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2015年10月20日 旭化成記者会見(全6記事)

旭化成建材社長「現場が嘘をついたのか調査していきたい」

2015年10月20日、旭化成建材株式会社が杭打工事を行った横浜市のマンションが一部傾いた問題を受けて、親会社である旭化成株式会社・浅野敏雄社長ならびに旭化成建材株式会社・前田富弘社長、旭化成株式会社・商品開発部長・前嶋匡氏が記者会見を開きました。浅野社長は調査の結果、施工時の不具合および施工後のデータの転用、過失の改変があったことを認め、居住者と関係者に謝罪しました。本パートでは、ずさんなデータ管理や現場代理人の認識などの説明を求める記者からの質問に対して、旭化成建材社長・前田氏が回答しました。

杭打施工を行った現場の認識について

司会:それでは質疑に移ります。よろしくお願いいたします。

記者:テレビ朝日のタケウチエミと申します。どうぞよろしくお願いいたします。

前田社長に、お伺いいたします。改ざんを行った現場代理人は、作業中にすべての杭が支持層に到達しているという認識だったんでしょうか?

前田富弘氏(以下、前田):お答えさせていただきます。今まで私どもがヒアリングした中では、「すべて支持層に未達だったことはない」と述べております。

記者:なにをもって、支持層に到達していると判断していたのでしょうか?

前田:そこのところは本人からきっちりした話が得られていないので、更に調査していきたいと思っております。

記者:一部では「モーターの音や振動など、そういった感覚で判断していたのでは」という話もありますがいかがですか?

前田:そこはこれから更に詳しく調査をさせていただきたいと思っております。

記者:TBSのカネヒラと申します。前田社長にお伺いしたいのですが、この当該物件が着工されたのが2006年ですね?

2006年といいますと、私たちの記憶にあるのは「耐震偽装事件」というのが前年にあって、構造計算書を偽装した人物が刑事責任を問われるという、建築業界あるいはマンションの分譲業者の業界にとっては非常に深刻な事態が起きた翌年に着工されたというタイミングですね。

現場の管理者としての責任をどういうふうにお考えになっているのかというのがひとつです。

前田:姉歯事件の時期の詳細というのは私は確認しておりませんですけれども、今おっしゃられたようなほぼ同時期であったというふうに考えております。

当然、我々としては事件の重みを受け止めてしっかりやっていかなければと考えていたと私は思っておりますけれど、ただこれも当時の関係者にすべて調査をしているわけではございませんので、今後の調査にしたいと思っております。

記者:今回の当該物件の施工管理者の方が担当されたマンションの棟数、現時点ではどれくらいの数を把握されているのか? そして、そのマンションについての安全性の調査が現時点ではどの程度まで進んでいるのか。

前田:現在、調査数でございます。

記者:何棟ですか?

前田:棟数については、お答えはできません。調査中ということでございます。

元請の三井住友建設の設計に問題はなかったのか

記者:日経アーキテクチャーのタカイチと申します。よろしくお願いいたします。杭の長さを決める、つまり杭の設計に当たるものを手がけたのは元請けの三井住友建設だと認識しております。三井住友建設の工事監理者の方は、この現場に立ち会っていましたでしょうか?

また、本数が到達していない一部の杭でデータ改ざんがあったということですが、これだけ未達になっているということは、PC杭の長さそのものが非常に間違いがあったのではないか、この点についてはどうお考えでしょうか?

平居正仁氏(以下、平居):その点につきましては、一部そのように報道もされておりますが、現在お互いに情報を開示し合いながら調査中ということで、もう少しお時間をいただいて、いずれご報告したいと思っております。

会社としてデータの改ざんを把握したのはいつ頃か

記者:週刊ダイヤモンドのオカダといいます。セメントミルクの注入量の改ざんについて、この事実を会社として確認されたのはいつか? そして、横浜市に報告をされたのはいつか? お答えください。

前田:会社として確認したのは、9月の7日……あ、18です、すいません。最初に、改ざんというか、データの転用等があったと把握したのは10月の7日ということでございます。それから、横浜市に報告したのは、16日でございます。

記者:16日まで、報告する時期が長引いた理由はなんでしょう?

前田:10月7日に我々は把握をして、その後詳しい内容の調査、精査をしておりまして、第一報は元請けさんの三井住友建設さんに10月7日に入れておるんですけれども。

その後内容について更に精査をして、正式に私どものほうから三井住友建設さんのほうに報告したのが、10月14日。こういうふうになっております。

記者:10月14日の段階では公表はできなかったんですか?

