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『飲食・小売店オーナーが知っておくべき“いまさら聞けない”「商売長続き」5つの基本』(全3記事)

2017.07.27

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備品の「見える化」が経営を救う 長続きする商売のために行いたい“定位置管理“とは?

提供:株式会社リクルートライフスタイル

「◯◯を売る」だけの商売はもうお終い? リクルートライフスタイルが提供している0円でカンタンに使えるPOSレジアプリ「Airレジ」が主催する店舗オーナー向けのミニセミナーが行われました。第1回目のテーマは「商売長続きの基本」。100回以上の店舗立て直しを経験し、自身も店舗を経営しているコンサルタント植竹剛氏が登壇しました。長続きする商売の共通点とはなにか。また、モノではなく「コト」「体験」を売る時代だからこそ意識すべきポイントとは?

2人以上が組織に絡む場合は、定期的なMTGを

植竹剛氏(以下、植竹):では、みなさんに質問です。すべての資源を活用するために必要なアイテムがあります。裏を返せば、このアイテムを使えばこの経営資源が滑らかに使われつつ、また入ってくる効果をもたらす要素が1つあるんですけど、なんだかおわかりになりますか?

(参加者を指して)ネクタイ締めた方、もう6年目、7年目ぐらいでしたっけ。経営資源を活用するため……。要するに、単発ではなくて、しっかりした状態で活用していくために必要なアイテムがあるんです。それはなんだと思いますか?

参加者10:社員をまとめる経営者……?

植竹:そうですよね。ありがとうございます。経営者の方が一番意識していただきたいという言葉としても置き換えられると思うんです。

正解は、コミュニケーションです。

あまり悪い事例を出したくないんですけど、共同経営・共同出資をされている方で、残念ながらの結果になってしまう一番の原因が、コミュニケーションです。

どういう意味かといいますと、要は、想いが同じで「がんばってやっていこう」というところで、飲食店立ち上げました。

しかし、役割を作ったときに、それぞれの役割を美化してしまって、「あいつに経理を任せておけば大丈夫だろう」「あいつに営業を任せておけば大丈夫だろう」「あいつにレシピ開発を任せておけば大丈夫だろう」という責任の所在が不明確になり、みんな、なにか細かいストレスを抱えちゃうケースがけっこうあるんですね。

なので、しっかりとルールとして……。オーナーの方で、朝礼とかミーティングを定期開催してる方いらっしゃいます?

(会場挙手)

あ、意外といないですね。

コミュニケーションを習慣化させる方法は、強制しかないんです。ルールを作って強制させる。これしかないんです。どうして我々が今、歯を磨かないで寝ると気持ち悪いのか。これは、親のしつけですよね。強制したから、歯を磨かないと気持ち悪くて寝れないんですよね。

2人以上が組織が絡む場合には、確実にミーティングや会議をするようにしてください。今日もしお帰りになられたら、たとえご夫婦お2人でやられているお店でも、ミーティングをやっていただきたいのが本音です。でも、なかなかできないんですよね。ご主人は営業のこと、奥様が経理を……と分かれているところがよくあります。(参加者らを見て)なんかしょっぱい顔されてますけど(笑)。

しかしこれやらないと、いつの間にかお金がなかったり「掛売りが……」「売掛が……」って話になっていっちゃいます。例えば、「今月は食材に300万円取った。でも来月には事業税が来るよ。消費税が来るよ」というところを確実にミーティングをして、キャッシュが滞らないようにする。

コミュニケーションが、この経営資源を潤滑に運営させるために必要な要素になります。

「見るだけで情報を確定することができる効果」が経営を救う

じゃあ簡単に、先ほどちょっと割愛した「モノ」の部分、定位置管理どうしてるのかをご説明します。

これには、どういう効果があるか。私が考えてきたのは4つあるんですけど、代表的にどういったところに関連するのか。

まずヒトとカネが連動します。

どういう意味か。ケースバイケースなんですけど、新人のアルバイト入ってきました。「じゃあ植竹くん、悪いんだけど、出入り口のファサードのほうきがけとモップがけをやってちょうだい」「はい、わかりました。モップはどこにありますか?」「左奥の物入れにあるから。よろしくね」「はい、わかりました」。

