2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
1年後、実現する働き方改革では意味がない。電子化×自動化ですぐ実現し、進化を図る、働き方改革の現実解(全1記事)
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田中潤氏(以下、田中):どうもみなさん、こんにちは。ウイングアークで副社長、COOをしています、田中と申します。
大垣考広氏(以下、大垣):みなさん、こんにちは。帳票事業の戦略担当をしております、大垣と申します。
田中:今日は2人で、働き方改革に関するお話をさせていただきたいと思います。タイトルがすごく長くて。「1年後、実現する働き方改革では意味がない。電子化×自動化ですぐ実現し、進化を図る働き方改革の現実解」。それはそうですよね。今から取り組みたいものを1年後にやりますというのは、少し遅すぎる可能性があります。
ですので、今日は、「すぐ実現する働き方改革の現実解」として、ご紹介したいと思います。これが、今日のメインテーマです。「今すぐできる働き方改革」というお話をさせていただきます。
このセッションでは非常に現実的に、どういったことができるのか。そういった事例も交えながら、お話させていただきたいと思いますので、ぜひお聞きください。
大垣:このセッションは働き方改革がテーマです。「紙のプロセス」、これが働き方改革にとって、たいへん天敵なわけです。紙のプロセスがあると生産性、とくに労働生産性が非常に悪くなる。
例えば、今年の安倍首相の宣言によると、文書の統一と電子化によって、行政の効率が上がり、コストが2割削減される。みなさん役所へ行かれるとわかると思います。とにかく紙が多い。
1つの業界に的を絞りますと、例えば地銀。なかなか利益を上げることが厳しいと言われているなかで電子化を用いて、生産性を向上していこう。まさに労働生産性を上げていくんだ、というテーマを非常によく目にします。
こういったなかで、田中さんは最近、ローランド・ベルガーの日本法人の遠藤会長と対談をされていましたよね。
田中:そうなんです。ローランド・ベルガーの遠藤会長は製造業にものすごく詳しい方で、コンサルタントもやられているんです。彼と対談をして、そのなかでどういう働き方改革があるかというお話をしました。
製造部のお話をしようとしていたのですが、製造部は(働き方改革が)進んでいますよね。みなさんもご存知のとおり、工場へ行くと完全に無駄がなく、機械化がされていて、人がやることはすごくミニマイズされています。「もう、(人が)やることはないんじゃないかな」と、実はそういうお話をしていたんです。
でも、「そうじゃないですよ」と言われました。「なんでですか?」と尋ねると、「おそらく、工場の現場はすごいんです。いろいろなことに取り組んでいる。これからもAIを使って自動化する。でも、バックオフィスを見てください。意外と紙が山積みの状態になっていますよ」と。
「この紙のせいで、ぜんぜん働き方改革が進みません」とお話しされていました。ですから、ここですごくポイントだったのが、「紙であることがプロセスを妨げている」ということです。バックオフィスも効率化させないと意味がないんです。
田中:では、「バックオフィスを効率化する」と言ったとき、よくあるお話ですが、「AIを使って自動化しましょう」と言うと、「そしたらバックオフィスをやっている方は何をすればいいの?」「仕事がなくなってしまうじゃないですか」と、このように思われる。
しかし遠藤さんは「それは違う、間違っている」「機械がやるべきことは機械がする。でも人間にしかできないことがありますよ」と言われていました。それは何かと言うと、人と会話をするということです。つまり、営業折衝やサポートなど(人と)対面する働き方。この部分はすごく重要なんです。
顧客接点のある仕事は機械にはできないんですよ。どれだけAI技術が進もうが、人間の感情はわからない。遠藤さんに「人間は顧客接点のある仕事を進めていく。だから、バックオフィスは自動化してもいいんだよ」と言われて、「なるほどね」と思いました。そのためには自動化がすごく重要になってくるというお話をされていて、私もそこですごくそう思いました。
確かに人は、顧客接点のある仕事をしていかないといけない。これはたぶん我々もそうなんですね。仮にITの企業だとしても、やはりこうやってみなさんとお話をする機会があったり、みなさんの声を聞いて、どうしたらいいのかと考えることは、機械にはできないんです。
でも社内の業務だったら、機械ができるかもしれない。やはりこういうところが、すごく重要だと感じました。この話を続けると、もうこの話だけでセッションだけで終わってしまうので(笑)。
ご興味のある方は、少し長いですけど、ぜひ「電子化 × もの作り × ウイングアーク」で検索をしていただけると、この対談の内容が出てきますので、見ていただけたらと思います。
田中:少し話を戻しまして、やはり働き方改革をするうえで重要なのは自動化なんです。自動化することによって、人がやらなくてもいいことを機械にやってもらう。ただ、自動化するためにはすごく重要なことがあります。それはアナログプロセスをなくすことなんです。アナログプロセス、わかりますか?
