2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
提供:ウイングアーク1st株式会社
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田中潤氏(以下、田中):ウイングアーク1st代表の田中潤です。今日はウイングアークフォーラムへようこそ!
ウイングアークフォーラムは今年から「WAF 2018」という名前に変わりまして、これまで名古屋と大阪で開催してきました。今日の東京開催はファイナルとなります。ぜひ楽しんでいただければと思います。
では、最初のセッションのキーノートを始めたいと思います。今日のテーマは「データによるエネルギー革命で世界を変える」です。これはいったいなんのことか? ぜひこのセッションで内容の全貌を掴んでいただければと思います。
最初に、この日本が抱える課題について、少しお話しさせていただきたいと思います。多くの課題があると思いますが、私が一番気になっているのは労働人口の減少です。
いま、日本は労働人口が増えています。なぜかと言うと、女性の活躍と定年退職された方の再雇用によって、労働人口はどんどん増えているからです。
ただし、それにも限界があります。少子高齢化の世の中で、これがいつまで続くのか? このデータでは2025年を境として、一気に下降トレンドとなります。先進国で考えれば、日本は労働人口が真っ先に減っていくことになります。
当然、このまま放っておくわけにはいきません。日本としてもいろいろな手を打っています。みなさんに一番関係すると思われるのが、この「働き方改革関連法」ですね。
去年ぐらいから働き方改革について、さまざまなところで話が出ていますので、みなさんもご存じだと思いますが、来年の4月に法律が施行されます。そうなると、ここにいるすべての会社のみなさんが、この法律に従って「あること」をしなければならない。
いったいなにをしないといけないのか? この法律でポイントとなっているものが、大きく3つあります。
1つ目は長時間労働の是正です。日本は先進国の中でも、とくに労働生産性が低いと言われています。わかりやすく言うと、「残業して生産性を高める」というやり方をしていたといえます。でも、それはいつまでも続きません。この法律の中でも「残業を減らして、長時間労働をしないように」と言われています。
2つ目が同一労働・同一賃金。これは「正社員でも派遣社員でも、どんな方でも働いている内容に応じて賃金を設定してください」ということです。つまり、成果と対価をちゃんとイコールにしましょうということです。
最後に、これは一部の職種からと言われていますけれども、「時間ではなく成果で評価しよう」ということです。長く働こうが短く働こうが関係なく、成果で評価しなければなりません。
この働き方改革関連法によって、みなさんが取り組むべき課題というのは「労働生産性をどうやって高めるのか?」ということです。では、それに合わせて働き方をどうやって変えればいいのか。
いままでのやり方のままで、ただ単に時間を短くするだけでは、同じ結果が生めなくなる。これは当たり前の話です。だから、これまでとは違うやり方を考えなければいけない。みなさんはこれから、そういったことに取り組まないといけないわけです。今日のイベントが、それを考えるヒントになっていただければと思っております。
とは言っても、労働生産性をどうやって向上させればいいのか。アンケート調査によるデータを見てください。「うちは労働生産性が高い」と答えた企業の方に「なぜ労働生産性が高いのですか?」とお聞きしたところ、「ITが活用できているからだ」と答えている方が圧倒的に多いのです。
つまり、自分たちの努力による効率化だけでは、労働生産性を高めるのに限界があるわけです。ITをもっとうまく活用する。そうすることで労働生産性を高めることができる。こういった結果が出ています。
では「ITを活用するってどういうこと?」と、みなさんはきっと思われますよね。ITを活用するには、ある組み合わせが必要だと思っています。それが「データ」です。
「データ」と「ITのテクノロジー」。この2つを組み合わせることによって、労働生産性は改善できる。ものすごく高められると思っています。
つまり、みなさんはこれからデータとテクノロジーをうまく使って変わっていかないといけないのです。しかも、そうしなければならない時が強制的に来ます。あとから慌ててやっても遅い。いま、このタイミングから、データとテクノロジーをどうやって使ったらいいかを考えて動く。ここがすごく重要なポイントになります。
そのために必要な要素というところで、この言葉をぜひみなさんに送りたいと思っています。
「データによるエネルギー革命」。必ずこれが必要になります。「なんだ? このデータのエネルギー革命って」と思った方がいるかもしれません。「データとエネルギーの関連性は?」と。そういった質問が出てくるのではないかと思います。
私の考える、「データによるエネルギー革命」とは、どういうことなのか?