前田:それは私どもだけの判断ではもちろん公表するわけにはいきませんので、まず元請けさまに正式にご報告をしたということであります。

記者:毎日新聞出版、サンデー毎日のナカニシと申します。支持層まで杭が到達しなかった場合、想定より深い位置だったとか、データの取得に失敗したとか、その場合に再度の作業をする際に、時間、材料の追加のコストがかかってくると思うんですけれども、そういったものに対して許さないというか、そういうものをギルティと感じるような雰囲気、現場に対するプレッシャーが、あったか、なかったかをお聞きしたいと思います。

「なかったと信じてる」とか、そういうことではなくて、あったかなかったか、もしくは調査はこれからか、そういった形でお答えください。

平居:今おっしゃったようなプレッシャーがあったかなかったかということについては、調査はこれからでありますが、少なくとも杭が足りない場合に、監督に申し上げて追加をして杭を打つということついて、現場の代理人にとっても我々にとってもコストアップに繋がるとか、そういう話ではございません。それは、元請けさんが負担していただくことになっております。

工期については、いろんな場所で少しでも早くという部分があるかもしれませんが、そういうことが非常に強いプレッシャーになったかということについては、これからじっくりヒアリングをしていきたいと思っております。これが現状のわかっているレベルでございます。

現場代理人・オペレーターへのヒアリングの報告

記者:フジテレビのオオツカと申します。先ほど、旭化成の浅野社長から誠実に真相究明をしていきたいと決意表明がありましたけれど、現場代理人と接触できるのはそちらだけで、我々はできません。

例えば、刑事(訴訟)で訴えるなどして法廷で争ってくれれば、全容が我々にもわかりますけれども、現時点ではそちら側の接触でしか我々は知る由がないんです。

ぜひ、教えていただきたいのは、現場代理人がこれまでの調査で何を言っているのかということをできる限り詳細に教えて下さい。

例えば、なんでやったのかということも、そうではないかという文言で資料には書かれているんですけれども、実際に現場代理人が何を言ったのかを教えてください。

平居:これまでの調査で現場代理人が何をいったかということでありますが、まず1つは「支持層に届いていないという認識を持って行った工事は一本もない」と。「すべて支持層に到達したと私は思っています」と。

それから、オペレーター等のヒアリングについてもほぼ同様の供述を得ております。それから、「故意に不具合を隠すためのデータ転用は私は行っていない」と言い続けております。

つまり彼らは、もちろんデータを紛失したことに対して、転用で補おうとしたことにおいては、誠に申し訳ないことをして、そこは認めているんですけれど、工事が十分にできていないことを隠すためにデータを転用したことはないと言い続けております。

ただし、我々がその他のデータ、情報いろんなものを付きあわせて考えた時に、現在、我々が考えているのは、現実に傾いておりますので、6本、もしくは8本の杭になんらかの欠陥、不具合が発生しているのではないかと考えております。

そこの整合性が取れません。したがって、10年前の記録と10年前の記憶を相手に今まで仕事をしてまいりましたが、先ほど前田のほうから話がありましたけれど、今回改めまして、70本の杭、杭が全部が現状どうなっているのかということを調べます。

今、三井住友建設さんがやっているのはボーリング、サウンディング調査、深さを調べる調査をしておりますが、私どもとしては、もっと詳細に70本の杭が現状どうなっているのかを三井住友建設さんのご協力を仰ぎながら、きちっと調べていきたい。

そして、現場がどうなっているのか。そこをもって初めて、彼らが今、記憶として発言していることと付きあわせをすることによって、彼らが本当のことを言っていたのか、なにかを誤認したのか、嘘を付いたのかということを、事実を持ってしか語れないんじゃないかというところまできておりまして、現状の杭、その他の情報を調査したいと考えております。以上であります。

旭化成グループの住宅に住む人の不安は払拭できるのか

記者:日経ビジネスのオオニシと申します。

浅野社長にぜひお答えいただきたいんですけど、旭化成といえば日本屈指の住宅メーカーでもあるわけで、御社および、御社グループで施工したマンション、住宅というのは、ものすごい数が日本中にあると思います。

その住宅に住んでいる居住者のみなさん、全員が不安に思われていると思います。「ウチは大丈夫なのか」と。これ、横浜の件が特殊ケースであったと言い切れないと思います。このずさんなことを、他でもやっていたのではないかと。

高いお金を払って家を建てた人、マンションに住んでいた人、みなさん不安に思われていると思います。そこに対して旭化成グループとして、どういうふうに答えていかれるのか。そういう不安をどう払拭されていくのか。お聞かせください。

