2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
スタートアップ企業のkintone利用法(全1記事)
提供:サイボウズ株式会社
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片山暁雄氏:お招きいただきありがとうございます。私からは「スタートアップ企業のkintone利用法」ということでお話をさせていただきます。
最初に自己紹介をさせていただきます。私は株式会社ソラコムで働いている片山と申します。現在は、ソラコムでソフトウェアエンジニアをやっていて、自社の製品・サービスに使うプログラムを作る仕事をメインに行なっています。
以前はAWSという、Amazonが提供しているクラウドサービスの会社で働いていました。kintoneはそのときから知っていたのですけれども、同じクラウドベンダーという側面もあり、なかなかお話する機会がありませんでした。今回お声がけいただき、この場に立てたことを非常に光栄に思っています。
今日はもし、大きな会社さんがいらっしゃるようでしたら、「新規事業を始めるときはこういう感じなのかな?」とイメージしながら聞いていただけるとうれしいです。
最初にソラコムがやっているビジネスが、どのようなところを狙っているかご紹介したいと思います。
IoTですね。みなさまこの単語自体は見たことがあると思います。技術的な話もありますし、最近は経済的な媒体にも非常に多く出てくる単語かなと思います。
この単語に対しては、いろいろな解釈があるのですけれども、私は「IoTって何ですか?」と聞かれたときに、いつもこの話をするようにしています。
例えば、ここにはちょうど建設機械、ショベルカーが映っていますけれども、このような物理的な世界にあるものがデジタル化されることで、非常に多くの恩恵を受けることができます。
例えば、みなさまkintoneをお使いになって、物理的な紙に書いてあるものがデジタル化されると非常に便利ですよね。
例えば集計をしたり、グラフにしたり、何かあったら異常を検知したり、さまざまなことをコンピューターで処理できるようになります。
IoTというのは、今みなさまがやっていることを物理的な物まで広げて、かつそれを通信を使ってリアルタイムにデジタルデータに反映させる。このようなことができる世の中になると、非常に便利になりますよといったことの総称だと思っています。
このIoTは、これから非常に多くの分野で使われると思っています。
例えば、自動運転や一次産業の牛・プラント、あとは家。ホームIoTなどがありますけれども、さまざまな箇所でこのようなものが使われて、将来的には非常に重要なビジネス基盤になるのではないかと思っています。
我々のお客様の事例の話を1つしたいと思います。
こちらは、協同ファームさんという九州にある養豚場です。私もお話をするまではぜんぜん知らなかったのですけれども、数千頭の豚を飼っていらっしゃいます。
社長さんは「同じ従業員数で2倍の豚を飼いたい」というビジネス目標を掲げられました。もちろん2倍にすると業務は2倍になるので、さまざまなことを効率化していかないといけません。
このようなところでIoTの技術を使って、例えば、各豚舎の水の流量を取ります。継続的にデジタルデータ化しておくと、水圧が下がったということがわかります。そうすると、水道管が割れているということがわかります。
そうすると、すぐにLINEに通知が飛んできて修理に行けるので、点検をしなくても通知がくるような仕組みを作っていたり、さまざまなトライアルをしています。
協同ファームさんはもともとITに詳しいわけではありませんでしたが、IoTの技術が使える敷居が非常に下がってきているというところで、効果が出るまでトライアンドエラーを繰り返しやすくなりました。
クラウドもデバイスも安くなってきているので、今、このようなことが非常にやりやすくなってきています。
みなさんにもこのようなトライアンドエラーをたくさんしていただきたいという話の中で、我々は今、IoT向け通信サービスを提供しています。サービスは2015年に開始しています。
ソラコムはいわゆるスタートアップ企業でして、創立3年の会社です。我々の会社は従業員のほとんどをエンジニアを占めています。今は(エンジニアが)50人いまして、もちろんマーケティングや営業もいますけれども、エンジニアがメインの会社になっています。
「このような会社がなぜkintoneを使っているのか」ということをお話しさせていただきます。
先ほどご紹介した通りで、我々の会社は2015年に創業しました。会社を大きくしていく、ビジネスを進めていく方法はいくつかあると思いますけれども。我々はいわゆる投資ファンドからお金を入れてもらって一気に成長をしましょうというような作戦で、幸いなことに7億円の資金を調達することができました。
2015年3月、一番最初に何をやったかというと、床を張るところから始めました。スタートアップはリソースがないので、このようなことも全部自分たちでやります。机がないので、床に座って開発をするといった感じになっています。
