2024.10.10
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記者:ニコニコ動画のナナオと申します。短く3問お願いします。相澤さんから、3月末に詳細な結果をお伝えされるというご発言がありましたが、その際、小保方氏の今回の実験ノートや実験映像を含めた実験データが公開される、という理解で宜しいでしょうか?
相澤:3月に予定しているものは日本だけではなく、当然世界の科学者世界に向けてSTAP細胞の検証は科学的なレポートとして、こうこうこういうことでありました、と。もし他の方が研究を続けるのであれば、その基となる基礎資料になるような、そういう科学的なレポートを提出するということです。
記者:小保方さんの実験ノートが以前問題になりましたけれども、彼女の今回の実験ノート……
相澤:実験ノートの次が汚いとか綺麗とか、書き方がどうだこうだというのは、科学的な面からさほど重要なものではないので、そういうことは、ノートはこういうものでした、というような写真を撮ってレポートに載せるということは、無いと思います。
記者:予想を遥かに超えた制約と、小保方さんは先程のコメントでも言っておりますけれども、今回は監視カメラでずっと映像を撮られていたと思いますけれども、そういった彼女の予想を遥かに超えた制約を示す映像は、今回は公開されるべきだと思いますけど。そうじゃないとフェアじゃないと思いますけど、どうですか?
坪井:もともとこの映像をなぜ撮るかというのは、改革委員会の提言のなかにもあって、記録をキッチリ残す、ある意味では監視という意味もあったかと思います。
もうひとつは立会人の関係です。その映像のなかには立会人の方が映っている映像もあるわけですけれども、立会人の方については、映像を公表しないという前提でお引き受けいただいていることもありまして、情報公開法の解釈でも、そういった監視カメラの映像的なものは、そういった方の解釈に馴染まないものだ、というように承知しております。
記者:2点目なんですけど、10月24日に理化学研究所は国際出願していたSTAP細胞作成の特許について、複数国で出願の継続手続きをとった、と発表されました。しかし論文は撤回され、実験でも証明されなかったわけですが、これについては今後どうなるんでしょう?
坪井:細胞の特許出願、今回もう検証実験を終了するということも踏まえたので、特許出願を放棄することも含めて、慎重に検討してまいりたいと思います。
記者:それはいつ頃、結論が出ますか?
坪井:共同出願人がおりますので、そういったところとも調整のうえで、となっていくかと思います。
記者:なるほど。最後です。(小保方氏の)退職届は19日付となっていますけれども、今回の会見が決まってから提出されたものなんでしょうか?
なぜそういうことを聞くかというと、会見にご本人は出席したかったのは、あるいは出席そのものをしたくなかったのか。また理研としてはそもそも会見出席を要請されたのかどうか、この点を詳細に確認させてください。
坪井:退職願は15日にご本人から神戸事業所長のほうに提出されておりまして、この時はまだ会見の日程は決まっていない段階でした。
記者:もしそういった依頼がなければ、理研としてはご本人も出席してほしかったということはあるんでしょうか?
相澤:それは前の中間発表の記者会見の時にも、どなたかからそういう質問を受けたと思います。
記者:はい、私のほうで質問しました。
相澤:ああ、そうですか。その時は「検討します」とご返事したかと思いますけれども、この場所は検証実験の結果を、実験責任者からどうであった、と発表する場所であって、そのなかのいちメンバーがどうであったか、を発表する場ではないので、総括責任者として小保方さんはここにいる必要性があるとは判断しませんでした。
清成研究員の場合にはキメラ作成をして、今回のことにおいてかなり重要な判断材料となりますので、同席をということで判断をしましたけれども、基本的には私と丹羽副チームリーダーが、検証実験全体をどう把握し、どう判断するかということをご報告する場所であるとして、彼女へここの場への出席は求めませんでした。
記者:じゃあ本人からも、出席したいという意思は伝えられなかった、ということでいいですか? 後からまた彼女が「実は出席したかった」と発言される可能性もあると思うんですけど、ご本人は、会見に出席する考えはなかったんでしょうか?
