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2015年10月1日 橋下徹大阪市長 記者会見(全5記事)

ダブル選挙の2勝が絶対--都構想の再挑戦に向けた戦略とは

2015年10月1日、橋下徹大阪市長が記者会見を開き新党・おおさか維新の会の結成を表明しました。本パートでは、大阪府知事選挙の立候補者の松井一郎氏と市長選挙の立候補者の吉村洋文氏が、11月22日に行われるダブル選挙で当選した際の、おおさか維新の会の方針について語りました。また、橋下氏は自身が政治家になったきっかけを振り返り、大阪の二重行政のねじれを無くすために、候補者の応援に力を注ぐ意向を明らかにしました。

ダブル選で2勝しなければ、都構想の再調整はできない

記者:松井知事にお伺いしたいんですが、ダブル選でもちろん2勝を狙うと思うんですが、片方だけもしくは2敗した場合、都構想は断念ということになるんでしょうか?

松井一郎氏(以下、松井):先ほども申し上げましたように、次がいきなり都構想じゃないんです。設計図をもう一度つくりなおしていくということですから。住民のみなさんから徹底的に意見を集約していただく。膝詰め談判をして、声を聞くということをスタートさせてくださいというのが、11月22日にご判断をいただく理由です。

それをやるためには、我々2人でなければ、どちらかが変わるようでは、役所にその組織をつくれません。僕なら大阪府庁にそういう組織をつくることを指示、命令できるが、違う人なら「そんな組織は必要ない」となる。吉村さんなら大阪市にそういう組織をつくることを指示、命令できるが、柳本さんはそういうことはしないんでしょ?

そういう組織を設置することができなければ、あらためて大阪都構想の設計図をつくりなおすことは不可能です。

おおさか維新の会と安倍政権との距離感

記者:次の国政政党・おおさか維新の会の共同代表は、松井さんと片山さんということでよろしいんでしょうか?

松井:今日は先ほども代表がおっしゃられたように10月24日を目処に、ということなので、人事についてはいっさい決まっておりません。

記者:安倍政権との距離感というのは、どういうふうに考えてらっしゃるんでしょうか?

松井:是々非々の距離感ですよ。これまでも中央政府である安倍政権と、地方政府である我々はなんでもかんでも言われたことを「おっしゃるとおりです」ということもないし、我々が「こういうことをやってほしい」ということを政府に対して、強硬に提案してきたこともありますから。

これはお互いのポジションの中で、日本がよくなる、大阪がよくなるための意見交換はやってきましたけれども、ベッタリ賛成だとか、絶対に反対だとかいうことにはなりません。

自民党・柳本氏との戦いについて

記者:吉村さんにお伺いします。柳本(顕)さんが出馬の意向を固めており、「橋下さんの仮面をかぶった候補だ」とおっしゃています。相手への印象とか、どのように戦っていくのかお聞かせください。

吉村:まあそう言われないように頑張っていきたいと思います。私の印象ですけれども、早々に共産党さんが支援をされて、本人は自民党でありながらも、無所属で出られると。私は今回の選挙っていうのは、政策の選択の選挙であるべきだと思っているんです。

選挙をうまくやってやろうとか思うのではなく、どちらの政策がより大阪の発展にふさわしいのかっていう、政策の選択の選挙であるべきだと思っていますので、ぜひそういうところを戦わせていただきたいと思います。

「仮面」と言われるのはいいとして、政策で戦わせてもらって、主役は大阪の有権者のみなさんだと思っていますので、そこでしっかり判断できるようなことをやっていきたいと思います。

記者:橋下さんは大阪市内を中心にダブル選の応援に回られるのか、大阪府全般を松井さんを一緒に回られるのかどちらでしょうか。

橋下:それは選挙対策本部長の戦略で動きますけれども、大阪市内に入ったら逆効果じゃないですかね? (住民投票で)半分が反対なわけですから。これは選対本部長の戦略のもとしっかりやっていきます。自分の選挙以上にやっていきたいと思います。