(写真を見て)こうなっていれば、すぐ取り出して、近くにお水があればそこでジャーっと入れて、掃除してもらえるんですけど。これがお部屋の隅っちょにダダダっとほうきとかとなんでも一緒に立てかけてあるだけだとしたら、「すいません。モップがないんですけど……」「いやいや、そんなことないよ。あっちにあるよ。ちゃんと探して」となる。

これが連続すると、アルバイトさんは辞めちゃいます。(写真を指して)裏返せば、ここに戻ってなければ「ここに戻すんだよ」って教育もできるんですね。

こういういったところまで考えると、辞めにくいお店になる。

スタッフが辞めてしまうとかかる販売管理費は……経費は採用募集費にかかります。ポスター1枚作るのにも3,000〜5,000円かかります。それを抑止するためには、こういう定位置管理をしていく。意外とそういうところから、辞めにくい環境になりますよ、ということになります。

2番目です。これちょっと見えますかね。テプラです。あと、これテープ類。ここに見にくいですけど、テプラとテープのストックががあります。

こういうテープ類って、やっぱりお店にも何種類かあるものですね。ガムテープも紙と布とかあると思います。両面テープ、養生テープ、セロテープ、そういったものがあると思うんですけど。

引き出しに入っているものは、絶対に宝探しになると思ってください。「テープ」ってご丁寧にそこのレターケースに書いてあったとしても、欲しい両面テープが入っている保証がない。探さなきゃいけない。これはタイムロスです。

見える化って言うんですけど。見える化の定義は、「見るだけで情報を確定することができる効果」なんです。見るだけで在庫がある。これ、在庫がないんです。わざわざ外してあるんですけど。在庫がなければ在庫がないということが判明するんです。ここまでやっておくと、定位置化とともに見える化というのが経営効果として出てきます。

(写真を指して)これは拡大したものです。積水化学工業、厚手両面テープ、25ミリ、15メートル、ソロエルアリーナ、693334。定番発注化をしてあります。

アルバイトさんにこういうテープを「発注して」って指示を出すオーナーがいらっしゃるんです、意外と。「ネットで安いところ探して、適当にやっておいてよ」って方が多いんですけど。

これはちょっとした計算なんですけど。時給1,000円のアルバイトさんって分給いくらかわかります? 1分間。1,000÷60。16.7円なんです。5分間、探しました。×5、83.3円。これで50円安いテープを見つけました。「よくやった!」……ちょっと違いますよね?

私、時間とお金って連動性は高いと思っています。探す手間なんて、一番のロスですから。私、そういうのは大嫌いなんですね。ないものはない。あるものはある。明確になったほうが、運営はしやすいというのもあったりもします。

これは探すとか考えるという手順を省くルールを作っているんです。当然、半年なら半年に1回、「もっといい商品が出てないか?」「もっと安いものが、良くて安いものが出てないか?」はチェックはする。でも、毎回チェックしていたら、それだけロスになりまっせ、というお話になります。

疲れたとき、困ったときに立ち返る原点が「経営理念」

次、いきます。「2.ポリシーを毎日読み上げる。〜お店はなんのために営業するのか〜、弊社の名刺には『創業理念』がある」です。

これ、嘘偽りなく私の名刺でございます。この右上にあるのが、「人材の才能開花と自立を応援します」という創業理念なんです。私の理念でもあるんです。

先ほどちょっとご案内した才能というのは、まだまだ氷山の一角、中に水面下に潜っているもの、まだ潜在的なものであるという定義付けをしています。才能を開花させて能力を向上させます。その結果が、自立です。

サラリーマンの方でも自立はできます。独立する=自立ではありません。「人としての、仕事としての自立を応援します」が私の理念になります。裏返せば、私の立て直しのベースというのは「人」なんです。人がどうにかなれば、経営もどうにかなります。

あとはもう、売り方を駆使するだけ。それによって必ず顧客の反応が返ってきて、それをつぶさに見逃さずに、次のアクションにすぐ起こし直す。このスピード感と行動力で経営は立て直っていきます。

(名刺の画像を指して)これがですね、私の創業時に友人がお祝いでくれた。ロゴのCIのデザインですね。これは、元気よく自らの道に羽ばたいていくという意味があります。

なにを申し上げたいかというと、オーナーの方も人間なので、必ず疲れます。モチベーションが下がるときもあるはずです。「なんでこんなことができないんだろうか?」なんて悩む、嘆かれることもあると思います。

