2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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記者8:はい、CCTVビジネスチャンネルのオウと申します。2点おうかがいします。まず1点目は、今後のグローバル展開に関するビジョンについて教えていただきたいと思います。
2点目なんですけれども、先ほど説明の中にもありますように、今後審査の手続きがあると思うんですが、おそらく韓国での審査がされていくと思うんですが、現在の日韓関係の下で、審査の手続きに影響を受けるという想定はされますでしょうか。以上、お願いいたします。
川邊健太郎氏(以下、川邊):1点目に関しましては、すべてのグローバルの展開などの戦略は、やはり統合を果たした後に考えるものですから。のちほどLINEのグローバルの展開において、出澤さんから話していただければと思います。
2点目のこれからのさまざまな審査において、日韓関係が影響するのかということですが、我々もさまざまな分析を加えておりますけれども、特にそういった心配はないというふうに現在考えております。では、LINEのグローバルの展開を。
出澤剛氏(以下、出澤):はい。それで言いますと、さきほどもスライドでご紹介した通り、まず両社で国内でしっかりとしたユーザー価値のあるサービスを提供していくというところで、ユーザーの支持を得ると。それをさらにLINEの強い国々に展開していく。さらにそれを超えて、世界の人々に提供するものを作っていく。ということが我々の戦略でございます。
それはチャットアプリでやるのかというと、おそらくそうではない可能性もあって、これからできる新しいサービスかもしれませんし、両社が作る新しいサービスかもしれませんが、そういった手順でグローバル展開をしていこうと。
ご紹介したように投資の規模ですとか、個社ではできなかったことが一緒になることによって、できるようになることも多いんじゃないかというふうに思っておりますが、先ほど来、川邊さんもおっしゃっているように、統合してからでないといろんな具体的なプランをお話しできないところもありまして、これくらいで留めさせていただきたいと思います。
記者9:読売新聞のヨネザワと申します。出澤社長に2問伺いたいと思います。
まず1点目。川邊さんの方から1年に一度、度重なるラブコールのようなものがあったということなんですが、この1年で、なぜ具体的な連携が必要だという思いに至ったのか、それがいつの時期だったのかを具体的に教えてください。
2点目です。スマートフォン決済の方なんですが、やはり赤字の積み重ねで消耗戦、あるいは体力勝負という様相が出てきている中で、今の競争の状況が今回の経営統合を後押ししたという理由はなかったのでしょうか。以上2点をお願いいたします。
出澤:まず1点目のどんな流れかで言うと、時期も含めてですけど、毎年新年会みたいなものをやらせていただいてまして。今年は双方忙しくて、(川邊氏に向かって)3月、4月ですかね?
まあ、3、4月。春ごろにお食事をさせていただいてという感じで始まっております。もうちょっと詳細に経緯を申し上げますと、それで2社で何か大きいことができそうだねと。ここのメンバーたちで、初期的な感触を確認した上で、6月くらいのタイミングですかね。両・親会社にも相談して、4社でこれから……。まあ、そのときは経営統合というところまで念頭にあったわけではないのですが、広い範囲で検討しようと始まったのが、6月くらいのタイミングです。
そのあと、夏の間いろいろと議論を重ねさせていただいて。もちろん両・親会社にも相談させていただいて、いろいろ進めてきたというのが経緯のスケジュールになります。
もう一つが……すみません、なんでしたっけ。あ、なんでこの1年かと。この業界はですね、1年あると、やはり非常に大きく変わるところがありまして。競争の激化と、あと我々もこれから次の手をやっていこうと。常にいろいろな環境の中で我々のオプションを考えているわけですけれども。そのタイミングで今回、非常に良いかたちでパートナーシップを組めるという状況もあって。
