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DeNA HR フルスイングmeetup!!(全2記事)

2018.01.09

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異動は人事を介さない「ガチな仕組み」 DeNAが始動させた新プロジェクトのキーポイント

提供:株式会社ディー・エヌ・エー

DeNAが2017年10月、社員が熱意をもって働ける環境づくりを目的とした人事プロジェクト「フルスイング」を始動しました。これを受けて、10月25日に「フルスイングmeetup!!」を開催。ヒューマンリソース本部の對馬誠英(つしま まさひで) 氏らが人材育成や採用のノウハウをあますことなく紹介しました。

事業部サイドから人事に転身

對馬誠英氏(以下、對馬):私の自己紹介を簡単にさせていただきます。2005年にDeNAに中途で入りました。1社目はコンサルティング会社にいたのですが、2005年にDeNAに入社して、もう12年いるんです。社歴は長いほうです。

入社してからの前半7年が営業をやってまして、2012年に人事に転身をしました。直近5年間は人事をしているキャリアです。人事は採用マネージャーから始まっていろいろやって、今、HR本部長をしているキャリアですね。

(スライドを指して)好きなことをいろいろ書いています。料理をして、子どもを寝かしつけたあとに、静かな雰囲気で墨をすって書道をするのが好きです。このネタに共感してくれる方?(笑)。

(会場、手を挙げず)

いないんですよね。この趣味、社内で話しても誰もいないんです。書道ってそんなにマイノリティなんですかね?(笑)。私、すごく好きなんですけど……。集中できるんです。いまだにやってます。忙しくて家に帰ってもけっこうやりますね。

DeNAの幅広い事業ポートフォリオ

最初に会社の紹介をいくつかさせていただきます。ご存知の方もいるかもしれないですけど、DeNAはかなり幅広く事業ポートフォリオを持っていまして、いろいろなことにチャレンジしている会社です。

なので田舎の親から「DeNAはどういう会社なんだ?」と聞かれると、社員は答えるのに困ります(笑)。そういうことが実際にけっこう多い。入社したばかりの新卒社員とかは「どう答えるのが適切ですか?」みたいなことを聞いてきたりもしますけど、かなり幅広くいろいろやってます。

実際に歴史を見ても、主力としている事業をいろいろな変遷をしながら企業運営をずっとしてきました。99年にインターネットオークションで設立した会社ですけれども、そこからいろんなチャレンジをして主力事業を変えながらきてますね。今は、売上が約1,500億円で推移していて、約250億円の利益が出ている状況です。

マザーズに上場した直後に私が入社をしていて、このときは従業員120人くらいでした。今は2,000名を超えてますので、会社が大きくなる様子をずっと見てきました。事業サイドや人事にいるときも、いろいろなことを経験しているメンバーだと思っていただければと思います。

人事はなにをKPIに考えるのか

では弊社の人事の取り組みについてご説明します。今日は人事の方に多くお集まりいただいているので、(スライドを指して)これ自体はあまり違和感がないと思います。

「そりゃ企業とか事業は人ですよね」というのは、みなさんも感じられているところだと思いますし、それは我々も強く感じています。

その中で人事がなにをKPIに考えるのか。基本的にいろいろな施策は(スライドを指して)この2つに集約されてくるのかなと思っています。いかに優秀な人材を惹きつけて採用して、いかに入ってきた人材を埋もれさせずに輝かせるか。この2つです。

我々も人事の施策にいろいろチャレンジしていますけど、基本的にはこの2つにしっかりダイレクトに結びついているのかを、新しい施策をやるときの必要な条件だと考えていろんな施策に取り組んできています。

この軸に合わせて我々が今まで取り組んできたことを紹介させていただきます。まずは採用の部分ですね。(スライドを指して)「やっていること」「やってきたこと」と書かせていただいています。非常に当たり前のことですが。

転職エージェントさんとのパートナーシップを強固にしないと、そもそも採用ってうまくいかないですし、量も採れないです。あとは事業部との関係性も重要ですね。

採用に事業部を巻き込むことが非常に重要だと思っていますので、それに関する取り組みも重要視しています。同じように経営陣もしっかり巻き込むこと。あとはHRと事業との関係性という意味で、HRネットワークという新しい取り組みを始めたので、紹介させていただきます。

