2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
提供:株式会社ディー・エヌ・エー
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塩田元規氏(以下、塩田):みなさん、今日は目的を持って来ていらしたと思うんですが、このなかで将来、起業したい人はどれぐらいいますか?
(会場挙手)
けっこういますね。起業じゃないけど、自分のキャリアや就活の参考にって人はどれぐらいですか?
(会場挙手)
OKです。ありがとうございます。先ほど南場さんにご紹介いただいたんですけれど、僕は、もともとディー・エヌ・エーで、2年半広告営業をやらせていただいていました。
本当に相当働いていたと思います。働きづくめで、家に帰るのもめんどくて、ずっと会社でお風呂も入らずに寝泊まりしてたら、周りから臭いって言われるくらいでした
その後、会社を作って、今5年半くらいになります。今日は、この5年、どういう旅をしてきたかという話と、そもそもなんで会社をやろうと思ったのかというお話しをできればと思います。だいたい30分お話しをして、あとは質疑応答にしたいんですが、インタラクティブにやったほうが楽しいと思うので、ぜひ質問もしてください。
僕はもともと理系だったんですけど、20歳のみなさんと同じような歳で「起業する」って決めました。世界を変える会社を作るって決めて、そのあとにMBAに行って、ディー・エヌ・エーに入ったという経歴です。
最初2、3分、会社を紹介をさせてください。5年前に設立して、今、正社員だと日本に70人、台湾に50人います。あと応援団。アカツキは、会社の応援団を作るというかなりクレイジーなことやってまして、応援団が10名ぐらいいて、アルバイトの方なども入れると二百数十人くらいの会社になっています。
メインはスマホのゲームをやっています。なにをやりたい会社なのかというと、僕たちは感情をすごく大事にしていて「感情を報酬に発展する社会を作る」というのを自分たちのメッセージにしている会社です。
これはなにかというと、お金とかそういう外から与えられるインセンティブじゃなくて、1人ひとりがワクワクとか感情にしたがって毎日生きて、かつその1人ひとりの力で世界が自発的によくなる世界を作ることを目指してる会社です。
なので、ワクワクできる体験とかを世の中に届けるということと、そういうワクワクをベースに1人ひとりが活動できる場所を作るということをやろうとしている会社です。
僕たちは今、ゲームを作ってるんですが、ゲームの可能性をすごく信じています。僕らはゲームの力を「人の心を動かす力」だと定義をしています。まさに感情を報酬に変えるという感じですね。
今のメイン事業はスマホゲームですが、未来にはそのリアルな世界をゲームの力を使って、ワクワクする場所にする、みたいな新規事業へ挑戦したく、今準備を進めてます。
一応、売上も伸びてますという話で、去年で43億円になっていて。3月に上場させていただくということなので、拍手お願いします(笑)。
(会場拍手)
ありがとうございます! 上場すると、大きく1つ会社のステージが上がると思います。売上の成長率も、4年間で2106パーセント成長していて、テクノロジーやITセクターでは、日本で一番成長している会社です。
オフィスはこんな感じで、中はコテージみたいになっていて。裸足で歩くスタイルですので、基本的には、靴を履いたら怒られるという構造になっています。
台湾にもオフィスがあって、台湾も同じように裸足です。裸足はグローバル共通ってことですね、やっぱり。うん、あんまりおもしろくないですね、ありがとうございます(笑)。
あと僕らはチームにすごくこだわっています。これ5周年の時の絵なんですけど、5周年パーティの時はお祭りをやったんですよね。縁日で、それぞれ出し物だして、僕はたこ焼きやさんをやりました(笑)。こういう遊びにも本気の会社で、遊びを通して仕事やチームづくりを行っています。僕らは、チームこそが会社のすべてだと思ってます。1人ひとりがワクワクできて、つながりあうチームを作るということを会社のコアにおいてます。