我々の認識としては競争の激化は当然あるんですけれども、すべてが非常にいいタイミングであったというのが今回の経緯でございます。なので、我々としても非常に、ここまでこぎつけたということに対しては、まずスタートラインに立てたということは、最初はそういう想定……あまり言いすぎるとあれなんですけれども(笑)。
非常にフランクな会話から、ここまで至っているというところで、今日を非常に感慨深い思いで迎えているところですし、これからスタートラインなのでがんばっていきたいと。
川邊:2点目のご質問ってなんでしたっけ……。
記者9:スマートフォン決済での、赤字の積み重ねというのが体力勝負になるなかで、LINEさんとしてはなかなかキツくて、そういうのが判断の後押しになったのではないかという。
出澤:その個別の事象というよりは、先ほど来申し上げているような全体感の戦いの中で、やはり今、非常に大きい手を打つべきなのではないかというのが、率直な感想です。
パーツの1つとしてはもちろん競争関係の激化と言えるものがあると思いますが、それがすべてというか、それがトリガーというわけではなくて。もっと大きなことが起こっているので、その中での危機感というふうにご理解いただいた方が正しいのではないかと思います。
川邊:先ほどご説明させていただいたことに尽きると思います。世界のインターネットは米系と中華系のだんだん大きなテックジャイアントに集約されつつあり、かつ日本において、もっとITで解決できる課題があるにも関わらず、なぜかデジタル化・IT化が進まない。
これは両方を、我々としては非常に問題意識を感じていたので、個社でやっていては「間に合わないだろう」「時間がないだろう」と。なので両社で取り組もうと。そういったことが、この1年の変化の中での、強い動機でした。
記者10:時事通信のイガラシと申します。1点はお2人におうかがいしたいんですけれども、すべての個別のサービスは統合された後に委員会で判断していくという話でしたが、ユーザーからすると、自分が使っているサービスに「どういうメリットがあるか」というところが一番気になるところだと思うんですけど。
そこは統合効果ということで、ドラスティックにどちらかに統合されることもありうるのか、それともユーザー目線でされていくのか、もう少し方向性みたいなものがありましたら教えていただきたいです。
もう1点は、川邊社長におうかがいしたいんですけど、ソフトバンクグループを率いていらっしゃる孫正義社長兼会長から、今回の件についてご報告された後、何かお話があったりしたら、少しご紹介いただけないかと思います。よろしくお願いいたします。
川邊:1点目のところは、ユーザーファーストに尽きるかなと思っています。このネット業界、ユーザーファーストにやらなかったサービスはあっという間にダメになっていきますので。この統合というものも、我々の手前勝手な理由でサービスの使い勝手が悪くなるなんて、あってはならないと思っております。
逆に、ユーザーから見たときに、統合した暁にはLINEとヤフーの連携は非常にわかりやすく提供したい。ユーザーから「こういうことが行われたならば私たちも支持するよ」と言われるようにやっていきたいと、心底思っております。
2点目に関しましては、ちょっと先週より報道が出てしまっているところで、私から申し上げたいのは、「孫さん主導」「SBG主導」みたいな報道が、情報不足な中で走っていってしまったと思いますけれど、これに関しましては、先ほどから経緯を申し上げている通り、毎年やっている新年会から端を発しまして、かなりの程度、両当事者で話をしました。
そのあと、親会社である国内通信事業者のSBKKの社長、すなわち宮内社長。そしてNAVERの幹部の方々に話して、その4社で進めてきた話でございます。従いまして、これに関しては、孫さんはあまり関与してこなかったというのが、真実でございます。
しかしながら、当然SBKKですとかヤフーの取締役の立場もありますので、その範囲内においては情報共有をしておりまして、9月に改めて「こういうことで統合の検討をしたい」ということを私の方からプレゼンテーションさせてもらいました。
孫さんはご自身のプレゼンテーションもシンプルですし、社員にも非常にシンプルな説明を求めます。私も、今日みなさまに発表させていただいたような、非常にシンプルな内容で孫さんに「このような趣旨で統合を考えています」と話したところ、「100パーセント賛成である」と。