大垣:このアナログプロセス、みなさん、イメージが湧きますかね? (田中氏に向かって)少し具体的な説明をしていただいてよろしいですか?
田中:このプロセス、実はみなさんも絶対にやっていますから。例えば、紙の帳票や請求書をもらいますと。当社では(それを)営業アシスタントに渡します、そうすると、営業アシスタントが、パパッとシステムに入力してくれるんです。
大垣:ありますよね。僕も(その様子を)よく見ます。
田中:効率化するために、見える位置にその紙をカチャッと、とめたがるんですよ。
大垣:そうですね。確かに貼ってあるとすぐに見えますけど。
田中:「これは効率化なのかな?」と思いますよね。あとは、お客様から電子ファイルでデータが送られてくるんです。この時点だと、ぜんぜんよさそうなんですが、なぜか紙に印刷して、上司に判子を押してもらうんです。
それをさらにスキャナーで撮って、もう1回、電子データにして相手に送り返す。もともと電子データで来たので、それ1個でよかったんです。でも紙が増えて、さらに印鑑を押した後の電子データがもう1個増えて、どこか3倍損をしているような状況になっています。
このプロセスは機械化ができなそうな雰囲気が満載ですよね。こういったこと、つまり人が介在しないといけないもの、これがアナログプロセスです。アナログプロセスがはさまると自動化ができなくなるんです。
田中:なぜかと言うと、自動化は機械がすることなんですよね。機械が行うためには、すべてが電子になっていないとできないんです。ですから、途中で人が持っていくということがあると、その人がやらない限り、プロセスが止まってしまう。だから、自動化ができなくなるんです。
よって、アナログプロセスをなんとかしないといけない。ここが最大のポイントになります。ではこれをどうするか。もちろんいろいろなやり方がありますが、例えば、当社が出している「SPA」という製品があります。
これは電子化をして、合わせてデータ化をすることで自動化ができる。この3点が揃う必要があるんです。ポイントがこのデータ化です。ただデジタルにすればいいわけじゃないです。中身のデータが何も取り出せていないと、次のシステムでは理解不能になります。ただのデジタルになってしまう。
ですので、データ化をして、そしてはじめて自動化というプロセスが生まれるんです。これを実現するのが、SPAです。
では、実際にSPAを使った事例をいくつかお話します、まずはお客様の事例です。この事例についてはけっこうお話をさせていただいているのですが、非常にいい事例なんです。
大垣:お客様は、どちらでしたっけ?
田中:北陸コカ・コーラボトリングさんです。みなさんも1日1本はコーラを飲んでいると思うんですけど。そんな人いないか(笑)。
(会場笑)
田中:私もけっこうコーラが好きで、「ゼロ」じゃないと死んじゃいそうなので、「ゼロ」を飲んでいますけれども(笑)。北陸コカ・コーラさんの場合は、コカ・コーラさんの自動販売機を置かせていただいている方に、今月いくら売上がありましたよという報告を出しているんです。
毎月、自動販売機ごとにいくら売れましたというデータが出るんですが、その部分を、今までは基幹システムで処理をして、それを当社の帳票ツールを使って印刷をしていました。ここは、自分たちで言うのもなんですけど、非常に早いんです。あっという間に100万枚ぐらい印刷されるんです。
出てくると100万枚の紙が溜まりますので、これを人間が封入封緘機というものにガチャっと入れます。そうすると、パタパタと(紙を)折って、封筒に入れて、封もされて出てくるんです。つまり、自動で封筒に詰める機械です。
詰められたものは100万通できますので、これを運送業者さんに渡して輸送していただく、というプロセスでやっています。ちなみにこれは、印刷が始まってから、お客様のところに届くまで、だいたい4日間。非常に長いプロセスです。
田中:ただ実はここでポイントだったのはプロセスの長さではないんです。この一連のプロセスには人が2回、介在しています。この部分が完全なアナログプロセスなんです。そこで、「だったらそのプロセスを大きく変えてみませんか?」とお話ししました。基幹システムは変わらないですよね、もうすでに処理されていますから。
そこで、そのデータをそのままSPAに流していただいたんです。そして「SPAに入れた瞬間に、Webで公開してください」と、公開といっても一般公開ではないですよ。「相手先ごとに公開をしてください」と。
そしたら、先ほどの処理はなくなるんですよ。当たり前なんですけれども。輸送するという手間もコストも、人が介在する部分も全部なくなって、すべて電子でやり取りできるようになりました。