柳本さんもね、「橋下の仮面をかぶった候補」だって? 逆に吉村さんの仮面がほしいよ(笑)。僕の仮面だなんてとんでもない。失礼な話ですよ。

そんなこと言ったら柳本さんなんて、「既得権益の仮面をかぶった候補者」ですよ。自民党と民主党と共産党の応援を受けるなんてとんでもないですよ。政治家として絶対にやっちゃいけないことだと思いますよ。

そうであれば共産党ときちっと決別するようなこともやって立候補しないと。大阪市長になったあとに、自民党から共産党まで全部の支援を受けたらなんにも結局できません。

橋下氏が政治家になったきっかけ

あんまり長く喋りたくないですけど、政治の世界に飛び込んだ動機っていうのはいろいろありますけど、一番はもう繰り返し出してますけど、これ(パネル)なんですよ。政治家になったきっかけは。

今度僕は12月19日から民間人になって、大阪市内に法律事務所ももってますから、民間人として大阪府にも大阪市にも税金払うわけですよ。本当にコメンテーターやってたときから、大阪府と大阪市の税金の無駄遣いには腹が立ってしょうがなかった。いくらコメントをしてもなんにも直らないから、「それだったら自分でやってやろう」っていうのが、大きな動機のひとつですよ。

橋下:やっぱり自民党、民主党、共産党ふくめて、かつての大阪府政、大阪市政に戻したら本当にまたこうなりますよ。彼らは「昔の市議会議員がやったことだ」って平気で言うんですけど、馴れ合いの地方議会、馴れ合いの地方行政やってたら必ずこうなるわけですから。

自民党から共産党まで応援を受けて、非維新、反維新を結集させるなんていうのは本当に大阪市民のために絶対ならないと思います。

僕は12月19日から民間人として大阪府、大阪市に納税をする立場になりますけど、二度とこういう昔の大阪市政・大阪府政に戻したくないので、やっぱり吉村さんにはなんとか頑張ってもらいたい、知事にももちろん頑張って当選してほしいと思います。

さっきも質問で、「知事と市長両方当選しなかったら、大阪都構想の議論これで終わりなんですか?」ってありますよ。

先日もABCの番組でも同じような話になっていますけど。これは、我々だけではないんです。柳本さんサイドのほうも知事と市長が維新と非維新という組み合わせになったら、柳本さんのほうだってやりたいことできませんよ。

大阪会議なんて進みませんし。結局、大阪府と大阪市は誰が当選しようとも、自民党が当選しても別にいいですけどね、2人が本当に同じ方向性を向いた、価値観のバッチリ合う2人が当選しないことには、大阪の政治や行政は動きません。

だから自民党は柳本さんを市長候補として出すんだったら、しっかり自民党で知事候補を出さないと、無理です。平松さんがいま取りざたされていますけど、平松さんが知事になって、柳本さんが市長、うまくいくわけがありません。

柳本さんは平松さんにいろいろ批判的な意見を持っているわけですから。実際に平松さんが大阪市長に立候補したいと言っても、「平松さんじゃ駄目だ」ということで自分がなったわけですよ。

だからこれ、我々だけじゃなくて、「大阪府知事と大阪市長が維新にならないと、維新が考えていることできませんね」じゃなくて、相手方も同じなんです。結局大阪の構造的な欠陥というものは、知事と市長が全く同じ価値観を有する2人が誕生しないことには、大阪の政治行政が動かない。