2015年9月、「ITpro Expo」というイベントで「サービスの提供を開始しました」とアナウンスさせていただきました。このときにようやくサービスができた状態です。
社員数は10名くらい、エンジニアが7名、8名くらいで、やっとお客様に使っていただける部分はできましたという感じでした。
ともかくサービスを大きくするためのシステムなかったので、いろいろと考えた挙句、グロースエンジニアを1人雇いました。
おそらくみなさん聞かれたことがないと思うのですけれども、グロースエンジニアどういうことがミッションかというと、彼はもともとIBMにいて、エンジニアリングもできます。
ともかく会社を大きくすることがKPIになっていて、ただ単にシステムを作るだけではなく、会社を成長させるための仕組みを作るためには何をやってもいいという約束になっています 。
今も実際に計画表を作ったり、タスクを割ったり、Webサイトを自分で更新したり、Webマーケティングをやったり、さまざまなことをやっています。
彼が入ったあとの2015年12月、この時点で我々はkintoneを使うことを決めました。彼がいくつかツールを見て、スタートアップは時間がないので、なるべく使いやすそうなものということでkintoneを選びました。
我々の目指したことは、とにかくみなさんにIoTを簡単に使っていただきたいということです。
例えば、先ほどの養豚場の方であれば、IoTを使うことではなく、「とにかく豚を育てるために工数を減らしたい」ということが目的なので、IoTの仕組みは簡単に使えたほうがいいだろうということで、そのようなプラットフォームを作りたいと思っていました。
さらに、お客様がセルフサービスで使い出せること。例えば、見積もりを取って、いろいろと交渉して、システムを設定してもらって、使い出すのに1ヶ月……我々はこれでは遅いと思っています。
我々のシステムを使っていただくのであれば、お客様が我々に言うことなく使い始めてもらうと。良ければ勝手にもっとたくさん使ってくれる。そのようなものを作りたいと思ってました。
それから非常に重要なことなのですけれども、一番最初に資本金7億円を調達したという話がありましたが、実は私にはぜんぜんお金には見えていなくて、どちらかというとヒットポイントのようなノリです。
ヒットポイントがだんだん減っていって、0になると終了してしまうので、とにかくこのプラットフォームを大きくしないといけないと思っていました。
我々が考えたことは、あらゆるものを自動化することです。
人もいないし、スケールさせる必要もあるので、勝手に使ってもらうにはとにかく自動化しかないと思っていました。
スタートアップですので、業務を1から作れるということはある意味メリットです。
既存の業務を気にせずに業務を作れるのは非常にいいんですけど、完全に手探りなので、最終的にはすべて自動化したいと思っています。
例えば、ある仕事をするときに、自動化を目指してすごい工数をかけても、実際は「手でやったほうが早いよね」といったものではあまり意味ありません。
業務を作る中で、完全に手作業でやるところから完全に自動化するまでいろいろなステップがあると思いますが、ここの部分の落としどころをうまく見つけられる製品が非常に重要だなと思っていて、kintoneはまさにこの部分をうまく柔軟にこなせるツールだと思っています。
我々が使っている業務の例をご紹介したいと思います。「請求書の切り替えをしてください」というお客様がけっこういらっしゃるので、初めは手でやっていたのですけれども、Webの申し込みに切り替えました。バックエンドはもちろんkintoneです。
登録作業はWebから入れると勝手にkintoneに入ります。勝手に入るようにしないと困るので、ここはAPIを使って自動化しました。
そうすると社内のチャットツール「slack」に「申請がきましたよ」という通知が来ます。これもkintoneの機能を使って、JavaScriptを使ってslackに自動的に投げるようにしました。
請求書の切り替えはけっこう面倒くさいんです。我々自身で与信をすることはできないので、実は別の会社さんを使って請求書を発行しています。
その会社さんに登録する作業、データ出力をして、(スライド)右側の画面に打ち込む必要があるのですけれども、この部分は自動化されていません。半自動化でkintoneからCSVを出して、自分の手で入れています。
与信が終わるとまたkintoneに反映するんですけど、実はここもマニュアルです。そのあとに、我々の仕組みでお客様の請求を切り替えるのですが、ここも半自動化されていて、最後にメールを送る部分は自動化されているというかたちです。
お客様から見ると、請求書切り替えの依頼をして、メールが来るまでは勝手にやってくれるのですが、中では自動化と半自動化の部分、手動の部分がまだ残っています。
我々はおもしろい取り組みというか、非常にアナログチックなことをやっていまして、kintoneの請求書切り替えにボタンを1個置いてます。「スクリプト」というボタンを押すと、右上にコマンドが出てきます。