相澤:あるいは、ご本人はそう申されるかもしれません。しかしご本人から直接に、記者会見のこの場に自分を出席させてほしい、という要望はありませんでした。
記者:それを前提にこのコメントがいただけた、と。
相澤:ちょっとだけ補足いいですか? 退職願の出た日付ですけれども、それは検証実験が終わったあと、一応データの取りまとめを小保方さんにお願いしました。そのデータの取りまとめが終わった時がちょうど15日で、そのためにその日付になっている、と理解しています。
記者:NHKです。相澤さんもしくは丹羽さんにお答えいただきたいと思います。ネイチャーに掲載された論文には、STAP細胞が出来た、とするデータが山のように載せられているわけですけれども、実際に今回、お二人の検証実験では出来なかったわけです。
このデータはいったいなんだったのか、お二人は研究者として、どのように感じていらっしゃいますか?
相澤:なかなか多くの事を含んだ質問で、お答えするのが難しいんですけれども、この場で私が申し上げられることは、STAP現象を再現することは出来なかった。それが検証チームの請け負ったミッションで、そのミッションに対してはそういう結果であった、ということをお話出来るだけです。
その事と論文の乖離が、いったいどういう事によるのかということは、この検証実験だけでは全体をとても判断することは出来なくて、検証チームとしては今のご質問に対して、お答えすることは難しいです。
個人的な感想ということであれば、それはいくらでも申し上げることが出来るんですけれども、検証実験のチームリーダーとして、今のご質問に、研究結果と論文の間の差はどう起こったと考えているか、ということに答えることは出来ません。
記者:個人的なご所見でも構わないんですけれども、研究者としてはどう思われますか?
相澤:私はここには検証実験のチームリーダーとしていますので、いち個人としての意見は、改めた場所でお聞きいただければお答えできますけれども、この場において述べることは差し控えさせていただきたいと思います。
記者:もう1点。今回、小保方さん自身が実験をしてもSTAP細胞は出来なかったわけです。本人が実験しても出来ないのに、なぜこういった論文が作成され、世界的な雑誌に載るようになったのか、ご所見をお伺い出来ますか?
相澤:今の点についても全く先ほどの質問と同じことで、お答えすることは出来ません。
坪井:論文の問題については、調査委員会が9月から科学的な疑義に関することを含めて調査している、ということでございます。
記者:共同通信です。手短かに3点お願いしたいんですが、まず先ほど小保方さんがこの結果を受け止められていない、というお話がありましたけれども、小保方さんは現在、どのような状況なんでしょうか?
相澤:それは、わかりません。
記者:最近お会いにはなってないんでしょうか?
相澤:最近だと15日ですか、検証実験のデータの整理をするまでは出てこられていましたので、4日日前までですね。そういう頻度でございます。ただ昨日、一昨日については、研究所のほうには……あ、今週は一度、調査委員会のヒアリングを受けるのに月曜日に出勤されていると思いますけれども、その後は出勤されていないと思います。
記者:15日に最後に会った時は、かなり落ち込んでいるような様子だったのか、そういう点はいかがでしょうか?
相澤:そういうご質問に対しての判断というのはかなり主観的なものになるので……
記者:主観的なものでも構わないので。
相澤:ちょっとお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。それからもうひとつ、ちょっと訂正致しますけれども、ご本人とお会いしたのは一瞬ですけど昨日、お会いしてます。それは理事のほうに渡して欲しいという資料を受け取りまして、それが先ほどのコメントだったと思いますけれども、その作業の際に一瞬、お会いしました。
記者:その時は普段通りだったとか、そういう印象というのは難しいですか?