(スライドを指して)この中で具体的にいろいろな会社の人事のみなさんとお話をするときに課題として聞かれるのが、この2つですね。対事業部でどういう取り組みをしているのかにフォーカスをして紹介をさせていただきます。

いかに事業メンバーを採用にコミットさせるか

事業部の巻き込みという意味でいくつかキーワードを持ってきました。最初に「現場主導meet up」。採用は、やはり会社の生の情報が候補者に伝わらないと採用できないものだと思っています。

人事の人がいくらがんばって話しても、シズル感がなかなか伝わらないというか、「人事の人がまとめて言ってますよね」という反応をされがちだと思っています(笑)。いかに採用の場に事業メンバーが出てきてもらうかを非常に大切にしています。

数えてみたんですけど、エンジニアやデザイナー向けのイベントを直近3ヶ月で30以上はやっています。HRはサポートに回って、基本的には事業サイドのメンバーが前に登壇して、仲間選びのきっかけを作ることをやっております。

(スライドを指して)左側はAIのイベントです。「SHIBUYA SYNAPSE」という、直近で開催したイベントなんですけど、AIのエンジニアの方が自ら企画・推進してこのような取り組みを起こし、仲間づくりに尽力してもらっています。

よくよく考えると、けっこう当たり前の話ですよね。仲間づくりをするということを考えると、誰かがつくった仲間よりも自分でつくりたいと、みなさん思うんじゃないかなと思っています。

スライドの2番目は「リファラル」です。非常に活発にリファラルも活用していて。例えばゲーム事業の採用に関しては、「採用番長」を事業部の中で選定しています。

基本のメイン業務はゲームのプログラミングやプランナーなどをしていますが、採用番長に任命して採用の責任を負ってもらい、しっかりコミットしてもらう状態にした上で、リファラルがしっかり進むような取り組みをやってもらっています。

これは繰り返しになりますけれども、やはり仲間づくりをすることを考えると、仲間になる人が時間を使うことは非常に重要だと思っているので、その一環でやっています。

人事はここに対する費用や工数でのサポートなどを柔軟にやらせてもらっていて、いろいろな会食やイベントを積極的にサポートしています。

結果的にそういう状態になるとプロセスが速くなりますので、人事のみなさんだったら採用のスピードがすごく重要だと肌感を持ってわかっていただけると思います。そういう感覚を実際に面接に入ってもらっている事業部のメンバーにもみんな持ってもらって、速いタイミングでこういうフィードバックがもらえるような仕組みを作って運営をしています。

「HRネットワーク」は、事業部の中に人事の組織を作って、しっかり連携をしていく話なんですけど、これは体制の話にも関わってくるので、のちほど詳しく言及します。

働く仲間と環境が魅力的であり続けるか

いろいろ話してきたんですけど、採用において一番大事なことは、(スライドを指して)これだと思っています。「働く仲間と環境が魅力的であり続けるか」。

このサイクルが回り始めたら、基本採用はうまくいく状態が作れると思っています。この状態をいかに作るか。いいサイクルを回し始めるかことが重要だと思っています。

あるあるとして、我々も過去にやってしまった経験があります。それを紹介させていただきます。この話はあまりしてないですけど、2008年くらいに「モバゲー」がすごい勢いで市場で伸びていて、わかりやすく人が足りなくなりました。

私はそのときは事業サイド側にいたので「人材をください」と言う側で、人材を入れないと売上が伸びないので採用基準が緩んだ時期がありました。マックスで月50人くらい入ってきたと思います。ものすごい人数が入って来て、一時的にはやはり売上は伸びました。ただその先、1、2年経つと、「あれ?」という状況になりました。

改めて振り返りをして、売上優先、事業優先でガンガン人を入れることが良くなかったという反省をしました。カルチャーフィットを確認するってすごく重要だなと。

それ以来、限られたメンバーがカルチャーフィットを最終面接で見極めることを、愚直なまでに徹底をしています。私と数名のメンバーの誰かが、必ず最終面接に入って、どんなに優秀でどんなに即戦力だったとしても、カルチャーフィットしないメンバーは採らないことをずっと貫いています。

