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【全文2】川邊健太郎氏「ZOZOとヤフーにしか作れないeコマースの未来をつくっていく」ーー資本業務提携から生まれる4つの価値

2019年9月12日、ZOZO株式会社 社長の前澤友作氏はソフトバンク傘下ヤフーとの資本業務提携を発表し、それに伴い同社の代表取締役を退くことを明かしました。ツイッターで「僕自身は新たな道へ進みます」と宣言した前澤氏は、詳細について話すため、同日17時半より記者会見を実施。本記事では、冒頭に行われたヤフー株式会社CEO 川邊健太郎氏による「公開買付けの開始及び資本業務提携についてのご説明」の模様を全文で書き起こします。

資本業務提携のポイント3:eコマースの取扱高も爆増する

川邊健太郎氏:今回のポイント3は、eコマースの物販の取扱高が爆増。これも当然、両社が爆増するということでございます。両者ともにeコマースは伸びております。ヤフーのほうは長らく一兆円前後で取り扱い高が停滞していたんですけども、2013年にeコマース革命というものをやらせていただき、そこから約5年で取り扱い高が倍の1.8兆円にまで成長しています。

そしてZOZOも、ファッションのカテゴリにおいて市場成長以上の大きな成長をしております。両者を合わせると、合算だけでも2兆円を超える取り扱い高になっていきますし、これに相互送客や、いろんなシナジー効果を合わせて、もっともっと取扱高が爆増していくのではないかなと思っております。

これに対して我々には、ある手がございます。それがどんな手といいますと、ベストプラクティスといいますが、成功事例を用いてきたいなと思います。

今回ZOZOのTOBが成功すれば、かつてのヤフーの社史の中でダントツの買収金額となるわけですけれども。これまでに最高の金額で買収した会社は、トラベル事業の一休でございます。

こちらが実は大変伸びております。しかも、Yahoo!トラベルという元々我々がやっていたサービスが一休とともに伸びて、その合算がすでに4年で倍近くになっております。

なぜこのようなことができているのかと言いますと、こちらの右側にございますように、ヤフーからの一休への送客を強化したり、あるいはYahoo!トラベルで売る商品を一休と連携したり、一本化したりですね。そういったシナジーを効かせたため、両サービスとともに取扱高が伸びていくというようなことが起きております。このノウハウを我々は徹底的に、今回のこの資本業務提携契約によって、ZOZOTOWNのほうに注入していきたいなと思っております。

結果、どういうことになるのかと言いますと、ヤフーのeコマースとZOZOのeコマースの取扱高を合わせることによって、かつシナジーを効かせて両社を力強く成長させていくことによって、国内ECナンバー1が現実的に射程圏内に入ってくるかなと思っております。

ヤフーのほうは、eコマース取扱高国内ナンバー1が悲願の目標となっております。それを2020年代前半に達成したいと、かねてより投資家のみなさんに説明をしておりますけれども、「本当に達成するの?」「楽天さんやAmazonさんのほうが強いんじゃないの?」「言ってるだけじゃないの?」みたいな意見も一部あったと思います。今回のZOZOとの資本業務提携契約によって、それが現実的になり、「2020年代前半で国内ナンバー1」に我々は手が届きつつあるんじゃないかなと考えております。

資本業務提携のポイント4:eコマースの取扱高も爆増する

そして最後、ポイントの4つ目は、そのeコマースの営業利益も両社で爆増していくということです。

2018年のヤフーeコマースの営業利益は558億円でございました。そして今年度、約700億円のeコマース事業における営業利益を見込んでおります。

ZOZOというのはファッションカテゴリに特化して、すばらしい収益性を持っているeコマース事業ですけれども、大体200~300億、これからシナジーを効かせていけば300億〜400億と、もっともっと営業利益が出ていく事業になっていくと思っております。

シナジーを効かせないで、一旦お互いの2019年の計画値を合算させるだけでも、ヤフーの前年のeコマースの1.8倍の規模になっていきます。

今まで収益的に見るとヤフーは広告の一本足打法と見られていたかもしれませんけれども、ここにおいて、紛れもなく広告とコマースという2本の柱が立つことになるのではないかなと考えております。

なお、この2019年度の営業利益の合算はもう9月ですので、当然営業利益の取り込みという観点においては、ZOZOさんの320億が全部いくわけではないですけれども。しかし2020年度は、おそらくこういうプロポーションになっていくのではないかなと考えております。

以上、今回の資本業務提携のポイントをまとめますと、この4点となります。これが中心となって、両社でユーザー増あるいはユーザー体験の向上、あるいは収益性の向上が行われていくと、私は強く確信をしております。

両社の理念が影響しあい、eコマースの未来を切り拓く

そのほかの副次的効果もたくさんあります。もちろん今後ZOZOTOWNが、今伸び盛りのモバイルペイメントであるPayPayも導入していってくれるという話もしておりますし、ファッション × テクノロジーでやっているZOZOと、日常生活をテクノロジーの力でびっくりするほど便利にさせることを標榜しているヤフーとでは、いろいろな分野で新しい取り組みが、あるいはイノベーティブな取り組みができるんではないかと大変期待を持っております。

今日は詳細な説明は避けますけれども、現実的に考えるだけでも、お互いのアセットを利用して、このような新しいことができるのではないかなと考えております。

ZOZOもヤフーも創立から20年を超えた、インターネット企業のなかでは古参になりつつある会社です。ですから、さまざまなお互いの成長のステージがあると思います。おそらくは、これからの成長にお互いになくてはならない最高のパートナーになるんではないかなと私は確信を持っております。

また、お互いに非常に大切にしている企業理念、あるいはビジョンみたいなものがございます。

ZOZOは「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」という、非常にかっこよくて立派な理念を持っています。そして我々はユーザーの生活をびっくりするほど便利にという、検索から始めた創業からの理念を持っています。このお互いの理念は、お互い尊重し合い、しかもお互い影響し合いながら、ぜひ新しい文化……それはおそらくはZOZOとヤフーにしか作れない、かっこよくて便利なeコマースの未来というものが、我々だから作っていける。我々だから作らなければいけないんじゃないかなと考えております。

このような資本業務提携を、これからTOBを経て行っていきたいと考えておりますので、ZOZOとヤフーの今後のeコマースにおける発展を、みなさまもぜひご注目いただければなと考えております。

澤田新社長、前澤さん、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。

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