2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
提供:Genuine Startups株式会社
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社会課題についての「こんな事業をやっております」ということを、登壇者みなさんに事前にいただいております。
まずは佐々木さんから「コミュニティ」「教育と子育て」、それから「少子化」をいただいております。佐々木さんからご紹介をお願いできますでしょうか。
佐々木久美子氏(以下、佐々木):(福岡市中央区の)天神にオフィスがあります。すぐそこにあるApple Storeをご存知ですか? Apple Storeの前にSONYが入ってるビルがありますが、そちらの3階に私たちのオフィスがあります。
そこでなにをしているのか。メインのビジネスがAIなどの機械学習のプラットフォームをお客さまに提供している会社です。1月にサービスを開始して、現在は2,000ユーザーさんに利用してもらってます。たぶん大手のお客さまばかりですが、50社ほど導入いただいているサービスになります。
もう1つが「TECH PARK」。ITを教えるアフタースクールを提供しています。その2つが私どもの事業になります。
私たちは「社会の課題をテクノロジーで解決する」というミッションで事業を営んでいます。たぶん、そういったことが今回呼ばれた理由でしょうか?
伊藤:はい、そうです。
佐々木:そうですよね(笑)。自分たちが社会問題を解決するのは限界があるので、AIやビッグデータ、IoTを利用したサービスをノンプログラミングで構築できるツール、プラットフォームですね。AIを使おうとするとプログラミングが必要になります。通常、プログラミングできる人は人口的に少ないです。
さらに機械学習(AI)を実装できる「Tensor Flow」など、いろいろあります。そういったものを学ぼうと思うと、ニューラルネットワークの本だったり、いろいろな勉強をしなければいけなくて。
さらにエンジニアの中でもできる人が少ないんですね。でも、そうなってくると、なにかをすぐやりたいと思って解決しようとしても、すぐにできないんです。
なので、私たちが解決するよりは、目の前になにか課題がある人たちがすぐに使えるものじゃないと意味がないと思って、「課題を持っている人にすぐに使ってもらえるサービスを作ろう」ということで「MAGELLAN BLOCKS」を作りました。
起業したのは2011年の7月ですけれども、いろいろ紆余曲折あり、現在は7期目に入ったスタートアップの会社です。
伊藤:ありがとうございました。(スライドにある「コミュニティ」「教育」「子育て」)これについてはどうでしょうか?
佐々木:なぜ「コミュニティ」にしたのかを説明します。基本的に、会社は家庭と分断されている感じだと思います。組織が家庭より優先度が上である印象というか。
伊藤:ワークライフバランスなんてよく言いますが、「ワークとライフが分離してるからバランスさせたい」ということですね。
佐々木:自分が子育てをする時に、非常にそれ(仕事)がすごく邪魔だったんです。もともと「ライフの中にワークがあったんだよな」という思いがあったので、「会社自体もコミュニティだな」ということを考えました。
みなさん一人ひとり、いろいろなことに役割がありますよね。家庭だったり、当然会社もそうです。父親、母親やビジネスマンなど、いろいろあると思います。家庭と会社を分断する考え方がナンセンスと思ってきました。
それで、「家族がこれる会社にしよう」「家族が逆にお父さんの会社にごはんを食べにきて、また(家庭に)戻ってこれるようにしよう」「一人ひとりの生活パターンを自分で構築できる会社の運営をしよう」と思いました。会社をコミュニティと考えて経営しています。
伊藤:その中にコミュニティがあったら、子育てとか教育とかも(できる)。
佐々木:はい。「TECH PARK」で子どもたちにITを教えていますが、そもそも少子化なので、プログラミング教育が始まっても全員エンジニアになるわけではないですよね。結局、母数は減っていくので、エンジニアもそんなに増えないだろうと思っています。
プログラミングが必要な仕組みを、私たちエンジニアがもっと簡素化して、すぐにコンピューターの上でなにか展開できるようにするのが、私たちエンジニアの仕事なのかなと思っています。それをビジネスにしていく感じです。
そのITのスキマ、子どもたちの最初の出会いの場所を、私たちがエンジニアとして本気で教える。遊びではなく、本当にコーディングに持っていくまで育ててあげる。興味を持っている人たちの好きなところを伸ばしてあげる。ということを私たちエンジニアが教えることを基本的にやっています。