そもそも第1次産業革命という蒸気機関の時代があったときに、いったいなにがポイントだったのか?
いままでは、すごく離れたところに移動するのに莫大な時間をかけていました。移動中はほとんどなにもできなかったわけです。ひたすら動かなきゃいけない。でも、それがあっという間に短くなったことで、その時間を別のことに活用できるようになった。これが第1次産業革命の一番のポイントでした。
では、第2次産業革命はどうでしょうか。このときは電気・石油が生まれたわけですね。つまり、生産性が上がった。機械の工場をうまく使って、生産高を圧倒的に高められた。一つひとつ作るわけではなく、一気に作るようになったのです。それによって生まれた時間を別のことに活用できるようになってきました。
第3次産業革命は、まさしくコンピュータの時代。いま、みなさんはこういった中にいると思います。ここで行われたのは、情報処理という考え方。自分で計算して、一生懸命時間をかけていたものが一瞬でできるのです。つまり、それによって時間をもっと違ったことに使えるということです。
そしていま、第4次産業革命が起こっています。これは「データの時代」と言われています。データによって、いったいなにが短縮されて、それによってなにができるようになるのか? ここが一番のポイントなわけです。
データによってなにが変わるのか。「単純作業」という言葉がありますよね。これは誰でもできる。究極、人じゃなくてもできる。いま世の中では、AIがもてはやされていますけれども、そこで言われているのも「単純作業をいかにして機械にやらせるのか?」ということです。
単純作業は、すごく時間がかかります。でも、そのわりにはあまり価値が高くない。なぜ価値が高くないかと言うと、それは誰でもできるし、作業をしただけなので、それ自体に大きな責任が伴わないのです。
では、人はなにをするべきなのか? それは意思決定です。機械に単純作業させて、人は機械にできないことをする。人にしかできないことは、判断することです。
この「意思決定」というのは、判断に責任が伴うので、とても価値の高い仕事なのです。
人は「意思決定」と呼ばれている領域をどんどんやることによって、人自身の価値が上がっていくのであり、そういうことをしていかないといけない。
これを行う上で重要なのは、データを活用することです。勘や経験で判断をしていたら、いずれうまくいかなくなるときが来ます。データを使って、適切な判断材料をもらい、自分がジャッジだけする。そうしたら、あとはまた機械がオートマチックに動く。そうすることによって、ものすごく短い時間で同じ成果を出せるようになります。
そこで浮いた時間で、新たなことに投資するわけです。なにもすべてを仕事に投資するわけではなく、家庭だとか趣味だとか、いろんなことに投資できるようになります。つまり、人の働き方が豊かになるのです。そのために、データが必ず必要になる。でも、データを活かすにはテクノロジーが必要なので、データとテクノロジーの2つが必要なのです。
では、「データによるエネルギー革命ってなんなんだ?」と。まさしくデータは一種の燃料みたいなものです。このデータをうまく使えば、高付加価値な仕事ができるようになる。つまり、人間のエネルギーを解放し、より高める。データによるエネルギー革命は、データによって人間が次なるステージに進むための重要なポイントになっています。
その結果、行われるのは人のエンパワーメントです。人のエンパワーメントが行われると、働き方は大きく変わる。労働生産性も高まるし、人の働き方変革もできる。これがすごく重要になってきます。
今日は、人のエンパワーメントを実際に行っている企業のみなさまをゲストとしてお呼びしています。
最初のゲストの方をお呼びしたいと思います。まさしく社員のモチベーションを高めて、人そのものをエンパワーメントする。そういったことを実際の事業としてやっている方です。リンクアンドモチベーションの麻野さんです。
麻野さん、よろしくお願いします。
(麻野氏が登場)
リンクアンドモチベーション(というのは)、名前がまさしく「モチベーションを高める」という会社です。ここにいるみなさん全員が知っているかどうかわからないので、会社と麻野さんのことも、ぜひご紹介いただきたいと思います。
麻野耕司氏(以下、麻野):ありがとうございます。自己紹介させていただきます。
私が所属するリンクアンドモチベーションという会社は、2000年にできた経営コンサルティング会社です。
