2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
レシピ検索に見る「ローカルらしさ」の今(全1記事)
提供:クックパッド株式会社
リンクをコピー
記事をブックマーク
村上雅洋氏(以下、村上):みなさん、こんにちわ。クックパッド株式会社の村上と申します。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
途中で自己紹介が来てしまうんですけれども。先に言っておくと、クックパッドに集まっているデータ、主に検索データを日々見ているような人間です。
(スライドを指して)さっそく田園風景が広がってるんですが、実はこの風景の場所はわたしの地元です。いわゆる「ローカルらしさ」を感じられる地域で育ったのですが、食べ物がおいしくて。とくにお米が美味しくて、とても好きです。こんなエリアで育ってきました。
そんな私から、今日は「レシピ検索から見る『ローカルらしさ』のいま」というタイトルでお話させていただきたいと思っております。
簡単に自己紹介からさせていただくと、約3年前くらいにクックパッドにジョインさせていただいたのですが、それまでは日系の市場調査会社にて、データ解析やクライアント企業のマーケティング課題の解決に従事してまいりました。
自動車メーカー、家電メーカーをクライアントにもって、主に東南アジアを中心とした海外マーケティングの支援を中心に仕事をしてきたので、料理はまったくしたことがなかったんです。正直なところ、包丁とまな板も実は持っていなかったような人間でして、クックパッドにいきなりジョインして、「これはまずいな」と思ったことを覚えています。
今はちゃんと切ることも煮ることも炒めることなど、ある程度のことはできるようになったかなとは思っています。それもクックパッドというレシピの詳細があるからできたと感じています。
普段は、クックパッドに集まってくるデータを日々分析しています。検索デー タ・投稿レシピに見られる生活者ニーズに関する分析、広告施策の効果測定やプランニングなどを担当しております。また、「たべみる」という法人向けのデータサービスの事業責任者をしています。
クックパッドで検索されている検索キーワードは、だいたい年間で8万語ぐらいあります。このデータを集約して、データを可視化しているサービスです。
このデータを使って、本日はこの「レシピ検索から見える『ローカルらしさ』」ということをお話ししていきたいなと思っております。
この「ローカルらしさ」って、みなさんなんだと思いますか? 「らしさ」ってなんでしょう。答えに詰まりますよね。「ローカルらしさってなんですか?」と聞かれるとすごく難しくないですか? このテーマを与えられて、この場に登壇するのを断ろうかなと思いました(笑)。
(会場笑)
「答えはない」というのが正直な僕の答えです。
でも、みなさんそれぞれの「ローカル」は絶対ありますよね。生まれたところ、故郷があると思うんですよね。それを「ローカル」だとすると、それを「感じられること」が「ローカルらしさ」の1つなのかなと思っています。それをクックパッドのデータを見ながらご説明していきたいと思います。
仕事上、人前でしゃべることが多いのですが、今回はクイズ形式で持ってきてみましたので、みなさんと会話しながら説明していきたいと思います。
これは日本の47都道府県の、クックパッド上で検索されたあるキーワードの検索頻度のヒートマップです。色が濃くなればなるほどよく検索されているエリアを示しています。
もっとも色の濃い、検索頻度の高い県は、これは山形ですよね。これはなんのキーワードが検索されているかわかりますか? 山形で特徴的に検索されているキーワードです。
参加者:芋煮。
村上:正解です! 芋煮です。
(会場拍手)
みなさん、芋煮は食べたことありますか? けっこう食べますか? みなさんふだん食べないですよね。たぶん地元の方はけっこう食べられるものかなと思っているんですけど。クックパッドもクックパッドニュースなどを通じてこういう芋煮やローカルフードをみなさんに発信をしているんですが、実はこんな食べ物もあるんですよ、というご紹介でした。
続いて……これはわかるかな? 検索頻度の高い県は、山梨ですね、これ。わかる方いらっしゃいますか?
参加者:ほうとう。
村上:ほうとう、正解です。スパスパいきましょう。次。北関東寄りな感じですね。
参加者:おっきりこみ。
村上:えっ?
参加者:おっきりこみ。
村上:おっきりこみが、わたしがわからないんですけど、すいとんと同義ですかね?
参加者:一緒です。はい。
村上:言葉が違うだけで、すいとんという。
参加者:ちょっと違う。ぜんぜん違う。
(会場笑)
村上:厳しいジャッジが入りました。違いますとのことです。失礼しました。
参加者:おっきりこみはうどんだけど、すいとんはうどんではない。小麦を練ったものだから。団子みたいな。
村上:練って伸ばしたやつ。「はっと」と言う地域もありますよね。
参加者:そっちに近いですね。
村上:次はこれです。
これはたぶんわかんないと思います。あえてわからないものを持ってきたんですけど、ちなみにわかる方は?
参加者:お茶?