その中で、「教育」が非常に強く結びついていまして、これら3つが私の経営の中で重要視しているキーワードになります。
伊藤:ありがとうございます。そういえば、導入で言うのを忘れちゃったんですけど、パナソニックや松下電工を作った創業者の松下幸之助の言葉の中に「会社というのは社会に対する公器である」というものがあって。なにを言っているかというと、「事業をするからには社会に対して価値貢献、貢献できるものをなにかやることだ」ということです。
「社会のためにならないことをやるのは事業じゃないよね」ということにつながっています。CSR(注:企業の社会的責任)の話の中で、こういう言葉を聞かれます。まさに「社会に対する価値を作りながら事業をやっていく」というのは、今日の話のポイントかなと思っています。言うのを忘れてました。
佐々木:(笑)。
伊藤:コミュニティだとか普段の中では事業と当然結びついているということですね。 ありがとうございました。じゃあ、続いて嶋根さん。
嶋根秀幸氏(以下、嶋根):Pop-up Commons準備委員会の嶋根と申します。何をやっているのかから、まずお話しします。今、大名小(注:福岡市の小学校)の外に1台のトレーラーハウスがあるみたいです。実は、私がそこに住んでいる、わけではなくて。
佐々木:(笑)。
嶋根:それはいいですね(笑)。そこを拠点としていまして。
伊藤:住んでるの?(笑)。
嶋根:住むと教育委員会の人に怒られちゃうので住めないんですが、「災害に強い街づくり」というプロジェクトを作っています。6月5日に福岡市と協定を結びまして。トレーラーハウスって移動ができるじゃないですか。「災害に強い」というところに関しては、今1個定義しているのが「移動型の街にしましょう」。
というのは、トレーナーハウスの中に病院の機能や店の機能、トイレの機能、宿泊施設などを持たせる。もしその地域に災害が起きた時にすぐ退避できる。もしくは、近くの所で災害が起こって、そういうインフラが必要な時に、トレーラーをすぐ持っていって提供することで、減災につながる。そういうものを推進するプロジェクトになります。
根底にあるのは、(トークテーマの)1つは「気づけば防災」と言うんですが、最初は「防災しなきゃ」「なにかやらなきゃ」と思っていても、普段なかなか防災って意識し続けられないんですよね。
伊藤:防災グッズをリュックに入れて、家に置くぐらいですよね。
嶋根:それぐらいしかできないですよね。あと、避難テントが一式あったとしても、だんだん誰しも「まあ、大丈夫だよね」という気持ちになるんですよね。そうすると、なにか起こった時に被害が大きくなる、というのが今まで繰り返してきた歴史かなと思っています。
そもそも今住んでいる場所自体や仕組み自体が防災の理にかなっています。なので、なにか起こったとしても、すぐ移動することで解決していけば、そもそもそういった問題が起こらない、というところを追求していくプロジェクトになります。
例えば、トレーラーハウスは普通の家ではなくて、(トレーラーの)下にタイヤがついてますよね。地震が起こるとそのままタイヤが揺れるので壊れない構造なんです。なので、最初になにか発生した時に、そういったものが起こらないような場所や街を実現していくことを考えています。
伊藤:(スライドを見て)「コレクティブインパクト」(注:企業、NPOなどの組織が協力し、お互いの強みを生かして社会的な問題の解決を目指すこと)。
嶋根:そうですね。それをやる時に既存の考え方や、誰か1人、誰か1つの集団の人たちが達成することは無理かなと思っています。
伊藤:そもそも「コレクティブインパクト」ってどういう意味なんですか?
嶋根:そのままコレクティブでインパクトを出す、っていう意味なんですけども。
伊藤:それぞれで、っていう。
嶋根:そうですね。いろんな主義主張やスキルを持っている人たちが集まっても、烏合の衆になってしまうんですけど。共感できるような根底のものをなにか1個、それぞれが見つけ合って、その人たちのベクトルを合わせてあげる。
「こっちはこの部分を担当できるよね」。そうすると、なにか達成できるとか。「それだったら、私はこういうふうにできる」というところを、1つのコミュニティにしていく。最終的にそれをうまく回してインパクトを出す考え方ですね。
なので、防災のプロジェクトも、スキルや、改善につながる考え方などを持っている人たちが集まってきて、1つの街を構成して。それでうまくいったものは、それをいろんなところにコピーしていく。そういったものを増やす。そういったようなプロジェクトを今立ち上げました。
伊藤:これは企業の中にあるようなプロジェクトですか?