組織診断、理念浸透、人事制度、人材育成、人材採用といったものをサポートする会社なのですが、その中でも、社名にもあるとおり社員のモチベーションというものにスポットライトを当てた、世界で初めてのコンサルティング会社です。
私たちの思いとしましては、どんなにすばらしい戦略がそこにあったとしても、どんなに豊富な資金がそこにあったとしても、最終的にそれを動かすのはそこにいる人であり、モチベーションだろうと。世界広しと言えども、モチベーションにスポットライトを当ててコンサルティングする会社はない、ということで創業いたしました。7名で創業して、いま従業員数は1,500名。2008年に東証一部へ上場しております。
私はそのリンクアンドモチベーションの取締役をやっています。2年半前に「モチベーションクラウド」という、社員のモチベーションを高めていくためのクラウドサービスを立ち上げて、そこの責任者をやっております。
いままで100社以上の企業さまをコンサルティングしてきましたが、そのノウハウをすべてこのクラウドに詰め込んでお届けしているということで、立ち上げて2年半ですが、いま、国内企業のクラウドベンダーの中でも、トップクラスの売上と成長率というところまで来ているかなと思います。
田中:麻野さんは最近メディアですとか、いろんなところに出ていますよね。その中でもとくに「人事」というテーマにフォーカスされていることが多いと思います。
ここにいるみなさんの会社には当然人事部門があるでしょうし、「社員のモチベーションをどうやって上げたらいいんだろう?」と思われている方がたくさんいらっしゃると思います。人事の課題って、どういうところにあるのかといったところを教えていただけますか。
麻野:ありがとうございます。企業経営の中で、いまほど人や組織の問題が重要になっている時代はないと思います。かつての日本は製造業の時代で、ハードビジネスが中心だったのですが、いまGDPの75パーセント以上がサービス業になってきている。かつ、その製造業もどんどんサービス化していっていると。
製造業の時代において、商品を作るために必要なのは設備でした。そして、設備を作るために必要なのは資金でした。事業をうまくいかせるためには、資金が非常に重要という時代だったのですが、いまは商品を作るために必要なのは人材であると。人材がいれば、商品を生み出し届けることができる時代になってきています。かつての日本には、人の力を引き出すための勝ちパターンがありました。
田中:なるほど。それはなんですか?
麻野:右肩上がりの経済成長の中で、年功序列・終身雇用をやっていれば、どの会社もみんなモチベーション高く働けるという時代でした。でも、いま右肩上がりの経済成長が終わって、その年功序列・終身雇用を維持することが難しくなってきている。
田中:確かにそうですね。たぶんここにいるみなさんの中にも、それを感じている方がたくさんいらっしゃると思います。
麻野:かつては、その固定化された新卒一括採用・終身雇用・年功序列、という運用をしていれば人事はうまくいった。オペレーションをしていればよかったのです。
田中:確かにそうですよね。言われてみれば、人事的な制度を作って、みなさんがそれをある意味しっかり回していく。それが人事部と言われると、確かにそういう感じがしますね。
麻野:いまは、それぞれの企業が置かれた環境ごとに戦略を作り動かしていく「戦略人事」というのが必要になってきている。ただ、それがどの会社もかつての「運用的人事」を引きずってしまって、なかなか適応できていないというのが問題としてあるかなと。
田中:なるほど。では、その「戦略人事」を作るために必要なものは何ですか?
麻野:これがいまおっしゃられていた「データ」ですね。とくにこの、人や組織の問題はデータがまったく活用されていない。
みなさん、例えば事業をするときに、データを使わないなんてことは絶対にないと思います。今日いらっしゃっているすべての企業で、おそらく売上や利益を数値化して管理しているはずです。P/Lを出していない会社はたぶん1社もいらっしゃらない。問題なのは「あなたの会社の組織状態(について)、数値で言えますか?」と問いかけたときに、何人が答えられるのか、ということです。
田中:なるほど。確かにそれは、かなり難しい問いかけですね。
麻野:組織や人に関しては、採用も育成も評価も、そしてマネジメントも、とにかく勘や経験で全部行われています。これが戦略的に人事ができない、人の力を引き出すことができない要因になっているかな、と思います。
田中:では、人事はこれからの具体的な解決策として、なにをするのがいいのでしょうか?
