2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
提供:ウイングアーク1st株式会社
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内野弘幸氏(以下、内野):みなさま、こんにちは。
今年のウイングアークフォーラム、今日から始まります。みなさまと直に接するこのイベントは、我々にとって、メーカーにとって、とても重要なイベントでございます。その第1発目がこの中部ですね。
いろいろな意味があるんですが、実は我々の会社にとっても今、一番熱い地区なんです。今年の2月に新たな陣営で再スタートしました。この地区のポテンシャルを考えて、新たな所長を任命して再スタートしました。絶好調です。本当にありがとうございます。
我々にとって、この地区のポテンシャルはかなりあります。今の売上はそれなりにあるのですが、3年ぐらいで5倍に増やそうと思っています。そういう地区です。そのなかでも、本日は、我々にとって今大事な「IoT」をテーマにしようと思っております。
IoT、いろいろなところで実は使われてはいるんですが、最近中国に行って、とくに目立ったものを撮ってきました。私がいろいろと撮ったんですが。
オレンジのバイクですね。これがとてもいっぱいあるんです。
これまた上海ですが、上海のあらゆるところにオレンジの自転車が置いてあります。よく見るとバーコードが貼ってあるんですね。みんなスマホをそれにかざして勝手に乗っていくんですよ。
すごいなと思ってあとで調べたら、Mobikeという会社。昨年立ち上がった、わずか1年ちょっとの会社ですね。これがもう14ヶ月ですでに450万台展開している。450万台ですよ。もう90都市で展開を始めて、1日あたり2,000万回利用されているんです。日本では考えられないですよね。
中国というと、昔、自転車が多くてとても……最近は車のイメージがありましたけど、今はまた自転車が復活ですね。地球環境を考えると、非常に正しい方向です。それをすでに運用している。
この会社は、そういう意味では中国の会社なんですが、すでに数十億ドル、数千億円の企業価値があるんですね。わずか1年。みなさん、なぜだと思います? バイクを貸して収入を得る。これではなかなかそこまで企業価値がつかないですよね。
これはまさに今の時代を反映しているんですが、使った人のデータがすべて残るからですね。誰がどんなところからどんなところまで乗ったかというデータが残るから、その価値が絶対にあるということを想定して、投資家が投資をしているんですね。そんな時代です。
日本ではなかなかこういう新しいビジネスが起こらないんですが、私は日本でも根底にはこのシェアリングエコノミーがあるはずだと思うんですよね。私は銭湯が好きなので行くんですけれども、こういうシェアする文化って日本の中では浸透してますよね。日本からもなにか新しいものが生まれてほしいなと思います。
この世の中が、ある意味では、所有するところから利用するほうへ意識がものすごく動いていると感じております。これは地球環境にとっても非常にいい方向ですよね。
それを考えていた矢先、実はこんな情報をいただきました。ある都市が、「市民が車を所有せずに移動できる都市を目指す」と。その都市が自家用車をすべてなくすという非常にショッキングなお話でした。北欧のヘルシンキという都市ですね。これはもうその都市の市長が決めて、数年後にそれを実現すると言っています。
それを支えているのがベンチャー企業です。「MaaS Global」という会社。まだまだご存じの方は少ないかもしれませんが、たぶんこれから非常に目立っていく会社だと思います。スマホだけですべての公共機関が予約ができて、決済ができる。そういうサービスを提供する会社。すでに数都市で実証実験はスタートしています。日本にも展開すると聞いております。
そして驚くのが、この会社にトヨタさんやデンソーさんといった会社が出資をしているのが事実なわけですね。そんなトレンドが世の中に起こっている。
事業のサービス化という流れは、今、我々のビジネスにもいろいろなところからお話をいただいています。
これは一般的な話ですが、ロボットで非常に有名なファナックさん。世界中でロボットに非常に強い会社でございますが、なんとIoTの基盤を提供する。ちょっと聞くとIT企業みたいに見えますよね。