このとき出てきたのが、「(封筒を)運んでいた人たちはどうするの?」という点です。北陸コカ・コーラさんは、全国のコカ・コーラのサポートセンターもやられているんです。とくにお客様対応にすごく力を入れていらっしゃるので、そういった人間にしかできない仕事をやりたいと。
ですから、人財を再活用できる。すごく生産性の高い仕事や付加価値が高い仕事に、みなさんが移行できるということで、こういった人財活用の側面と、あとSPA自身は、先ほどお話をしたように帳票をデータ化できます。これによって電子帳簿保存法にも対応ができているんです。
ついでに、電子帳簿保存法対応としても申請していただいて、そのまま保存しています。ですので、プロセスもほとんどなくなって、データを投入した日に公開と、リードタイムもほぼなくなりました。人の再活用も起きました。おまけに電子帳簿保存法にも対応できていますので、もういいこと尽くめ。本当に素晴らしい事例なんです。
「たかが電子化」のようなお話かもしれませんが、電子化することによって、業務プロセスの改革が生まれた。これを実現できました。まずはアナログプロセスをなくした。人が介在しなくなったということですね。
これによって、人財の再活用、新しい活躍の場をどんどん提供できるようになった。というところが、企業自身を強くしてるんです。ただのコスト削減や、そういったお話ではない。これによって、より新しい仕事がどんどん生まれてくると。
田中潤氏(以下、田中):このようなお客様の事例を見たときに「ウイングアークも負けてはられないと」と、我々も当然、働き方改革に取り組んでいかないといけない。そこで、営業として、大垣さんのところでも取り組んでいることがあるということなので、紹介いただきます。
大垣考広氏(以下、大垣):そうですね。ファイルサーバーの運用。これはもうみなさんも課題をお持ちだと思います。我々はこの「ファイルサーバーの運用改善」について、どのような改善をしたか、デモンストレーションを含めてご紹介します。
田中:大垣さん、ファイルサーバーの運用改善と言っても、最近ストレージは安いし、大量のストレージを用意して、データを入れておけばとりあえずなんとかなるんですよ。
大垣:実は当社もなんとかなると思って、ファイルサーバーを運用していたんです。ところが実際は課題だらけだったんです。具体的にどういうことか、少しご紹介しましょう。
Office文書は非常に便利ですから、私ども営業部は重要な書類、例えば見積書や契約書、開発用のドキュメント、さらには顧客管理まで、さまざまなシーンで利用しているんです。これはみなさんも同じだと思います。
すごく便利ですから、現場の担当者はこういった文書を、とりあえずファイルサーバーに置いておくんです。ですが、いざ再びアクセスしようと思っても、どこにあるかわからなくなってしまうんですね。
田中:これは物理的なものでも、電子化しても一緒だよね。もう、入れてしまったらわけがわからない。
大垣:わからないです。私はよく営業の支援を受けますので、「あの資料どこだったかな?」ということが周りのメンバーに聞かないとわからないという状況だったんです。
やはりこういったところは、SPAが非常に得意です。SPAは、Office文書も取り込めるようになりました。このOffice文書をSPAに取り込みますと、まず全文検索が容易にできます。この全文検索のデモンストレーションを見ていただきますけれども、非常に高速に、そしていろいろな角度から探せますので、非常に営業効率が上がるんです。
大垣:もう1つ、現場のご担当者の方が気付いていない点で言いますと、セキュリティです。
田中:そうですね。
大垣:ファイルサーバーに(文書を)置いて、現場は便利なんですけど、経営者もしくはIT部門の方はビクビクしていると思います。ましてや事故があったら大変なわけです。SPAを使うことで、セキュアに情報を公開でき、例えば誰が持ち出したか、誰が印刷したかという記録もすべて残ります。
さらには、こういったExcelやWordのファイルは、次々とバージョンアップをしていきます。自分が作ったバージョンから、最終的にお客様に届いたバージョンとで、いくつか(情報が)変わっていくわけですね。
これらのファイルをリネームしながら管理してしまうと、その量が膨大になってしまいますが、SPAでは1つのファイルでそういった履歴管理ができます。
ここで少しSPAのデモンストレーションの画面を見ていただきたいと思います。
これがSPAの画面です。画面にありますとおり、営業部のフォルダです。営業部のメンバーが、提案書をすべてここに放り込むという運用になっています。
田中:これでは探せないでしょ?
