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Irresistible Email (魅力的なメールの作り方) (全1記事)

2018.12.26

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メールはどのチャネルよりもROIが高い 購読者の心に届く、魅力的なメールの3要素とは

提供:株式会社構造計画研究所

2018年10月23日、セルリアンタワー東急ホテルにて「Send With Confidence Tour」が開催されました。これはメール配信サービス「SendGrid」の日本向け販売代理店である株式会社構造計画研究所が主催するイベントで、米国SendGrid社のエキスパートがメールを使ったマーケティングなどについて講演を行いました。本記事では、SendGrid社のVP of Revenue Marketing・Carly Brantz氏による「魅力的なメールの作り方」の講演模様をお送りします。

メールはどのチャネルよりもROIが高い

Carly Brantz氏:本日は「魅力的なメール」について、お話をさせていただきます。私はCarly Brantzと申します。現在は米国SendGrid社でVP of Revenue Marketingを担当しており、SendGrid社には7年以上勤めております。

メールプログラム(キャンペーン、メールマガジン等のこと)の管理というのは、時にストレスのかかるものですが、私は長年取り組んできました。そこで得た学びについて、今日みなさんにお伝えしたいと思います。

「とても魅力的なもの」とはなにかを考えたとき、おそらく最初にメールは浮かばないでしょう。休暇、おいしい食事、好きなレストラン、ワイン、スコッチ、日本酒。そういったことがまず思い浮かぶと思います。

しかし、メールというものは、どのチャネルよりもROI(Return On Investment=投資利益率)が高いものです。しかし、そういった高いROIを得るためには、メールプログラムについてしっかり考える必要があります。

魅惑的なメールには、この勝利の公式があります。メールに関する正しい要素、そしてよく練られた戦略を使って、メールの受信者の方々とつながりや結びつきを築くということが重要です。

件名には的を絞ったシンプルな文章が望ましい

まず、「正しいメールの要素とはなにか」から始めていきたいと思います。メールを構成する各要素がそれぞれ重要なことは皆さんご存知かと思いますが、本日はそのなかから、とくに重要な3つに絞ってお話しします。

それは「件名」「コンテンツ」、そして「画像」です。

まずは件名について。件名は、購読者がメールを受け取ったときに最初に目にするものです。そして、メールを開封してもらう唯一のチャンスでもあります。ですから、件名は心に響くものでなければいけません。

件名をうまく使えば、購読者にメールを開封してもらうように働きかけることができます。例えばディスカウントを提供したり、なんらかの質問を投げかけたり。または続きが気になるような件名でメールを送り、開封していただけるように仕向けることもできます。

私たちは、件名に単語をいくつ含めるべきかについて調べました。デリバリーチームやビッグデータチームが分析を行ったところ、件名に最もよく使われる単語数は「7つ」でした。けれども、最もエンゲージメントが高いのは4ワード。つまり件名は、的を絞った非常に短い文章が望ましいということです。

(スライドを指して)こちらはモバイルデバイスの件名です。どの件名も4ワードをオーバーしています。モバイル機器でメールを見るときには、このように件名が長すぎて途中で途切れてしまうことがしばしばあります。ですから、非常に短く、簡潔にする必要があります。

カスタム絵文字を使ったアクション

近年、メールの世界でよく起こっている議論に、「絵文字を使うべきか」という問題があります。

私は、個人的に絵文字が大好きです。ただ、SendGridではあまり使っていません。私は、受信箱に(届くメールの件名に)絵文字が入っていると、うれしくなります。例えば、相手が何を提供しているのかがわかったりすることもありますね。それに、例えば旅行業界の方が船や飛行機のカスタム絵文字を使うことで、(施策が)うまくいくこともあるのではないかと思います。

しかし、それであれば典型的な絵文字を使うのではなく、たくさんのメールが入っている受信箱で目立つようにしなければいけません。さまざまな絵文字が入った受信箱ですけれども、この最初の例がとてもよいかと思います。