ときどき、事業部のメンバーと議論になったりもします。組織風土を築くのは大変ですが、崩れるのは一瞬です。我々は人材のカルチャーフィットに対する想いは非常に強く持っていて、かなりこだわって採用をしています。

私も今でも1日に3~4件の面接をしていますし、やはり仲間をつくるとはそういうことだなと思って、しっかり判断をさせていただいています。

DeNA Qualityという5つのキーワード

「カルチャーってなんだ?」という話ですが、簡単にご紹介すると。DeNAのカルチャーはDeNA Qualityという、(スライドを指して)この5つのキーワードに集約されます。

要は、人として誠実で一緒に働くのに気持ちがいいかどうかをまとめた、DeNA社内のメンバーに対する最低限のコミット要件です。これを非常に大切に、面接の中でもしっかり見極めることを愚直に実施しています。

採用のパートで最後になりますが、私が面接をしている上で大切にしていることをいくつか紹介させていただきます。繰り返しますが、「仲間を増やす」という感覚で面接に臨ませていただいています。

スライドに十人十色と書いていますけど、人は特徴がバラバラで強みも弱みもバラバラ。ですので、優劣などはなくて、合う・合わない、はまる・はまらない、のようなものだと理解していて、そういう認識で面接にも臨んでいます。

「一期一会」とスライドに書いていますけど、なにか1つでもいいきっかけや、いい気づきがお互いに得られるといいなと思って、面接を行っています。

多少前提となるマインド的なところで、Howという意味で言うと、私が面接のときにすごく気をつけていることは面接の事前にフォーカスを決めるということです。これは当たり前のことかもしれませんけど、30分とか45分とか決まった時間の中で面接するってすごく難しいじゃないですか。

カルチャーフィットを見極めるためのマインド

さらに先ほどお話したカルチャーフィットを確認するみたいな話になるとすごく難しいですよね。「なにをやってきましたか?」という経歴を確認していたらあっという間に時間が経ってしまう。その人がどんな人かを見極めるのは、準備しておかないと難しい。そのため、事前に相当準備をします。

例えば、履歴書を読んで綺麗な表現にまとめてきている方がいたら、「本当なのか?」という感じで少し深堀りをしています。

28歳なのにもう12社目など、ジョブホッピング的に社数がかなり多い方がいたら、判断の軸を確認します。軸が揃っていて、ちゃんとした意思決定を積み重ねているか。

また、前の選考段階で面接官が「話が冗長だ」との申し送りがあったり、履歴書の書き方がかなり冗長な場合は、「1分で答えてください」という制限時間を立てたり、「優先順位の高い順に答えてください」など、なにか限定質問をしてみます。

そういう事前に想定している面接を、実際の面接の場でやるということを気をつけていますね。

あとはポテンシャル採用ですね。あまりキャリアがない方でも採用はしますので、ポテンシャル採用をする場合には学ぶ力があるかを見ています。

1つの事柄に対して「どういうことを学んでどう成長しましたか?」ということを聞いたり、面接の最後で「この30分でどういう気づきがありましたか?」と聞いています。なにかの事象から学ぶ力が高いかを確認しています。

仲間として共感ができるか

こういった点を、短い時間で見極めるために、人事のリクルーターのメンバーは前日までに必ず申し送りを送るということを決まりにしています。

面接の直前に送られてきても苦労しますので、その納期は必ず決めて運用をしているという感じですね。

スライドの最後の一文は、仲間として迎えるのであれば、その人が意思決定をする上で感情移入をしたときに、自分が共感できるかどうかがすごく大切だと思っています。

かなり深く話を聞いて感情移入をして「なるほど」と理解します。「その意思決定は確かに理解できるね。共感できるね」というところまでいくように、話を深めていくことを非常に大切にしています。

全体はまだ共有しきれていないと思いますので、個別にお話する時間があれば、ぜひさせていただきたいなと思っています。

「自分の能力を発揮できているか」を確認

このように採用した人を、いかに埋もれさせずに輝かせるか。せっかく採用した人材ですので、余すところなく輝いてほしいなという気持ちが強くあります。

埋もれさせないという意味で事例の紹介です。「キャリアマネジメントアンケート」を2年くらい続けていまして、全社員に毎月月初に約5分で答えられるアンケートをサクッと送ってまして、サクッと答えてもらってます。