大垣:よく営業から問い合わせがあることなんですが、最近、働き方改革のセミナーをいろいろなところで行っていると、「営業資料にも、SPAの働き方改革についての最近の資料を差し込みたいので、なにか欲しいんだよね」と言われるんです。
ファイルサーバーで普通に検索してみればわかりますけれども、ここから探すのは大変です。動作が遅いですし、中身を検索しようとしても、とにかくなかなか探せない。
しかしSPAの場合は、全文検索を使うことで簡単に中身を検索することができます。
(「SPA」と入力し検索をかける)
(検索結果が出る)
田中:あれ、表示されるファイルの数がほとんど変わってない。
大垣:ファイル名で探しているわけではなく、中身をしっかり検索していったんですけど、(該当数が多いので)ぜんぜん変化しない。では、当社は最近、RPAとSPAの連携というお話をさせていただいているんですが、「じゃあRPAとSPAが並んだ資料が欲しいな」と……。
(「SPA」、「RPA」と入力し、検索をかける)
(検索結果が出る)
田中:この3つぐらいですか?
大垣:こうなると、一部「SPA」とファイル名にありますが「RPA」はない。ここで「じゃあどの資料がいいかな?」と探すわけです。例えば、このプレビューを見ていただきますと……。
(ファイルを開く)
田中:ああ、あった、あった!
大垣:ありましたね。SPAと、そしてRPA。そうです、このような資料。
田中:これは、PowerPointでしょ?
大垣:はい、PowerPointです。この1枚を探すのに、今まで苦労していたんですが、いろいろな検索を使うことであっという間に効率的に文書にたどり着ける。
大垣:しかし、問題はこのあとです。我々は共有用にファイルサーバーに(ファイルを)あげるんですけれども、あげるのにけっこう苦労するんですよ。
田中:まあ基本的に、多くの人がファイルをきちんと置いてくれないので、だいたいこういう仕組みは破綻しますよね。しっかりと探せるのに、結局、誰も入れてくれないのかと。とくに営業の人は外に出ていることが多いので、ぜんぜんやってくれないんです。
でも最近私、けっこう営業のメンバーとチャットはするんですよ。Slackというのを使っているんです。先ほど大垣さんとも、Slackで連絡をしていました。Slackをご存知かわからないですけど、いわゆるチャットツールです。
(Slackの画面を表示する)
これが先ほどやりとりしていたものです。
ちょうど、つい先ほど別のセッションを(大垣と)一緒に見ていたんです。そのときに、うちのテクノロジー担当の奥さんが出てきたと、よくわからない話をしていたんですけれども、そういう話じゃなくて(笑)。
こういったもので、よくやり取りをしているんです。これぐらいしか、みんなは使ってくれなかったんですよ。だからこういうものを、もっと活用できたら、先ほどお見せした検索ももっと便利になると思うんですよ。
大垣:そうですね。まさに個人とコミュニケーションを取るために、こういったチャットツールは非常に便利なんです。
実は、このなかにSPAアップデートという、ボットを作っています。営業のメンバーはいくつも検索をかけたり、どこの電子棚(フォルダ)にどう保存するか、それすら面倒くさいわけですよ。
だから、「こんなチャットツールあります」と、「ここにとりあえずお客様に出した資料をぜんぶ置いて。送るわけじゃなくて、添付してエンターを押すだけでいいから」ということなんです。
(Slackへのファイルのアップロードを実演)
ここでPowerPointを1つ選んで、エンターを押す。アップロードすれば、これがそのまま裏でSPAに連携しまして、指定された電子棚にファイルとして保存されます。
田中:あ、なにか、SPAが言ってきましたよ。
大垣:しっかりできましたね。SPAにしっかり格納されて、みなさんに共有される状態になりました。
田中:このぐらいだったら外からでもできますね。
大垣:外からでもできますし、営業からすればワンクリックないし、ツークリックですから、非常に便利で簡単にできるということです。
田中:確かにこうやると、どんどんコンテンツも溜まってきて、探すのも楽ですよね。
大垣:このようなかたちで、当社ではOffice文書をセキュアに、全社へ共有しながら、検索できるようなかたちで保管しています。