(スライドを指して)こちらは「タコス、20ドルオフ」というメールです。件名にタコスの絵文字が入っています。これは提供しているものに対応した絵文字ですね。例えばここに、スマイルやハートが入っていますと、絵文字と一緒に読み飛ばされてしまうかもしれません。

ですから、件名に絵文字を使うことには、良い点も悪い点もあると思います。差別化することはできるけれども、すでにメールがたくさん入っている受信箱のなかでは目障りになってしまうかもしれません。さらに、絵文字が適切に使われていない場合もあります。例えば、このタコスの絵文字が件名に正しく表示されているのかどうかをテストする必要もあると思います。

ファーストネームでの呼びかけで、エンゲージは高まらない

もう1つのトレンドとしては、件名のパーソナライズが挙げられます。これはつまり、件名にファーストネームを使うかどうかということです。

ビッグデータチームによって、こちらも分析を行いました。結果は、ファーストネームを使って件名をパーソナライズしても、エンゲージメントは高くならないということです。

例えば、私が朝に受信箱を見てみたところ、すべての件名に「Carly、これをやって」「Carly、この特別なオファーがある」と書かれていたとしたら?「私のファーストネームだけじゃなくて、それ以上の情報も知っているべきじゃないの?」と感じるのではないかと思います。

ですので、魅力的なメールで購読者との関係を作るには、件名にファーストネーム以上の、(受信者との)なんらかの関連性を作るべきだと思います。

コンテンツのトーンを統一する

次の要素は、コピー。つまりメールのコンテンツです。多くの会社がとても特徴的なトーンのコピーを使っています。みなさんにおすすめしたいのは、メールも含めたすべてのマーケティングコンテンツにおいて、トーンを統一することです。

(スライドを指して)こちらは、私が実際に受け取ったニュースレターです。ここでは、Hustleについて焦点を絞ってお話をしたいと思います。これはテクノロジーやトレンドに関する情報などのデイリーニュースです。

このトーンはおもしろく、どのメールにもユーモアが含まれています。時々ユーモアが過ぎるなという時もありますけれども。こちらはまたあとで、例をお見せいたします。

SendGridでは時間の経過とともにトーンが変わってきました。7年前に私が入社した当時は、SendGridのメインターゲットはデベロッパーでした。そのため、ポイントを絞ったカジュアルなトーンのメールを送っていました。そして成長するにつれてマーケターもターゲットになったため、現在は、情報量に富んだコーチのようなトーンでメールを送るようにしています。

誰かを排除するようなユーモアは不要

(スライドを指して)こちらはHustleの例です。これは、メールアドレスを集めるためのWebサイトです。ユーモアに溢れたトーンですが、特定の人々からしか共感を得ることができないかもしれないので注意が必要です。

Hustleはこういったユーモアに溢れた写真も使っています。Facebookのマーク・ザッカーバーグのおもしろい写真ですとか、あるいはタバスコソースを飲んでいる猫の絵。こういったユーモアは共通しています。

そして、メールのコンテンツやコピーにもユーモアが含まれています。例えば、少し行儀の悪い言葉を使ってしまったりすることがありますけれども、けっして誰かを排除するようなトーンや、誰かに対しては機能しないようなトーンを使わないようにしてください。

さらに写真ですが、メールの中にあまり入れすぎないように(してください)。例えばなんらかの制限があって、1~2つの写真しか入れられないということであれば、きちんとメールの内容と紐付いている写真を選ぶようにしてください。

関連性があれば、数少ないメールでもクリック率は上がる

こちらはArtifact Uprisingというフォトプリントの会社の例です。

春を表す6つの情報ということで、このメールの内容に合った池の写真が使われています。このすばらしい写真の1つをクリックするとWebサイトに飛びます。そこで同じ写真が使われていて、このメールの中に入っていた6つの情報がWebサイトに載っています。

