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《イスラム国 新たに公開された動画に関して》菅義偉 官房長官 緊急記者会見(全2記事)

【全文】"後藤さん殺害"動画の公開で、菅官房長官が緊急会見「プロパガンダ的な一面があったのは事実」

いわゆるイスラム国(ISIS/ISIL)に拘束されたジャーナリスト・後藤健二氏が殺害されたとみられる動画が日本時間2月1日の午前5時頃、インターネット上に公開されたことを受けて、同日午前に菅義偉官房長官が緊急会見を開いた。会見のなかで長官は、映像を確知したのがツイッター経由であったこと、また今回の事件にはISILのプロパガンダ的な一面があった、などと所感を述べた。

イスラム国から日本政府への接触はなかった

菅義偉氏(以下、菅):お願いいたします。どうぞ、はい。

記者:投稿された動画の信ぴょう性についてご説明お願いします。イスラム国から発信されたメッセージの可能性が高いと判断されたんですか?

:それについては関係先、研究所はじめ、総合的に判断して、そこは可能性が高いという判断をいたしております

記者:確認ですけれど、殺害された男性は後藤さんの可能性が高いと?

:そのように考えております。

記者:邦人が殺害された可能性が高いということで、今度、政府としてどのように対応をなさるつもりですか?

:海外邦人の安全、ここであります。まず今般のこの事案を受けて、1月21日に邦人の安全に万全を期すべき、在留邦人への注意喚起や日本人学校への連携強化、さらに治安当局に対する日本人学校への警備強化、そういったものへの要請の対策を取るように在外公館に指示を行っております。

25日にこの指示を徹底しました。さらに昨日、トルコ国境地域において、日本人記者をターゲットとした拘束、誘拐、テロ。そうした危害が及ぶ恐れがあると考えたことから、同地域の危険情報を1番高い避難勧告に引き上げたところです。

また本日のこの事案を受けて、公益情報を発信するとともに改めて全在外公館に対して邦人社会の安全に万全を期すように改めて指示をした。

記者:警察当局としての対応はどのようになるでしょうか?

:この事案が発生してから、内閣危機管理監、内閣情報官、国家安全保障局長、警察の中で情報収集会議を、連日会議を開いて、対策しております。

記者:朝日新聞のホシノです。殺害画像を政府が確知した時間というのは何時頃でしょうか?

:(2月1日の午前)5時前後だったと思います。

記者:それはツイッター上ということになるのでしょうか?

:そうです。

記者:読売新聞のカイヤです。関連ですが、今回の湯川さん、後藤さんの2人に対する殺害予告の動画が最初に公開されて以降、いわゆるイスラム国から日本政府への直接的な接触は一切なかったのですか?

:会見で幾度も申し上げておりますように、それはありませんでした

記者:関連なのですが、そうしますと今回の邦人拘束が組織の存在感を国際社会に誇示するための狙いで、もともと交渉に応じる考えがあまりなかったのではないかと考えられるんですが、政府としてはどのようにお考えでしょうか?

:そこまで分析は至っておりませんけれども、一方的なプロパガンダとか、そういう色彩があったということは事実だろうと思います。

記者:改めてになるんですが、湯川さんと後藤さん以外にイスラム国に日本人が拘束された、行方不明になったとの情報はありますか?

:それはありません。

日本がテロに屈することは決してない

記者:総理は政府として全力で対応してくと述べておりますが、今回の一連の事件対応で日本政府の情報収集、対外交渉力など、課題を感じたのであればそれをお願いします。

:この事案発生以来、これまで人命が第一で可能な限りの外交ルート、またありとあらゆる手段を行使しながら、全力で取り組んできました。そういう中で、湯川さん、後藤さんが殺害されたと見られる映像がインターネット上に配信されたわけであります。

ご親族のお心を思えば言葉も無いわけでございまして。政府として、今日まで全力で対応してまいりましたので誠に残念であり、無念である。政府としてそう思います。

記者:共同通信のスズキですが、犯行映像では、総理の決断がこういった事態を引き起こした旨の発言がありました。首相に結果責任を負わせることに重点を置いた犯行グループの主張に関してどう思われますか?

:日本がテロに屈することは決してありません。中東への食料、医療などの人道支援。約1000万人を超える難民、避難民の方がいらっしゃるわけでありますから、その支援はさらに拡充をしていきたいと思っております。テロと戦う国際社会において、日本の責任を毅然として果たしていきたい。これが政府の考え方であります。

記者:関連で、総理は先ほどテロリストを決して許さない、罪をつぐなわせると強い言葉で批判をされているのですけれども、今おっしゃられた人道支援以外の他にも何か検討されていることがあるということでございますか?

:国際社会と連携して、テロの撲滅に向けて日本としてはその役割を果たしていく。最大限取り組んでいくということであります。

記者:朝日のホシノです。今の質問に関連なのですが、直接的にあるいは間接的にイスラム国へダメージを与えるようなことを考えていますか?

:いま私が申し上げましたけど、日本がテロに屈することは決してなく、中東への食糧支援や人道支援を更に拡充する。テロと戦う国際社会において日本としての責任を毅然として果たしていく。そして国際社会と連携し、卑劣なテロ行為に対する取り組みをすすめていく。我が国として、政府全体として最大限取り組むといったところです。

ヨルダンに対策本部を置いたことの是非

記者:ロイターのコムロです。犯行グループ、今回ですね、日本人全体をテロの対象にするときています。これは政府としては日本も本格的に対テロ戦争へ突入したというご認識でしょうか?

