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最新のデジタルマーケ施策の限界点 最も現実に即し、成果の出る新時代のマーケティング活動とは?(全2記事)

2017.01.12

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1枚6,800円の下着が売れた理由は? 新時代のマーケターが注目すべき“テストマーケティング”

提供:株式会社ヒューマンクレスト

新たなテクノロジーや手法を取り入れてみるけれど、なかなかうまくいかないのがデジタルマーケティング施策です。2016年12月に行われた「Marketing Special DAY」では、従来のテストマーケを再定義し、“改善と同時にファンを囲い込む手法としてのテストマーケ”を提案しています。本パートでは、なぜ今のマーケティング手法には限界があるのか。これを受け、新時代のマーケティング活動に必要なユーザー理解とCVR最適化について語られています。

なぜソフトウェア品質会社がマーケティングを?

古澤辰徳氏:みなさま、お疲れ様です。ヒューマンクレストの古澤と申します。

本日は、テストマーケティングのお話をしますが、「テストマーケ」と聞くと、一部の小売やメーカーさんのものだと思っている方も多いと思います。確かに、ひと昔前まではそうだったかもしれませんが、今は違うのです。新時代のテストマーケのかたちというと大げさですが、本日はそのあたりについて、お伝えしたいと思います。

開始前に、弊社と私のご紹介にお時間をいただきたいと思います。我々は、日本国内のヒューマンクレストとヒューマンネクスト、それからベトナム現地法人のJPQという3社からなるグループ会社です。創業が2002年で、今15期目ですかね。社員はだいたい140名、主要事業がソフトウェア品質関連事業です。

なぜそんな弊社がマーケティングのイベントに出てくるのかというと、品質を見ているなかで、「ユーザーさんが本当に求める品質とはなんなのか」を、クライアント企業からリクエストされるようになったからなんですね。

企画や開発の要求仕様通りにサービスを作っていればいいものではない、ということです。「魅力的な体験を提供しているのか」「使い勝手はどうなのか」「そもそもその商品はニーズがあるのか」というような根本的な問いに対して、ユーザーにとっての魅力的品質を追求するようになりました。その後、マーケティング施策にもいろいろと関わるようになり、本日、機会があって登壇させていただく流れになりました。

主要取引先としてはこちらです。錚々たる会社様にお取引いただいています。

では、私の紹介です。古澤と申します。株式会社ヒューマンクレストの事業開発室におります。新規事業の開発部門です。2009年に大学を出まして、そこからキャンペーンの審査・オペレーション部門のスーパーバイザーをやっていました。

そのままシステム開発へシフトして、そのあと、スマートフォンゲームや大手のネットスーパーの品質管理とマーケティングを担当しました。ここで、マーケティングの知見が一気にたまりました。その後は、本社に戻って「エモログ」という、ユーザーリサーチのサービスを新規事業として立ち上げました。

わりと、運用あがりの人間です。今も毎日、Googleアドワーズの管理画面を1時間に1回くらい見るような生活です。そういう面では、本日は細かいお話ができるんじゃないかと思っています。

スキルは幅広く、フロントエンジニアとデザイナーとマーケッターを兼任しております。今、ディスプレイ広告でバナーを出稿しているんですが、そのバナーも自分で作っています。あとは、ページのコーディングも自分です。WEBマーケティングもすべてプランニングして運用しています。はい、そういった人間です。

トライ&エラーを最初から行うことに価値がある

では、さっそく開始いたします。本日のトピックです。

1つ目は、テストマーケティング。これは、リサーチ+アウトプットというかたちで定義しております。そして2つ目、リサーチの手法についてです。「行動データとユーザーの声で仮説を検証する」です。最後に、アウトプットです。調査PRの有効性と題して、アウトプットの考え方と事例についてお伝えしたいと思っております。

本日ご提案したいのは、「ゴール設定の前に、ユーザー理解を入れましょう」ということです。配信面やテキスト、クリエイティブを最適化するための根拠を、ユーザーリサーチに求めましょう。ユーザーから改めてゴールを見直す手法のご提案です。

いったん、ここで小まとめです。新時代のマーケティング活動にはユーザー理解が必要です。基本のSTP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)の前に、ユーザーリサーチを入れましょう。そこで、本日はR-STPという手法について、ご提案します。

次に、テストマーケティングについてです。概要からご説明します。

結論からいいますと、「トライ&エラーを最初から行うことに価値がある」ということです。従来の方法だと、設計して、開発して、最後にテストマーケティングをして、ローンチします。これだと、テストマーケで悲惨な結果になってしまったら、取り返しのつかない大きな手戻りになってしまいますよね。