それをオープンプラットフォームで展開する「FIELD system」というものを出しました。ごく最近発表しましたが、これってすごいんですよね。あらゆる工場にある装置からすべてこの基盤にデータを持ってくる。そんなビジネスです。ファナックさんがそれをやるというんですね。「すごいなぁ」ですね。我々も少し協力させていただいております。
こんなかたちで製造業さん、メーカーさんがお客さんとつながろうとしている。そんな時代です。サービス化に向かっている。ウイングアークもこの時代の流れ、サービス化の流れにしっかり乗っていこうと思っています。さもないと、おそらく10年後にはウイングアークはなくなると思うんです。そのくらいの変化がこれから起こると私は覚悟しております。
ここからウイングアークがどんなサービス化するのか、私ではなくてニューリーダーの田中副社長に来てもらいたいと思います。
田中潤氏(以下、田中):みなさん、こんにちは。ウイングアーク、田中でございます。
今、内野からお話がありましたが、みなさんウイングアークはソフトウェアの会社だと思われていると思いますけれども、私のほうからは、これから我々はなにを目指していくのかというところをご紹介したいと思います。
もしかしたらこの会場に来られた時に気がついた方もいるかもしれませんけれども、当社ウイングアーク1stのロゴの下に「Data Empowerment Company」と書いてあります。この「Data Empowermentってなんだ?」というところが、実は当社がこれから目指す姿、新しいサービスのかたちになっています。
実は昨年のフォーラムの基調講演の最後のスライドに「Data Empowerment Company」と書いてあったんですけれども、それから1年経ちまして、Data Empowermentということをついにご紹介できる日が来ました。「これはいったいなんなのか?」と。
我々がずっとソフトウェアを提供しているなかで、1つだけ気になっていたところがありました。例えば帳票のツールを出したり、BIのソフトウェアを提供していますけれども、基本的に「ソフトウェアを使うことによって企業の価値が上がります」と説明しても、「どうやって使うの?」「こうやって使うんです」「じゃあどういう現場で使ったらもっとちゃんと使えるの?」と必ず聞かれるんですね。
その時に、我々が一番困ったのが、お客様のデータは、もちろん当社のものではありませんので、「こういうふうなものです」と想定してお話をする。そうではなくて、我々自身が本当のデータの価値に気がついて、その使い方まで教えたかったんですけれども、なかなかそういう機会がありませんでした。
実際にすでにみなさんの企業の中にたくさんのデータがあります。もちろんお客様の情報もあるかもしれないですし、商品の情報、販売に関する情報、いろいろなものがあると思うんですけれども、これを使うことによって、実はもっと業績を上げるためのさまざまな施策が本当はできるんですね。
でも、なかなか使いこなせなかったり、「具体的にどうやったらいいんだ?」ということが非常に多い。「本当はこのデータを活用できればいいのに」と。そこを我々がぜひとも支援したい。それこそがData Empowerment、つまりデータの価値に気づいて、活用してイノベーションを起こす。そういうものを提供するのがData Empowermentです。
これを実現するのがData Empowerment Company。これから我々はそういうところを目指します! というところをスローガンとしているんですね。
では「ウイングアークが提供するData Empowermentってなに?」。
まず1つ、Data Empowermentをみなさんに理解していただくために、あえて言葉にして「Data Empowerment Solution」という言い方をしています。
当社では今「3rd Party Data Gallery」というかたちで、外部のいろいろなデータを加工して使いやすいかたちにして提供をしています。例えば小売関係のお客様ですと、天候の情報や、携帯電話を持っている方がどういうことをしているか、外国人の方が日本に来てなにをしているのか、こういったいろいろな情報があるんですけれども。
1つポイントになってくるのは、そういった情報と、みなさまがすでにお持ちの情報をうまく組み合わせることによって、「実はこういう気づきがあるんですよ」「こういうことができるんです」というデータの価値自身にまず気づいていただくというところです。
そして、当社はいろいろな製品・テクノロジーを持っています。MotionBoardですとかSPA、SVFだったり、さまざまなものがございまして、こういったものをうまく使うことによって、そのデータを活かす方法が見えてきます。