:我が国は今日に至るまで この邦人の安全のために全力で取り組んできていますし、テロに屈することは決して無い。このことも常に日本として表明しています。

そういう中において、海外における邦人の安全を守るためにですね。まず全力で取り組んでいくということでありますし、さらに国内においてもですね、そうしたテロを未然に防ぐことができるように、情報収集、分析の強化とかですね。海外に渡航するあるいは滞在する邦人の安全について、そこは更に迅速な情報提供を行っていく。

そしてまたテロリストの入国阻止、こうしたことに向けて関係機関との連携の上、水際作戦というものをしっかりと行っていく。さらに空港、あるいは公共交通機関、そういった重要施設の警戒、警備というものもしっかり行っていきたい。

記者:ロイターのコムロです。話変わりまして、今回の事件中に首相が、自衛隊による邦人救出に意欲を見せるような発言をたびたびされました。

アルジェリア事件後に陸上輸送ができるように自衛隊法が改正されていますが、今後さらに法整備をすすめていくとなると、当該政府の実効支配が及ぶ地域でかつ当該政府から了解を得るという条件で、自衛隊が実際の救出オペレーションに従事していくということなのでしょうか? その場合、拘束されている場所を特定するインテリジェンスを含めて可能なのでしょうか?

:そういった部分も含めて、これから検討していくということだと思います。

記者:今回、イスラム国に対する有志連合に参加しているヨルダンに対策本部をおいたことに関して、振り返りましてどのようにお考えでしょうか?

:全く問題なかったと思いますよ。シリア大使館が避難をしてヨルダンにおいているわけですから、シリアの情報が集まるヨルダンに対策本部を置くということは自然なことじゃないでしょうか。

記者:後藤健二さんがイスラム国の支配地域に入ったときに、どのような反省点がございますか?

:具体的なことに関しては、控えさせていただきたいと思います。

記者:後藤さんの渡航について、いわゆるインターネット上などではオフィシャルな方法で入国したという真偽不明の噂が流れているのですが、そこに関してはいかがでしょうか?

:後藤さんがそういう意味において公用旅券を使ったような、そうした事実はありません。後藤さんに対しても、一般の人と同じように、外務省の渡航状況の中で最も厳しい渡航延期を含む、退避勧告がなされている。そうしたことを含めて説明はさせていただきます。

記者:関連ですが、日本にとっては本部をヨルダンに置くことは自然かもしれませんが、イスラム国は空爆をしている相手、ということでヨルダンの要求は飲みにくいんじゃないかと。イスラム国に対してはという点では、トルコに置いたほうがよかったのではないか?

:先ほども申しましたけど、シリアの大使館そのものは、シリアがあのような状況の中で退避をして、ヨルダン国内に置いていると。(今回の事件は)シリアで発生していることだから、自然なことではないでしょうか。

有志連合への協力を行う予定はあるのか?

記者:朝日新聞のムラヤマともうします。先ほどの国際社会と連携してテロの撲滅に向けてアメリカ中心とした有志連合は空爆を続けています。資金協力とか、空爆そのものに対する協力は行う予定はございますか?

:それは全くありません。それと先ほど私が述べた、邦人救出のための自衛隊派遣の件について誤解のないように申し上げますけれど、安保法制と今回の事案対応は別問題ということを申し上げたいと思います。

記者:毎日新聞のキノシタです。今回の一連の政府の対応についてですが、今後国会での検証の対象になるとは思うんですが、政府によって主体的に検証してその結果を公表する必要性について、長官のご認識はいまいかがでしょうか?

:まず今回事案が発生してから今日に至るまでのことについて度々申し上げておりますけど、政府内で会議などを行って、対応策等を検討してきました。そうした中で当然、邦人保護ということを考えたときに、政府内でその検証というのは行う必要があると考えています。

記者:毎日新聞のキノシタです。関連してですね、その検証結果について国会でも質疑があると思うんですが、政府が主体的に公表するということはあるんですか?

:まずは部内でやってですね、そのあと有識者の方を含めてよかったのかどうかというのは考える必要があるのかなと思っています。それ以降のことだと思います。

記者:サトウです。今回のテロは安倍総理の中東訪問を、イスラム国が意図的に誤解して犯行に及んだと思っているのですが、タイミングについて専門家から様々な指摘もありますけど この点についてはどのようにお考えでしょうか?

:誤解じゃないと思いますよ。それは、総理が今回訪問したのは戦後70年の節目の今日ですね。戦後日本の平和国家としての歩みを世界に積極的に広めていく。その意志を国際社会、とくに中東地域に発信することが重要と考えたわけです。

また、過激主義、テロや暴力の最前線におかれている穏健な中東諸国に対し、食糧支援、医療支援など平和の道を歩んできた日本だからこそできることがいっぱいあると。そのような思いで中東訪問をしたわけであります。

誤解じゃなくて意図的じゃないですか?

記者:意図的に誤解したのじゃないですか?

:テロに正当性など全くないじゃないですか。こんな卑劣極まりないテロをやって。

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