具体的には、いろいろなことをやっていて、例えば、毎朝みなさん会社に行くと、朝はやっぱりテンションが低いじゃないですか。なので、朝は5、6人で輪になってボールを持って、ボールを投げ合いながら、24時間以内のいいこととか、新しいことを毎朝シェアをしてます。それに、モーニングで毎朝誰かがピッチやったり、あとは月に1回家族も恋人も呼んでいいパーティをやったりとか、いろんなことをやっている会社です。
言いたいことは、要するに「ワンピースです」ということです! 僕たちはラフテル(漫画『ワンピース』に登場する島)を目指していて。ラフテルわかりますよね、みなさん? 僕らにとってラフテルは感情報酬が発展してる社会です。海賊王は世界最高に偉大な会社になるっていうことです。僕たちはそこを本気で目指して旅をしています。
それに、ワンピースっていろんなキャラクターがいるけど、みんな違った才能を持っていて、一人ひとりが才能を輝かせながら、それでもチーム全体のためを考えながら動いている。それが麦わら海賊団っていうすごいチームを作っている。かつ、そいつらが本気で毎日生きてて、青春感満載じゃないですか。そういうチーム、そういう会社、そういう毎日を目指してます。
そもそもベンチャーって、基本的には大企業と違って、決まりごとがそんなあるわけでもないので。僕のなかでは大企業が海軍っぽくて、ベンチャーは海賊っぽいイメージですね。やんちゃしながらその時その時に、ルフィーが「この島行きたい」って言ったら行くみたいな感じで。で、周りが混乱するという構造だと思うんですけど(笑)、そういう、毎日本気に生きている感じが好きです。
ここからが本題です。僕のキャリアとか、あとは起業してから5年間ぐらい。特に起業を目指されてる方には「現実はこんな感じだよ」というのをご紹介したいなと思ってます。
まず学生から起業までというところで。そもそも「なぜ起業するか?」、さっきも南場さんがおっしゃっていましたけれど、起業ブームだから起業してもたぶん意味なくて。自分のなかで自分なりに決めたことがあるから起業するんだと思うんですよね。
誰かがやってるからやるってことは、たぶんあまりうまくいかないと思うし、それは自分の人生じゃないと思うので。まずは、自分の人生をちゃんと考えるということだと思っています。
僕の場合、起業にいたる意思決定には2つ大きくエピソードがあって。1つ目は、中1の時に父親が死んだんですけど、37歳だったんですよ、親父の年齢が。父親が37歳で死ぬと、「37歳で人生が終わるんだ」ということをリアルに理解するようになります。僕は今32歳なので、あと5年なんですけれど。37歳までをちゃんと考えようと思うようになりました。
それで、人生が有限だということを当たり前のように感じるようになりました。みなさんの人生も当然、有限で、今日はその1日を自分の命の時間を費やしてここに来ているっていうことだと思います。なので、なにか持って帰っていただけるとすごくうれしいなと思います。
おもしろいもので、人間終わりを意識するといろいろと変わります。例えば、高校生の時も、卒業式の日程が決まった瞬間に、今まで当たり前に過ごしていた日常が、急に1日1日が大事な日に感じられるじゃないですか。なんとなく過ごしてた日々が、「俺、もうこいつらと一緒に過ごすのはあと何日かもしれない」と思うと、大事になる。終わりを考えると僕は、毎日を大切に生きたいと思うようになりました。
「すべて終わりを描くことから始まる」ということです。そうすると「自分の命ってなにに使うんだろう?」とか「自分そもそもなにがやりたいんだろう?」って、けっこう若いときから考えました。それが、今につながっていると思います。みなさんも、まさにそれを考えているタイミングですけど、その問いと向き合うことは大切にしてもらいたいなと思います。
