。
実は、このホテルのいいところがもう1つございます。この表示だけではなく、「ぜひとも、誰でも使ってください」(とされています)。妊婦の方、お子さまがいる方、杖を持っている方、車椅子の方、障がいのある方。「誰でも使ってください」と言っていますので、「たまたまLGBTがそこに入っているだけ」という位置づけなんです。
(写真を指して)そしてこのホテルで、実際に私の友人が結婚式を挙げました。日本人の男性2名です。そこでホテルの方々が出したものが、これです。後ろを見ていただくと、レインボーになっています。レインボーは、LGBTのシンボルカラーと言われています。そして、この「ミスターアンドミスター」という、ちょっと小洒落た演出です。その他には、受付台もこのように派手になっているし、ウェイティングバーでもレインボーカクテルが出されました。
こちらが私どもの友人で、新郎同士です。向かい側に神父さんがいらっしゃるんですけど、実は神父さんもゲイの方でした。これはホテルがご用意したんじゃなくて、友人たちの友人ということで、この方がいらっしゃいました。ケーキも可愛いですよね。男性同士がキスしている人形が上にあります。あと、ケーキもレインボーです。すべてがレインボーの演出なんですけど、ケーキも下のゼリーみたいなところがレインボーになっています。
ここまで見ていて、「これってすごいな」「大変だな」と思うかもしれません。この2人が結婚すると言ったときに、誰か旗を振って(指揮を執って)いる方はいらっしゃるんですが、実はそれを聞いた宴会場のスタッフの方々が「どうする? どうする?」と、みんなで相談したそうです。「やっぱりこれだったら、ケーキはこういうのがいいね」とか「引き出物は、こういうものがいいね」と言われて。みなさまで作り上げた結婚式だったので、(新郎たちは)とても喜んでいらっしゃったみたいです。
このホテルさんでも、毎月のように研修されているそうです。LGBTの他にも、ダイバーシティというかたちでいろいろな研修をされているので、こういう成果になったと思いますが……ちょっとこのあたりから、マニアックになってきます。
(写真を指して)これ、何だと思います? 爪楊枝? そうです。これは「レインボー爪楊枝」だそうです。本当にこれが必要かどうかはわかりませんけど、これも演出の1つとして、みなさまが引き出物としてもらっていました。次に、「レインボーコースター」。これは原色ではなくて、やっぱり「京都」というところを出したいらしく、置物っぽいレインボーな感じのもので、引き出物として出ていました。
(写真を指して)私が次に衝撃を受けたのは、これです。「レインボーパウンドケーキ」。これは、すばらしいと思うんです。いいと思うんですけど、「どんな味がするんだろう?」と思って食べてみたら……。私は青いものを食べました。そうしたら、味は全部同じでした。ですけど、食べた後に下に落ちているもの(食べかす)を見て、ぞっとしました(笑)。
この気持ちですよね。LGBTの方々に「フレンドリーなので、ぜひとも来てください」「来てくれたら、楽しんでください」という姿勢が大事です。これが正解ではないけど、大事ということです。ですので、こういう例があるということで、ご案内させていただきました。
次に、スキー場のイベントです。今はちょうど、スキーのシーズンですよね。(スライドを指して)これは2015年・2016年・2017年の3年間、裏磐梯のスキー場でLGBTのスキーイベントをやりました。
これは(なぜかと言うと)、もうみなさまもご存じのとおり、東日本大震災で福島県がかなりダメージを受けました。裏磐梯という場所は、「福島県」という名前で風評被害を受けてしまったところです。実際には放射能の影響もまったくなかった場所なんですが、「福島県」という名前だけで、お客さまが激減してしまったそうです。その中でご担当者の方から、「LGBTの方々に来ていただきたい」ということでイベントを行う話になって、私どもにお話がきました。
何をしたかと申しますと、ナイトクラブパーティーです。(写真を指して)スキーセンターでブッフェをして、この筋肉隆々な男性に踊っていただいたり、マツコ・デラックスさんみたいな女装の方に、口パクのショーをしてもらったりしました。
