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熊本中央高等学校(全2記事)

2018.06.13

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友達に勉強を教えるために予習する ICT教材「すらら」導入で起こった生徒たちの変化

提供:株式会社すららネット

2018年3月12日、熊本県熊本市の熊本中央高等学校にて、「基礎学力向上を実現するICT活用セミナー」が開催されました。教育現場にICT(情報通信技術)が普及しつつある中、インターネットを通じてゲーム感覚で学べるデジタル教材「すらら」を導入した学校の声を紹介します。本パートでは、創立115周年を迎える伝統校・熊本中央高等学校の森氏が導入事例を語ります。

「すらら」導入の経緯

森智也氏(以下、森):みなさんこんにちは。本日は、本校まで足を運んでいただき、ありがとうございます。私たちが1年間やってきたなかでどのような成果があるのかということで、このセミナー開催を提案していただきましした。私たちもちょうど1年間の振り返りをしていたところです。

本校が県内初導入で、本当は30年度からやる予定で検討していたんですが、校長が「やるぞ」と言いましたので、フライングでやり始めました。組織もないままやり始めましたので、今年度は私のほうである程度統括しながらやってきました。

導入の背景ですが、1つは大学入試制度の改定があります。問題点としては、本校はおそらくこの影響を受けることになるので、従来からこの「基礎学力向上のために」ということでさまざまな取り組みをしてきました。

基礎学力向上のための放課後20分の学習などもやっていますが、なかなか統一して成果が見えてこないところがありました。そこで、あらゆる学力層の学力向上を実現できる指導体制を構築しなければならないと思っておりました。

もう1つは、CBT(Computer Based Testing)方式になるテストがあるのではないかという懸念がありました。実は本校にはパソコンを使ったことがない生徒もおりまして、「中学校でやっているんじゃないかな?」と言ったら、やはり「なかなかそういう授業に出られなかった」とか。

あと「家にパソコンがないのでキーボードが打てません」など。先ほど授業を見てもらったのも、本当に5分の4の生徒は最初は人差し指で(キーボードを)打っていたような生徒ばかりでした。そのパソコンに慣れさせようということで始めました。

2つ目の問題は進路保証です。進路指導は面接をしたり、授業でも小論文指導に取り組んだり個別でやったりしているんですが、就職でも学力向上が必要になってくるということで、時代も少し変わってきました。そこで、その学力向上のためになにをするかを考えてきました。

すららの活用方法

この2つの問題点を一緒に解決できないかということで、個別指導が一番いいだろうと考えました。しかし、それを行うには学習させる私たちの教員数が足りないところもありましたので、この「すらら」を活用して個別指導を実現したいと思いました。本年度は、特進コースと共通コースの1・2年生に取り入れてやってみました。

なぜ「すらら」を選んだのかですが、まず1つは勉強が苦手な生徒たちが多いので、あらゆる学力層の生徒に個別で対応する教材じゃなければならないと。

あとでまた話しますが、下位の生徒たちは少し伸ばすことができたかなという結果になりました。ただ、数字だけで見るのではなく、私たちが授業をしていて「あ、しっかり取り組むようになったな」というところが実感です。

ポイントの2つ目ですが、生徒の家庭学習を充実させられるところです。「すらら」はレクチャーが視聴できますので、そのレクチャーで授業の復習がきっちりできます。そして、生徒の理解度に合わせた問題に取り組ませることができるのも魅力で選ばせてもらいました。

また、小学校の問題がわからなくて友達に聞くのが恥ずかしいという生徒がいます。そういった生徒がコソッと自分で勉強できることで、「わからないところがわかるようになった」という生徒も実際にいましたので、そういった使い方もできるんだなと思いました。

また、授業では質問しにくい子が、このレクチャーを見てわかるようになったというのもありました。

すららネットがシラバス作成や委員会の立ち上げもサポート

3つ目が(すららを導入した際の)大きなポイントだったんですが、「豊富な成功事例を持っている」ところです。私は、一昨年の10月に今回と同じようなセミナーが佐賀の龍谷高校で行われたので、見学に行きました。

そして12月に検討して「30年度どうするかな?」という話をして、ある程度検討したところ、もう校長がすぐ12月にやることに決めましたので、「間に合うのか?」と思いました。

本校にはノウハウがまったくありませんでした。そのため、提案した私以外の先生方や担当する先生方の負担が大きくなるとやっぱり大変だよねということで、失敗するのではないかと懸念していました。そんな中で、「どうやったら成功に近づける事ができるか」という事をすららネットの担当の方に相談をしました。

すると、「この赤になっているところができている学校はうまくいきますね」と言われましたので、そこをお手伝いいただいてノウハウをいただきました。

熊本県では、新入生になった4月に一斉テストを行い、12月に県下の一斉テストを行います。実際の活用の目標は、校長が「ここのデータの比較で10ポイントアップできていたらいいな」と言っていましたが、なかなかそこまではいきませんでした。それは今後の目標となっております。