次は正しい戦略です。すばらしい戦略を作る要素の中で2つ、セグメント化、そしてテストに絞ってお話をいたします。

(スライドを指して)SendGridでは「Global Email Benchmark Report」を毎年出しております。多くのお客様の、毎月何十億通もの送信実績を元に作成されたレポートです。これを利用すると、他のお客様の統計と比較してご自身の送信結果がどうであるかがわかります。

例えば、年を経るにしたがって送信者が送るメールは少なくなっています。数年前は10件に近かったものが、現在は平均で1ヶ月7件ということになっています。ですので、必ずしも多くのメールを送ることがよいことではありません。

大事なのは、セグメント化して、テストをして、関連のあるメッセージをより少ない数送るということです。少なくても、読者に関連のあるメールであれば、開封率、そしてクリック率が上がることがわかります。

読者に関連性のあるメールを送るためのセグメント化

セグメント化についてですが、ここで2つの要素があります。1つは、人口動態的な情報です。受信者を知るということです。男性か女性か。あるいはどんな年齢層か。

そして、次は行動的な情報です。例えば過去に何を購入したのか、何をクリックしているのか、Webサイトの中でどこを閲覧しているのか。こういった情報を使って、購読者に最も関連性のあるメールを送るためのセグメント化を行いましょう。

さらに、Preference Centerを使うこともおすすめいたします。購読者に関する情報や、人口動態的な情報を購読者自身から教えてもらうことができるので、購読者にどのようなメールを送るべきかわかります。

こちらはSpotifyの例です。Spotifyは、SendGridの長年にわたるお客様でいらっしゃいます。そして、私もSpotifyのロイヤルカスタマーです。

私の人口動態的な情報を使用し、コロラドのどこに住んでいるのか、どういった音楽を聞いているのか、そういった情報にもとづいて、このメールが送られてきます。地域、嗜好……私がこれまでに聴いた音楽にもとづいた情報です。パーソナライズされて、私に合わせて特別に作られたメールを毎回送ってくれます。

カスタムされたメールの効果

そしてもう1つ。Global Benchmark Reportの要素である「Industry Double Click」もぜひ活用してください。どの業界であろうと情報を分析するための助けとなります。

例えば購読者のほとんどが女性であり、モバイルでメールを読んでいるということがわかっていたとすると、それに沿ったメールを作ることができます。誰が購読者であるのかを理解することにより、それに対応した戦略を立てることが可能になります。

(スライドを指して)こちらはGAPからのメールです。私は、GAPでたくさんのものを購入しています。最近も、私や2人の娘のために洋服を買いました。

こちらに「Let’s go, Girls」と書いてありますね。ここには、女性用と子供用の洋服、両方の情報が入っています。私の過去の行動履歴、購入行動により、このオファーは私のためにカスタムされているということです。

次はテストについてです。テストの重要性については言うまでもないでしょう。ターゲットが異なればテストの結果も異なってくるので、必ずご自身でテストを行ってください。例えば、メールが送られる時間、件名の長さ、そして絵文字の使用。それがエンゲージメントにどう影響するのかテストするのです。

わずかな変化が大きな影響を与える

(スライドを指して)これがSendGridで行っているテストです。「SendGrid Scoop」と呼ばれるマンスリーニュースレターです。非常にわずかな変更なんですけれども、こちらのヘッドラインを変えています。右側にはヘッドラインを入れませんでした。(テスト結果は)ヘッドラインを使うことによって、左側ではクリックスルー率が5パーセント上がりました。

この例をお見せした理由をお伝えします。非常にわずかな変化であっても、大きな影響を与え、収益を上げる結果を出すことができるということです。

私がチームにいつも言っているのは、「テストの結果が出たら、すぐに次のテストをしてください。テストを何度も繰り返すのです」ということです。

(スライドを指して)こちらの2つのメールについて、件名の見え方の違いがおわかりになりますでしょうか? このようなかたちで、件名がどのように見えるのかもテストしています。

これは同じ会社からの同じ内容のメールなんですが、過去の行動履歴によって、見た目が変わっています。左側は、金額に反応しやすいことが分かっている読者に対するものなので、金額が強調されています。右側は、一般的なカスタマーに向けて実際に送るものです。このようなかたちでテストをする必要があるのです。

メールの戦略を考え直すべきとき

最後にもう1つだけ、お話ししておきたいことがあります。購読者と友好な関係を構築することの重要性についてです。購読者の受信トレイに無事到達できたとしても、もしそこがメールでいっぱいになっていたとしたら、購読者はみなさんのことをどう思うでしょうか?