その他、室内プールがございましたので、プールパーティーを行いました。そして最後に、裸の付き合いではないですけど、みんなで温泉に入りましょうというイベントを行ったんです。もちろんスキー場だったので、こういうスキーのイベント……バナナボートとか、みんなでレインボーフラッグを持ってスキーしましょうというイベントをやりました。
(スライドを指して)2015年・2016年・2017年と、このようなフライヤーを作って、全国のゲイバー等にフライヤーをまいて、宣伝をしてまいりました。こちらは、海外でも宣伝してまいりました。
そして、日本のLGBTマーケットです。日本人に関しましては、Twitterがとても拡散力が高いと言われていますので、イベントごとにTwitterでいろいろな情報を拡散していただいたりとか、台湾の富裕層を集めたパーティーでプレゼンテーションをしたりとか。あとは、LGBTの旅行会社で海外の方に販売していただいたりとか、三ヶ国語の専用Webサイトを作ったりしました。
それで、実際にどれぐらい来たか? 最初は本当に初めてだったので、2015年は40人で大赤字でした。2016年は70人が来ました。2017年は、何人来たと思いますか? 130人が来ました。見ていただくと、どんどん増えているのはおわかりになりますよね。実はこれ、ほとんどの方々がリピーターなんです。来ていただいているだいたいの方がリピーターで、2017年(の130人のうち)、40人はリピーターでした。
やっぱり「おもしろかった」ということでどんどん来て、「一緒に行こう」という方が増えて、今は130人まで増えました。そして、2018年は(実施)できなかったんですが、2019年に関しましては、またやります。今回は300人を予定しています。
新宿2丁目というゲイバーのエリアから、スキー場までバスを出したんです。行きに関しましてはバスで4時間半かかるので、だいたいインターチェンジを2回ぐらい降りて、トイレ休憩などをしたんです。帰りに関しましては、なんと7回も降りました。(写真を指して)なぜかと言うと……見てください。みなさま、楽しそうですよね。酒盛りをしているんです。行きはみなさまが知らない同士で、ぜんぜん盛り上がっていなかったのに、最後はみんなが楽しくなってしまって、「飲むぞ!」という話になって、飲みました。
そうすると、「お酒がなくなった!」と言って(インターチェンジを)降りて、また(お酒が)入ると、今度は「トイレに行きたい!」というのがどんどん続きました。結局は5時間半かかって帰ったんですけど、それぐらい楽しかったということが、この笑顔を見ていただければおわかりになると思います。ですので、今年の3月に関しては300人の動員を予定しているということが、この裏付けでございます。
先ほどから何回も申し上げましたとおり、リピーターになる方がとても多いということです。これは統計も取れているし、海外のお客さまでも日本のお客さまでも、このように楽しければリピートしてくれることが実現されるという例として、ご案内差し上げました。
それでは(みなさまが気になることは)「ここまでは、わかりました」と。こんな方がいらっしゃって、実際にこういう方が来ていて、「実績があるんですよね、小泉さん」という話だと思います。「じゃあ実際に、東京都もしくは日本で、これをどう取り扱っていく可能性があるの?」というお話を最後に簡単にさせていただきたいと思います。
みなさまは、クルーズ船に乗ったことはありますか? タイタニックみたいな豪華客船です。今はツーリズムの中でも、すごくクルーズが流行っているとおうかがいしていますし、「爆買い」の中国の方々がクルーズから降りたら、もう電気製品が何もなくなってしまう。
昔はこのような状況もあったと思うんですが、実は海外には「ゲイクルーズ」というものがあるんです。2,000人から3,000人ほど(の乗客の)全員がゲイで、貸し切って毎日パーティーをしたり、寄港地でお買い物や観光をしたりしています。
それがなんと、実は2019年4月27日に横浜へ到着するんです。これは香港から来て、上海と台湾に行って、最後が日本なんですけど。高知港・大阪港・清水港、最後が横浜港。そして、2,300人がバーッと横浜で降りた後に、この中の6割近くが東京もしくは日本(の他の地域)に滞在するそうです。それ以外の方々は、もう成田空港もしくは羽田空港から帰っていくそうです。