今回ご提案するのは、テストマーケ型サービス開発・運用というもので、小さなサイクルによるテストと開発をくり返すものです。あるサイクルで不本意な結果であれば、前のサイクルに戻って、もう1度仮説から見直します。最後にやる保険としてのテストとは、全くの別物なんです。「小さなテストと小さな開発の連続によって、販売リスクを最小化しよう」という考え方です。

次に「テストマーケティング」のマーケットのお話です。1つ目は特定地域での先行販売、2つ目は、街頭でのサンプリング、そして3つ目は、オンラインです。1と2に関しては、本日はテーマと関連が薄いので、割愛します。

3のオンラインについてご説明したいと思います。

オンラインのいいところは、実施規模が小さくても可能で、お手軽なところですね。悪いところは、多少プランニングと検証にスキルが必要なところです。

そうは言っても今、AmazonやYahoo!、楽天などでのモール出店が、かなり簡単です。そういうところで、簡単に販売ベースのテストができる。なんだかんだ言っても、売れた実績が何よりも多くのことを物語りますよね。

さまざまな方法による「オンライン・テストマーケティング」

販売ベースのテストをすることが重要ですね。感覚的な「いいね!」を集めることではなく、「実際にお金を払ってくれるのか」をテストするのが、テストマーケティングの重要な部分です。

最近のテストマーケティングの事例をいくつか紹介します。ECのテストマーケティングです。Amazonに出店した事例です。1枚6,800円のパンツが1週間で売れたというのがありますね。

これはすごくニッチな商品で、不妊症に悩む肥満男性向けの商品をテストした事例です。1枚6,800円のパンツなんて、ものすごく高いですよね。ふつうは考えられないんですけど、ある特定層の深刻なニーズが、販売ベースで顕在化した事例です。やってみないとわかりませんね。

最近だと、テストマーケティングの代表的なプラットフォームとして、クラウドファンディングがあります。主にIoT製品が出品されていて、それにいくらお金が集まるのか、出資者が何人いるのかで、評価するものです。

左は、家の窓枠などに付けるスマートロックのIoT製品。右が、ペットの自動エサやり機の製品ですね。スマートロックは目標額を30万円に設定して、支援者が318人で、合計87万円集まりました。ペットの自動エサやり機が目標の500万円に対して、174人が出資して合計436万円になりました。

結果は、スマートロックが300%達成しました。ペットのエサやり機は436万円と、スマートロックの約5倍集まったものの、残念ながら未達に終わり、集金できませんでした。こういう事例もあります。

クラウドファンディングは、スタートアップだけのものと思っている人も多いと思いますが、最近では、大手企業も出品しています。例えば、博報堂さんがぬいぐるみの製品を出品していたり、ソニーさんがステルスモードで出品したり。ソニーさんのものは、知名度の看板を隠した上でもニーズがあるのかを調査する目的の例ですね。これは2つとも目標金額を達成して、テストマーケとしては成功した事例です。

ゲームでは、事前予約がありますよね。主に、リリース前のプロモーションとして行われています。メリットは、リリース前に数万人のユーザーを抱え込めるところです。このように、モバイルゲーム業界においては、事前予約というテストマーケが当たり前になっています。

次に、主にオンラインゲームなどで一般的に行われているβテストに関しても、考え方は同じです。本番リリース前の段階で、プレイ意欲の高いファン層を集めて、実際に触ってもらう。サーバーの負荷テストやデバッグ用途と兼用するかたちで、有力なプロモーション手法として確立されています。これも数万人単位でユーザーの抱え込みが可能で、ゲーム業界以外ではほとんど見られない事例ですね。

テストマーケで得られる“一石三鳥”

まとめです。テストマーケティングには3つのメリットがあります。1つ目は、開発と仮説検証のサイクルを小分けにするので、市場への投入リスクを最小化できることですね。

2つ目は、ファーストカスタマーの囲い込みでキャズムを超えることです。イノベーター理論でいうところの、イノベーターとアーリーアダプターの合計16パーセントを、ここでは「ファーストカスタマー」と言っています。新規サービスであれば、モノ言うユーザーというか、この非常に熱量のある人達の囲い込みの成否が、死活問題ですよね。既存のサービスであっても、離脱した初期ユーザーのリターン施策に使ったり、これから新たに使い始める新規ユーザーへのアプローチとして、非常に重要ですね。