浅野:旭化成を代表いたしまして、へーベルハウスにお住まいのみなさま、あるいは旭化成の製品を愛用しているみなさまに、誠に申し訳ないことをしたと、本当に反省しております。

そしてまず、居住者の皆様の安全、安心を最優先に進める。そして、合わせて原因究明を徹底して行うということをいたします。

そして、へーベルハウスにお住まいのみなさまには、不安を解消するべく、工法の違い、もしくは我々どもの設計について誠心誠意説明してまいりたいと思います。

とにかく私どもに、これまでいただいた信頼に感謝申し上げるとともに、今回の出来事に対しては、本当に深く反省しております。

杭が支持層に達しているかどうかの判断基準

記者:NHKのマサカベと申します。現場代理人の方が「支持層に全て届いていた」というようにおっしゃっているそうですが、それはデータとか機械の記録なのか、個人の勘なのか、経験が現場では重要視されていて、実際に他の現場でもデータとか記録とかの完璧な数値よりも、そういう職人的な勘というのを重要視されていたかというのを、現場の雰囲気、社内の雰囲気としてあったのかというのを教えてください。

平居:支持層に到達しているかっていうのは、先ほどいくつか申し上げましたけど、まずはボーリングデータをもとにちゃんとその長さに届いたかどうかっていうことを、まずみんなが「どこまで入ったか」と。「ボーリングのデータと比べてどうだ?」っていうことを。

これは1人じゃできないわけですから。チームでみんなでやってますから。そこの深さをまず確認することによって、「どういったものかなぁ?」ということと、それから試験堀りっていうのは関係者全部集まって、監督さんも全部集まってきちんとやって、調べてますから。

ここの支持層は「もともとのボーリングデータの深さにあるね」とか、そういうことをきちっと確認した上でやってますので。こういうところはきれいに全員で確認しているところなんです。

それと、あとはボーリングしていくときに、支持層に当たると反動はドーンと来るんですね。微妙な反応じゃなくて、ドーンと来るんですね。

ですから、深さの問題と反動の問題と、全て正しく判定すべきものなんですが、現場の人たちの感覚の中では今おっしゃったように「跳ねた、支持層きた」というように考えるっていうことは、あった。というふうに聞いております。よろしいでしょうか? 補足説明を技術のほうからさせます。

前嶋:補足の説明をさせていただきます。逆転の拡大という作業をするんですけど、そちらのほうをするときに硬い層じゃないと逆転の拡大ができないということでして、先ほどから説明していただいてますように、10年前の記憶というところで、こういう「詰めが開かなかったか」ということを確認して、「全て開いていた」ということで、支持層に到達していたというような、お話を、証言をいただいているということを、本人が「必ず支持層に到達している」という発言をしているということでございます。

日常的にずさんなデータ管理が行われていたのでは

記者:日本テレビのホシと申します。前田社長にお伺いしたいんですが、現時点で想定されるデータの紛失や取得失敗の理由のところで、紙切れや紙詰まり、データ紙の破損だったり、スイッチの入れ忘れ、こういった、あまりにもこんなことで70本もの杭に対してデータが利用されていたり、転用されているということであれば、やはり今調査している3000件に関しても、当然このようなことが日常茶飯事に行われていたのではないかという懸念を抱いてしまうんですけど。

他の物件でこういったことがないと自信を持っておっしゃれるのかどうか、そのあたりをお伺いできますでしょうか。

前田:3000件については調査をさせていただくということになっております。必ずこういったことがないとはもちろん、現物件ではこれだけの数があったわけですから、言い切れません。

ただ、いずれにしましても、今後調査をしてですね、その点については明らかにしていきたいと。こういうふうに考えております。

前嶋:今の補足でありますが、おっしゃるとおり「こんな理由で70本も」ということですが、本人が記憶として言っていることではありますが、通常は普通2~3日に1個、報告書を出すということをしているんですが、先ほど1号機、7号機とありましたけど、全くその問題はないんですね。

全てのデータが全て綺麗にそろっている。2号機のほうだけで起こっていることですが、本人の最近の供述の中では「報告書を最後にまとめてつくりました」ということでありまして、データが非常にたくさんたまっているものを、後から整理していたと。

「こういう流れであった気がします」と。「この物件は最後にまとめて報告書をつくった気がします」と。なにせ10年前なので、この物件でそうだったとは語ってないんですけど。

なので、70件というこんな大量の数が発生するとすれば、今、彼が供述したようなことなのかなぁという心象を持っていますけど。事実についてはこれから調べたいと思っています。

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