メールをきっちりと送るためには、正しい関係を構築することが重要だと思います。購読者に価値を提供できるのかが重要ですね。例えば、きっちり届いていなかったり、開封してもらえないようなことがあったときは、もう一度メールの戦略といったものを考えなければいけません。価値があるかどうかもわからないメールを漫然と送ってはダメなのです。

(スライドを指して)これはSendGrid社のメールなんですが、このようなかたちで一年の振り返りを送っています。SpotifyやUberからも「このような使用率でしたよ」といった内容のメールが来ますよね。それと同じように、弊社が送っているものになります。

今年1年、メールを通してカスタマーにどんな行動があったのか。そして、どのような統計が出たのか。私たちは、このようなかたちの数字にして、お客様の行動、または実績といったものを送っています。

あわせて、Tipsとして「より改善するために、ここに注力したほうがいいのではないか」といった情報も送っています。こうすることによって、メールを受信者にとって価値のあるものにし、良好な関係を築いていくのです。

受け取って気持ちのいいメールとは

(スライドを指して)まず、こちらは悪い例となります。私は、あるコーヒーショップに行ったんですけれども、Wi-Fiを使うためにサインインしました。そしてWi-Fiに接続するようになったらこのメールが届いていました。メールの受信を希望する、というパーミッション(許可)を与えていないにも関わらずです。

メールを送る時に必要なのは、まずパーミッションを得ることです。獲得したメールアドレスを許可なくリストに追加してメール送信を開始する、というのは受信者との関係を悪化させることにしかなりません。

(スライドを指して)こちらは別の例です。Stitch Fixという、私が使っている通販会社で、洋服やジュエリーをひとまとめにして、数ヶ月おきに送ってくるようなサービスになります。

私はメンバーなので、誕生日にはいろいろなかたちでメッセージが来ます。これは1通のメールなのですが、「年々楽しい人になっていますね」「年々輝きを増していますね」「年々オシャレになっていますね」といったメッセージが表示されるようになっています。

これはとくに、私に「買え」と言っていません。ただ、私に対してなにかしらのメッセージを個人的に送ってくれている。そのため、とてもいい気分になり、Stitch Fixに関するイメージは良いものになります。

購読者第一の考え方で、メールは魅力的な姿になる

どうやって信頼感を増していくのかということについてです。まずは(ギブアンドテイクではなく)ギブをすることから考えてください。このメールの受信者はそれによって何を得ることができるのか、どうしたらワクワクしてもらえるのか、そういったことを考えるのが重要です。実際に本文中には無いことを件名に入れる(受信者を騙す)などして、開封やクリックをひたすら求めてはいけません。購読者第一の考え方をしてください。

エンゲージメントの高いロイヤルカスタマー、毎回読んでくれる方には、時折なにかスペシャルなオファーを提供するような、購読者が喜ぶことをする、というのもよりよい関係を構築するのに有効かもしれません。

では、本日のまとめです。

まず、メールをより魅力的にするにはどうすればいいかですが、購読者がどう感じるかをしっかり考え、テストを繰り返すことが重要です。

Eメールも変化しながら進化を続けています。そんな中でメールマーケティングに取り組むというのは非常にエキサイティングなことだと思います。トライアンドエラーを繰り返して、購読者がどんなメールを期待しているのかを見つけてください。

「魅力的なメールの作り方」の説明は以上です。もし質問がありましたら、のちほどお話しできたらと思います。ありがとうございました。

(会場拍手)

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