ただ、疲れたとき、困ったときに立ち返る原点は、この理念なんですよね。理念を、これから開業・独立しようと思っていらっしゃる方は、必ず作ってください。必ず言葉にしていただきたいんですね。

なんのためか? これには、迷うものを払拭させる意味があります。

これもお手伝いさせていただくオーナーにはお願いしてご自身にやっていただくのですが、「お店のバックヤードに、ご自身の理念を書いてラミネートして貼ってください」って言ってます。それを毎日読んでください。私は、毎日読んでます。貼ってます、横浜の事務所に。

「私は、人材の才能開花と自立を応援する。よし、今日もやるぞ」。これでやる気スイッチ入れるんですね。どんなに二日酔いでも、これをやればけっこう治まります。お願いというか、今日やっていただきたいことは、理念やポリシーやプライドを書いて、貼って、明日から読む。これ、ぜひやってみてください。効果があります。

販促人件費は変動費に入れること!

さあ次です。「3.損益計算は毎日 〜お店の通信簿を作る〜」です。お店の会計で税理士さんを入れていらっしゃらないところありますか?

(会場挙手)

すごい。じゃあご自身で確定申告されている。尊敬します。僕はもうまったくできないです。じゃあ、逆に税理士入れていらっしゃる方は?

(会場挙手)

ありがとうございます。税理士に決算など、これを全部お願いしているという方のほうが多いという解釈でいいんですかね。そうすると、損益計算書って見たことない方はいらっしゃいますか? 財務諸表の1つなんですけど。

(会場挙手)

逆にご覧になったこと一度でもある方、挙手をお願いします。

(会場挙手)

けっこう多いかな。でも、一部いらっしゃらないのでちょっとやりましょうか。損益計算書ってお小遣い帳みたいなものです。……ちょっと語弊があるな。

ちょっと語弊があるかもしれないんですけど、会計だと、ここに売上高なんて書いてあります。原価のことを、売上総利益なんて言ったりもします。売上から原価が引かれていきます。

売上から原価を引くとなにが出ます? 粗利が出ますよね。粗利から変動費を引くと、言葉はいろいろありますけど、限界利益が出ます。

変動費って呼ばれてるものってなにかというと、だいたい言われているのが販売促進費。あとは、例えば店頭で呼び込みをするアルバイトさんを雇った場合とか。人件費はこの下の固定費に1本で入れちゃっていると思うんです。でも販促人件費と呼ばれるものは、私は変動費に入れてくれと提唱しています。

じゃないと、変動費って売上に対しての率で考えるんですね。何パーセントまで投資できるか。裏返せば、固定費ら率じゃなくて額で決めるんですね。そのへんはちょっと置いておいて……。

固定費を引くと、ここで営業利益が出てきます。

「お店の通信簿」を作ることで養われる第6感

さあ、また質問してみます。突然ですけど、お家賃は1日いくらですか? アルバイトさんを雇用なさっていらっしゃる方、1日の人件費っていくらでしょうか?

資本金が3億や5億、10億とかあればいいんですけど。それだけ個人資産を作ってから開業されてる方って稀なので。キャッシュは1日単位で見てくださいね。1ヶ月単位だと、ちょっと危ないときありますよ。とくにこれから開業するという方?

そうなってみると、1日単位でどれだけ経費使ってるのかを押さえましょう。これもう赤裸々に申し上げますけど、横浜元町の店は37坪で85万なんですよ。意外と高いんです。

だいたい90万なんですね。水道光熱費は、うちはもうカフェなので12時から17時までしかしてません。だから、だいたい10万弱、全部入れて8万ぐらいですね。そうすると93万。そうすると1日3.3万円なんですね。

じゃあ3.3万円はどういう数字なのか。人件費は1万5,000円ぐらいかけて、4万8,000円。これで約5万です。そうなると、売上が5万だったらどうするんだろうってことです。

仕入れもあります。ドーンと仕入れて、冷凍冷蔵庫9割ぐらい入るぐらいまで取りました。その日は赤点です。その日は売上とともに経費がかかっていると思ってください。翌日以降は、納品がなければ原価0円と考えてけっこうです。