そして、そのためのシラバスづくりとか組織委員会の立ち上げなども、すららネットの担当の方にご協力いただきまして、本校では「すらら委員」を設けております。希望者もどうぞと言いましたので、実際のところ、その組織は全部で18名います。

会議に来るのはだいたい毎回15名ぐらい集まります。まぁ初めの頃は、あまり意見も出なかったですが、現在は活発な意見交換が行われています。

反対意見もありました。「なんでeラーニングばっかりしないとけないのか?」という意見もありました。私が提案させていただいたのは、今までのアナログと新しいデジタルをバランスよく融合させてものを作っていきたいので、協力をお願いしますということで始めています。

理想は生徒たちに家庭学習をしてもらうこと

では、次はすららの活用について話します。

位置付けとしては、生徒一人ひとりが希望する進学進路先を実現するための基礎学力の向上と、中学校の範囲が不定着でなかなか高校の範囲がわからないという生徒への対応です。

毎年、入学時から数学と英語は中学校のやり直しをやって、5月の半ば過ぎぐらいから高校の内容に入る学習進度でしたので、その指導をさらに充実させて、もっと成果があげられないかと考えていました。

そして、教員の手の行き届かないところを、この「すらら」でやってもらいたいというところで取り入れました。

「すらら」の教材は英語の授業で1時間取り入れています。授業の補助として入れているかたちですので、英語ならその単元の文法の課題をすららで提出して、それを使って文法の勉強をしてもらうかたちを取っています。

ただ、そのレクチャーを見てもわからない生徒がおりますので、その生徒に対しては授業の中で説明したりとか、その場で説明したりすることも多々あります。ただ、最近はそういう質問もどんどんなくなってきて、少しわかると実感しているのではないかなと思っております。

そして理想は、家庭学習をしてほしいんです。でも、これまでは生徒たちが家庭学習をしないんですよね。みなさんの学校の生徒さんはされます? もう、うちはですね、しないんですよ。

宿題出してもしてこなくて、大きな声じゃ言えませんが、担当者によってやるクラス・やらないクラスも分かれていました。「すらら」だと全部一括して管理できるなと思って家庭でさせようと思ったんです。

そうしたら「家にタブレットかパソコンがない生徒はどうするんですか?」っていう質問がくる。でも、それはもう想定済みで、「放課後、パソコン室を解放する」という準備をしておきました。当番制にして、月曜と木曜日に解放して、その日に生徒たちに来るようにと。

課題ができない子は強制的に、「テストの1週間前に来なさい」と言ったら、教室に入り切らないぐらい来てしまいまして。(パソコンが)50台ぐらいあるところに100人ぐらい来まして、「これはどうしよう。もっとさせなきゃね」と言いながらやりましたので、もう本当に最初は大変でした。

先生がいなくても生徒が自分で勉強を進められる

最初は全員が100パーセントになるまで、学習をさせきりました。そうしたら、2回目からぐっと減って。今は、「朝したい」という生徒が来たり、放課後も予定日以外にも「今日はできるから来たいです」って。

本校は、アルバイトをしている生徒もいますので、アルバイトが休みの日に、「(アルバイトが)ない日だからこの日は来れる」ということで、自主的に放課後に来る生徒もいます。

月曜日と木曜日は来れないという生徒もいますので、そのあたりはちょっと担任の先生の負担になってしまいました。このように担任がフォローしながら1年間やってきたかたちです。来年はもっと朝と夕方と生徒が来れる時間を増やしてやりたいですね。

そして、「すらら」のいいところは、レクチャーを聴けばだいたいわかることです。例えば、数学の教員がいなくても、できていない生徒がある程度授業が終わって、最後の最後できていないから、レクチャーを見て自分で理解して進めてくれることがあるんです。

実は今の時間、私は1年生のすららの授業なんです。ただ、ほかの教員に「お願いします。担当でついとってください」と言っているので、他教科の教員がついてもやれるという状態です。生徒たちはやり方がわかっているので、もう先生はなにもしないで「やってるかー?」って言って回ると終わるかたちになっています。

生徒のテストの点数が最高で22点アップ

生徒たちには、「すらら」の課題を考査ごとに出しています。うちは中間考査があれば、そのテスト前のすららの授業までが締切です。すららの授業がだいたい月曜日と火曜日にありますから、課題の締切は月曜日と火曜日です。

定期考査でできていない子は、残りの3日間から5日間ぐらい残って(勉強を)させるかたちにしています。だいたいトータルで2時間の勉強ができてます。

後半は少なくなってるじゃないですか。これはおそらく生徒たちがうまくやれるようになったんですよ。今日見てもらった授業もなんですけど。あのクラスは最初は本当に大変でした(笑)。

「したくない」「わからん」って。「大文字でどぎゃんして打てばいいと?」というのがもうたくさんありましたし、数学って横の画面に出てきて、「数字をクリックせんばんいかんって面倒くさい」とかいろいろ言うんですよね。