嶋根:そうですね。準備委員会ですので、まさにコレクティブにしようと思っているので、一般社団法人化を今年度中に考えています。もともとは、このプロジェクトを始めた時も「Mistletoe」という会社に私がいまして、代表が孫泰蔵といいます。(代表が)福岡というか佐賀出身ですが、福岡でスタートアップ支援やたくさんのベンチャー企業に投資しています。
去年、熊本の震災に遭った時も「なにかしら九州のために働きたいな」というところから、私も実際に熊本に行って、食糧の確保などいろいろやってみました。でも、「一過性で終わっちゃうよね」と思いました。だんだんそれが風化してきて、なんとなく「じゃあ、これってなかなか解決しがたい問題だよね」と、ずっと思っていたわけですね。
その中から、なんとなくPop-up Commonsのような、そもそも街自体が災害に強いという部分を、根底の部分から作ろうという部分の意識が生まれてきまして、それが今年にやっと実現したというところですね。
伊藤:わかりました。ありがとうございます。そろそろ回さないと、(安部氏が)だいぶ飽きてるので。
安部敏樹氏(以下、安部):いやいや、そんなことないですよ(笑)。
(会場笑)
伊藤:ウォーミングアップ十分で。
安部:いやいや、そんな。極めていい話だなと思って聞いてただけですよ。
(会場笑)
伊藤:Ridiloverの安部さんです。
安部:コレクティブインパクトに一言言うと、概念としては美しいんですけど、失敗する人がめっちゃ多いんですよね。
(会場笑)
安部:なんでかというと、基本的にNPOってエクイティ(注:株主資本)がないから、「みんながやってる領域の中で協力していって、最終的に目指す社会を作りましょう」と言うんですけど、最終的にはコレクティブインパクトでやろうと思うと、船頭が多くて船が動かないことによくなるんじゃないか、と思います。
伊藤:ちょっとずつやっていてもダメだ、と?
安部:例えば、子どもの支援みたいなことを、「こういったNPOと、こういったNPOと、こういったNPOを合わせて、みんなでやりましょう」と言っているんだけど、それぞれの目指す理想状態が違うので、ちょっとずつ「子供」とか「支援」とかの言葉の持つ意味が違うわけですよ。
伊藤:なるほど。
安部:そうすると、なかなか上手に機能しなくなって最終的には子どものためになってない、ということになってたりするんですけど、(嶋根さんは)どうやって乗り越えているんですか?
嶋根:それはめちゃめちゃわかるんですよ。
安部:うん。ソーシャルセクターが抱える1つの課題として、みなさんにご意見いただければと思います。
伊藤:はい。じゃあ、自己紹介していただきたいです。社会課題と言えば安部くんというようなかたちで、もう社会課題芸人として。
安部:いや、芸人じゃない(笑)。
伊藤:いろいろなところでおしゃべりしているそうなんですけども(笑)。今日挙げていただいたのは、この3つ(「社会の再定義」「無関心の打破」「問題の可視化」)という。
安部:そうですね。もともとは6年ほどボランティアの組織としてこの「リディラバ」をやってたんですけど、今は会社もあります。一般社団法人もあります。
社会問題の現場に旅行(ツアー)を作ることをずっとやっていて、国内だけで200種類ぐらいの社会問題を調査して、現場に学びに行けるようにしています。さらにそこから次のアクションとして、課題解決を仕事にしていこうという人や取り組みを支援したりもしています。
例えば、みなさんの中で、児童ポルノと言われて、「あ、あれだ」ってイメージする人はいますか?