キャッシュを動かすことは、売上のサイト、売掛、掛売があると思います。それとともに1日で利益どれぐらい出るかも考えていく必要があります。

ちょっと話が前後しましたけど。長続きしているオーナーは、売上だけではなくて、利益、両方を見ています。稼ぐことと儲けること、両方見ています。

その意味合いを持って、通信簿の作り方はそんなに難しくないです。細かい勘定科目、租税公課、支払い手数料、そのへんは一切合切の今までのまとめを割り算して、そのまま入れてくれて構わないです。

この1日の家賃とか、人件費をどうして捉えていくか。第6感、ヤマ勘ではない勘が育ってきます。数字の実績に伴う勘が養われてくるところがポイントになってくるんですね。

私がオーナーさんにお伝えするときに「これやってください」をいくつか代表的なものを準備してきました。やられてる方はそのままでけっこうなんですけど、もしまだであれば、メモをお取りいただければ幸いです。

計画と実績の剥離は3パーセント以下を目指す

稼ぐ関連と儲ける関連は別にしてあります。稼ぐ関連は、まず営業の売上の計画、目標売上。これを立ててない方、いらっしゃいます? 誰もいないですか? 全員、営業計画は立てていらっしゃいます?

参加者11:立ててます。

植竹:それは当初から立てられてるんですか?

参加者11:立ててなかったです。

植竹:立ててなかった。いつから立てるようになりましたか?

参加者11:この4月から。

植竹:最近ですね。立てた今と昔でなにか違い出てきてますか?

参加者11:明確に対前年の月ごとで。

植竹:前年の実績は月ごとに出てたんですね? なるほど。ありがとうございます。

どうしようかな。営業計画は立てていらっしゃるということを前提にしてお話をしましょうかね。

計画と実績の精度って、3パーセント以下になってます? 10万円の目標であれば、すごく単純に言うと、9万7,000円から10万3,000円の間に入っていますか?

ここでは、3〜5パーセントぐらいの乖離にするように設定してみてください。プラス、努力目標が別途出てきます。あとですね。バロメーターとしては「売上3日間で家賃を稼ぐ」という言い方もあります。

家賃が60万円だったら、20万・20万・20万でもいいですし、10万・20万・30万でもいいです。土日のほうが売れるのであれば、3日間ぐらいの営業でその月の家賃を回収できるようなイメージで売上の計画を立ててみてください。

いろんな立て方があるんです。例えば新メニューを出しました。新しい商品を仕入れてこれから販売することにしました。宣伝もうまくいったとします。そのときには当然、上張りした目標の設定をされるかと思います。そういった内部環境の変化。新しい商品出します。キャンペーンやります。

あとは外部環境。これにはプラスもマイナスもあります。例えば、僕の店の近くにある山下公園では、けっこう催事があります。それによって潤うお店、潤っていたのが閑古鳥になるお店、両方あります。そういう外部環境の要因とかも含めた上で、毎日の売上の目標を立ててみてください。

新規顧客には必ず来店動機をヒアリング

あとポイントとしては、新規顧客。新しくいらっしゃったお客様に関しては、来店動機は必ずヒアリングする癖をつけさせてください。ご自身はオーナーさんですから、やったことがあるかと思うんですけど。「あの、もしかして今日は初めてご来店いただきましたでしょうか?」。これ、必ず言わせるようにしてくださいね。ものすごい大事です。

既存顧客の方に関して、顧客台帳がお店にある方? ないですか?

ちなみに、宣伝じゃないんですけど。Airレジには顧客管理の機能がついていますので、これから開業される方、すごく参考になりますので、ぜひご検討してみてください。

あとは儲ける。

儲けるには2つあります。投資額を増やして大きなリターンを生む方法。たくさん広告宣伝費や販売促進費をかけて、高い売上高を出す方法。

ふだんはどれだけ無駄を省いて節約ができているか。倹約じゃないんですよ。節約をするというところに意識がどこまでいってるかを見ていく流れになります。

具体的なToDoとしては、納品書、領収書、請求書、もしくは受領書、これは毎日所定のファイルにファイリングする癖をつける。もしくはつけさせる。部下や店長さんがいらっしゃればつけさせてください。

これもみなさんには該当しないかもしれないんですけど。私がお手伝いに入るところって、だいたいもうダンボールの箱のところにぼーんってすべての伝票入っています。

例えば、雨が降ってお客様が少なかったら、奥様がしょぼしょぼと伝票を整理されているところがあって。どれだけお金使っているのか把握されているわけもないですよね。

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