田中:はい。それでは続いて、SPAの全体像について簡単に触れたいと思います。
今、実際の事例をお話しましたが、SPAはどのような構造になっているのか。まず、SPAにとって重要なのはインプットするデータです。例えば先ほどチャットも使えますというお話もしました。
印刷するような帳票のデータやもらった電子データ、あとは紙と、それ以外にOfficeドキュメントと言われているようなPowerPointやWord、Excel。こういったものすべてが、インプットデータと考えています。
これをSPAに読み込もうとします。そのときにやはり、業務プロセスを自動化してまわす方法として、ただの電子化では足りないんです。そこにデータがある、これが必要になってくるわけです。
データ化されたものというのは、SPAのなかに格納されて、それが管理されて記録されていきます。当然、先ほど検索をパッとしてみましたけれども、ああいうかたちで電子活用がすぐできますし、セキュアに電子データを管理することもできます。
データ化よってデータの受け渡しができるようになりますので、そういったデータ連携。これら全部をつかさどっているのが、SPAの全体像です。こうすることで業務プロセスが、ますます最適化していくんです。
どんどん楽になるんですが、ただ楽になるだけではなく、それによって、より効率化して、新しい働き方ができるようになる。
ポイントは3つです。1つ目は「電子化+データ化」です。今日この場は、データの力で企業をエンパワーする。そういうフォーラムだと思います。まさしくデータ化、これがすごく重要なんです。
我々は帳票から、ありとあらゆるものをデータ化することによって、膨大なデータを手にして、それを活用できるようになると思っています。
2つ目は「活用」です。今のように、パッと検索してパッと使えて、いつでも好きなものを取り出して、データも好きなように入れられる。こういった活用をしていく。そしてセキュリティ管理をしっかりとする。
そして3つ目が「システム連携」ですね。この3点が非常に重要です。ですので、こういった要素をうまく組み合わせることによって、さまざまな働き方改革を実践できるというのが、このSPAの全体像になります。
ですから、ただのツールですというお話ではなくて、どう使いこなすかというところが最大のポイントですね。
田中:それでは、先ほどは営業の方で、Office文書を使って営業効率が改善していますよというお話がありましたけれども、冒頭の、私とローランド・ベルガーの遠藤会長とのお話にあった製造業の課題、バックオフィスをどのように効率化するかという内容へ移ります。
実は、当社も同じだったんです。当社が取り組んでいるバックオフィス改革を少しご紹介したいと思います。
まずその内容としては、領収書です。これはどの企業も絶対に知っていることで、なおかつ役に立つはずです。なぜなら我々がやっていることですから。みなさん今日、タクシーで来られた方もいるかもしれません。
すると必ず領収書が出ますよね。この領収書を精算しようとするときには、だいたい紙に貼ると思います。紙に貼って、自分の社員番号などをいろいろ書くと思うんですけど、それから多くの場合、精算するためにワークフローにデータを入力していると思います。
「じゃあこの紙はどうするの?」と、領収書は経理に送りますよね。経理の方が受け取って、経理側が処理する。ワークフローには承認者がいるはずです。「この領収書は本当にいいの?」と、これは上長ですよね。上長に、「決裁してください」と言う。
そこで、領収書がまわってきたときに、ウイングアークの上長がふと気が付くんです。例えば、大垣さん。
大垣考広氏(以下、大垣):私ですか(笑)。
田中:「あれ? 領収書がついてないじゃん!」と、入力はされているんだけど、領収書がついてないんです。「まあ、だいたい合っているんじゃない?」と言って一応承認します。
その後、経理で「これで合っているんだっけ?」という話になり、「こうやってちゃんと比較しないとだめなんじゃない?」と、紙の領収書を見ながらひたすらチェックするんです。ちなみにウイングアークの社員は500人いるんですが、全国からいろいろなものが来るわけです。
経理はひたすらチェックをして、1か月間、これだけをやっている人もいました。ものすごく膨大な量です。それで、紙はどうしているかというと、チェックが終わったら保管をしています。なので無限に増えます。だんだん書棚も溜まって、倉庫にも溜まる。
