2024.10.10
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豊田章男社長・記者会見(全1記事)
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司会:昨日弊社ハンプ常務役員が逮捕されたことを受け、記者会見を行います。まず、社長の豊田よりひと言、申し上げます。
豊田章男氏(以下、豊田):豊田章男でございます。この度は弊社常務役員の件で、世間を騒がせることになり誠に申し訳なく思っております。
ジュリー・ハンプ氏は我々にとってもトヨタにとっても大切な仲間でございます。今の私どもにできることは仲間を信じて、捜査に全面的に協力することだと思っております。この捜査を通じてジュリー・ハンプ氏に法を犯す意図がなかったことが明らかにされることを信じております。
現時点で私どもが把握している事実は限られておりますので、十分な説明ができるかはわかりませんが、まずは私自身が私の言葉で語ることが重要だと思い、この場を設けさせていただきました。
司会:それでは、これよりご質問をちょうだいしたいと思います。
記者:ウォール・ストリート・ジャーナルのクボタと申します。社長に2点お伺いします。
1点目は、3月の人事を発表した際にダイバーシティの促進がひとつの大きな目玉だったと思いますが、この狙いが今後後退しないようにどういった対応をとっていくのかという考えを改めてお聞かせください。
2点目は、昨日逮捕されたのが午前中で、コメントまではずいぶんかかったのですが、次の日には会見を行ってらっしゃいます。リコール危機のあとにメディア対応が遅れたという指摘もありましたが、このような速い時点で会見をもっていらっしゃるという意図についてお伺いいたします。
豊田:2つ目の質問から回答させていただきます。今回このニュースが耳に入ったのが昨日の13時。「警察から連絡があった」ということを人事担当役員から私の耳に入りました。
私がまずとったアクションは、事実をしっかり把握しなければいけないということです。私の直属の部下である役員も部下も私にとっては子供のような存在ですので、子供を守るのは親の責任でもありますし、大変迷惑をかけたというふうに思っています。
ハンプ氏は信頼するかけがえのない仲間であり、どうすればハンプ氏の支えになるのかということを考え最初のアクションに移りました。
そして、3月の発表のあとダイバーシティを中心に新しい新体制に対しては今後も緩むことなく更に進めてまいりたいと思っております。
3月の時点でより現場に近いところ、そして性別、国籍すべてを介して適材適所で配置を決めてまいりました。
そして、今回ハンプ氏が日本に住むということは真のグローバル企業の第一歩だったと思っております。かつて私ども海外の拠点に日本人を派遣することはありましたが、今回のハンプ氏のように日本国籍でない役員が日本に常駐するというケースは初めてのことでございます。
そういう意味ではいわばハンプ氏をサポートする体制が会社としてかけていたのかな、と思っておりますが、今後も性別、国籍を問わず適材適所でお客様の笑顔をいただくために、もっといい車づくりをする体制については一切変更は考えておりません。
記者:中日新聞のゴトウと申します。社長にお伺いしたいのですが、ハンプ氏を初の女性役員に登用した理由を改めてお聞きしたいのと、昨日逮捕されたということですが、この間にご本人から弁護士などを通じてなにか状況についてお話を聞いていることがあれば教えてください。
豊田:1点目に対しては私が、2点目については早川専務のほうからご説明させていただきます。
ハンプ氏を役員に登用した理由は、ひと言で言えば「人柄」だと思います。国籍や性別問わず適材適所が大事だということで考えました4月からの新体制でございますが、1番重用視しておりましたのも現場を任せられる人という点であります。
ハンプ氏は例えば、担当する部署の人間と10分ミーティングと称しまして、全員と10分ずつ語る時間を実施し、英語がわからない社員に対してはゆっくりとした言葉を介してのコミュニケーションを図っておりました。
他にも例えば企業スポーツの応援に行ったときにも、(応援席で)横の席をちらっと見ると他の従業員とハンプ氏が一緒に応援していたということがあり、そういった姿からもわかりますように初めて日本に常駐する外国人ということで、いわば日本にとけ込もうという努力を人一倍されていた方でした。