だから、僕と松井知事の2人が誕生したのは、本当に大阪の政治史のなかの偶然、奇跡ですよ、これは。こんなことありえません。

大阪の二重行政による「ねじれ」を無くす方法

橋下:だから、吉村さんに頑張ってもらいはしますけど、将来大阪の不毛な知事・市長のねじれ、それから府議会・市議会のねじれを無くすためには、組織をきちっと一本化するところは一本化して、大阪都庁に大阪都議会にまとめて、もちろんそのときは大阪都知事と大阪都議会の調整は当然必要になりますけれど、今のように大阪府長、大阪市長、大阪府議会、大阪市議会、それから堺市長、堺市議会、6つの決定機関がみんなでなにか話し合いをする、利害が反発することについて話し合いをする、大阪会議見てもらったらわかるとおりこんなの前に進みません。

だからこんなことをするくらいだったら、大阪都庁、大阪都知事に一本化したほうが、より大阪は前進するんではないかという思いです。

ですから、これは相手方にも言えることですけど、考え方の違う知事・市長が誕生すれば、大阪都構想の議論も進まないけれども、自民党の柳本さんが考えているような話も進まない。

また、大阪はなんにも進まない大阪になる。不幸な大阪になると。そういう意味では、僕は大阪都構想、絶対にやりきらなければいけないと考えています。

イデオロギーではなく、法の支配を徹底する

記者:英字新聞ジャパンタイムズのエリック・ジョンソンです。2点お願いしたいんですが、まず新しい政党の英語の名前は決まりましたでしょうか?

橋下:まだ決まってません。それはまた担当に考えてもらいます。

記者:それから2番目ですが、これ(綱領)を見たら8番目に「現実的な外交」とありますが、これはほとんど維新の会と同じような外交政策のようですが、新しい党は今までの維新の党とか、自民党・公明党とかの外交政策とは基本的に同じでしょうか? それとも、もし違う点があれば、教えてください。

橋下:外交はどの政党が政権を担うかによってころころと変わるものではありませんから、基本的には現実的な外交、安全保障政策をやらないといけないと思っているんですね。

そういう意味では、民主党が今回の安全保障、完全に反対に回って、法律を廃案に追い込むなんてことは、これ自分たちが与党になったら、そんなことできません。

外交問題で今できている法律を全部廃止するなんて、共産党くらいしか言えないことを民主党が言いだしているんでね。そこにまた維新の党が今ひっつこうとしているから、僕はもう「維新の党終わってしまったな」というふうに思っています。

僕は維新の党よりも、より法の支配というものを徹底していきたい。法の支配、Rule of lawですね。おおさか維新の会、僕の大阪府政・大阪市政、いろんな批判はありますけども、僕はイデオロギーで政治行政やってきたつもりはありません。

朝鮮学校に対する保証金の問題も、日の丸、君が代起立斉唱問題も、あれはイデオロギーではありません。ルールをつくって、ルールに当てはめて「どうなんだ?」という視点で考えています。

だから朝鮮学校の保証金も、今までルールがなかったことについてきちっとルール化をして、それに当てはめると。やっぱり北朝鮮の将軍の肖像画を教室に掲げていることは駄目だろう、校長室に掲げていることは駄目だろうとか。

君が代、日の丸の起立斉唱条例についても、これは教育委員会が2002年に立って歌うんだということを決定したわけです。教育委員会が決定したことについては、現場の教員守りなさいよ、ということで条例化した。

僕は徹底して、ルールというものにこだわっていますので。外交、それから国際紛争についてもルール。そして国際司法裁判所。

これも青臭いといわれるかもわかりません。現実の国際裁判所は、国際政治の本当に極めて激しい政治闘争の、ある意味、そういう場所になっていますよ。

でも、紛争で武力で解決できないのであれば、最後はルールによるジャッジをせざるを得ないでしょ、ということですから。僕は領土問題についても、基本的には国際司法裁判所で徹底して、そこで闘うと。

最後そこでジャッジが下されたら、それに従うという思いがあります。これは吉村さんも弁護士ですから、そういう思いがあると思いますよ。

そこを今の維新の党よりもより徹底した形での外交方針、安全保障方針というものを掲げていきたいと思っています。

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