もう1つは「ハッピーカンパニープロジェクト」というものです。これは、大学の時に立ち上げた学生団体です。自分の命をなにに使うか、悩んでいたこともあって、いろんな人の意見を聞きたくなったので、世の中にある会社で、長期成長していて、かつ世の中をよくして、幸せにしてそうな会社を自分で勝手に選んで、その会社に直接電話して、「社長出してくれ」ってとりあえず電話してみるんです。
そして、「どういう人生の哲学とか経営に対する考え方とかを持ってるのか聞かせてくれ」ってお願いするんです。もちろん、最初は、「お前、何言ってるの?」みたいな感じに言われるじゃないですか。でもけっこう熱意を持って喋ると社長をたまに出してくれて。それで、「ちょっと会わせてくれ」と。
結果、十数件は会えて。実際、彼らが考える会社というものに対してインタビューができた。これ、みなさんおすすめなのでやってみてください。学生の特権です。電話すればたぶん出てくれると思います。
その時に僕が思ったことは「会社ってなんだろうな?」。当然、お金を稼ぐための組織だと当時思ってたんですけど、、社長にインタビューすると、世の中に価値を生み出すために存在してる組織で、その価値を提供した結果として売上があるとか、そもそもその組織がなにを目指してるかみたいなことが実はめちゃくちゃ大切です、みたいな話を聞かせていただきました。今思うと、当たり前のことなんですけど、当時はわかってなかったんでシンプルに共感したり。
あとは、会社や経営って数字がすごく大切に見えるじゃないですか。売上いくらとか利益とか。でも、数字だけじゃなくて経営って、人に向き合う仕事で、目に見えない意義とか哲学とか、そういうものをどれだけ内在できてるかというのがすごく大切です、みたいなことをおっしゃってて。いろんな話を聞くたびに、もうすごく感動して。
自分も、もし残り人生が37歳までだとしたら、それまでに最高に働いてる人がワクワクしててかつ世の中に価値を生み続けるような熱い組織を作りたい。自分は死ぬかもしれないけれど、死んだあとにそれが残って、世の中に価値を生み出し続けてくれたらいいなと本当に思ったんですよね。それで20歳の時に、理系だったんですけど「いや、経営やる」って決めて、そっちの道を歩み始めました。
だいたいこういうことを言ってる人間はかなりの勘違い野郎なんです。でも、やっぱりいい意味の勘違いはすごく大事で。
当時、自分の夢を決めた後、「元規って名前もたぶん世の中を元気にするために、元規って名前なんじゃないか」と勘違いするわけです。だから、大学時代はメールの署名に、「元規の元気で世界を元気に!」って常に書いてましたね。相当気持ち悪かったと思うんですけど。やっぱり勘違いは大事ということですね。でも勘違いし続けて、やっていました(笑)。
そのあと、経営やるんだったら、MBAというのがあるらしいと。経営者になるための、勉強をするんだと。自分は、起業するつもりだったんですけど、世界に誇れる偉大で大きな会社を作るって思っていたので、きっと役に立つと思って行きました。
入って、とにかく本気で死ぬ気で勉強しました。だいたい毎日3時間睡眠で、当然土日含めてずっと勉強する、みたいなことやってたんです。でも、今、覚えてる知識あるかって言われたら、悲しいかなほとんど忘れてるわけですよ(笑)。
ただ、MBA行ってよかったなと思うことは「死ぬ気で勉強する」ということを学んだということです。とにかく、頭を使って深く考え続けるという訓練にはなりました。
その後、就職活動を始めて。実は南場さんに一橋のMBAの授業にいらしていただいたんです。すごいインパクトある方じゃないですか。「マジ、この人おもしろいな」と思って。
僕は最初コンサルに行こうと思ってたんですけど、たぶん就活の最後くらいにディー・エヌ・エーを受けました。その時に僕の面談に川田(尚吾)さんっていうディー・エヌ・エーを南場さんと創業された方がいらっしゃって、僕のメンターをしてくれました。
その方がマッキンゼーのコンサル出身だったんですけど、「僕、コンサルと迷ってます」みたいなことを言ったら、「まあ、コンサルにこのタイミングで行くなんて、もう俺だったら自殺するね」とか言って。「元コンサルなのに、どういうことだ?」って思ったんですけど(笑)。