「日本のため、アジアのインターネットのため、スピーディにやるべきである」と。そんなようなお言葉をいただいたことがありますけれども。全般において(孫さんとの)関わりはその1回限りであったことが、真実でございます。
記者11:テレビ朝日「報道ステーション」のモリと申します。今、孫さんの関与はあまりなかったというお話でしたが、孫さんからなにかアドバイスというものはあったのでしょうか。また、両社の経営統合実現にあたって、孫社長の役割がなにかあったのであれば、教えていただきたいと思います。
あともう1点、利用者にとってどんなメリットがあるのか、具体的に教えていただいてもよろしいでしょうか。
川邊:まさに今の話に全部絡むようなかたちで、孫さんからいただいた一言は、「ユーザーのためになることをしない限り、誰からも支持されないからね」と。「2つのサービスが統合・連携することによって『前よりも使いやすくなった。前よりも便利なことが増えた』とならない限り、誰からも支持されないからね」ということを繰り返し仰っていました。
利用者のメリット。これは、先ほどからの話で申し訳ないのですが、実際は統合後に具体的に考えていくことになります。何度も申し上げて恐縮ですが。
すでに多くの利用者様が使ってくださっていますよね。ただ(今は)それぞれが分断されていますので、それがシームレスなユーザー体験につながることによって、より便利になっていくと思っております。
それからもう1つ孫さんから言われたことは、「両社が一緒になってやるからには、今までできなかったような課題解決につながるような何かをやらない限り、やっている意味はないからね」と。そいういうこともおっしゃっていただいたので、まさにそういうチャレンジをしていきたいというふうに考えております。
私は個人的に、すごく今年台風で被災したというところもあるかもしれないですけれども、災害のところ。ここはですね、日本においてこの2社でできることはもっともっとたくさんあるんじゃないかなと。災害というよりかは、防災・減災のところですけれども。
今もYahoo! 防災アプリ、そしてLINEアカウントのほうで、少しだけ防災・減災に役に立っていると思いますけれども。両社連携してより研究開発費を投じて、世界最先端の防災・減災情報支援サービスを作って、日本に住む人たちに対して大きなメリットを提供できるのではないかと考えております。
そいういった、2社にしかできない大きなテクノロジーによる課題解決というのが、ユーザーのメリットになっていくと考えていただければと思います。
記者12:共同通信のハヤタと申します。1点目は、今後のサービスの形態については統合を完了して話し合っていかなければわからない、協議していくという話が繰り返されていますが、今後の公正取引委員会の結合審査の過程とかで、なにかこう事業もうまく統合できないんじゃないかという懸念もあるでしょうか?
もう1つ、LINEさんはずっとスーパーアプリ(Super Apps)を目指していくという話をされていましたけど、今回の統合によって補完される部分というか、スーパーアプリが完成に近づくという内容になるものとお考えなのか、おうかがいできればと思います。
川邊:1点目は私から回答させていただきます。これからさまざまな審査、とくに独禁法の審査等があるという認識をもっております。ただし我々は審査される立場でありますので、それに関して困難であるとか容易であるとか、それに関して何か予断をもつ立場にないと考えております。また審査に関しては、進んで協力をしていきたいと考えております。
出澤:LINEのスーパーアプリ化ということでいうと、これも審査の関係があって、今は一般的な話でしか申し上げられませんが、考えてみるだけでLINE上にないサービスはたくさんございますし、ソフトバンクKKさんでやられているようなサービスでも非常にすばらしいサービスがありますので、我々のLINEアプリにとっては非常にいいかたちで連携ができるのではと思っています。
それもLINEアプリでということではなくて、たとえば全体で我々が創っていくこれからのアプリケーションがどういう形になるのかというところで、それがより日本に住むみなさん、世界に住むみなさんの役に立つものになると確信しております。