村上:お茶、違います。では答えを出してみますと、うなぎですね。
参加者一同:へえ。
村上:ですよね。私自身も「え?」と思いました。
参加者:九州は……。
村上:そう。九州は熊本ですよね。
参加者:沖縄も塗ってある気がする。
村上:そうそう。そういったところもあります。うなぎの検索は毎年「土用の丑」の時期に集中しているのですが、地域別でみると、鹿児島、宮崎、愛知、静岡といった水揚げ量が多い地域や、近畿地方で検索が多いようです。
村上:ここまで「なんで?」というところを見てきたんですけど、具体的に「うなぎ×◯◯」で検索されているキーワードのランキングをみてみましょう。
例えば「ひつまぶし」だと、愛知の郷土料理として想起されると思いますが、「うなぎxひつまぶし」の検索が全国平均と比べても0.6倍とむしろ少なく、栃木など東日本の県の方が検索上位となっています。おそらく、ひつまぶしは外食のメニューであることから、外食でひつまぶしを提供している店が少ない他の地域の方が、よりひつまぶしの調理方法に関心を持っているということなのかもしれません。
「たまご」は、近畿地方と首都圏に特徴的です。うなぎは関西などでは、錦糸玉子を使ってちらし寿司風にしたりと、定番の寿司だねのひとつになっていますね。
「せいろ蒸し」は、九州の福岡、佐賀などで特徴的です。これはどじょう鍋で有名な柳川市(福岡県)の郷土料理で、硬めに炊いたご飯にタレをまぶしてセイロで蒸し、うなぎの蒲焼をのせてさらに蒸す料理です。
うなぎ料理の地域差というと、一般的にはさばき方や焼き方についての話になりやすいと思いますが、組み合わせて検索されるメニューや材料をみると、様々な地域差が見られますね。
こういったことを言葉として定義することは難しいんですけれど、ローカルフードの1つの定義として考えられるのは、やっぱり「らしさ」として想起できる部分なのではないかと思います。
私の地元の言葉では「おらほの食べ物うまいぞ」と言うんですが、そのらしさとは、やっぱり地元を感じられること、地元を思い出せること、今回のテーマにある皆さんがお持ちのローカルを体感できること。そういった「らしさ」として想起できることがローカルの価値なんじゃないかと思っております。
続いて、ちょっと時間もなくなってきたんですが、これはおわかりになりますか?
岩手県でけっこう検索されているものです。あとは京都とか関西のほうでも検索されています。
答えを出すと、これは「冷麺」ですね。想起しやすさでいうと岩手なのかなと思うのですが、関西の方でも検索されています。特に大阪ですが、韓国系は関西の方にも多く検索されているのかと思いますし、なかなか距離的に岩手まで食べに行けないので、クックパッドを通じて「冷麺」を自宅で調理して、ローカルを感じられる、ちょっと遠くの地域のことを感じるために検索しているのかなと思っています。
次はこれですね。
これは絶対わからないと思います(笑)。ちょっと時間も迫ってきているので答えを出すと、これは「餃子」です。
参加者一同:へえ
村上:北海道なんです。すごいですよね(笑)。全国的に作られている一方で、ご当地メニューとしても名が通っているメニューといえば、餃子なのかなと思うのですが、検索が多いのは、北海道、広島、大分、愛媛などです。実は宇都宮のある栃木は43位、浜松のある静岡は45位と、むしろ検索頻度は低い状態です。宇都宮や浜松で餃子の消費量が多いというのは、都道府県庁所在地および政令指定都市の家計調査のおける「餃子」の支出額を示したものであるため、外食や手作りの餃子反映したものではないんですよね。
これも、餃子と組み合わせて検索されているキーワードをみてみましょう。
ちなみに出してるものの、一番上の徳島県の「甘酢」は、甘酢あんかけの餃子がご当地メニューとして有名なのではないかと思って調べてみたのですが、有力な情報が見つかっていなく、どなたかご存知でしたらあとで教えていただきたいです。
それから、北海道の「行者ニンニク」は、北海道浦河町で生産されている行者にんにくを使ったご当地餃子が起因しているのではないかと考えています。
あとは、「みそだれ」というのは、神戸の餃子専門店では「みそだれ」で餃子を提供する店が多いことが起因しているのかなと思います。
それ以外であれば下から2番目の福井県では「ジャガイモ」とあります。ジャガイモは北海道が名産だと思われるのですが、明治から昭和の北海道開拓団、移民の影響だという説があります。福井も北海道開拓団の出身地の上位になっていて、これらの地方の出身者が古里の北陸にじゃがいもを大量に持ち込んでジャガイモ料理が定着したと言われています。
日本地図を使って県別の検索頻度の状況をお見せしましたが、後半の「うなぎ」「冷麺」や「餃子」などは前半にお話しさせていただいた「らしさ」として想起できることとは、ちょっと違うと思っています。「餃子って北海道?」「本当?」と疑わしいところもありますが、それもローカルらしさの1つではありますよね。
では「それを言葉で定義するとどういうことなのかな?」と考えると、「ローカルらしさとして想起できないこと」も含めてローカルなんじゃないかなと思っています。言い換えるとメジャー・定番ではないだけ。一言で言えばそうなると思っています。