たぶん当時、言いたかったメッセージって、MBAでそもそも2年間勉強をしてきたわけですよ。コンサル入って、また自分で事業をやるわけじゃなくてモラトリアムのように、勉強みたいな「誰かの事業支援するということでいいのか」ということをたぶんおっしゃったんだと、僕は解釈しています。
僕も「そうだな」って思いました。それに、ディー・エヌ・エーという会社は本当に同期が変だったんですよね、いい意味で。頭はいいけど“変”みたいな人が多くて。「この環境でやれたらすごくいいんじゃないかな」と思って、ディー・エヌ・エーという会社に行きました。
少林寺拳法の言葉で「力愛不二」っていう言葉があって、「愛なき力はただの暴力であり、力なき愛はただの妄想である」という意味なんです。僕はこの言葉が結構好きでして。 要は、「理想だけでもダメで、力もあって初めてそれは現実に成る」っていうことです。逆もしかりですが。
なので、なにかを成し遂げるためには、理想と力、両方をしっかり統合する必要があって、学生のときは力なんてぜんぜんないから、仕事を本当に死ぬ気でやって力や自信をつけることができる環境に、入ることがすごい大事だと当時、思ったんです。
ちなみに同じような言葉で、「義利合一」というのもあります。渋沢栄一という方が会社について言っている言葉で、これもすごく僕らは大切にしてます。「義」が大義でビジョンとか理念です。「利」が利益の利。大義と利益を両方しっかり合わせることが大事で。その二律背反することを統合するのが経営者の仕事だ、みたいなことをおっしゃってるんです。 この力も夢も両方必要っていう考え方が僕はすごく好きです。
なので、自分自身にも力をとにかくつけたいと思って、本当に変で優秀な人間が多くて、かつコンサルじゃなくて事業を泥臭くやれるような場所が目の前にあったので、すごく怖かったですけど飛び込んだというかたちです。
飛び込んでみて、とにかく周りがむちゃくちゃ優秀だし、かつ会社は大きくなったけど、経営者の目線にも本当に「売り上げ一兆円行こうぜ」みたいな感じの雰囲気が漂ってたし。すごくやんちゃな目標を出して、そこに対して本気で追い続ける人たちがたくさんいたので、そういう人たちに揉まれ続けた。
起業するとか、自分の人生を切り開くのに大事なことって、たぶん自信があるかどうかって大事だと思っています。壁を超え続けさせてもらえたおかげで、そういう自信をつけることをしっかりやらせてもらったような気がします。
もしこの厳しい環境で成果出せたら、自分は起業しても大丈夫って思いましたし、自分としては一定やりきってから、起業したと思っています。
ここまでが「起業まで」です。「起業から今」という話は、さらに泥臭い話になります。
まず起業家のなにが一番問題かってモテないんですよ、みなさん。わかります? 今日は男性陣が多いですけれど、まったくモテませんからね(笑)。
まぁ、冗談はさておき、「偉大な幸せ企業を作る」ということで僕はスタートするわけです。なので創業当時に決めてたことは3つで。
1つはSonyやHondaのような、日本初で世界を変え続けてた偉大な会社を作るということ。自分が死んでも残る100年以上続く組織を作るということ。周りを幸せにする「幸せ企業」を作るということを決めてスタートしました。
ここからは1期ごとに簡単にご紹介します。1期目は「究極の泥臭さと、とにかく働く、働く」です。これは創業したときの写真です。この左側のお兄ちゃんが一緒に共同創業した香田です。僕が27歳で彼は25歳で起業しました。たぶん、みなさんと年齢がそんなに変わらないかもしれないですね。
彼の家のリビングでスタートします。お金はぜんぜんなかった。ディー・エヌ・エーで給料はもらっていたんですけど、使っちゃってて(笑)。貯金が本当に1円もないところからのスタートでした。
部屋も借りられないので、当時、香田がルームシェアをしていたリビングを占拠してスタートしました。ルームメイトにはすごく迷惑をかけたんですが、文句は無視するということをやり続けました(笑)。