社内システムに別でログインをして、このコマンドをコピペして流しています。パッと見ると「全部つなげればいいじゃないか」と思うんですけど、例えば社内システムにセキュアにログインしようと思うと、いろいろと壁があります。
認証をどうしようとか、APIを飛ばすにしても、インターネット経由なのでそこの認証をどうするかとか、それをkintoneに置くかいろいろ考えた挙句、ここは手でやったほうが早いしセキュアだしということで、このような半自動化をしています。
半自動化の部分が多くなってきたので、もうそろそろつなげようとは思うのですが、このような柔軟な使い方ができるのはkintoneの非常に良いところかなと思っています。
我々がkintoneをどういう目で見ているのかというと、完全に自動化するまでのサポーターです。まずはkintoneの中に、会社のステータスを集めます。例えば、仕事の内容やお客様の依頼など、とにかくkintoneに入れる。
kintoneから取り出す人は、また取り出して仕事をするのですけれども、そのように業務を作っておけば、例えば取り出すのが人であってもプログラムであっても業務は変わらずに、少しずつ自動化していくことができます。
API連携もありますし、請求書処理も処理量に応じて自動化していくことができるので、非常に強いサポーターだと思っています。
さらに特定の業務に関しては、kintoneを卒業してもいいと思ってます。ある部分ではkintonewを使いますけど、完全に自動化してしまった部分はkintoneでなくてもいいかなと思っています。
そのぐらいの感覚でkintoneを使っていますけれども、我々はまだまだ業務をたくさん作らなければいけないので、その部分ではkintoneは非常にありがたい存在だなと思っています。
おかげさまで、我々は2015年にkintoneを導入して、翌年にはヒットポイントが30(億円)に増えました。
さらに翌年グローバルに展開しまして、今度はKDDIさんに支援をしていただけることになりました。この部分でヒットポイントの心配がだいぶなくなったという感じです。
現在、お客様は1万以上になり、サービスも増えて、非常に拡大して、kintoneのおかげで大きくなれたというかたちです。
このようなかたちで、大手のお客様にも使っていただいています。非常にうれしいのは、資本があってIoTがやれるようなお客様だけではなく、我々のようなスタートアップの企業さんにも非常に多く使っていただいていることです。
これはまさに我々が目指すところでして、すぐに使えるプラットフォームを作ることで、スタートアップでも新しいIoT の新しいビジネスができると。そのようなところに貢献できていることは非常にうれしいと思っています。
我々はkintoneを非常にリスペクトしています。なぜかというと、わりと業態が近いと思ってます。
例えば、みなさまのビジネスの中で、データを集める、ステータスを管理するといったものは、ある意味ビジネスの優位性になり得ないんです。
おそらくkintoneはそのようなところを狙っているんだと思っていまして、我々も同じように、例えばモノがネットワークにつながるところは、ひと昔前であれば違ったかもしれませんが、実は今はビジネスの優位性にはなりません。
要は、その上でみなさんがどうビジネスをするかということが一番大事なところで、ビジネス優位性にならないところは、極力このようなプラットフォームに任せるのが重要だと思っています。
kintoneもそのような側面があると思っていて、自分の目線から見ても、ビジネスを組み立てるための非常に素晴らしい部品だと思っています。
我々もkintoneを使って空いた時間を、自分たちの得意領域にフォーカスをするように使っていますけれども、みなさまもそのようにkintoneを活用されているのではないかなと思っています。
最後に我々のビジョンをご紹介したいと思います。
「世界中のヒトとモノをつなげ共鳴する社会へ」ということです。
日本もこれから少子高齢化や生産性の向上、GDPの問題など、さまざまな問題があると思います。
今のチームはかなり真剣に生産性と言いますか、「会社として何をやるのか?」ということを考えて働ける人たちがいる、素晴らしいチームだと思うのですけれども、そのチームがどのようなことをアウトプットしていくのか?
それをもって、自分の身の回りの人・世界の人たちをどのように幸せにするのか? そのようなことを真剣に考えることが非常に大切なことだなと思っています。
みなさまにも、そのようなビジネスにフォーカスしていただくためにも、kintoneをさらに活用していきたいと思いますし、もしIoTをやるのであれば我々のプラットフォームもうまく使っていただいて、新しい取り組みをどんどんしていただきたいと思っています。
今日はkintoneへの愛情をここで表現したかったということで、私のプレゼンは以上とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
(会場拍手)
サイボウズ株式会社
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