麻野:いろんなことにおいてデータを用いながら、PDCAサイクルを回していくことが大事です。例えばダイエットをするときに、もちろん「いいサプリ」「いいエクササイズ」というのは大事なのですけれども、「体重計に1回も乗らずにダイエットを成功した」というのは、ほとんどないはずです。
田中:確かに。それは恥ずかしいですね。
麻野:例えば大学受験。「いい講師」「いい教材」も大事ですが、「1回も模試を受けずに、自分の偏差値を知らずに大学受験に合格した」という方は、ほとんどいらっしゃらないと。
田中:そのとおりだと思います。
麻野:ですので、データを持ち込んでPDCAサイクルを回していく。テクノロジーを使ってそれをどう実現していくかが、いま経営や人事に非常に求められています。
田中:なるほど。そんな中、御社はまさしくそれを実現する仕組みを提供されているわけですね。
麻野:はい。ありがとうございます。弊社は、先ほども申し上げた(ように)、2年半前から「モチベーションクラウド」というサービスを提供しています。
(これは)社員のモチベーションを管理していくようなサービスです。いまこれが、従業員数が10名未満の企業さまから1万人を超える企業さままで、すごい勢いで広がっていっています。
田中:どんな会社でも使える、という考え方ですね。
麻野:最近は役所広司さんに出演してもらったテレビCMも流れておりまして。都内のタクシー内でも流れているので、ぜひご覧いただきたいと思います。
田中:これ、私も見ましたよ。
麻野:ありがとうございます。
田中:役所さんが「うちはすごいことを全部やっているのに、なんにも成果が出ない」というようなことを言われている。「あれもやってる。これもやってる。全部やってる。でも、なんで成果が出ない?」という、ここにすごく問題があるのです。
麻野:はい。この役所さんが演じる(男性が勤める)企業も、そういうかたちでCMで描写させてもらっていますように、いま、多くの会社で組織のマネジメントがうまくいかずに、社員の退職、生産性の低下、意欲の低下……そういったことが起きているのです。
この「モチベーションクラウド」は、組織状態を定量化・数値化して、PDCAサイクルを回していくものになっています。とくに、(スライドを指して)真ん中に「エンゲージメントスコア」とありますように、社員の共感度合いを数値にしてPDCAサイクルを回すというものになっています。
田中:おそらくいままで、社員の共感度合いを数値化している企業はなかったと思います。
麻野:方針への共感であったり、商品への愛着であったり、評価への納得。そういった100問ぐらいの設問からデータ化する。でも、データ化するだけであれば、いままでいろんな会社がやってきたと思います。とくに大手企業さまは、従業員満足度調査・社員意識調査などということをやっていた。「でも、それが活用できていますか?」ということなのです。
麻野:いままで私がコンサルタントとしてサポートした会社でも、従業員満足度調査をとりました。「こんなところが問題だね」と明らかになった点について、また半年後・1年後にうかがってみたら「すみません、なにもできていません」と。こういう会社が非常に多かったのです。
田中:満足度調査は、会社によりますけど、1年に1回くらい実施して「こうだったんだ」という(結果が出ますよね)。でも、その結果を元に「どうするんですか?」と言うと、「また次やりましょう」ということになる。結果、なにも起こっていません。調査はしているのだけれども、それに対するアクションがなかなかとれないのです。
麻野:そうなのです。いまの日本の企業では、組織や人をデータ化するというのがまず1つ目に重要だと思っています。そのあと、取ったデータをちゃんとPDCAサイクルに組み込んで活用していくことが重要です。
このモチベーションクラウドでは、PDCAの“C”のところで組織状態を定量化し、現状を把握する。そのあとにシステムの中でPlan(目標設定)ができたり、Do(実行促進)ができたり、Check & Action(進捗確認)ができます。
我々の(サービスを利用している)1万2,000人の企業さまは、部署ごとに全部データを出して、部署のメンバーたちやマネージャーを中心に、「自分たちの組織は定量的に見るとここが課題なんだ」という改善項目を設定して、だいたい半年に1回か1年に1回、100問のデータを取ります。そして、改善すると決めた項目に関しては、「月次で」または「2ヶ月に1回」取るという企業さまが多くなってきます。
ただ、これは、みなさんも事業では当たり前にやっていらっしゃることなのです。1年後の営業利益を出すために売上の計画を立て、それを月次に割って部署ごとにその売上目標を割り振って、PDCAサイクルを回していくというのをやっている。にもかかわらず、組織ではやっていない。それをやろうじゃないかというクラウドシステムです。
「1年後にこんな組織状態を目指すんだ」というのを定量的に目標設定し、それを部署ごとに目標を割り振って、月次みたいなサイクルで少しずつ少しずつ改善していくようなクラウドになっています。
田中:こういう仕組みでやると、最初はきちんと回っている感じがしても、次第にやらなくなっていって、結局やめてしまったり、といったことがよく起こると思います。それをこの中ではどうやって解決するのですか?
