2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
プレゼンテーション(全1記事)
提供:株式会社データドック
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司会者:続きまして、株式会社データドック代表取締役社長CEO宇佐美浩一より、「寒冷地グリーンエナジーデータセンターの保有によるネット広告代理店の挑戦~ビッグデータと地方創生~」と題しまして、プレゼンテーションを行います。
ここで簡単に宇佐美の経歴を紹介させていただきます。1986年4月株式会社リクルート入社。2007年4月に株式会社メディックス取締役に就任。そして2016年4月より、株式会社データドック代表取締役社長CEOを兼務となりました。それでは宇佐美社長、よろしくお願いいたします。
宇佐美浩一氏:みなさま、本日は蒸し暑い中、お忙しい中、お越しいただきまして、誠にありがとうございます。また、ご来賓のみなさま方、温かいお言葉をいただきまして、本当にありがとうございます。
改めまして、データドックの宇佐美でございます。略歴を今、ご紹介いただきまして、おわかりになっていただけるかと思うんですが、私は一貫して広告・マーケティングをやってきています。
営業よりもむしろクリエイティブ、一時はコピーライターを目指して延々応募をしたりしていましたが、2007年のメディックス入社からデジタルに入って来まして、そこでのいろいろな気付きや課題感が、今回のデータドック設立と関係しております。
本日は、このようなお話しをしたいと思っています。
私の言葉で語るところのデータドック設立の背景。こちらを3つほど、ご説明したいと思います。
次に、提供サービスですね。先ほど来、データ活用をしていくデータセンターなんだ、ということでご説明、みなさまから応援メッセージをいただいておりまして、そのとおりなんですが、データ活用をご提案するということは、その前提として、しっかりとお預かりをしていかなければいけない。そういうインフラサービスの充実が必要、マストとなっています。
そちらにつきましては、長岡のデータセンターの特徴を活かしてサービス構築しております。それが一番目、インフラのサービスですね。
もう1つのサービスレイヤーとして、データアナリティクスがあります。この2つのサービスのご説明を簡単にさせていただきたいと思っております。
まず設立の背景です。弊社・会長の水野(昌広)からオフィシャルの文言でいろいろとご説明をさせていただきましたので、私はちょっとベタな言い回しも多くなってまいりますが、そういう性分でございますので、少々お付き合いいただればと思います。
まず、(スライドに)「渾身の」と書かせていただきました。出資母体のメディックスは平たく言うと、インターネットの広告代理店でございます。エージェンシー事業ですから、設備投資とかをする事業形態はございません。かつ、規模的にも業界中堅というのが正直なところでございますので、その点からすると、ちょっとありえない事業の取り組みとなっております。
しかし、私としてはそうすることが、メディックスがグループとして、今後のビッグデータ時代に勝ち残るソリューションになるはずだというところを確証した上での、今回のチャレンジとなっております。
そういうことを感じるのは、やはりこういうシーンです。よく「会社経営はデータドリブンでいかなきゃいけない」とか、「IoTやビッグデータ活用で会社経営を変えなきゃいけない」とか、そんなことを言われて久しいと思います。
しかし、正直、私どもがメディックスとして、お客様とマーケティングのお話をするときには、こんなシーンが多いです。
お客様のマーケティング部門の方と、「データで攻めましょう。どんどんデータ活用をしましょう」というお話をしていくのですが、企業様のほうではシステム部門の方々が、「いやいや、データはしっかりと守りたい。とくに個人情報が多いのでセキュリティが絶対だ」ということで、よくコンフリクトが起こります。
これは誰も悪くなくて、まったくミッションが異なり、まったく仕事上の“筋肉”が異なる方々が異種格闘技してるところで、ご両者が真剣に考えるからこそ、ぶつかって行ったり来たりする。こういうことが多々ございます。
私どもで……、あえて私どもといいますが、メディックスグループとして、今後データ活用をご提案していくのであれば、「いったいどうしていくんだ?」ということで、「御社内、お客様自身で解決してください」ではなくて、私どもが大きく変わればこれが促進するんじゃないか。
遠く離れた両端の方々に同じ目標を持ってお集まりいただき、自分たちの会社、私どもにとってはお客様ですけれど、お客様の事業拡大に向かって、同じ目線でITとマーケティング、データ活用を語っていけるような、そんな場を設定できるポジションに我々がなりたい。
「では、それができるんですか? データドックさん、メディックスさん?」と言ったときに、それができるソリューションを用意したい。そういうことを思ったわけです。