なにを聞いているかで言うと、「自分の能力を発揮できていると感じますか?」「仕事にやりがいを感じていますか?」という非常にシンプルな質問を2つ聞いていて、これを定点観測しています。

(スライドを指して)これが8月の生のデータをそのまま出させていただきました。「やりがいを感じているかどうか」という質問に関しては、71パーセントが感じている。「能力を活かしているか」は、84パーセントが活用できていると答えています。

いろいろな感じ方があると思うんですけど、我々は「これはまだ伸び代がある」という見方をしています。(スライドを指して)この赤とかオレンジは、なんらかの問題を抱えている社員ですので、できれば全員真っ青にしたい。埋もれる社員が1人もいてもらっては困ると思っています。

これを人事としても重要なKPIとして毎月見ています。「この数字上がってきたね」「組織開発で入り込んだ、この組織はすごく良くなったね」「気がついたら、この組織かなり悪化してしまったね」。そういうことをみんなが人事の施策とつなげて、PDCAをずっと回している1つの事例の紹介ですね。

マネージャー向けの研修も充実

人を活かすことを考えると半径1メートルで常に接しているマネージャーの存在がまず重要だと思っています。マネージャーに対する施策をいくつか紹介をさせていただきます。

マネージャー強化で大切にしている考え方としては、(スライドを指して)この2つですね。下から紹介しますけど、「自分で改善していく」「そのサイクルを自分で回せる」。DeNAでは「自走」と呼んでますけど、自走できるマネージャーのサポートをする仕組みというのを大切に作っています。

そのため、人選をするときには学ぶ意欲のある人材を抜てきするようにしています。できる・できないよりも学ぶ意欲があるか。そういうメンバーであれば、自走は勝手に回っていきますので、マネージャーをアサインするときにも、この2つポイントというのはけっこう大切にしているところです。

スライドにやっていること・やってきたことを、いくつか書かせていただいています。マネージャー向けの研修は当たり前のようにやっていて、新任時で3回やったり、課題が一緒のマネージャーを集めてラウンドテーブルをやったりしています。

全社のマネージャーが120、130人いるんですけど、全員集めて半年に1回マネージャー合宿というのをやったりとか、そういうこともやってます。

「村で育てる」という考え方を大切に

HRビジネスパートナー制度。多くの会社さんで組んでらっしゃる方もいるかもしれないですけど、我々も半事業部の人事部として、その制度を組んでいます。詳細はのちほどご紹介したいと思います。

あとはダイレクトにフィードバックをもらう文化を大切にしていますので、定期的に振り返りができる仕組みや、先ほど紹介したアンケートによる定点観測を行っています。

あとはマネージャーは、1人で自分の部下全員を育てると思ってしまうと、つい息苦しくなってしまいます。そうならないように横や斜めのマネージャーたちと連携しながら「村で育てる」という考え方を非常に大切にしています。

この中で今日はHRBPとダイレクトフィードバックの話を紹介したいなと思います。

今HRBPを担当しているメンバーはもともと、大きい組織のエンジニアのマネージャー、とある海外拠点の責任者だったメンバー、ゲームのプロデューサーなど、そういうおもしろいバックグラウンドを持ったメンバーを人事の中に迎えて「HRBP体制」を組んでいます。

人事は今、50~60人いるのですが、事業部出身者が65パーセントです。それくらいの比率をここ何年かはずっと保っていると思います。やはり事業会社の人事は、事業をよくわかっていたほうがバリューが出るという感覚がありますので、その感覚を大切にしながら人事運営をしています。

柔軟に体制を見直すことが大事

HRネットワークの話を先ほど端折りましたが、HRBP制度の新しいかたちとして今トライアルをしているところです。

スライドの下にありますが、人事も含めて横断部門は目的に合わせて柔軟に体制を変えればいいと私は思っているので、柔軟に体制を毎回見直しています。今はゲームの事業やオートモーティブの事業は、もともと人事のメンバーが事業部の中に入って活動しています。

採用目標数がグーっと伸びてきたタイミングは、先ほどもお話しましたけど、事業のメンバーに、いかにうまくコミットしてもらって一緒にやるかという協力体制が非常に重要です。