でも、ワークフローのデータは電子化されてERPに入っているので、アナログと電子化されたものがごちゃ混ぜの状態。きっとこれはウイングアークだけではなく、ほとんどの企業でよくあるお話だと思います。
田中:それでは今はどうなっているのか。今はですね、領収書もらってきましたら、会社に帰ってくる人はスキャナーで撮ったり、外出先ですぐに処理してしまいたい人はモバイルで写真をパシャっと撮ったり、これでもう電子化されます。モバイルのアプリから、自動的にクラウドのワークフローにアップロードされるんです。
そしてワークフローを起動した瞬間に、SPAに勝手にデータが送られて、タイムスタンプが押されます。この瞬間に原本が保証されるので、本物の領収書として扱います。
そしてワークフローの申請と同時に、タイムスタンプ付きのものを決裁者に渡します。そうすると、もう(領収書データが)ついているので、本物と見比べながら合っているな、間違っているなというやり方にしました。
そうすると、今まで1人に集中していたアナログな経理処理がすべて電子化されて、出先でもモバイルで処理できるので、ウイングアークのマネージャーも、全員、しっかりと処理が出来るようになったんです。
その結果、経理にまわってきたときにはもう処理がほとんど終わっている。一応チェックはします。だいたいこういう人はだめだよねというのは、一応チェックされています。確認が終わると、基幹システムにポンと入る。
それと同時に、領収書の本データと基幹システムのデータが自動的に紐付きます。さらにBIツールである当社の「Dr.Sum」にデータを投入して、あとで分析もできるようにします。加えて、領収書と完全に連携します。
紙は3か月に1回定期検査をしているんですが、これは抜き打ちで。全部はチェックしないです。それが終わったら廃棄します。
田中:これによって何がよかったのか。この効果ですが、まずアナログプロセスがなくなりました。人が紙と画面を見ながら一生懸命に500人分すべてチェックをする。これがなくなりました。そして、経理のチェック業務が劇的に消滅しましたね。だって上長がしっかりとチェックしているんです。
もちろん真面目ではない上長もいるとは思いますが、もう一気に(チェック業務が)減りました。今まで、1ヶ月間もかかった仕事が、2日ぐらいで済む。これによって何が行われたかと言ったら、経理のメンバーが本当の仕事ができるようになるんです。この(無駄のある)仕事のために雇っているわけではないですから。
経理としての本当の仕事をやってもらう。さらにプラスアルファで、実は今私がやっている、みなさんに向かってこうやって話すこと。うちは、経理がこれをやれるんですよ。自分の実体験としてお話をして、ほかの企業様で本当に苦しんでいる経理の方々を助けるために活動するということができるようになりました。
そして、経営にもデータが活かせるようになった。ここが非常にいいところですね。
大垣:田中さん、この経理のデータは内部統制用のかたまったデータですが、これを経営に活かすというのは、具体的にどういうことでしょうか?
田中:だって、領収書って、会社のお金を使っているわけですよね。
大垣:そうですね。大切なお金を使っています。
田中:売上を立てるためにも、もちろん使っていると思うんですが、会社は無限にはお金を使えないので、やはり「これぐらいのなかでどういうやり方ができるか」ということを考えるんです。コスト管理をしっかりとしないといけない。
そのときに、例えば大垣さんと同僚が、どこか飲みに行くためにものすごくお金を使っているのを、見られたらどう思いますか?
大垣:そうですね。確かにほかのメンバーも見られるとすると、自分に自制がつきますね。
田中:ですよね。
大垣:これは適切に使って、しっかりとそれを活かさないと、と思いますね。
田中:このようなことが活かされるためには、データ化をして、見える化をする必要があるんです。そこで、まずは経営がそういった無駄に気が付く必要がありますので、それを実践できるようにしていく。
大垣:その具体的なイメージというのはあるんですか?
田中:具体的なイメージですか? ありますよ。「LIBRARY」です。
大垣:LIBRARY。これはウイングアーク製品ですか?