そうなったときに、「では、IT基盤はいいところを探しましょうね」ではなくて、「私どもが最高のIT基盤を有しております。その活用のソリューションも有しております」ということを、ぜひユーザー企業様に、私はご提案したい、ご報告したい。そんなことを考えて今回データドックを創業しております。
2つ目です。先ほどこんな世界を作りたいということを申し上げました。では、ビッグデータを活用する際に、充分なIT基盤、サービスをどこから調達するんだろうということを考えたときに、結論としましては、「自分たちで作ろう。それが早い。それがお客様の期待に応える」。そういうことを結論としまして、今回、自社で新しいデータセンターを建設することにしました。
その結論までの背景になったところを若干ご説明申し上げます。これはけっしてデータセンター業界などを批判するかたちではなくて(笑)、おおむね、マクロで見るとこういったところがあったということでご容赦いただきたいと思います。
まず、いろんなデータセンター、今、日本にあるデータセンターのなかで約5パーセントのデータセンターのみがこの5年以内の設立・建設だということです。古いということで、なにが課題になりがちかというと、まず1つが電気量です。ラックあたりの電気量、引き込める電気量に限界が来るということがあります。
こちらがどうユーザー企業様に影響するのかを、わかりやすくしたのが右の図です。
例えば、1ラックあたり6kVAの電気量を保有されているデータセンターであれば、「3ラック使うよ」と、お客様がおっしゃったときに横に3つ並べるわけですね。
私どものデータドックは、そういうお客様がいたら「縦に積んでしまいましょう。1ラックで済みます」と。それによってお客さんもコストの効率化ができます。それに、このデータを活かした運用サービスをご提案します。こんなことをご提案していきたいわけです。
けっして安売りをしたいわけではなく、ビッグデータを活用したいというお客様のニーズに応えるために、まずコストの面でメリットを出していきたい。そのために必ず必要となるのが、このラックあたりの電気量になる。そういうことを考えました。
あともう1つ。これは床耐荷重の問題です。これも一般的なお話ですが、だいたい床耐荷重が、平米あたり500キロ程度のデータセンターが多々あります。
その一方で、サーバー・ストレージはどんどんハイスペック化していますので、重くなっています。
例えば、左側の絵ですと、ブレードサーバーとかストレージを300キログラム・200キログラム・300キログラムと横に3つ並べておりますが、そういうお客様がいらっしゃれば、まず私どもは「縦に積んでしまいましょう」というご提案をすると思います。
この例ですと、3つで800キロですね。先ほど、津田(邦和・NCRI株式会社)さまから、「来年の今ぐらいには2トンを超えるストレージが出てくる」というお話がありましたが、その辺りを見通しまして、私どもの長岡データセンターの床耐荷重は平米あたり3トンを基本としております。これで、どんなにサーバー・ストレージが重くなってもすっと置ける、と。
それを使ってどんどんデータを回していきましょう、というご提案ができる基盤を自分たちで用意したという流れになっております。
あと、こちらは、少し観点が変わりまして、先ほど来「大きいデータを扱います。重いデータを扱うので容量がたくさんあります」とお話しをしてきましたが、すなわちたくさんの電気を使うことになります。CO2の観点でも問題があります。
この円グラフはデータセンターの消費電力の内訳です。データセンターが消費する電力はものすごく大きいんですが、そのうちの44パーセントが空調なんですね。
ですから、今回、私どもが設立を決意できたのには、この空調の消費電力をほぼ0にできる。そうであれば、マクロで見て、日本の環境改善に貢献できるのではないか。私どもも胸を張って、「高集積のサーバー・ストレージを運用してます」と言えるんじゃないか。そんなことを考えました。
これはある調査データですけれど、東京都の総消費電力に占めるデータセンターの利用電力。要は東京で消費される電気の約10パーセントがデータセンターによるものだそうです。
きっと2020年に向けて、東京都のこういう状況は注目を浴びることにもなってくると思います。もちろんデータ量が増えていく状況もあります。併せもって、データセンターの地方分散化がますます進むと思うんです。
実際、東京都でも環境配慮型のデータセンターにお引越しをすれば、経費を一部負担します、というような助成金の制度ができています。
この流れが、これからますます加速化すると思いますので、そんな流れのなかで、私どもとして「どうぞお越しください」と。環境配慮型のデータセンター、なおかつ、御社の事業改善に役立ちます、というようなサービスをどんどん展開してPRしていきたい。こういったことができるので、ぜひやろう、と。そんな判断をいたしました。
次、3つ目です。今日の大きなキーワードでもあるんですけれど、胸を張って地方創生に貢献できるということで、私ずっとここ何年も心の中で温めておりました。いつかやりたいというエモーショナルな部分もありました。そして、実際に今回大きなチャンスをいただいたというところになります。