記者13:フリーライターのヒラサワと申します。Fintechに絡んで、モバイル決済のところなんですけれども、最大限のシナジーを予後と考えると、PayPayとLINE Payが統合もしくは共通化みたいな方向性になるべきじゃないかと考えるんですけども、そのあたり将来どのようにお考えなのかという点。あとLINE Payさんのほうが、現在メルペイさんだったり、複数の事業者さんと提携されてますけども、その扱いが今後どのようになっていくのか、そのあたりをお教えください。
川邊:1点目は私から、2点目は出澤さんから。1点目ですけど、繰り返し申しますけども、PayPayとLINE Payがどうなっていくという個別具体的なことに関しては統合が果たされてからの検討になると思いますが、全体感で申し上げますと、今年政府がかなり後押しをしてキャッシュレスが進んでおりますけども、それでも我々がいろいろ集めているデータによるとキャッシュ7割、(キャッシュ)レス3割という状況です。
その3割の中でも圧倒的にクレジットカードが大きく、その次にSuicaですとかWAONといった電子マネー系。我々は今、切磋琢磨してやっておりますモバイルペイメント、QRコード決済というのは3~5パーセントいっているかいっていないかというところです。
この分野でただの決済のみならず、スーパーアプリ化していく、大きなパスポートとなる分野ですので、まだまだまだ切磋琢磨して伸びていかないと、全然ダメなんじゃないかというような見立てをもっております。キャッシュレスももっと推進していけなきゃいけないですし、その中におけるモバイルペイメントの取り扱い高も、もっともっと両者切磋琢磨して大きくなっていかないと、全然ダメなんじゃないかなという認識をもっております。
出澤:その意味でいうと非常に有意義な取り組みだと考えておりますが、なにぶん今日決議されて、まず基本合意だよということで発表させていただいた状況なので。これから各社、説明をさせていただいて、これからということになると思います。今時点でなにか決定している事実はございません。
記者14:NHKのモテギと申します。統合に関してなんですが、実情をみるとソフトバンクグループにLINEさんが入るという意味合いが強いと思うんですが。そういう中でも対等ということを強調されていらっしゃいますが、そこにこだわった背景ですとか、共同CEOになられた経緯ですとか、共同CEOとしてお二人でどういう役割分担をされていくのかをおうかがいさせてください。
(出澤氏が一度マイクを手に取るも、アイコンタクトで川邊氏に)
川邊:まず共同代表、Co-CEO制度ですけども、やはり非常に大きなデジタルカンパニー同士の統合ですので、まず審査等でも1年弱かかり、そこから実際に統合されて事業が自走していくかたちになっていくのにも時間がかかると思うんですね。そのときに両社の代表がまったく同じ役割で、まったく同じコミット力で達成していかない限り、これは無理だと思っておりますので。そういった形で共同代表という制度を、まずとらせていただきました。
どのあたりが共同なのというところですけども、お互いのサービスの力ですね。それは現在のユーザー力、あるいは開発力、どれをとってもイーブンな関係だと思っていますし、今後発想して事業を大きくしていこうという意欲も同じぐらい旺盛であると。そうすると本当に対等の立場に立って、腹を割って話し合って経営をしていくほうが絶対にうまくいくんじゃないかなというのを、何回かこの夏、都内のホテルで密会をして喧々諤々の議論をしてきたんですけども。
そこでも対等のチームワーク感を感じましたので、こちらからもぜひ対等の精神でお願いしたいと。上下があるとかそういうのではなくて、対等の精神でお願いしたいと。そういうことを申し上げました。
またこれは私の立場にはないので余計な一言かもしれませんが、やはりNAVER社は非連結になるという判断をしてでも、日本における、あるいはアジアに出していけるような大きなAIテックカンパニーを作ろうという意気込みで、ある種今回の連結を通信事業者のソフトバンクに譲ってくれたということですので、みんな志はひとつ。我々が世界の第三極にどうにかしてなっていくんだ、食い込んでいくんだということで、今まさに対等に一致しているのではないかなと考えております。
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