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自民党・安倍晋三総裁 内外記者会見(全1記事)

【全文】「許し難いテロ行為で、強い憤り覚える」 “イスラム国”による日本人人質殺害予告を受け、安倍首相が会見

1月20日、安倍晋三首相はイスラム過激派組織「イスラム国(ISIL)」が日本人とする2人を人質に取り、身代金を要求した事件を受け、訪問先のイスラエルで記者会見を行いました。一連の事件に対し、安倍首相は「人命を盾に脅迫する許し難いテロ行為で強い憤りを覚える。直ちに解放するよう強く要求する」と発言した。

「許し難いテロ行為で、強い憤り覚える」

司会:それでは、ただ今から安倍総理大臣によります記者会見を始めさせていただきます。

安倍晋三氏(以下、安倍):まずはじめに、ISILより邦人の殺害予告に関する動画が配信されました。このように、人命を盾にとって脅迫することは許しがたいテロ行為であり、強い憤りを覚えます。

2人の日本人に危害を加えないよう、そしてただちに解放するよう強く要求します。政府全体として人命尊重の観点から対応に万全を期すよう指示したところです。

今後も国際社会と連携し、地域の安定のために一層貢献していきます。この方針はゆるぎない方針であり、この方針を変えることはありません。

これから中山副大臣をヨルダンに急遽派遣してヨルダン政権との連携、情報収集にあたらせます。また、現地に残り、現地の対策本部の責任者として対応にあたらせます。

松富大使には現在イスラエル政府からの情報収集にあたらせています。これから私自身、パレスチナのアッバース大統領とも話し合います。

急遽本日の日程を変更し、本件の対応に全力を尽くします。菅官房長官にもその旨、電話で指示をしました。今、過激主義が国際社会にとって大きな脅威となっています。フランスのテロ事件では、4名のユダヤ人を含む17名の方が犠牲となりました。

犠牲となった方々の、そしてご家族の皆様に改めて、心から哀悼の意を表します。卑劣なテロはいかなる理由でも許されない。断固として非難します。

そして、日本は国際社会と手を携えて参ります。国際社会の重大な脅威となっている過激主義に対し、イスラム社会はテロとの戦いを続けています。その先頭にたつ、アブドッラー国王陛下に心から敬意を表します。

日本もイラクやシリアからの難民支援をはじめ、非軍事的な分野でできる限りの貢献を行って参ります。我が国がこの度発表した、2億ドルの支援は、地域で家をなくしたり、避難民となっている人を救うため、食料や医療サービスを提供するための人道支援です。まさに、避難民の方々にとって最も必要とされている支援であると考えます。

寛容の精神こそが解決の糸口

そもそも、過激主義とイスラム社会とは全くの別のものであります。このことは明確に申し上げておかなければなりません。中庸こそ最善であり、この中東の言葉の通り、この地域は古来より多様な宗教や人種が共存しながら悠久の歴史を刻んで参りました。

互いを受け入れ尊重する、寛容こそがこの地域の平和と安定、そして更なる反映をもたらすと信じます。中東和平の問題は、未だ未解決の問題であります。今回はこの課題についてもネタニアフ首相と率直に話すことができました。

このあと、パレスチナを訪問し、アッバース大統領とも胸襟を開いて語り合いたいと思います。お互いがこれ以上、状況をエスカレートさせない。寛容の精神を持つことが解決の糸口になると考えます。

かつて杉浦千畝という外交官が自らの心に従い、6000人ものユダヤ人のみなさんに日本に渡るためのビザを出しました。

長い旅を経て、日本の港町、敦賀ではみなさんを歓迎したそうであります。時代や世の中が変わっても人々の中にある寛容の心だけは決して変わらない。私はそう信じています。

そのためにも、貧困などの争いの芽を摘み取っていかなければなりません。この地域に誰もが安心して暮らせる豊かな社会を築き上げる。そのために日本は、積極的な役割を果たしたいと思います。

2006年、日本は「平和と繁栄の回廊」という構想を提唱いたしました。パレスチナに農産品の加工団地をつくり、イスラエルとパレスチナ、ヨルダン、そして日本が協力して、パレスチナが自立するための基盤をつくろう、という構想であります。

その建設は、着々と進んでいます。今後、観光資源の開発でも協力を進め、パレスチナの皆さんの経済的な自立を後押ししてま参ります。今年も、引き続き、地球儀を俯瞰する視点で、積極的な外交を進めてまいります。

戦後、日本は、自由で民主的な国をつくり、基本的人権を尊重し、法の支配を重んじ、ひたすらに平和国家としての道を歩んできました。

その歩みを胸に、今後一層、国づくり、人づくりに貢献し、「日本ならでは」の役割を果たしていく。そして、より平和で、繁栄した世界を創り上げていく。こうした外交を、世界を舞台に展開していく考えであります。 私からは、以上であります。

2億ドルの支援は予定通り行う

記者:日本人の殺害警告にの件についてお聞きします。イスラム国側は、総理が先日カイロで表明された2億ドルの支援表明を理由に、殺害警告を挙げております。

このように総理の方針に挑戦するかのようなイスラム国の対応について、どのようにお考えになるかということと、先ほど地域の安定と平和の、この方針は揺るぎない、変えないという決意をおっしゃられていましたけれども、この2億ドルの拠出は予定通り行われるということでよろしいでしょうか? よろしくお願いします。

安倍:先ほども説明をさせていただきましたが、この2億ドルの支援は、正に避難民となっている方々にとって最も必要としている支援と言えると思います。避難民の方々が命をつなぐための支援と言ってもいいと思います。地域の皆さんが、避難民となっている方々が必要となっている、こうした医療、あるいは食料、このサービスをしっかりと提供していく。

これが日本の、私は責任だろうとこう思っています。国際社会からも高く評価されているこの支援をしっかりと行っていく、この姿勢には全く変わりはありません。

いずれにせよ、大切なことは、地域の平穏を、平和と安定を取り戻すことであり、地域の人々が平和に安心して暮らせる社会をつくっていく、そのために日本は、今後とも非軍事分野において積極的な支援を行ってまいります。

集団的自衛権の行使における地理的制約について

記者:少し話題は変わりますが、今月末に開会されます通常国会では、安全保障法制が最大のテーマになると予想されますが、総理は、いみじくもヨルダンのアブドッラー国王に対して、現在作業を進行中だとお話されていました。

このカギを握る与党協議が、いつから再開されるかとお考えなのか。また、公明党の中には集団的自衛権の行使に地理的制約を課すべきだという考えもあるようです。

正に、地理的な範囲を広げれば、それだけテロや戦争に日本が巻き込まれる可能性が増えるという風に言えるかもしれません。この論点について、どのようにお考えでしょうか?

安倍:政府としては、先の閣議決定に基づきまして、安全保障法制の速やかな整備に向けて、精力的に現在準備を進めているところであります。

また、自民党と公明党は、新たな連立政権合意の中で、安全保障関連法案を速やかに成立させると改めて確認をしています。

政府としては引き続き、部内で十分な検討を行った上で、与党とご相談したいと考えておりますが、与党間の協議については、政府の立場として、コメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

集団的自衛権の行使については、「新三要件」が判断基準であります。これは国会等でも再三お話をしてきている通りでありまして、武力行使の目的をもって武装した部隊を他国の領土、領海、領空へ派遣する、いわゆる海外派遣は、一般に憲法上許されないものと考えており、この考え方には一切変更はありません。

具体的に、どのような法整備を行うかは現在検討中でありますが、いずれにせよ、いかなる事態においても切れ目のない対応を可能とする安全保障法制を整備することが重要であると考えております。

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