見た目ではわからないかもしれませんが、これだけの方々が来るんです。もちろん外国人(のLGBTの方々)もすでに多くなっているので、見分けは(現時点でも)つかないかもしれませんが。実は新宿2丁目で、私どもはこの方々向けにパーティーを行います。次回、もしこういうセミナーでお話しさせていただくことがありましたら、(その)写真も加えてご案内させていただきたいと思います。
それでは、これ(ゲイクルーズ)にどれぐらいの経済効果があるか? 勝手に、簡単に計ってみました。ゲイクルーズに伴う売上に関しましては、ホテルには必ず宿泊するし、地域内のレストランやマッサージ(にもたらされます)。マッサージ、大好きですからね。お土産や交通機関を使う中で、簡単に見積もっても、おそらく1億円以上は落ちるのかなというところ。また、これはどの(ご旅行の)お客さまでも同じだと思うんですが、人数が多ければ多いほどお金になる。
ですが、下の部分(LGBTメディア・個人SNSでの広告効果)です。やはり先ほどから申し上げたとおり、LGBTの方々って、SNSの拡散率がとても高いんです。ですので、こういう方々が来れば来るほど、どんどんFacebook・Instagramで拡散していくんです。もちろん、2,300人の中には一般的な方もいらっしゃいますし、メディアの方もブロガーの方もいらっしゃるわけです。ですので、そういう方々が(SNSへ)投稿したときを考えてみると、広告効果は1,000万円以上かかるんだと、私は認識しています。
もう1つございますのが、IGLTAの(グローバル)コンベンションです。先ほど(のご説明にも)IGLTA……国際ゲイ・レズビアン旅行協会というものがあったんですが、これが毎年1回、会員向けにコンベンションを開くんです。毎年4月か5月なんですけど、4日間開催される、LGBTツーリズムの中では最高のコンベンションと言われています。
これが毎年、アメリカ本土と海外で交互に順次開催されています。今年の2019年はニューヨーク、2020年はミラノで、2021年はアメリカ国内なんですが(具体的な場所は)まだ決まっていません。実は、2022年は(開催自体が)未定なんです。これを競合で出していって、最終的にこのコンベンションを誘致できるかというのが、来年なんです。来年、東京都もしくは日本のどこかの地域が「やりたい」と手を挙げることによって、もしかすると(日本で)開催される可能性が十分に考えられます。
ですが、これにはとても準備が必要です。例えばミラノで2020年に行うときには、おそらくミラノの市役所やシティホールとかを貸し切って、パーティーなども行われるはずです。ですので、東京都にはすばらしい美術館やホールなどがいっぱいありますので、そういうところでやるとか。
どんなことをやるのかがとても楽しみなんですが、こういうものをもし誘致できたときには、おそらく経済効果的には5,000万円以上。ならびに、LGBTメディア・SNS(での広告効果)では3,000万円以上。2つを合わせると8,000万円(の概算で、実際には)たぶん1億円以上のお金が落ちるのかなと思っています。
東京都では、2020年にもちろんオリンピック・パラリンピックがございますが、その後のことも考えていらっしゃるとおうかがいしています。ですので、このようなコンベンション等の誘致に関しましても、LGBTでもお力になれればと思っています。
今日は40分という短いお時間で、私のすごく舌足らずなお話で(笑)……。しかも、手話の方がいらっしゃるにも関わらず、早口でやってしまったので、本当に申し訳なかったんですが、これで今日のお話を終了させていただきたいと思います。本日は、どうもありがとうございました。
(会場拍手)
東京都産業労働局
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2024.11.11
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民間宇宙開発で高まる「飛行機とロケットの衝突」の危機...どうやって回避する?
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20名の会社でGoogleの採用を真似するのはもったいない 人手不足の時代における「脱能力主義」のヒント
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