3つ目は、調査データとしても有効的に活用できることです。これまでも申した通り、サービス改善につながることは言うまでもありませんが、その過程と結果そのものを、コンテンツとしてアウトプットしようということです。お客さんの意見を取り入れて、サービス改善の仮説を補強する。その結果はどうあれ、事実をお客さんへフィードバックしてコミュニケーションをはかる、という考え方です。

テストマーケティングは、一石三鳥なんです。

CVRを上げるため、リサーチ手法は組み合わせで使う

では、テストマーケのためのユーザーリサーチにはどういうものがあるのか。ちょっと深掘りしていきます。ユーザーの行動データと声で、仮説を検証する方法です。

まず、リサーチの手法にはどんなものがあるのか。アクセスログ、ヒートマップ、インタビュー、ユーザーテスト、A/Bテスト、アンケート。代表的なこの6つの手法を、本日は簡単にお話したいと思います。

これらの手法で得られるデータなんですが、横軸が定性・定量データの軸ですね。縦軸が、行動・心理データの軸です。これで言うと、行動かつ定量データを取れるのが、アクセスログ、A/Bテスト、ヒートマップなどです。

次に、心理かつ定量データを取れるのがアンケート。そして、心理かつ定性データを取れるのがインタビューです。ユーザーテストは、行動と心理データがまんべんなく取れるもので、セグメントを絞りに絞り込むかたちで、定性データを取得できます。

ここでちょっと脱線しますが、すごく重要な概念です。CROです。コンバージョン・レート・オプティマイゼーション。コンバージョン率最適化を意味します。最近、いろんなセミナーで紹介されている概念ですが、これは本当に超重要です。

CROが、なぜ重要なのか。例えば、ある広告を出稿しました。これに150万円を使いました。結果、10,000UU、つまり1万人を誘導しました。CPCは150円になりますね。対象サービスはECサイトだとして、購入単価が5,000円だったとします。当然ですが、ここで売上に関して影響してくるのが、CVRの数値です。

そこで例えば、2つのCVRパターンがあるとします。Aが5パーセント、Bが10パーセントだとします。最終的なAの売上は250万円、CPAが3,000円。Bの売上は500万円、CPAが1,500円になります。これをROIで換算すると、Aが67パーセント、Bが233パーセントで、非常に大きな差になります。

1ポイントであっても、このCVRを上げることが、非常に有効なんですね。

そのCVRを上げるために改善すべき対象は、ユーザーのあらゆるタッチポイントに含まれています。広告から流入して、回遊して、コンバージョンする。リピートシーンでは、再訪して、回遊して、コンバージョンする。この流れのなかで、CPCを下げるためには広告キャンペーンのプランニングをしっかり行う必要がありますし、その広告の期待を裏切らないよう、ファーストビューとなるLPを最適化するべきです。

回遊中の離脱率を下げ、最終的なCVRを上げるためには、コンテンツの内容とレイアウトを最適化する必要があります。リピート率の向上にはリテンション施策を行い、顧客とのエンゲージメントを高めなければいけません。このように、ユーザーとのあらゆるタッチポイントで、最適化が必要ということですね。

それらの最適化プロセスを実行するために、先ほどお話したいろんな手法を活用するのです。ポイントとしては、例えばヒートマップツールのみなど、それぞれ単体で利用しても、効果が上がりづらいということです。万能なツールや手法などはこの世に存在しません。

そこでおすすめなのが、リサーチ手法を組み合わせることで発揮される「CRO施策」です。簡単にCROの流れをご説明します。

まずはGoogleアナリティクスやAdobeアナリティクスなどのアクセスログ解析ツールで、全体傾向とボトルネックについて、大雑把に把握します。そこからKPIの設定をします。そのあと、アクセスログで詳細をもう1度分析して、仮説を洗い出します。

仮説の量が多すぎたり、質が怪しい場合には、ヒートマップやユーザーテストで補強して、精度を向上させます。最終的に絞られた仮説を元に、実際の改善案を複数制作します。最後に効果をA/Bテストで測定し、新たな仮説フェーズへ戻ります。

ここでポイントになるのが、仮説の精度を向上することです。広告で人を連れてくるにも、改善案を開発・制作して運用するにも、多くのコストがかかります。そのコストを最小限にする意味で、仮説の精度向上は非常に重要なのです。仮説の精度を向上するには、ヒートマップやユーザーテストがおすすめです。場合によってはアンケートやインタビューも有効になることがあります。

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