まず、なぜ胸を張れるのかと言いますと、メディックスという東京の会社が新潟に支社を出すのではなくて、新潟県に本社を置きます。本社を置くだけではなくて、地元企業のみなさまに出資支援をいただきます。かつ、現地で採用を行う。
かつ、現地でやる意味のある、新潟という場所でやる意味のある寒冷地データセンターという事業でもって、地方創生に貢献できるということが、私のなかで非常にすっと腹に落ちて、ぜひやりたいと感情的にも素直に思えた、そういった要素も大きかったです。
トピックスとしては、本社の長岡移転は来週です。現地採用は今年度15人を予定しています。
あと3つ目。先ほど来賓の津田さんにご紹介いただきました、DEECOPプロジェクト、エネルギー再利用プロジェクトへの参画もしておりまして、データセンターのみならず、周辺事業への波及というのにも挑戦していきたいと思ってます。
この辺りを少し分解してご説明いたします。
先ほど、「寒冷地の特徴を活かした、競争力のあるデータセンター」というをお話をしました。そちらをビジュアル化しております。具体的には雪氷を活用して、機械空調をあまり使わない、ほぼ使わないということになるんですが、その具体的なインパクトを図解したものです。
これは月々の運用費です。左側が通常のパターンですが、毎月のランニングコストで見ると、電気代が約8割のデータセンターさんが標準です。その中で、空調電気が約半分弱ですね。そんな構成なんです。
今回の私どものデータセンターは雪氷を活用することで、青い部分の空調電気をぐっと削減できる。ランニングコストでいえば、38パーセント。約40パーセントを毎月のランニングコストで削減できるということになってます。
こちらがユーザー企業様に還元できる余力にもなりますし、そもそも電気を効率的に使うというところでの貢献度も大きいと思っています。まさしく雪のある新潟・長岡ならではの発揮できる競争力ということになっています。
また、こちらも現地・新潟だからできるという要素で、冒頭のムービーにもありましたが、雪氷を活用してデータセンターを冷やして、通常データセンターから必ず出る排熱は外部に捨ててしまうんですけれど、今回の私どものデータセンターは植物工場に排熱を入れます。
ということで、植物工場で使うストーブ。温度を上げていきますよね。通常はボイラーを使いますが、そのエネルギーを削減できる。そんなエネルギー循環のシステムになってます。
こちらは弊社の調査ではありますが、データセンターと雪氷利用と排熱利用、この3点セットは世界初で、まだ実例が確認できませんでしたので、世界初の取り組みとして新潟から発信していきたいと思っています。
現状は、まだ研究の段階です。実際に植物工場を運営する企業様とコミュニケーションをしたり、まだその段階ですが、やはり最終的には事業として成功させたいと思っています。
また10パーセントと出ましたが、実はこれは植物工場をやってらっしゃる企業様方で利益が出ている割合です。植物工場の経営は、非常に難しいんですね。
今回の取り組みでは、暖房費を削減できますので運営費が楽になる。私どもは、排熱をほぼ0に近いかたちでご提供していきますので、そこはアドバンテージとできるよね、ということと。
あとなんと言っても、事業化するために重要なのは売上ですよね。販売経路。こちらについてはメディックスのこれまでのノウハウを結集して、Webを使って売ったり、お客様をCRMで追いかけたり、そういったことを駆使して、研究で終わらせずに、なんとか事業化したいと思っています。
事業化することの意味は、私どもにとってのビジネスという観点もありますが、データセンターの周辺で産業を生むということで、ここでまた雇用が生まれ、ビジネスが生まれます。これがやはり、新潟県の泉田(裕彦)知事から期待されているところだと思っていますので、私どもとしてもこだわっているところでございます。
今後も研究会のみなさまと協力しながら、ぜひ研究から先の事業化へ進めていきたいと考えています。
では、次に具体的な提供サービス。これまでは志の部分や方向性のお話が多かったんですが、実際のユーザー企業様にご提供するサービスについてご説明いたします。
こちらが俯瞰図です。一番上に「データドックDLCM」、Data Life Cycle Management(データライフサイクルマネジメント)と書かせていただきました。
文字通り、データの「ゆりかごから墓場まで」と。下の円でいうと、生成から蓄積、分析、活用、保護、再活用。場合によっては廃棄。
データは非常に増えていますので、必要ではないデータは効率的に破棄するという観点も今、叫ばれております。この一連のサイクルを提供していこうと思っています。
これをデータセンターからやっていきますので、このサイクルは大きく2つのレイヤーに分かれると思います。
下の生成から蓄積、保護、再活用。これは下のブルーのデータインフラサービス、こちらだと思ってます。しっかりとお預かりするというところですね。