麻野:3つあります。1つはデータを現状把握だけでなく、目標設定に使っていくことです。なんで部署ごとにみんな必死になって売上を追いかけるかと言うと、目標設定がされているからです。P/Lで言うと、現状を把握だけではなくて、「目標を設定する」「予算を立てる」いうことを必ずやっていると思うのですが、この中では、部署ごとに組織状態の目標設定を定量的にできるようになっているということです。
また、「目標を達成するためになにをしていいかわからない」という現場の社員の方も多いと思うのですが、これはシステムの中で「この項目のスコアを上げるためには、こういうアクションを取ればいい」というアクションが自動的にレコメンドされるシステムになっています。
最後に、PDCAサイクルがなかなかうまく回らないときには、弊社のコンサルタントがサポートするかたちで、このサイクルを回すという仕組みになっています。
田中:実は当社もそうなのですが、こうやって数値化していくと「他の会社より自分の会社がいいんじゃないかな?」「よくないんじゃないか?」と、比較したくなってくると思います。
麻野:これについては、日本最大級の組織状態に関するデータベースがありまして、偏差値で全部出てきます。真ん中を偏差値50と置いて、「あなたの会社は62」「あなたの会社は43」「あなたの部署は65あるけど、隣の部署は42しかないよね」というように、その会社の状態が全部出てくるようになっています。
慶應大学ビジネス・スクールのリサーチでも、このエンゲージメントスコアが、退職率、生産性、翌年の営業利益率の伸長・売上の伸長といったものに相関しているというデータも出ています。
田中:なるほど。人の会社と比べられる仕組みなんて、いままでなかったと思うのです。ある意味、別の意味のモチベーションが経営者には出てきそうな気がしますね(笑)。
麻野:やはり社員のモチベーション、エンゲージメントを高めなければいけないと思っていまして。冒頭のプロフィールでも少しありましたが、「Vorkers」という社員の口コミサイトに出資をしていて、いまそこの副社長をやっています。
国内最大級の社員の口コミがそのサイトには載っていて、みなさんの(勤める)多くの会社は、その口コミサイトによって社内の状況が定量化・可視化されています。
そのデータによると、ここ数年で残業時間は確実に減っています。データからは、いわゆる「サービス残業」も社員の申告で全部出るので、劇的に残業時間は減っているのです。しかし、「社員の士気」というスコアは上がっていないのです。残業時間は減っているけれども、社員の士気が上がっていないと。
この国ではかつて、「ゆとり教育」というものがあって、なかなかうまくいかなかった側面があると思いますが、このままいくと何年か後には「働き方改革は、ゆとり労働になっちゃったぞ」と言われる可能性もあるのではないかなと思います。
残業時間の適正化は私自身も非常に重要だと思っていますが、それとセットで経営サイドが社員の共感や士気を高める取り組みをしなければ、日本の国力はもちろん、それぞれの企業の収益は上がっていかないのではないかと思っています。
田中:なるほど。すばらしいですね。本当にすごくいい取り組みをいっぱいされていると思います。今日このウイングアークフォーラムにお越しいただいて、ぜひ我々もリンクアンドモチベーションさまと一緒に世の中を変えられるようなことをしたいと思います。なにか「ウイングアークと一緒にできそうだな」「ウイングアークにちょっと期待してみようかな」ということがあったら、ぜひ一言お願いします。
麻野:ありがとうございます。私たちのこの「モチベーションクラウド」もそうですし……いまいろんな、いわゆるHR Techと呼ばれる「テクノロジーで人の可能性を引き出していこう」という取り組みをしている会社に投資もしています。いま、いろんな企業が少しずつ人に関するデータを取り始めています。
それらのデータをこれからもっと組み合わせて、いろんな解決策へ導いていかなければいけないのですが、なかなかそのデータ処理に時間がかかってしまうという部分があったりするので、そのデータを高速に処理するサポートをしていただいたり、そのデータを現場の方々が見やすく使いやすいかたちに加工していただくような取り組みが一緒にできれば、非常にすばらしいのではないかなと思っています。
田中:ありがとうございます。ぜひそういったところを一緒にやらせていただきたいと思います。今日は本当にありがとうございました。
麻野:ありがとうございました。
田中:ありがとうございました。麻野さんでした。
(会場拍手)
ウイングアーク1st株式会社
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