「じゃあ具体的にはどうするのか?」。ここが最大のポイントだと思うんですけれども、この部分に対して当社自身がこれからみなさまにご提供していこうと。実際に業種や業務に向けてのシナリオ・テンプレートなどを組み合わせることによって、「どうやって活用すればいいの?」というところをご紹介しようと思います。
今日このフォーラムの中でも具体的な活用事例をご紹介しますが、当社自身が実践しているものが非常に多くあります。これ自身をそのままのかたちでみなさまに提供できる。これがData Empowerment Solutionです。
とくに当社、まさしくウイングアークでは製品の販売を行っていますので、営業活動に非常に力を入れております。営業の効率化によってどうやって売上が上がるのかという業務型の考え方や、IoT、例えばセンサーを使ってどうやって業績に貢献するのかという業種特化型の製造業向けの考え方ですね。こういったものがまさしくData Empowerment Solutionというかたちで提供できるようになってきます。
こういうものを提供していくと、一見すると、一般的なSIをするのと同じじゃないかと思われるかもしれませんが、当社の基本的な軸になっているのはテクノロジーなんですね。このテクノロジーを最大限活かすことによって、最高の効果を得るのだと。ここがやはり我々のData Empowerment Solutionの最大の特長です。
そのためにデータの価値自身を当社がみなさんに気づかせてあげる。そして具体的なノウハウを含めた提供をする。こういったことを実現していくことを考えています。
ここまでは、実は当社でもうすでに行っていることの1つです。では、これからどうなるのか?
先ほど内野からシェアリングエコノミーの話がありましたよね。これはみなさまの会社に対してはご提供できますけれども、とくにシェアしているものはなにもない。「ではこれから先、次のステージはどうなるのか?」。ここが最大のポイントになってくると思いますけれども、次に我々がData Empowermentの発展形として考えているのが、企業の枠を超えたデータをつなぐためのデータのプラットフォームです。
つまり、みなさまのデータだけではなくて、業界のデータやさまざまな企業間のデータを入れることによって、企業を超えてデータをつなぎ合わせます。
そして、データ活用で価値を創造するためのoutput platform。これはまさしく我々が今実現しているところですけれども、この2つをつなぎ合わせることによって新たなサービスモデルを提供する。「Data Empowerment Service」というものを今考えております。
絵でもわかるとおり、これはクラウドベース型で提供できます。みなさま自身で製品を保有しなくても利用できるタイプです。
そうしますと、当然、価値あるデータを提供することができます。みなさまの企業の中のデータだけではなくて、本来欲しかったほかの業界のデータや世の中の動きといったものが提供できるようになりますし、それに対して価値あるナレッジ、考え方ですね。データだけもらっても「じゃあどう使うの?」となりますので、このナレッジも含めて提供できます。
さらに、この2つのプラットフォームをうまく使うことによって、ある特定の業界に向かってさまざまなサービスを提供するというモデルをいくつも提供しようと考えております。これ自身が業界向けの特化型のサービス、Data Empowerment Serviceということでみなさまがいつでもご利用できるかたちに持っていく。
ソフトウェアから始まって、今、我々が「Data Empowerment Solution」というかたちで提供を始め、そのノウハウをすべて活かした「Data Empowerment Service」。この3段階でみなさまにぜひ企業としての価値を上げていただくためのご支援をしたいと思っています。これが我々が考えている新しいウイングアークのサービスのかたちになります。
では、内野に戻したいと思います。
内野:なんかこれだけだと、絵に描いたような餅に見えるんだけど。
田中:(笑)。
内野:と思われますよね。絵に描いた餅のような。でも、実は昨年にこの名古屋のフォーラムで登壇いただいた渡會さん。昨年聞かれた方もこの中におられると思うのですが、この時はマーケティングのお話をしていただきました。とても私も刺激的なお話ができてよかったんですが、実はこの方と、なんとこの1年のあいだに一緒にビジネスをすることになったんです。田中さん、これ内容は言っていい?