相澤:申し訳ありませんけれども、そういった類の、小保方さんの状態がどうであったというのは、私の見る目によって変わるかもしれない、朝と夜でも違うかもしれない、そういうところについて私の個人的判断を述べることは、この場ではさし控えさせていただきたいと思います。
記者:わかりました。では相澤先生、丹羽先生含め、CDB(多細胞システム形成研究センター)では中核のメンバーとしてずっとやってきたわけですけれども、今回このような事態になっていることについて、改めて責任を含め、伺いたいんですけれども。
特に丹羽先生は論文発表後にプロトコルを発表されたりしていますけれども、そのことについて改めて見解をお願いします。
相澤:私の責任ということでいえば、私はCDB発足以来、副センター長という立場を務めておりましたし、今度のことに対して責任を負っていますし、特にこれが日本の科学の研究にどういう影響を与えるかということについては、大変大きな責任を感じています。
しかし責任のことをどうのこうのと言うのは本日の場所ではなくて、この場では責任の問題を申し上げるのは適当ではないと思います。
その事をどうするかというのは、別の場所で処理させていただきたいと思います。本日はあくまでも、検証実験がどうであったか、ということについてのみ、お答えも申し訳ありませんけれども限らせていただきたいと思います。
丹羽:調査委員会ならびに懲戒委員会の結果を待って、判断したいと思います。
記者:すいません、最後に1点だけ。処理によって光る細胞が得られたり、細胞塊が出来たりする。そういうことは今までは知られてなかったと思うんですけれども、結局、これはなんだったんでしょう?
相澤・丹羽:……?
記者:その見解については、特には……?
坪井:細胞塊ができるのは何故か、と……。
記者:細胞塊ができるのは、結局なんだったのかっていうのは……。
相澤:……えーと、それは検証実験の範囲を超えておりまして、個々の研究として明らかにされるならそうなることであって、そのことまで検証実験で判断するのは、その範疇を超えていると思います。
記者:坪井さん、もう1点だけ。小保方さんが退職届を出されてそれを受理する方向だと思うんですけれども、懲戒に対する影響というのはどういうことになるんでしょうか?
坪井:懲戒委員会はご承知の通り、3月末の調査委員会にて研究不正が認定されたことをもって、5月から懲戒委員会をスタートしておりましたが、6月に新しく、改めて調査委員会が立つということで、停止をしておりました。
今回退職を認めたことになって、理研の職員でなくなるとしても、懲戒委員会の手続きは、今回の調査委員会の結果が出た後に再開をする予定にしておりまして、基本的には、どういう処分が"相当"であるのか、という検討を、再開した懲戒委員会でやることになるというふうに想定をしております。
記者:TBSです。まずこの、書面での小保方さんのコメントなんですが、「3ヶ月間、予想を遥かに超えた制約のなかでの作業になった。細かな条件のなかで検証できなかったことは悔しい」ということなんですが、理研側としても、この制約を外して検証したのでは意味がないと判断したので、こういう状態で進めていった、ということで宜しいんでしょか?
相澤:えーと、ご質問の意味は?
記者:小保方さんにとってはかなり不本意な状況のなかでの作業を続けざるを得なかったという事なんですが、そのあたりの主張を聞いた上で新たな手法を考えるというか、小保方さんの意に沿ったような形での検証という方法は、全くなかったんでしょうか?
相澤:そのことについては最後にコメントさせていただきたいと思っているんですが、検証実験は、そういう条件のもとで行う、ということでご本人も同意されて、その下でのみ検証実験をおこなう、と所が認めたということがあります。
それで、それ以外の環境で検証実験を行うということは、検討されませんでした。
記者:それについて、では小保方研究員のほうへ、制約があると具体的にどんなことが不本意になるのか、そういうことを聞こうともしないまま、退職を認めるということなんでしょうか?