田中:ウイングアークの製品ではなく、ウイングアークのシステムです。
実はこのLIBRARYというのは、ウイングアークの経営陣だけが見ているコントロールシステムなんです。これはどういうものかと言いますと。
今お話した、領収書を含んだいろいろな帳票のデータや外部からいただいたデータというのはたくさんあります。会計データは当社製品であるDr.Sumに入っています。
さらに当社の営業情報はSalesforceに入っています。これらすべてのデータ、クラウドもオンプレも全部をひっくるめて、MotionBoardという、これも当社の製品を使って作ったのが、LIBRARYというシステムです。
さらに、社内にはない外部データ。第三者のデータもすべて取り込むことによって、経営の可視化、さらに指標化、アクションを起こすための仕組みというものを行っています。今日せっかくなので、ちょっとお見せしようかなと。
大垣:見せられるんですね。
田中:はい。ちょっとお見せしましょうか。
本物なんですよ。今日は見なかったことにしていただきたいんですけど(笑)。ですので少しだけです。
田中:これがLIBRARYです。MotionBoardをベースとした仕組みです。
今「Highlight」と左上にグラフが出ていますね。これは今日、この時点、リアルタイムの当社の予算と実績です。もうすでに超えています。おかげさまで絶好調でございます。ありがとうございます。
次に、この「事業別損益」というところにいきますと。このなかに今現在の予算と実績のデータがババっと出ます。今、数字ばかり映していますが、まあ、だいたいこんな感じです。
大垣:本物ですよね!? このデータ(笑)。
田中:ええ(笑)。
このなかから例えば「共通」部門というと、これはわかりやすく言うと経営層です。そうすると、「経営層が何かお金を使ってるな」とわかるわけです。
うちのCFOの藤本という者がおりまして、「ちょっと、その藤本の(領収書の)内容をちゃんと見ましょう」と。
(詳細が表示される)
これは航空券の領収書ですね。この中にある金額などの数値の部分、ここをデータ化しているんです。同じような個別の数値のデータを読み込んで、その内容がOKされて、計算されて先ほどの一覧表に表示される。
田中:つまり領収書のデータを含めて、全部電子化したということです。データ化されています。せっかくなので、あとほんの少しだけ。簡単にご紹介したいことがあります。
例えば「Analysis」のなかに「受注データ分析」というのがあります。これは当社の今の製品別の売上情報をパパッと見られるんです。
さらに外部データも見れます。これは富士キメラさんなど、外のデータです。これは当社のものではなくて本当に富士キメラさんのデータです。こういったデータを研究することによって、例えば「帳票の市場においてウイングアークは今、シェアがナンバーワンですね」「全体のソフトウェア市場のなかでも35パーセントをクラウドが占めています」、というような、こういうデータがバンバン見えてくる。そういう非常に優れた仕組みになっています。
これで実は、経営がすごく改革されたんです。今まで「データをくれ」と言ってしばらくかかっていたものを、自分で見ればいいんです。すぐにアクションできます。しかも、知りたかったことまで全部ひっくるめてです。これは非常にいい仕組みだなと思っています。
田中:こういった仕組みをいろいろ提供しているSPAはまだまだ進化するんです。そうすると、もっといろいろな働き方改革ができます。この点を大垣さんに、進化のポイントと今後どういう働き方改革ができるのかというところも含めて、お話しいただきたいと思います。
大垣:製品担当の私のほうから、今後のSPA、これからどのような世界があって、みなさまにどのような業務で使っていただけるのか。ここを最後にご紹介していきたいと思います。
先ほどご覧いただきましたSPAの全体像ですが、今後、我々が力を入れていくのは、紙です。紙のデータ化。この紙というのはまだ、企業のドキュメントの8割を占めると言われております。なかなか活用にいたらない、というケースが多いんです。
私どもは、この紙をデータ化するエリア。ここにR&Dを集中しまして、2018年の6月にさまざまな機能を提供していこう、ということでご紹介していきたいと思います。
まだ(提供開始まで)時間がありそうに見えるんですが、開発の基礎技術ですから、しっかりと時間をかけて、お客様に常に利用していただけるかたちで届けたい、という思いがあって、次の6月ということにしています。
具体的にどのようなことができるかと言いますと、自動傾き補正です。これは後ほどデモンストレーションをしますが、紙をデータ化するには、その前に一旦OCRで帳票を読み込むわけです。
小さく見えるんですけれども、読み込むときにいろいろと課題があって、意外と困る要素なんです。少し斜めに撮れてしまったり、もしくはスキャナーが違うとオフセットが全体的にずれたりしますので、それだけでスキャナー、OCRではうまく取れないんです。
こういったものを自動的に補正する。さらには、先ほどのセッションでも実はかなり詳しくやっていたんですが、手書きにチャレンジしていこうということで、数字と日本語の文字。OCRは100点は取れませんので、間違った情報を自動学習していく。そういった機能を提供していきます。
大垣:具体的にどのようなイメージか、少しご覧いただきたいと思います。