ですので、部下のでコミュニケーションを大事にしていた点、日本にとけ込むための努力をされていた点、それから今回ハンプ氏にはチーフコミュニケーションオフィサーという役割を任命をしておりましたが―それは私がニュースリリースを発表するときにこの表現がどうお客様に伝わるか、また海外に伝えるときにこういったほうがいいですよというアドバイスももらっておりました―その際に一字一句確認するような姿勢はコミュニケーションオフィサーとしての当事者意識といった点でも優れた面がありました。
早川茂氏(以下、早川):2点目のハンプ氏が何をおっしゃっているかという点ですが、証言されている内容ですとか、接見の様子などにつきましては大変申し訳ございませんが捜査に関わる問題になりますのでこの場では控えさせていただきます。
記者:朝日新聞のオオヒナタと申します。今回の逮捕容疑なんですけれども、鎮痛剤として使われているという事例もあるようなのですが、ハンプ氏の体調などから鎮痛剤を飲むような必然性があるような病状があったのかというのが1点。
そして、処方箋が出る場合は本国アメリカでも許されているというものだと思うんですが、逆に言えば処方箋がなければ違法というになります。そこのところ処方箋があるのかという事実関係についてはどのようにお考えなのかという点。
そして、先ほど豊田社長のほうから、初めて外国の方を日本に常駐させるうえで反省すべき点もあったというお話をされたかと思います。海外と国内の制度の違い等々、いろいろあるのかなと思うんですが、その反省すべき点を具体的に教えてください。
豊田:今は捜査に全面的に協力していくことが大切だと思っています。今後の捜査を通じて、ハンプ氏に法を犯す意思がなかったということが明らかになることを信じております。
今は捜査中でございますので、その辺のコメントは控えさせていただきたいと思います。
2点目の質問にありました、日本のグローバル本社としてハンプ氏をサポートする準備が不足する部分があったのではとのご指摘についてですが、これは真のグローバル企業に向けた大きな決断だったと思っております。
これまで日本の役員が海外に赴任することはあって、外国人の役員が日本に赴任する、日本に住むということはなかったわけであります。
ですから、日本に来てからもどこに住むんだという問題ですとか、かかりつけの医者はどこにするんだということや、地元のどこで食材を買えばいいですとか、我々が海外に赴任したときと同等のことがこの日本でしないといけないわけです。それも言葉のバリアがあるなかで。
トヨタ自動車にとっては初めての変化点であったわけであります。そういったなかで1日でもはやく仕事に慣れようという彼女に対して、会社のサポートが十分であったかという点も含めて事実を確認しながら改善に結びつけていきたいと思っております。
記者:関連してもう1点。そもそも役員登用される段階で、コンプライアンス上、プライバシーの問題は難しいこともあると思います。薬物を使用しているかだとかですね、身体検査のようなものは事実関係としてなされていらっしゃるのかという点についてお伺いできればと思います。
早川:赴任に際してのコンプライアンスについての勉強ですとか……それは通常通りやってきております。個人の体調だとか、医療プライバシー法みたいなところに関連するお話ですので、ここでお話することは控えさせてください。
記者:東洋経済のミヤモトです。先ほどのお話では法が犯す意思がなかったことが証明されることを願っているということですが、もし法を犯していないということが証明された場合にハンプ氏の今後の立場ということについて現在お考えになっていることがあればお聞かせください。
豊田:現在は捜査に全面的に協力していくことが大切だと思っております。今後の捜査を通じてハンプ氏に法を犯す意思がなかったことが証明されると信じております。
記者:週刊朝日のウエダと申します。ハンプ氏が外国人の役員として初めて日本に赴任するということで、日本になじもうと努力しているというお話でしたが、役員就任から2ヶ月たったいまも六本木のホテルで一人住まいをされていたというのはなぜでしょうか? また、ご家族は来日の予定だったのでしょうか?
豊田:私が知っている限りのことをお答えしようと思っております。私どもが海外に赴任するときの住まい探しは、例えば私自身、海外赴任したときは3ヶ月ホテル住まいをしておりましたし、不動産情報もわからないといった状況があります。
そういったなかでどこに住もうか、予算規模はどれくらいかなどを考えると数ヶ月ホテル住まいというのはあり得ることだと思います。
また家族は赴任する準備を進めていたというふうに伺っております。
記者:日本経済新聞のオクダイラと申します。2点お伺いいたします。
まず1点目は、先ほどハンプさんが豊田社長をサポートしてくれて助かっていたというお話がありましたが、現実的に当座は仕事を離れなければならないと思うんですが、その間のサポート体制はどうなっていますか?