坪井:コメントにある「予想を遥かに超えた制約」ということについて、実験期間中に具体的な話がどれだけあったかということは、承知しておりません。現在は彼女は、検証終了をもって退職願を出されたということでありますので、本人の意向を踏まえて受理をする、ということで対応したものでございます。
相澤:大きな制約ということですけれども、それは実際に大きな制約がありました。モノの出し入れも、好きなものを自由に取りに行ったりあるいは注文したりということも出来ず、またいちいち記録されますし。
それから彼女が細胞塊を採ったあと、そのデータの解析は彼女自身が他の部屋において出来るわけではなくて、彼女の実験はモニターのある部屋に限られるということですから、そのようなことは他の人に委ねられなければいけないので、それはもちろん大きな制約であることは間違いないと思いますが。そういう事とは違うなにかを想定されてのご質問なんですか?
記者:具体的に、小保方氏がどんな点を「予想を遥かに超えた制約」としたのか、そのような不本意な点を……
相澤:今おっしゃられる事は、2つの事が……制約の問題と、彼女が記者会見とかで物事をしゃべらない、という事に話は分けられると思うんですが、制約のほうについては、私から見ても明らかに大きな制約があったと思います。
記者:朝日新聞です。ちょっと繰り返しになるかもしれませんが、小保方さんは懲戒処分が検討されているというか、調査委員会が終われば検討されるわけで、当然懲戒処分になると思うんですが、そういう場合、企業とか大学では退職願は受理しないというのが常識なんですけれども、そういう退職願を受理するという非常識なことをやったのか、ということを伺いたいです。
また小保方さんには退職金は出るんでしょうか? 退職金の支払い停止処分とか、そういうことはないんでしょうか?
坪井:まず後段のほうですけれども、任期制の職員で年俸制ですので、そもそも退職金がありません。したがって自主退職であろうと懲戒退職であろうと無い、同じでございます。
またもう1点についてですが、お配りしている理事長コメントとも同じになるんですけれども、この10ヶ月間あまり非常に心労が重なってきたというなかで、これ以上の心の負担を増すことに懸念をしたと。これで退職願を受理しない、とした場合の負担は考慮すべきだということで、本人の意志を尊重する、という判断を致しました。
ただ先ほど申し上げましたように、調査委員会の調査結果が出たあとに懲戒委員会は再開を致しまして、退職した後の小保方さんであるわけですけれども、どういった処分が相当なのか、という検討を行う予定にしているということです。
記者:いやでも、退職した人には処分出来ないじゃないですか。
坪井:したがって、「相当」であることについて検討・発表することになりますけれども、そこは繰り返しになりますが、これ以上のご本人の負担を……
記者:いや、そういうことが、理研という組織が一般的な社会や大学等の常識等とかけ離れているというふうに世間から思われているわけですけれども、その点についてどう思っているんですか?
坪井:研究不正で、例えば大学でも調査結果が出る前、処分が出る前に退職されている事例はあるので、これは理研だけの問題ではないかと思いますが、ただここは本当にいろんなご意見があるかとは思いますけれども、なんらかの対応を……
記者:それは発覚する前に辞め逃げしている方たちの場合ですよね。そういう場合でも、例えば退職金の支払いを停止するとか、今回は(退職金自体が)無いということですが、なんらかの対応を取るわけですよ。そういう辞め逃げ的なことをさせないように、ということでね。
坪井:繰り返しますが、退職金はそもそもないので……
記者:それはわかります、はい。
相澤:すいませんが、退職の話よりもまずは検証の質問だけにして、その後に退職の問題があるのならば……。
記者:日本経済新聞です。小保方さんの再現実験のなかで、キメラについての再現というのは、ご本人がやってなかったので難しかったと思うんですけれども、これはやり方を若山さんのところにひとつひとつ聞き取りをして、忠実に再現するというやり方をとったんでしょうか? それとも書かれているところから推定でやられたんですか?