最初は、開発経験もなかった上に、当時、香田が「プログラムをがんばって書くよ」と言っていたんですけど、スタートして2週間後くらいに、草野球の試合で右手を骨折してきました(笑)。
右手骨折なので、「プログラム書けないじゃん」と。怪我の心配どころじゃないので、「舐めんな」って僕はブチ切れて、「左で書け」って左で書いてもらいました(笑)。本当に何もないなかでの、むちゃくちゃな船出でしたね。
でも、当然あったものもありました。想い、夢や覚悟は絶対的に持っていました。なにもなくても「やる」ってことは決めてましたし、後戻りするつもりもなかった。決断してましたから。決断とは「決めて断つ」ということですよね。なにかを捨てるということだと思うので。僕はもう普通の仕事は捨ててきた。戻るつもりはない。
体力・気合もありました。これは現実的には相当大切なので、若いときの起業はおすすめします。あと、人との信頼関係が本当に大切なものだったと思います。困ってる時に本当にいろんな人が助けてくれました。そういった信頼関係をちゃんと作ってきた自分もそうだし、素晴らしい周りに恵まれていたことは本当に最高でした。
実際こんな写真の感じです。これは最初のマンションです。クリスマスイブにとりあえずマンションを借りて移動したんですけれど。創業した時なので基本は24時間泊まり込みで働くわけです。
僕が家に帰るのは週1回、日曜日の夜の11時くらいに家に帰る。それ以外は、基本的に寝泊まりです。マンションなので、「洗濯機もあるし、お風呂もあるから、すごくいいな」とは思いましたけど。
布団の奪い合いって書いたのは……、おもしろかったのがオフィスにふとんが掛け布団2枚と敷ふとん3枚しかないというよくわからない構造で。だいたい3人泊まっているやつがいたんですけれど、3人の間で掛け布団の争奪戦になる。「どっちが先に寝るんだ?」と空気感を読み合うみたいな感じでした。
あと「彼女にも助けてもらった人生総力戦」というのは、当時付き合ってた子とかにも作業を手伝ってもらったり、ごはんも食べる時間の余裕がないから、基本的には彼女が作ってくれたときにそのご飯にみんなが群がるという構造だったりしました。
僕と香田は最初なので給料がないから半年くらい給料0でやっていたんですけど。給料0なのに、年明けの1月には会社の貯金が10万円になって、「あとはもう死ぬしかないじゃん」みたいなことがけっこうありました。
僕たちは誕生日のお祝いとかをしっかりやるんですが、一番最初に誕生日プレゼントをしたのがデザイナーのメンバーなんですけれど。この人に渡した誕生日プレゼントはパジャマで、「どうか泊まってください」とお願いしたのを覚えています。
でもたくさん奇跡が起こるんですよ。例えば、2人の知人が400万円、無利子でお金を貸してくれました。「僕が結婚したと思ってくれ」と。「結婚したと思ってくれ。結婚式あげられない。そしたらお金貸すでしょ?」みたいな話をして貸していただいたのを覚えています。 現実は、まだ現在も未婚なんですが(笑)。
ほかには、サーバーが落ちるんですけど、その時に知り合いがたまたまSkypeにログインしたので、とりあえずチャットして「Help me」って言ったら助けてくれたり。
前に香田がインターンしていた会社がたまたま買収されることがあって、机と椅子がすごく余ってるというので、レンタカー借りて行って、机と椅子を大量にいただいてきました。いまだに僕の椅子は、その時頂いた椅子を使ってますね。周りがとにかく助けてくれるという感じでした。
1年目で感じたことは、「絶対成し遂げる」という覚悟が大切。今、振り返ると本当によく生きてるなって感じなんです。でも、別にどうであれやるしかない。
先ほど南場さんも「覚悟」とおっしゃっていましたけれど、覚悟がある人間はやっぱり強いと思うんです。言い訳をしない。当たり前だけど、言い訳したって意味ないです。自分で決めたんだからというシンプルなことです。