それにプラスして、上の赤と紫の分析・活用の部分はデータアナリティクスサービスとくくりまして、この2つの階層でのサービスをデータセンターを持ちながら提供していこう。逆に言えば、データセンターを持っているからこそ、この2つがやれるんじゃないか。そんなことを全体のコンセプトとしております。
先ほど2つ申し上げました、下側のデータインフラサービスについてもう少しご補足いたしますと、こちらのコアとなるのは長岡にあるデータセンターです。改めてその競争力を説明したいと思います。
わかりやすい目に見えるスペックとしては、先ほどからご説明しております、床耐荷重平米あたり3トン。提供電力がラックあたり30kVA。
あとはここで初めて触れますが、バックボーンとして東京・長岡間、直結線の100Gbps。これはバックアップも100Gbpsを確保いたします。これも先ほど泉田知事からありましたが、実は新潟はインフラが非常に充実していますので、こうしたことができます。
最後に立地ですね。東京から新幹線で確実に2時間弱で着く。この“確実に”というのが重要でして、飛行機だと飛ばない場合もあるわけです。有事の際にはさくっとエンジニアの方がこちらに来ていただけるという立地も魅力となってます。
あと、インフラ部分のサービスについては、柔軟性と経済性に優れた仕様と書かせていただきました。
こちらも、今はよく、保有の時代から利活用の時代ということで、「持たないほうがいいんじゃないか。柔軟じゃないか」といった指摘をされることがあるんですけれど、持ってるからこそいろいろやれるんじゃないかいうところを突き詰めていきたいと思っています。
その1つの例が、例えばこの3kVAごとに必要な量を必要なときに追加できる・減らせるということです。これは地味ですけど、実はけっこうお役に立てるのかなと思っています。
単純に「じゃあ、隣にもう1ラックですね」ではなくて、同じラックのなかで自由に運用できる、調整できるというのがお役に立てるかなと思っています。そういったものをどんどん考えていきたいと思います。
あとはインフラサービスというところで特徴的なご説明をしますと、先ほどから、ビッグデータ、ビッグデータと申し上げています。大きなデータを扱う、そんな領域で勝負したいと申し上げておりますが、「じゃあ、どんなことなの?」ということでビジュアル化をいたしました。
左側のほうにプロットをしていますけれど、実際にいろんな雑誌やネットでデータセンター各社さんが提示されている価格表を見ますと、だいたい4キロから8キロぐらいまでが提示価格帯の中心で、それ以上はあまり記載がされておりません。
逆に私どもは、この右のほう、12kVAから30kVAまでの価格帯をしっかりと設定して、かつ、右上がりの比例係数ではなく、ラック集約をすることでの効率化を提案していきたいと思っておりますので、右に行けば行くほど、アップ率が軽減するという、そんなサービスと価格構成を考えております。
ですので、ビッグデータを使うということは、その分コストもかかるわけですが、そこについても我々なりに、品質面およびコスト面での努力をしていきたいと思ってます。
ここまでがインフラのお話です。もう1つはアナリティクス領域です。データを活用するところですが、ここはメディックスが有する競争力をまずは存分にシナジーとしてタイアップしよう、と。
ちなみにメディックスの実績として、すでにこういった会社さんとデータ分析のお取引があります。みなさまのお役に立てる領域も多々あるかなと思っております。
まとめさせていただきます。今日、データドックとしてなにをしていくのかについて、いろいろお話させていただきましたが、1枚の絵にするならこんなことかなと思います。
最先端のデータセンター基盤。これはビッグデータを活用する上で最適な基盤、サービスも含めてですね。それを自社で保有することで、研ぎ澄ましてビッグデータ分析をしていこう。それによって差別化して、競争力を有していこう。そんなことを考えています。
ですので、今後、アプローチしたい企業様といたしましては、ビッグデータをお持ちの企業様になります。そうなるとほぼ全方位にはなりますが、強いていうならば、やはり映像系のコンテンツをお持ちのところとか、医療系の企業様、eコマース系の企業様、あとは製造業様。そういった企業様といろんな接点をお持ちできるとうれしいなと思っております。
私からのお話は以上となります。いろいろと大上段に構えているところと、ちょっとエモーショナルな部分、あとはまだ志のみで目玉の入っていない部分、多々あると思っておりますが、やり遂げようという気持ちは、私も含めメンバー1人ひとり強く思っております。ぜひ今日お集まりのみなさまにいろいろなご支援をいただければと思っております。
ユーザーの企業様にはぜひご要望を聞かせていただきたいですし、いろんなソリューションをお持ちのみなさまとはぜひ情報交換とか、協業のご提案とか、そんな機会を作っていただき、温かくご支援いただけたらと思っておりますので、今後どうぞよろしくお願いいたします。本日は誠にありがとうございました。
(会場拍手)
株式会社データドック
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