田中:まだ発表前なんですよね。来月の東京のフォーラムで実は発表しようと思っておりまして(笑)。
内野:そうですね。ぜひご期待いただきたいんですが。とある業界を束ねて、その業界のデータを集めていく、そんなサービス展開を計画しておりますので楽しみにお待ちください。田中副社長、ありがとうございます。
田中:ありがとうございました。
内野:今日の本題ですよね。経営者対談。毎回名古屋ではこの経営者対談をとても大事にしております。経営者とお話をすることによって、今、経営者がなにを大事にしてるかを聞き出して、みなさん方にそれに持って帰っていただく。それを趣旨にしております。
今年はなにをテーマにしようかなと思っていろいろ考えました。やはり今起こっている大きな流れ、トレンドは広く捉えると産業革命だと思うんですが、この地区にとっては、とても真正面なテーマだと思います。
振り返ると、産業革命でいうと、最初は蒸気でしたね。第1次産業革命。そのために石炭がとても重要だったわけです。これで機械化ができたわけですね。第2次は電気。電気が発明されたことによって劇的な大量生産が行われるようになった。ここでとても重要なのが石油です。各国がここを競ったわけですよね。
そのうえで第3次。コンピュータ。今は普通にコンピュータがありますよね。コンピュータは自動処理だけじゃなくて、マイコンのような機械制御、こんなことも含めたコンピュータですが、ここで重要な要素が半導体ですね。
そして今、第4次と言われています。「○○4.0」と言われていますけれども、ここで注目されるものは当然、AIとIoTの2つですよね。そして、この裏側にはデータがあるわけですが、これによって今までにないような革命が起こると言われております。みなさま方もそれをお感じになってると思います。どんなふうに変わるか、はっきりした絵は描けないかもしれませんが、でもなにか大きく変わる。そう思っておられる方が多いと思います。
ここで重要な要素が、もうおわかりですよね、データです。データが鍵になります。ここをどう押さえるか。これからのビジネスでとても重要なところです。
今日はこのIoTに関して対談をしたいと思って、我々のお客様でここだと思う方が見つかりました。オプテックスさんという会社です。今日は社長に来ていただいています。上村社長。拍手でお願いします。
(会場拍手)
上村透氏(以下、上村):はじめまして。オプテックスの上村です。
内野:オプテックスという会社はわりとこの地域に近いんですが、ご存じの方どれぐらいおられますか? 社名は前に出ていますが。
(挙手少数)
ですよね。というリアクションを想定しておりましたが、たぶんあまりご存じないです。表に出ないんです。ブランドとして表に出ないですが、みなさんとは毎日接している製品を作っております。昨日もテレビに出たかな?
上村:『ドクターX』というお医者さんのドラマがあります。そこではオペ室からきれいな女医さんが出てくるときにいつもドアが開くところがアップにされるんですけど、そこに自動ドアのセンサーがついてまして、そこにオプテックスと書いてあります。
内野:ロゴが出てたらしいですね。
上村:はい。ですので、我々は実は自動ドアセンサーの生産では世界1位でございまして、日本では6割ぐらいのシェアを持っているので、みなさん必ず下をくぐっておられるんですよね。
内野:ここのビルはどうですか?
上村:ここもそうです。
内野:やっぱり(笑)。
上村:はい(笑)。
内野:こんなところもお世話になっていますね。自動ドアのセンサーですね。ちょっと聞くと、新幹線の車両の中のドアがありますよね。あれもかなりシェアを持っておられるんですね。
上村:東北や北陸新幹線は100パーセントでございます。
内野:意外なところでみなさん、使っています。
ちょっとこの写真をご覧になってください。すてきなオフィスですよね。これは本社の社屋です。
その前にきれいな湖があります。これは琵琶湖ですよね?
上村:琵琶湖です。
内野:ですね。(滋賀県の)雄琴に。
上村:雄琴にあるんです。
内野:なぜでしょう?
上村:あとでまた紹介しますけど、我々は実は海外の売上が7割ぐらいあります。ですので……。
内野:さらっと言いましたけど、7割ですよ。
上村:ということなので、海外がメインなものですから、東京にオフィスがあっても滋賀にあっても世界から見たら誤差なので、だったら環境のいいところにいたほうがいいということで、土地も安いですし、琵琶湖の本当にいい社屋を建てた。そういうことでございます。
内野:気持ちいい話ですね。誤差ですって。雄琴も東京も、世界のグローバル、地球儀から見たら誤差だと。だったら環境のいいこの場所で。正しいですよね。私も行きました。とてもすてきなオフィスで、たぶん研究者の方々はものすごく脳みそが活性化しますよね。
上村:そうですね。
内野:はい。ここは創業地から?