(会場挙手)
安部:児童ポルノというのは、8歳、9歳の女の子が着エロといって、布みたいなものをつけられて、ほぼAVとして出されたりしている現実があるわけです。途上国ではなく日本国内の話ですよ? AVショップにその8歳・9歳の女の子たちのビデオやDVDが置かれていて、多分こういう話を聞いたらそれはいかんだろと思う人は多いと思うんです。でもあんまり知られていなかったりする。
社会問題って言われると海外の問題をイメージする方も多いと思うんですが、国内だけでも本当にいろんな社会問題があります。しかし多くの問題は、可視化されていなかったり、それを知らせる機会がなくて、それゆえに本当の意味で社会全体で解決していく機運が高まらない。
そこをちゃんと知らせていける場所を作りましょう、当事者意識を持ってもらいましょうというのが長らく大事にしている「社会の無関心の打破」という理念です。
個人の話をすると、私は中2の時に親をバットで殴っちゃって、家庭から追い出されてしまったんですね。家庭もまあまあ複雑だったので、その1年前に親父が私の教育を放棄して、家を出ていきました。そういう育ち方なので、自分が社会問題の当事者として強い問題意識をけっこう持って生きてきました。
その強い問題意識ってなにかというと、基本的に社会問題は当事者だけで解決できないから社会問題なんだけど、当事者以外の人が関わっていく仕組みはない、ということ。
自分がグレてる時とか相談をしたい時に大人が声かけてくれたわけでもない。でも、「誰かが声かけて、誰かが関わってくれないと、解決しようがない問題なんじゃないの? それってなんて不毛なんだ」というのをずっと思っていて。
伊藤:自分個人の問題だったら自分で解決できるけど、そうじゃないから社会で解決しないといけない。
安部:そうですね。社会問題が起こる時に、よくセットで出てくる議論に自己責任論というものがあるんですね。「あんたががんばってないからじゃないか」とホームレスのおっちゃんに言っちゃうわけですよ。
でも、私が8年やっていろいろ見ていて思うのは、基本的に今の社会課題の議論は、昔と違って、悪人や怠けた人がいるから社会問題が起きたということはほとんどない。
昔は確かに悪人がいたんですよ。そのへんに工場作って「水銀だいぶ垂れ流してるけど、まあいいでしょ」「普通に死ぬかもしれないけど、わかんないでしょ」みたいな感じでやっているヤツがいて。「それは悪いヤツだ!」「それはなんとかみんなで止めなきゃいけない!」という時代があったんですけど。
今、世の中がすごく複雑化していて、社会問題の当事者たちが、本人が怠けたとか、悪人がいたから社会問題になったことはほぼない。どちらかというと、いろいろな社会システムの落ち窪があって、そこにつまづいてしまった人が社会問題の当事者になります。
そう思った時に、じゃあ、その人に「がんばれよ」と言っても、どうしようもないわけですよ。むしろ、それをどう社会の仕組みとして解決していくか。あるいは、どうやってベンチャーがソリューションとして解決していくのか。そういうことをずっと考えてきています。
おそらく日本で一番社会課題の情報を横串にして持っている組織だと思うのですが、色々な企業や学校、一般の人々に社会問題を知ってもらうための「水先案内人」になりたいなと思っています。、具体的には大きく3層の機能に分かれています。
「Knowing」、知ってもらう。「Participating」、参加してもらう。実際に現場に行って、当事者に会ってもらう。それから、「solving」、解決しましょう。というのを3層合わせてやっている、ということですね。
伊藤:「盛り上がってる」という言い方はちょっと違うんだけども、最近、どんな社会問題に注目されているんですか?
安部:注目か……。「この社会問題が大事ですよ」とか言っちゃって、そこにばかり注目が集まっても良くないと思っているので、個別の問題に対してはあまり言わないようにしているんですけど、「多くの人の社会問題の認識がそもそも表面的である」ということに注目というか問題意識を持っています
問題というのは縦割りにしていくと、その裏に潜む構造が見えなくなってダメなんですね。例えば、フードロス(注:人が食べるために作られた食料が捨てられてしまうこと)の問題を知っている人はいますか?
(会場挙手)
安部:(挙手者を指して)フードロスって何ですか?