まず1つ、斜めに入った帳票を自動的に補正するという技術です。こちらは私も実際、弊社のなかで実証実験をやったんですけれども、なかなか苦労するんです。スキャナーによって少し斜めになったり、オフセットが違うっていうことも頻繁に発生するんです。
こういったもの。これ見ていただくと少し斜めになってる。
田中:ちょっと曲がってますよね。
大垣:これを、SPAは自動的に判別をして、修正し、そのうえでデータを正しく読み込んでくれる機能になります。今これを、ご覧いただくとわかりますとおり、線が引かれて色がついているところが、もともと定位していた、ここを読み込むぞ、という場所なんです。
これだけずれていても、SPAは全体を補正しながらデータを取る技術がある。そうすることで、この右端にあるかたちで、データが確かに取れていることがわかると思います。
田中:しっかりと「株式会社第一システム御中」と取れています。
大垣:さらにですね、今後SPAについては、こういった手書きにもチャレンジしていこうとしています。
この手書きをOCRしていきますと、最近、数字に関しては非常に精度よく撮れるようになっているんです。もともと書いた字が綺麗だということもあるかもしれませんが、この数字を読み取る精度が高くなっています。
さらにデータの読み取りです。例えば、ここを見ていただくと「人参」と見えますね。
田中:「人参」ね。ちゃんと読み取れていますね。
大垣:「タマネギ」には、読み取りデータの方には末尾にカンマが入ってしまっていますが、万が一間違っている場合は、(手入力で)修正をして、保存してあげれば、データとして正しく活用できます。さらには、間違えた情報を記録して、マシンラーニングで情報を蓄積していきます。ですので、次に情報を間違えて読み取ってしまった場合は自動的に修正していく、こういった機能もあります。
田中:いわゆるAIと一緒ですね。
大垣:このセッションはテクノロジーのセッションではございません。それで、このような技術があると何がいいのかということなんですが。
当社が抱えている1つの課題と、それに対する取り組みの例なんですが、当社の経理部門のメンバーは毎月、銀行から入金されたデータをERPに投入します。そのほかに、当社の非常に多くの取引先から、レイアウトの異なる支払通知書が紙のかたちで届いてしまうんです。
田中:100種類もあるんですか?
大垣:100種類どころか、これがもっと増えていくということですね。
田中:取引先がいっぱいですね。
大垣:いっぱいあるんです。これを「データで欲しい」と、経理の人間は10年間言い続けているんですが、実際にデータをいただけているのが1社だけなんです。
田中:ははは(笑)。
大垣:それ以外はすべて紙でしか届けてくれないんです。
田中:1パーセント未満ですか。
大垣:経理の担当は、パソコンを開きまして、ERPのデータと紙のデータを目検でチェックしていきます。これが非常に大変なことなんです。
田中:これはもう、私にはできないですね。
大垣:さらには、消込をしたという情報を証書として監査対応する必要がありますので、結果的にはわざわざ印刷をして棚に入れる。棚に入れるということは、ここでまた新たにアナログなプロセスが発生してるわけです。
この作業に現在、毎月32時間かかっています。このような業務、みなさんにもございませんでしょうか? SPAを導入すると、どうなるか。
SPAが、取引先から届いた帳票を自動的に認識して、そして一気通貫でデータ化をして処理をします。間違った情報になっていた場合は、現場の担当者がその部分だけを訂正してあげればいいですし、さらには間違った情報をマシンラーニングして認識システムがどんどん賢くなる、こういう世界になっています。
(帳票が)CSVデータになってしまえば、あとはシステム連携です。当社の場合、ETL製品を販売していますので、このCSVになったデータをETLが受け取って、ERPと結合し、明細の情報をERPのなかにさらに戻してあげる。
大垣:こうすることで、ますます自動化が進んでいくわけです。先ほど紙に印刷して、溜まっていった帳票は、そのままSPAに保管することができ、監査対応もできます。
これはもともと50パーセントの短縮化を目指していた業務です。こうすることで空いた時間をまた別の生産性の高い業務、もしくは顧客接点のある時間に費やすことができる。こんな世界をみなさんにご提供できます。
さらに、ここで終わりではなく、この仕組みは、どんどん学習していきます。さらに生産性が上がって、我々としては80パーセントまで業務の効率を改善していきたいと考えています。
田中:もっといけそうですよね?
大垣:もっといけると思うんですけど、まずはここを1つの目標値として掲げております。
田中:はい。以上ですね。どうでしたか? SPAをうまく活用することで、アナログプロセスを電子化、データ化して自動化する。そして最終的には働き方改革に繋げる。いろいろな事例をお話させていただきました。それでは、働き方改革はぜひウイングアークにお任せいただきたい! ということで、今日のセッションを終わりにさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
大垣:ありがとうございました。
(会場拍手)
ウイングアーク1st株式会社
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