上村:創業は少し違うところなんですけど、同じ琵琶湖にいて、変わっておりません。
内野:よろしければ会社のご紹介を。
上村:先ほども言いましたけど、自動ドアのセンサーや、ほかにもいろいろやっています。38年前に創業いたしまして、世界で初めて……みなさん、昔は体重で自動ドアが開いてた時代があるんですよ。50代以上の人は知ってると思うんですけど(笑)。体重で開けていたものですから故障がいっぱいあったということで、遠赤外線の技術を使って人を検知してドアを開けるというものを、世界で初めて作った会社でございます。
そういうことでセンサーメーカーなんですけれども、汎用的なセンサーを作る会社ではなくて、明確に用途を絞って目的を絞ったセンサーを作る会社です。目的を絞るので、ニッチ市場でナンバー1になるということをずっと続けている会社でございます。
内野:シェアはどういう感じですか?
上村:全体で見たシェアなんですけれども、人を検知する技術を持っているので、侵入者ですね。防犯、セキュリティ用のセンサーが世界の4割。あるいは、これもみなさんたぶんくぐっていると思いますけど、日本で5万箇所ぐらいに人数を数えるセンサーがついているんです。
内野:例えばどんなところに?
上村:有名なところはたいがい入っています。名古屋のデパートはほぼ入っていますし、もちろん東京スカイツリーや東京ドームなどいろいろなところについているんですけど、人数を数えてそのデータを活かすという事業が実はありまして。それは日本で8割ぐらい。
LEDの照明もやっているんですけれども、セキュリティ用の照明やマシンビジョン。名古屋地区だったらたぶんFA(Factory Automation)をやられている方が多いと思いますけど、それ用の照明とか。ものすごくニッチなところなんですけど、世界でシェアを取るという事業をやっています。
内野:でも、80パーセントといったらすごいです。ほとんど独占状態ですね。
上村:はい。
内野:それはなぜ独占的な、そこまでシェア取ってるんですか?
上村:重要なので、繰り返しますけど、我々は汎用的なセンサーではなくて用途を絞ってそれ用のセンサーを作るので、やはりほかのところよりも当然精度がいいです。そして、取り付け方だったり、大きさだったり、色だったり、いろいろなものが特定用途にびっちり合わせている、だから、勝てる。それは日本でも海外でも。ただ絞っているからこそ勝てているということだと思います。
内野:私は琵琶湖に行かせていただいて貴重なお話をうかがったんですが、人感、人をちゃんと見分けるのがとても難しいとおっしゃってまして。例えば、外に行くと動物がいたりしますよね。犬がいたりとか。そうすると、犬なのか、人来たのか、見分けるんですよね?
上村:そうなんです。
内野:あと例えば、最近、我々の身近でいうと、データセンターがありますけれども、データの入室チェックってかなり厳しいですよね。一緒にカードを持っている人の後ろについていく人もけっこう問題なわけですが、それもわかる。
上村:はい。共連れセンサーと言うんですけれども、これもニッチな市場なんですけど、我々がトップシェアでございます。
内野:そうですね。ただ、ニッチですけど、それに対してすごく深掘りをして、それでもう世界中でここしかないと言わしめる事業やっているのがオプテックスさんですよね。
上村:はい。
内野:トップシェアを目指す意味。なぜそこまでトップシェアにこだわるんですかね。それを少し聞いてみたいんですが。
上村:ニッチな市場でシェアを上げると、やはり利益が出ます。利益が出ると、次にR&Dの投資ができる。我々はだいたい売上の8パーセントぐらいをR&Dに投資しています。
ですので、そういうふうに利益をあげて投資をするのを繰り返すためには、我々は大きな会社ではないので、ニッチなところでシェアを取って利益を出すということを続けています。
大きな市場は魅力なんですけど、そこに行って大海で溺れるよりは、琵琶湖のような世界で見たら小さなエリアで大きな魚に会う。そういう考えです。
内野:これって私はすごく大事なところだと思うんですね。日本の企業で利益が高い会社はそれほど多くなくて、利益率が低い会社がけっこう多いんですよね。世界中の企業、とくにアメリカなどを見ると利益率が高いんですよ。この違いはやはり投資の違いなどに出ると思うんです。
上村:そうですね。
内野:そこをしっかりと腹に決めて、その上でマーケットシェアを取っているのがオプテックスさんですね。上場している会社さんなので、たぶんIRをご覧になったらわかると思うんですが、かなりパーセンテージはいいところに。
上村:まあまあ(笑)。
内野:2桁?