もう1つなにより大事なのが信頼とか人とのつながりですね。助けてくれるんですよ。大事なのは自分自身が助けてもらえる人であるかということだと思います。僕はお金を借りましたけど、お金を貸してもらえる人であったということが重要だと思います。
例えば約束を守らなかったり、過去の人生のなかで人を裏切り続けてたら、当然人は信頼してくれないので、困ったときに手を差し伸べてくれないですよね。
どこかの会社に入っているときは、その会社のブランドもあるから助けてくれたとしても、本当に起業したらその人、個人しかもうない。個人、塩田元規というものの信頼がどれだけあるのかというのがすごく大切だったと思ってます。
過去の自分の人生のすべてを突きつけられる感じですよね。今までどういうことで生きてきて、どういうふうに自分が人と接してきたか、ということがすべて出てくる。「すごく苦しいけどいい」って感じです。
覚悟と人との信頼があると絶対に奇跡が起こる。どんな状況だったとしても、最後はなんとかなったわけですよ。奇跡は起こるってことですね。やり続ければ絶対うまくいく。当時は、忙しすぎて記憶があまりないんですけれど、最高に楽しかったと思います。
ただ、「経営者として」みたいな話でいくと、戦略のどうこうとかぜんぜんどうでもよくて。毎日クリティカルな課題と向き合い続けててました。
大きなバグが起こった時なんて、本当に1日に500件ぐらいクレームが来て、それに対して1つひとつ返事をしたり。考えてる暇がなくて、究極に泥臭いです。なので、経営者じゃなくて個人事業主だった1期目って感じですね。
2期目は個人からチームランになるというフェイズです。自分なりの哲学をもっと強く持つ必要がある時代でした。2期目もマンションなんですけれど、でもこういうところでちゃんとやれてるという感じはいいですよね。
1期目はとにかく走る感じだったんですけれど、2期目になるとチームでプロダクトを作るということにすごく意識が向き始めました。
これは当時のスライドなんですけれど、アカツキはそもそもすごく大きなビジョンはあるけれど、もっと具体的に「なにをやりたい会社なんだっけ?」とすごく突き詰めて考えたり。
「自分たちの輝いているところや“らしさ”ってなんだろう?」とかを議論したり。いまだに毎年とかクオーターごとに1回ぐらいみんなで見直すんですけれど、ほとんど変わってないんですよね。
これは、僕が書いた絵なんですけれど、こういう絵とかも描いて「俺たちが言う感情報酬とは何か?」と考えるわけです。チームになる感じですね。
なので2期目はチームとかカルチャーみたいな、すごく土台づくりの年でした。最初の創業期って出社時間とかも別にないから、そのときに決めるんですよね、だいたい。
2期目ぐらいで、「朝9時に来ようぜ」と決めたり。あと「誕生日にお祝いしようぜ」とか。さっき言った「ボール投げながら、みんなで朝ワイワイしようぜ」みたいなことも、この年からやっていて。そういうことを始めるフェイズでした。
ただ一方で人が入ってくるので、初めて採用した人間が辞めたりとかすることもありました。当時未熟だったんで、人が辞めると、もう自分が否定されたぐらいショックを受けるんですよ。「俺のこと嫌いなのかな?」みたいに。働く側からすると、ぜんぜんそんなことはないじゃないですか。でも、そういう迷いや悩みが強くでました。
自分の意思決定でとにかく走ればいいフェイズから、「なにが正しいんだっけ?」とか、ロジックじゃなくて、善悪を自分なりに判断するということやるし、それに迷い始めるフェイズでした。自分のなかの哲学とか指針をしっかり考えるんですよね。答えのない問いについて考え続けるということをやる時でした。
経営者のスタイルとしては、葛藤しているなかで自分の軸を見つけていくということをやるということです。チームも見始めるスタートでした。ただ、一方でまだ10人とかなので、事業の先頭に立って突っ走ることができた。チーム作りを意識し、哲学と向き合う2期目です。
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