参加者1:食料を大量に供給してしまう……。
安部:そうです。それを余らせて捨ててしまうという問題ですよね。これは、売り残しと食べ残し、大きく2つに分かれているんですね。学校の授業とかで、「みんな、食べ残しは良くない」「世の中にはこんなに飢えてる人がいるのに」とか言うじゃないですか。でも結局、日本のフードロスの問題って、どちらかというと売り残しのほうが問題として余白部分が大きくて。
「売り残しをどうしようか?」という問題って、例えば、コンビニの本部とフランチャイズのいびつな力関係だったり、食品リサイクル法の関係の罰則規定の不在があったり、いろいろな論点があるんですけど。結局、今一番どこで詰まっているかっていうと、フードロスとぜんぜん関係ないところで詰まっているんですね。
それがJAで養豚業者を囲いこみなんです。フードロスとJAの養豚業者への対応ってストレートに聞くと、たぶん、なにを言っているかよくわからないと思うんですけど。
フードロスという、僕らの売り残しで残ったものがあります。売り残しで残ったものは、どうやったら環境に一番やさしく、社会にやさしいかたちにできるか。1つはやはりリサイクルですよね。リサイクルする場合は大きく3パターンあって、飼料・肥料・エネルギーなんですね。
今、飼料がニーズも大きいし実現性も高いのので、「売れ残しはエサにしましょう」となりました。豚のエサにするんですよ。しかも、液体で出して豚のエサにする。これは、実は日本の食糧自給率の向上につながるんですね。なぜかというと、豚は外国から輸入した穀物を食べているから。
伊藤:食糧自給率は複雑な問題で、エサも含まれているんですよね。
安部:そうなんです。だから、本当は食べ残しを全部豚のエサにして、食糧自給率を上げたほうがいいんですよ。コスト的にも安い。
今、養豚業者の餌への要求水準って高いんです。(エサに)アミノ酸を入れ流という話にしたって、「アミノ酸の中でもリジンを入れたい」とか、そういうレベルで細かい要求があるわけですね。このタイプのエサはそれに応えられると。しかも、食糧自給率が上がります。いいことずくめじゃないですか。
(そのエサは)今地域によっては作れるんですけど、作って養豚業者に送ると、JAっていうヤツがいて、そいつらが養豚業者に囲いこみをかけているんですね。養豚業者もそれを使いたいんです。
だから、「ダメです、ダメです。うち(JA)の穀物のエサ食べないんだったら、もうあなたの豚売りませんから。あとあなたうちから借金してるんで、その借金、じゃあ明日返してください」って言い出したりしてしまう。そしたら養豚業者は当然その餌を導入できないですよね。
何が言いたいかというと、フードロスの問題はみんな問題としては注目しているわけです。「こんなに恵方巻きが残ってます。捨てられます」と。でも、その問題を解決しようと思ったら、一番いいのは養豚業者の囲いこみをJAにやめさせることなわけですよね。
この問題の連関している状態を知らない人がめちゃくちゃ多いんですよね。表面的な事象だけ見て、「これは解決すべき社会課題だ!」とか言ってるんだけど、「いや、それじゃないでしょ」みたいなのが多くて。逆に言えばそこの理解が深まるとビジネスとしてのチャンスは相当広がると思うんです。
問題の構造を知ってもらうのがすごく大事だということが、最近私がいろいろな企業さんや、ベンチャーさんとお話しながら、すごく思っていることですね。
伊藤:そもそもサービスレベルが高すぎる、という話かもしれないですよね。供給過多で。コンビニでいつでも食べられるものがそろっている、という状況にないといけないっていう。
安部:そこは価値観のレベルだと思います。要求レベルの高い社会というのは、それなりにポテンシャルの高い社会だと思うんですね。日本の食事とかもそうですけど、要求レベルが高いじゃないですか。
伊藤:高い。
安部:「そんなの普通、無理だろ」みたいなことでも、高く要求しているから、みんなそれに合わせてブラック企業になっているわけですけど。でも、そういう水準を維持できてるからこそ、日本の食のレベルが高いという事実があるじゃないですか。
水準が高いとそこってあとは効率化するだけなので、楽なんですよね。職のレベル上げていくとなると文化レベルのことなんでめちゃくちゃ難しんだけど、日本社会はわりと効率化するだけで済むレベルにきている。これはチャンスがめちゃくちゃある。
Genuine Startups株式会社
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