上村:2桁はいってます。
内野:ということですね。営業利益率ですね。実は我々もよく「海外で売れば」ということを言われるんですけど、我々もやはり先行投資をしっかりしようと思っています。とても大事なところだと思います。
(シェアを)獲得する上でとくに大事にしていることや工夫はありますか?
上村:我々は、用途を絞る。そこが最大のポイントです。
内野:そこがポイントですね。その上で、たぶんいろいろ工夫しているところがあると思うんです。
上村:はい。ですので、この絵にあります、左の下のほうにセンシング技術と書いてありますが、これは実は誰でも手に入る技術です。赤外線でも、マイクロウェーブでも、加速度でも、いいチップ、素子はあります。
すでにあるその技術を使って、真ん中にある防犯用や、照明と書いてあるのは照明をつけるためのものや、自動ドア、ファクトリーオートメーション、それから水の汚れを見るとか、人数カウントとか。
そういうふうに用途を絞ることでこの先進技術を活かす。そうするとおのずとニッチな市場、ニッチなカテゴリにたどりついて、深掘りした良い商品ができる。そういうことを続けています。
上村:(スライドの)右上のほうに「IoS」と書いてありますけれども。
内野:聞き慣れない言葉ですね。
上村:はい。世の中は「IoT」と言ってるんですけど、我々は5年前から「IoS(Internet of Sensing Solution)」ということで、我々のセンサーがいいデータを出して、そのデータを通信でお届けすると新たなサービスができる、ということを5年前からやり始めています。
内野:だから我々の事業展開とすごく似ているんです。我々もツールから始まっていって、だんだんソリューションの方向に向かっていっているんですね。まさにその走りですよね。
上村:はい。
内野:それが結果的にはこういう状況なわけですね。
上村:我々はそれほど大きな会社ではないんですけれども、300億円ほどの売上で、実は世界が7割から6割を占めています。年によって変わるんですけれども。アプリケーションでいうと、防犯が全体の4割。ファクトリーオートメーション、検査用のLED、マシンビジョンですね。こういうものが20パーセント、16パーセント。自動ドア。というふうに、かなりアプリケーションの用途が明確な事業をやっています。
この新しいアプリケーションを見つけてはR&Dとして投入していくという会社でございます。そのアプリケーションや絞った用途が、たまたま海外での売上が多い。
内野:たまたまなんですね。
上村:はい。だから、防犯って日本みたいな安全な国は需要がないんです。でも、海外に行くとものすごく需要があるので、そちらで売れたということです。あえて海外に行ったわけではなくて、用途を絞ってそれが活きるところへ行ったら売れて、そこでシェアがあがったということで、結果的に今80ヶ国以上に製品を出している。そういう状況です。
内野:すごく本質的な話ですよね。「海外行くぞ!」「海外出たいんだ!」というところではないんですよね。結果的にグローバルの売上が大きかった。それは、こだわりを持って作っていたら海外にマーケットがあった。
ヨーロッパ市場だとか中東、もしくはアフリカ系の割合ですね。日本が高いのは当然だと思うんですが、これらの地域でシェアが高いのはやはり少し危ないところだから?
上村:危ないです。大変な状態ですね。
内野:ですよね。
上村:はい。
内野:その結果、オプテックスさんのセンサーがやはり一番人を見分けられる。もしくは防犯に強いということで採用されているということですね。これはやはり基本的な要素だと感じます。
ウイングアーク1st株式会社
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