2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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司会:では、続いてお二人にお話いただきたいのは、なぜ今ネットの学校なのか、ですね。
司会:その理由の1つに、今の教育が抱えている問題があります。そして、その問題の1つが、先ほどのお話にもちらっと出てきましたが、不登校の子供たちです。これについてまず、こちらのデータをご覧いただきたいと思います。
司会:こちらのグラフは、平成3年からの14歳以下の人口の推移と、小学校、中学校の不登校になった生徒数を表したグラフです。人口自体は下降しているんですけれども、不登校の生徒数は高止まりを続けている状況です。
現在、文部科学省の不登校に関する調査研究協力者委員としてもこの問題に取り組んでいらっしゃる角川さんにお伺いしたいんですけども、不登校の生徒数というのは、この公表されている人数よりももっともっと多いんじゃないかとも言われていますが、いかがでしょうか。
角川歴彦氏(以下、角川):そうですね。不登校生というのは17万人くらいいると言われていて、今おっしゃった通り、生徒数がどんどん減っているのに、不登校生は高止まりしていて、ですので、段々不登校生率が高いように見えてくるわけですよね。
ですけど、現実にこの17万人で問題が本当にとどまっているかと言うとですね、実はそんなに甘くなくてですね、高校に入ってから不登校になった人が17万人いるんですね。
ですから、小学校、中学校のときに不登校になった人は、高校に行きませんから、その子供たちは入ってないんですね。
司会:そう考えますと、もっともっと多いということになりますね。
角川:ですから、僕なんかのお付き合いしている作家の皆さんでも、1人しかいないお子さんが不登校生で困っている。3人くらいいるお子さんを持っている作家に聞くと、3人いたら最低1人は不登校生ですね。失礼ですけど、今日の出席者の人の中でも、不登校生をそばで見ている人、いっぱいいると思います。
角川:ですから、不登校生って本当に大きな社会問題なんだなぁと。大きな社会問題になっていることを、僕らが参加して解決できる道があるんじゃないか、ということが、今回のテーマなんじゃないでしょうか。
司会:この不登校の子供が増えているという背景、その原因にはどんなことが考えらえれるんでしょうか?
角川:きつい言葉になりますけど、学校教育制度というのが戦後できて、その学校教育制度が今制度疲労を起こしていて、制度疲労だけならいいんですけど、崩壊しかかっている。
例えば大学がありますけども、高度経済成長の時代は、社会が求める経済人を育てるところとして大学があったわけです。ところがだんだん経済が多様化して、大学が本来のアカデミーを求めなきゃいけなくなっているときに、実は大学生というのが画一的な、多様性のない生徒を送り出しているということが、非常に大きな問題になってしまっていると思うんです。
今お話している、肝心の中学生、高校生のレベルもですね、高校でさえも、良い大学に行って、良い社会人になるための予備校になっちゃっているわけですよね。
それではいけないんじゃないということは、教育現場の先生方も思っているし、父兄の皆さんも、自分の子供が良い大学に行って、良い社会人になれば良いと思っている人は意外に少ないんですよ。
やっぱり、自分の子供の夢を実現してあげたいというのが、本当の親の気持ちなんですね。ですから、本当の親の気持ちと、学校が持っている固さというものが、不登校生というレベルで今、社会に顕在化してきているなという気がします。
僕も本当に何の因果かわからないんですけども、知財委員を辞めた途端に文部省からお呼びがかかってですね、今不登校生の問題の民間委員になっているものですから。今の文部省からいただいているデータでは、数字は同じです。
司会:ありがとうございます。現在の教育の問題点も1つあるのではないかというお話でしたけども、川上さんはこの不登校の子供たちが増えている原因というのは、どんなところにあると思われますか。
川上量生氏(以下、川上):原因についてはよくわからないところがあると思うんですけども、言えるのは、昔の不登校と今の不登校の人たちと少し違いがあると思ってまして。
今、多くの人たちがネットをやって、悪い言い方すると逃げている、良い言い方をするとネットによって救われている部分があるんですね。
そういう人たちは、これからのデジタル時代によって、実は社会人としても、普通の人よりも逆に適性があるかもしれない。そういう人たちが不登校というかたちで日本の潜在的な財産として眠っているんだというふうに僕は思うんですよね。
DWANGOという会社も、実はネットをやり過ぎてドロップアウトした人を中心につくった会社だったんですよね。彼らは社会生活を送る能力は持っていなかったんだけども、プログラミングをしたりだとか、ネットの物をつくる力は持っていた。というところから、うちの会社がスタートしてるんです。
そういう人たちが今、たくさん眠っていると思いますし、特に若い人たちであればまだまだやり直せるチャンスもありますし、むしろ普通の人よりもできる部分があるんじゃないか、そういったところを引き出していけるんじゃないかというふうに思っていますね。
司会:これから若い人たちの才能がどんどん引き出せるんじゃないかという可能性について、お話を伺いました。それではもう1つ、今の教育が抱えている別の問題についても、お二人にお話を伺ってまいりたいと思います。まずはこちらをご覧ください。
司会:こちらは、現在の高校入学者の総数を100人に例えたときの、彼らのその後の進路がどうなっていくのかを、文部科学省と厚生労働省のデータを基に記した図です。
赤い文字で記された人たちは、学校を辞めたり、就職しても3年以内に辞めてしまった人たちの数です。