2点目は、昨日以降報道が相当ございましたけれども、販売やビジネスの面で影響は出ているか、この2点について教えてください。
早川:最初の話は、昨日の今日のことなので細かいところまで詰め切れていませんが、今の本部のなかでリソースを総動員してしっかりつないでいきたいと思っています。
豊田:ビジネスの影響については動向を見守っているというかたちです。昨晩の夜から、そういう情報が入り、従業員や従業員の家族含めて不安な状態だと思っております。
それも踏まえまして、限られた情報ではありますが私がこうして会見に臨むにいたったわけであります。
記者:ニコニコ動画のナナオと申します。ハンプ氏の役員就任後のインタビューでは、彼女はこう発言しています。
「光栄で責任を感じている。女性の活躍を促す役割が求められている」
と話しておられます。今回の件で、トヨタの内外の女性社員も心配されていると思います。あえて確認させていただきたいのですが、今後の女性への登用への影響についてお聞かせください。
豊田:私どもは、国籍や性別にまったく関係なく適材適所でより現場で判断できる人材を登用しております。そういった意味でのハンプ氏の登用でしたので、今後も男性、女性、国籍問わずに適材適所という方針は変えずに進めてまいりたいと思っています。
記者:ロイター通信のシラキと申します。1点目が早川さんのほうから、ハンプ氏のいない間は内外のリソースのなかでしっかりつないでいきたいというご発言があったんですが、その意味をもう少し理解したくてですね……彼女のポストは彼女の事実が明らかになるまでは空けておいて代行を設けないという理解で合っていますでしょうか? 彼女の役割がどのように補填されるのか、もう少し詳しくお聞かせいただきたいというのが1点です。
豊田:今は捜査に全面的に協力していくことが大切だと思っております。今後の捜査を通じてハンプ氏に法を犯す意思がなかったということが明らかにされることを信じております。
記者:あともう1点、実務的なことで恐縮なのですが、7月2日にも早ければAA種類株の発行価格が決まるかと思うのですが、このような事態となったことでオペレーションなどの遅れによる作業の遅れなどは懸念しなくても大丈夫でしょうか?
豊田:そういうことが一切ないように全員が心をひとつに一丸となってやってまいりますので、心配はないかと思います。
記者:東京新聞のイシイと言います。先ほどから今後の捜査が進めば、ハンプ氏に法を犯す意思がなかったことが明らかになると信じていると幾度もおっしゃっているかと思います。ハンプ氏をそこまで信じられる根拠はどこにあるのでしょうか?
豊田:今の段階でいろんな結論が出ておりません。今は捜査に全面的に協力する段階ですので、想像で申し上げることはできないということでご理解賜りたいと思います。ハンプ氏を登用しましたのは、国籍や性別を問わずに適材適所で現場を任せられる人という基準で任命しております。そして何よりも彼女の人柄です。
初めて外国人として、トヨタの真のグローバル化を助けようと手を挙げ行動してくれた人だと思っております。そういう意味では、日本企業のトヨタがグローバル化するための一歩を行動で示してくれた点では非常に感謝しておりますし、今の段階では捜査に全面的に協力はしてまいりますが、現在のところはハンプ氏に法を犯す意思がなかったと信じています。
記者:そうすると、主に人柄が根拠となって信じているということでしょうか?
豊田:なかなかひと言で人柄とは言うことにはならないと思いますが、人柄も大きなひとつだと思います。いわば、彼女の常務役員というポジションでは非常に部下の数も多く、関係する方々も多くなります。
そして、何よりも彼女が部下とのコミュニケーションを非常に大切にしていた。それも日本という異国に来てコミュニケーションを大切にしていた点、部下・家族想いであった、日本のトヨタにいち早く慣れるために努力していた。そして当たり前のことですが、彼女の今までの経験によりチーフコミュニケーションオフィサーとしての当事者意識が優れていた点だと思っています。
記者:オートモーティブニュースのハンスです。トヨタさんの側からどういった法律的な指示を出しますか? 例えば、弁護士費だとか法律相談の手伝いや指示を出しますか? それともそれは100パーセント、ハンプ氏の責任になりますか?
早川:会社としてできるサポートはしてきておりますし、これからもしていこうと思っております。具体的な中身についてはここでは控えさせていだだこうと思います。
豊田:今は全面的に捜査に協力していくことが大切だと思っております。
記者:東洋経済のヤマダと申します。なかなかおっしゃれないことも多いので、事件そのもののことはあれなんですが、今回のことが外国人を登用したということはひとつ原因にはなっているんですが、ダイバーシティを進めていくうえでこういったリスクが高まると短絡的にみていいのか、今どのようにお考えになっていますか?
また、これは特殊なリスクだとは思うんですが、今までの考えてもみていなかったこういったリスクが増えていくとしたらどのようにマネージをしていくべきとお考えがこの段階であればお聞かせいただければと思います。
豊田:今回のハンプ氏の国内常駐任務については真のグローバリゼーションに向けた大きな一歩だった思います。今後トヨタがさらに持続的な成長を重ね、海外においてもよき企業市民として認められるためにはやはり心をひとつに適材適所でやっていくことが必要だと思っております。
今回のハンプ氏のことがあろうがなかろうが、4月のこの新体制への影響は一切ないとお考えいただきたいと思います。
記者:英語で質問させていただきます。ウォール・ストリート・ジャーナルの者です。
これまで捜査に全面的に協力すると繰り返しおっしゃられていますが、警察のほうからオフィスに捜査が入ったり、役員の方々への質問がなされたことはあったのでしょうか?
早川:それはございません。
司会:それでは本日の会見を終了させていただきたいと思います。本日はお忙しい中お越しいただきまして本当にありがとうございました。
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