そういうタイミングでは、事業部の席の近くに人事のメンバーを置きます。中に入ってもらって、メンバーとのコミュニケーションを厚くしてもらって、やりたいことがやれるようにということを推進します。

今、ゲームとエンタメの部門だと、そちらの組織の中に人事が20名弱のメンバーが入って採用や組織開発などにコミットして、がんばってくれています。

「2ストライク2ボール」とはなにか

次に組織開発のご紹介です。フィードバックがダイレクトにガンガン入っていく仕組みというのが、成長する組織には不可欠だと私は思っています。

我々は定期的に「2ストライク2ボール」というセッションをやっています。これは、チームのメンバーに集まってもらって、お互いに良いところ・悪いところを付箋に書いて、ホワイトボードに貼っていくワークです。

DeNAの中では頻繁に行われていて、「前回に比べるとボールが減ったね」など、時系列での変化も見て行きます。

スライド下に書いてあるのが実際に入ったボールですね。ボールは赤い付箋に書くというルールで、「人のモチベーションに対して鈍感すぎる」などは、けっこう厳しいですね(笑)。

「末端の現場業務に関与しすぎ。本部長ならもっとやるべきことがあるはず」。これ、相手は本部長ですね(笑)。「感情が表情に出やすい」「沸点が低い」と書かれてますね。「それによってメンバーにやりづらさを感じさせる」とも書かれていますね。

経営陣でもこれを定期的にやります。社長を含めて経営陣が集まって「お互いに2ストライク2ボールやりましょう」というかたちでやっています。

人事のメンバーがだいたい入ってファシリテーションするんですけど、肝がありますので、個別でお話しいただける方はぜひお話ししたいと思います。

たぶん、私は会社の中で一番、「2ストライク2ボール」のファシリテーションをやっているほうだと思います。数えたことはないですけど、数えとけばよかったと思うぐらい、かなりやっています。けっこうおもしろいワークです。

「360°フィードバック」の効果

「360°フィードバック」ということもやっています。いろいろな会社でいろいろな360°をされてるんじゃないかなと思いますが、DeNAは記名式というところがおもしろいです。

なぜそうしているか。清々しく言い合う文化を大切にしているという点と、改善するサイクルを速めたいという目的ですね。誰にどういうことを言われたということが、「じゃあ、俺はここを変えなきゃいけないんだ」という感覚でダイレクトに伝わるので、コミュニケーションがそのあと活発になります。

だいたいこういう意見を受け取ったマネージャーは、メンバーをみんな集めて、「こういうインプットをみんなからもらったんだけど、こういうことを改善していきたいと思う」というコミットをします。そういうかたちで組織開発が行われていくオープンな文化を大切にしています。

スライドは、メンバーから私に入った360°フィードバックです。ちゃんとマネジメントしているので青いですね(笑)。この棒グラフが、点数5段階でやっているんですけど、赤が出てくると「危ないよ」というサインですが、悪くないですね。少し拡大しても悪くないですね(笑)。

コメントを1個だけ紹介します。「直接マネジメントはいいんだけど、中間マネジメントになったときにダメだよね」。名前が入っているので、誰が言ったかはわかります(笑)。こういうオープンな文化が私は好きです。

さらに、「成熟期あるある」ということで、社員が2,000人を超えてきましたので、人材が埋もれる、目が行き届かないことが起こり始めています。やり方を変えなきゃいけない感覚をここ半年から1年ぐらいはずっと持ち始めています。新しいトライもいくつかしているので紹介させていただきます。

人材が埋もれないために考えている大切なことは、どんどんチャレンジアサインをしていくということと、本人から手を挙げる機会を作ることを大切に、いろいろな制度の設計をしていきました。

「大黒柱を引っこ抜く」はどんな成果をもたらすか

やっていること・やっていきたことを、スライドにいくつか書かせていただきました。この2つで具体的に話をしていきたいと思います。

DeNAは昔から「人は仕事で育つ」という考え方を大切にして、やれる人材にはどんどん仕事を任せて「やってみろ」ということをずっとやっています。

「50:50」と書いているのは、成功するかどうかわからない「50:50ぐらいだな」みたいな仕事を、できるだけ振るようにアサインするときには気をつけています。

「大黒柱」と書いていますので、実際に事業責任者であるとか、「いやいや、この人を抜いたら大変でしょう」みたいな人材をボーンと抜いて、ほかの部署に異動してもらうことをやります。