これを見ますと、高校入学から大学入学、卒業して就職といった、これまでの真っ直ぐな就業モデルに添った暮らしができる人が、実際にはほとんどおらず、およそ半数以上の人たちはいわゆる就業モデルから外れてしまっているという状況です。
川上さん、角川さん、多くの若者が就業においてつまづいてしまっている。この状況について、どのように思われますか。川上さん、いかがですか。
川上:もちろんこれ、100人中ちゃんとした就業コースが41人で、あと59人が脱落しているわけですが、59人全員が引きこもりになっているわけじゃないんですよね。ただ、学校行ったのとは関係のない職業に、最終的には就いてしまっている。
というのは、少なくとも生活をするため、職業を得るための教育機関の機能というのは、あまり果たされていないというのが現状だと思うんですよね。それは、僕らが挑戦したい分野ですね。
司会:角川さんはいかがですか。
角川:そうですね。KADOKAWAとDWANGOはよく似たところがあって、統合しても非常に難しいんじゃないかと書かれたこともあったんですけども、このことはまた別の問題として。
KADOKAWAとDWANGO似ているところはですね、今の言葉でいうサブカルチャーという、世界的な言葉でいうとポップカルチャーという言葉なんですけども。このサブカルチャーの好きな人がDWANGOが好きだったり、KADOKAWAの読者対象だったりしてるわけなんです。
そういうサブカルチャーをおもしろがってやっている人が、サブカルチャーをやっているうちに小説家になりたいなとか、アニメをつくりたいなとか、ゲームをつくりたいなと思ったときに、社会はそういう人たちを受け入れるためのシステムになってないわけですね。
製造業国家でしたから、そういう製造業国家が必要とする人を、高校卒業しても求めていたので、そういうサービスとかクリエイターみたいな人に門戸が開かれていなかったということが、こういうことなんじゃないかと思うんです。
司会:社会に出るための準備が整っていない、社会も受け入れの準備が整っていないという2つの問題点があるわけですね。
角川:ですから僕はね、ちょっとテーマが違って申し訳ないけど、サブカルチャーっていうのはどんどんメインカルチャーを浸蝕してるんですけど、一番おもしろいと思うのは、サブカルチャーは文化になってますよね。その文化のサブカルチャーが、社会に貢献できるんじゃないかなと。
国もコンテンツで立国しようと言ってるわけですから、そういうサブカルチャーを支えているコンテンツをつくっている人たち、こういうところに本当はビジネスチャンスがいっぱいあるんだけども、今までそこに刮目されていなかったわけですよね。
ですから、僕らサブカルチャーが社会問題を解決する、それが学校であったり、あるいはサブカルチャーが経済を立国していく、つまり元気になっていく、仕事がどんどんできて、就職の場を与えていく。そういうことが、今可能になってきているんだと思うんですね。
司会:それでは、これから教育の課題に対して、どのように取り組んでいくのかというところのお話を伺っていきますが、こちらです。
KADOKAWA・DWANGOはネットの新しい高校設立を目指します。その解決策とは、ITのアプローチです。
その1つはネットで、豪華な講師陣の授業に、誰でも、いつでも、どこでも参加できるというもの。次に、ネットで、社会と学生とが早期に関係を築ける就業体験のマッチングを実施。そして、ネットで、先生・同級生とつながりながら学べる双方向サービスを構築、という3つになります。
これは、DWANGOが得意とする双方向性のITの技術を活用するということかと思いますけども、川上さん、これは具体的にはどのようなことなんでしょうか。
川上:まず最初に、これからの教育っていうのは、世界の流れとして、ネットを使った通信教育に移行していくんですよね。
その1つっていうのは、学校の普通の授業ですと、大体生徒が50人くらいですかね。これが予備校とかになると、数百人とか規模が大きくなってきますけども。ネットを使うと、例えば1万人、2万人相手の授業とかもできますし、スケールするんですよね。
そうすると、一つひとつの授業に、逆に関連テーマ、中身とかをつくり込んでいける特徴があります。そうすると、質の高い授業と考えると、ネットのほうが有利だっていうのが第1点目ですね。ネットを使ってということは。
それと、予備校とかでもビデオを使って授業というのはすでにやられているんですけども、ネットを使うとさらにそれに双方向性が加えられるんですよね。そうすると、単純に映像を垂れ流すだけじゃなくて、生徒がそれに参加ができる。それだけではなく、そこでコミュニケーションができる。
学校っていうのは、自分1人じゃなくて、友達と一緒に頑張れるというのが1つの大きな魅力ですから、それもネットにおいて解決できるっていうのが、ネットの大きな意味だと思います。
司会:はい。そして、もう1つ、IT教育にも力を注いでいきたいというお話をお聞きしましたけども、IT教育というのは、例えばどんな教育をされていくことになるんでしょうか。
川上:今日はまだ高校設立を目指すという会ですので、高校でどのようなことをやるかまでは触れられないんですけども、例えば高校の授業だけじゃなく、高校の課外授業みたいな形とかで、今はないですけど、プログラミングなどを覚えられるようなものができればいいなというふうに思ってますね。
司会:その具体的なこれからだということですね。ちなみに双方向性の教育ということですけども、今現在も皆さんコメントたくさんいただいてますけども、ニコニコのプラットフォームを活用していくということなんでしょうか。それとも、新しいものをつくっていくということになりますか。
川上:はい、新しいものをつくっています。我々のニコ生の次期バージョンの仕組みを使ってつくります。
司会:これから新しくつくり出していくということですね。
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