みなさんに「へえ」と言っていただいてすごくうれしかったんですが、この「らしさ」の“発見”に出会えることが、「驚きや喜び」につながってくるのだと思っています。それもローカルフードの良さの1つなんじゃないかなと。
つまりこの驚きとか喜び、そういったものを感じることができるのがローカルらしさ、ローカルフードの価値の1つなんじゃないかなと考えています。
余談なんですが、そうしたことに取り組んでいる企業さんもいらっしゃいます。ファミリーマートさんは「リージョナルマーケティング」という形で取り組んでいますし、旅行業界でも、JTBさんやH.I.S.さんは、旅行なんて風土とつながっている最たるものだと思うので、力を入れたりしています。JR東日本さんも力入れていらっしゃるところです。
こういった企業が入ってきている背景になにがあるのかを考えていくと、やっぱりローカルフードと言えども、「日常(毎日の食卓)=ケ」と書いてますが、ケの場ではなくて、非日常の場で地域の食が登場することに対して1つ価値があるんじゃないかなと思っています。
家庭の食卓でも、休日に久々の料理を楽しむときや、誰かを招いたとき、季節のイベントを楽しむ時など、ローカル独自の調味料や食材を使ってハレ感のある食を楽しむ人がいるのではないでしょうか。
旅先でも都心部の食卓でも伝統的で多様な食の魅力が、わたしたちの生活を豊かに彩ることができること、それもローカルフードのらしさだと思っていますし、ローカルフードが提供できる価値の1つなんじゃないかと考えています。つまり、結果的になにを言いたかったかというと、やっぱりローカルらしさを感じられるというのが、ローカルらしさの1つ価値なんじゃないかと考えています。
時間も来たので締めさせていただきますが、私は、クックパッドというレシピサービスは単にプラットフォームの1つでしかないと思っているんですが、こういった「らしさ」を感じられるレシピがすごくたくさんあります。
それは、毎日の料理を楽しみにすることのきっかけになると思っていますし、私はそれらを絶やすことなく、発信していく責務がクックパッドにあると考えています。今後はそうしたことに取り組んでいきたいです。
ちょっと駆け足になってしまいましたが、以上です。ありがとうございました。
(会場拍手)
クックパッド株式会社
関連タグ:
2024.11.13
週3日働いて年収2,000万稼ぐ元印刷屋のおじさん 好きなことだけして楽に稼ぐ3つのパターン
2024.11.21
40代〜50代の管理職が「部下を承認する」のに苦戦するわけ 職場での「傷つき」をこじらせた世代に必要なこと
2024.11.20
成果が目立つ「攻めのタイプ」ばかり採用しがちな職場 「優秀な人材」を求める人がスルーしているもの
2024.11.20
「元エースの管理職」が若手営業を育てる時に陥りがちな罠 順調なチーム・苦戦するチームの違いから見る、育成のポイント
2024.11.11
自分の「本質的な才能」が見つかる一番簡単な質問 他者から「すごい」と思われても意外と気づかないのが才能
2023.03.21
民間宇宙開発で高まる「飛行機とロケットの衝突」の危機...どうやって回避する?
2024.11.18
20名の会社でGoogleの採用を真似するのはもったいない 人手不足の時代における「脱能力主義」のヒント
2024.11.19
がんばっているのに伸び悩む営業・成果を出す営業の違い 『無敗営業』著者が教える、つい陥りがちな「思い込み」の罠
2024.11.13
“退職者が出た時の会社の対応”を従業員は見ている 離職防止策の前に見つめ直したい、部下との向き合い方
2024.11.15
好きなことで起業、赤字を膨らませても引くに引けない理由 倒産リスクが一気に高まる、起業でありがちな失敗
2024.11.13
週3日働いて年収2,000万稼ぐ元印刷屋のおじさん 好きなことだけして楽に稼ぐ3つのパターン
2024.11.21
40代〜50代の管理職が「部下を承認する」のに苦戦するわけ 職場での「傷つき」をこじらせた世代に必要なこと
2024.11.20
成果が目立つ「攻めのタイプ」ばかり採用しがちな職場 「優秀な人材」を求める人がスルーしているもの
2024.11.20
「元エースの管理職」が若手営業を育てる時に陥りがちな罠 順調なチーム・苦戦するチームの違いから見る、育成のポイント
2024.11.11
自分の「本質的な才能」が見つかる一番簡単な質問 他者から「すごい」と思われても意外と気づかないのが才能
2023.03.21
民間宇宙開発で高まる「飛行機とロケットの衝突」の危機...どうやって回避する?
2024.11.18
20名の会社でGoogleの採用を真似するのはもったいない 人手不足の時代における「脱能力主義」のヒント
2024.11.19
がんばっているのに伸び悩む営業・成果を出す営業の違い 『無敗営業』著者が教える、つい陥りがちな「思い込み」の罠
2024.11.13
“退職者が出た時の会社の対応”を従業員は見ている 離職防止策の前に見つめ直したい、部下との向き合い方
2024.11.15
好きなことで起業、赤字を膨らませても引くに引けない理由 倒産リスクが一気に高まる、起業でありがちな失敗