だいたい多くの人事のみなさんからは「そんなことをして大丈夫ですか?」と言われるんですけど、思ったよりも大丈夫ですね。異動してもらう時は流石に痺れますが、ダメだったことは私が知るかぎり一度もないんじゃないかなと思っていますね。

多くの場合、代わりに誰か出てきます。その穴を埋めるために「じゃあ俺がやらないといけないな」と次の人材が出てきます。人を信じて、思い切ってやってみることを大切な考え方にしています。

思い切った取り組み「シェイクハンズ制度」

あとは、手をあげて異動する仕組み「シェイクハンズ制度」をこの8月から開始しました。人事を介さずに、移動先の上長と本人でパッションとコミットが高いレベルで認め合えれば異動が成立するという、多少思い切った取り組みです。

もともとDeNAは、キャリア公募制度を運用していました。「それで本当に社員のニーズに沿えているのか?」と、いろいろな議論をしていく中でこの制度が生まれました。

お互いがしっかり、もちろん受け入れる側も育成にしっかりコミットしないといけないですし、行く側も「自分はさらに成長して輝くんだ」というコミットがないと異動が成立しません。そういうガチな仕組みでもあります。そういう状態が整えば、異動が成立するという仕組みを始めてまして、2ヶ月半で20数名がすでに確定しています。

多くのメンバーにとって、このシェイクハンズ制度が、キャリアを真剣に考えるきっかけになったというのが非常によかったなと思ってます。

「今までなんとなく仕事をしてきたんだけれども、この制度ができて、自分の強みの棚卸しを1回してみました」「キャリアをどうやって積み上げていくか真剣に考えました」など、そういうことが多くの社員から聞けているので、そういう意味でも非常によかったと思っています。

(スライドを指して)シェイクハンズの合意書です。リアルですね。これをお互い、左側は上長、右がその社員で、「あなたは中長期的にコミットしますか?」のようなことを書かされる。婚姻届けのようなものなんですが、これにサインをして人事に提出すると決まる仕組みです。全員分を読んでますけど、熱いことが書かれていて非常にいいと思っています。

ストーリーをしっかり持つことの重要性

最後に。いろいろ話してきたんですけれども、私が人事をやる上で非常に大切だなと思っていることは「ストーリーをしっかり持つ」ということです。

どの会社にもやはり会社のミッション・ビジョンがあると思います。我々はインターネットとAIを活用して、「Delight and Impact the World」という「世の中にDelightを大きなImpactで届けていきたい」ということをビジョンとして掲げています。

そのため、事業戦略としては領域を限定せずに、先ほどお見せしたように多様なポートフォリオでチャレンジを続けています。インターネットとAIは強みであり続ける必要があり、また新しい領域にチャレンジしていくので、改革の担い手になりうる組織じゃないといけませんスピード感は持続し続けなければならない。

それを受けたときに大切にすべき人事戦略とは、変化を好む集団であり、イノベーションが生まれやすいように色とりどりの集団、色とりどりの人材を抱え続けなきゃいけないことです。

あとは採用の質に拘り、迎えた社員にはどんどん思い切って仕事を任せる。組織文化としても硬直化しないように柔軟性や思考の独立性などをちゃんと文化として持たなきゃいけないと考えています。

(スライドを指して)ストーリーがないと施策がバラバラになって効果測定が難しくなったり、気がついたら「これなんのためにやってたっけ?」となる。ストーリーで考えると、自ずと人事の施策は決まってくるかなと思っています。

最後になりますが、さらなる成長のためにHRとして「ピープルアナリティクス」「ブランディング」という2つの部署をHR内に作りました。

このあと2人に話をしてもらうんですけれども、社内でこの領域のトップクラスの人に異動してきてもらいました。今まで事業を対象にゴリゴリこういうことをやっていたんですけど、人や組織を対象に、今フルスイングしてもらっています。

HR組織の中にこの機能を抱える会社が、そんなに多くないんじゃないと思ってます。そういう意味でもおもしろい話が聞けると思いますので、バトンタッチをしたいと思います。

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