だから、「そうね」って言いながらやった教員もいれば、私みたいに「だからなんだ?」と、「やれ」というふうにした教員もいて。

そして、最初はすららの授業に私1人くらいしか入ってなかったので、非常に大変でした。声をかけて「見に来てください」と言って支えてもらいながらすすめました。まぁ2名いるとうまくいきますね。

最初は英語ばっかりだったので、うまくいかなかったです。それで、数学の先生にも入ってもらって、数学も英語もバランスよく課題ができるようになりました。やり方が2学期ぐらいでわかって、バッとできたんじゃないかなと思いますし、使い方やIDも全部覚えていますから、それを聞きに来る生徒はほとんどいません。

それと、やっぱりこの学習をしたというのをこうやってデータで見せると、「えっ!」って自分たちで感動しています。「こんなにやったっけ?」みたいな。やっぱりそういうことを言います。これは実際、レクチャーとか課題をしただけの時間なので、計算途中の解いてる時間とか入ってませんから、もっと勉強してるんですよね。

これはここだけの話ですけど、結果として、県下一斉のテストで下位層の生徒が、うちはこれだけいるんです。それが6パーセント減少したので、数字で言えば14~余名ぐらい中位層にアップした生徒がおります。

実際のところ、最高で22点上がっています。それが2人いました。そして、20点上がっている生徒も3人いまして、よくがんばったなと思います。ただ、私たちの課題としては、実はやったのに点数が下がっている子がいるんですね。ですから、その子たちにどう声をかけて一緒にやっていくかが今後の課題だと思います。

伸びた生徒とやりたがらない生徒

それで生徒の意見ですね。これはそちらを読んでいただくといいと思います。ちょっと読んでいただいていいですか?

よろしいですかね。この生徒が一番伸びた生徒です。実際のところ、これが100パーセントやれているかというと、やれていないことがあります。ただ、全体的には生徒たちから80パーセントの課題の提出があります。

ちょっと真ん中にもありますけど、この子は友達に教えるために予習をしてくるような生徒です。この子が最初からそうしたかというと、そうじゃないんですよね。ただ、パソコンを打つのは慣れていたので、どんどんやっていきました。できない生徒は、実はこの子のおかげでできるようになりました。

やらない生徒は、やはり面倒くさがる生徒ですね。これはちょっと手がかかります。実はBe動詞がわからない子も入学してくるので、そういう生徒は無理やり授業で覚えさせて、次にこれができるようにやっていくという段階を踏んだ勉強をしました。。今までと変わらなく手厚い指導が必要になってくるところもありました。

できない生徒の中で「すららをやりたくない」と、「もういらない」と、「来年もなんでするんだ」というような生徒がおります。やりたくないという生徒は、おそらく240人の中の40人ぐらいはいます。

生徒に中学校の時に数学・英語が得意か不得意かアンケートで聞いてみました。数学は得意だったという子が40パーセント、英語も40パーセントでした。不得意だとはっきり書いている生徒が60パーセントいて、得意のほうは「どちらかというと得意」という丸をつける欄も含めて40パーセントだったんですね。それが少し改善したかなと思われるのがこちらですね。

数学だと、「すららでの学習により、数学の授業がわかると実感できたか?」が56.2.パーセントですね。ただ43パーセントは「わからん」と思っています。右側の「すららの講義はわかりやすいです」が63.7パーセントです。

生徒同士の教え合いが始まった

これは2学期の結果なんですけど、1学期の結果は数学が逆でした。数学がうまくいってなくて。「もう数学わからない。やらない」って。英語の課題ばっかり100パーセントみたいなかたちだったので、じゃあ数学の先生に教えてもらおうということで、数学の先生に入ってもらったんですね。

そして英語は、「授業がわかると実感できた」は65.7パーセント。「実感できない」が34.3パーセントです。同じように、「講義がわかりやすいですか?」は、66.9パーセントになっています。

私たちは生徒が不得意と言いながらも、少しずつわかるようになってきたのを実感してきています。ただ、これは今年度、単年度の結果でしかありませんので、このあと3年、5年、10年とやっていくなかで改善をして、目標の100パーセントを目指したいと思います。

そして1つよかったなと思うのは、生徒同士による教え合いが始まったことです。先ほど見学してもらった授業でもすでに2人くらいは終わってたので他の友達に教えていました。早く終わる子はやはりできる子なので、できる子が教えたことで「あ、本当にわかった」と言った子がいます。

なぜかというと、やはり今までは「1回やったら終わりだからさせられてた」というんですよね。すららはしなきゃいけないけど、自分でしてるんです。自分で入力して、解答しますし、すぐに答えが出てくる。隣の友達からほめられるし、わからないと友達や先生が助けてくれる。すぐできるという環境がこういった教えにもつながっていると言っています。

ですから、私たちは、今後は子どもたちがこうやって自主的にやれる体制を作りたいと考えています。

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