相澤:若山先生にはキメラ作成の検証の協力をお願いしました。しかしながら若山先生は大学の業務が多忙で、残念ながら検証実験に協力する時間的余裕は無いということでございました。
そういう意味では若山先生だけのトリックがあるという可能性を全く否定することは出来ないんですけれども、この検証を実際に担当しました清成研究員は、このキメラ作成の胚操作の技術においては極めて高い技術を有していると認識しております。そのもとでいろいろ工夫されて行った実験は、それなりの意味を持つものだと認識しています。
もちろんそれでは出来ない、という可能性が無いとはいえません。が、それは極めて特殊なことで、彼の、清成研究員をもってしても出来なかったことについては、そういうふうに判定するのが、少なくとも一般的な科学のレベルは充分に満たしていると考えています。
記者:若山先生の協力を得られなかったというのは、やってもらうとかそういうこと以外にも、聞き取りでいろいろやり方を把握するということも、思うようになかなか出来なかった、ということでしょうか?
相澤:聞き取りで得られる情報については、すでに知っておりました。もし残っているとするならば、実際にデモンストレーションをしていただいて、彼自身に注入をやっていただいてどうだったか、残されたことだと思っていますが、それはお忙しい身で叶わなかったです。
記者:今のことについて清成先生は、やりにくかった部分、ここはこうなのかもしれないと迷った部分、というのはなかったですか?
清成:私自身が、そういう細胞塊を切り刻んで入れる、ということ自体は初めてでしたので、当初その切り方等を含めて迷うことはありましたけれども、ある程度やっていくうちに、その問題は解消されました。
記者:すいません、それに関して。清成先生のテクニックを別に疑っているわけじゃないんですけれども、科学という意味で、今日開示されたデータのなかにポジティブコントロールがなかったんですけど、あれでキメラマウス……
相澤:ポジティブコントロールは、なにがポジティブコントロールになりますでしょうか?
記者:もともとSTAPが無いから、お困りのことは充分に推測できますけれども、
相澤:ES細胞をポジティブコントロールにするならば、それは全く出来る条件で、問題無いです。
記者:それがないと、つまり出来ない条件でキメラマウスを作ったんじゃないか、という疑いが……
相澤:それは至極当然のことだと思ってここには載せませんでしたけれども、もしES細胞をポジティブコントロールと捉えるならば、それでは充分なキメラが作成される条件でやっております。
記者:それはわかりましたけれども、科学性をもし皆さんが言いたいんだったら、あのデータのなかにES細胞でしょうがないけれども、ESでポジティブコントロールは入れるべきですよ。そうでないと、キメラマウスが作られ得る条件でやったかどうかというのを、データ上保証できません。
相澤:どうも失礼しました。
記者:それに関連してですけど、ちゃんとやっていたということを今主張なさったんですが、今開示されたデータのなかではちゃんとやっていたか、どうか必ずしもこっちには……。今のポジコンのような例がありますので。あえて聞きますけれども、実験打ち切りに関して、これまでのデータをもって、小保方さんにお話を伺って、小保方さんも納得する過程というのをとったんでしょうか?
相澤:これまでの検証結果を基にすると、こうこうこういうデータであって、実際のデータがそうであることは確認をとりました。次にそれを基に私自身の判断として、検証実験を終了するということを本人に伝えました。伝えましたけれども、それについて彼女からの反論はお聞きしてません。
記者:それは直接お伝えになったんですか?
相澤:ええ、直接伝えました。
記者:最後です。小保方さんコメントっていうのは、小保方さんからいただいた一字一句、修正されていないということの確認をまずいただきたいんですが。
相澤:それは一言一句変えないように記者発表していただくように、ということが伝わっていたとお聞きしています。多分それで間違いないと思います。
記者:坪井さん、それは実行されたんですか?
坪井:受け取られたものを活字にする過程というのはありましたが、それはチェックをしたうえでお配りしています。
記者:わかりました。ありがとうございます。
記者:毎日新聞です。検証実験の方法について、「それは検証実験の範ちゅうを超えるから」というご説明が相澤先生から何度もあったんですけれども、今回ATP処理作成を試みているという点で、すでに論文の範ちゅうを超えていると思うんですけれども、バカンティ教授が発表したプロトコル、例えばガラス管を通すとか、特許のなかでもATPを塩酸の代わりとして唯一採用されたんでしょうか?
相澤:本人にこれは確認したことですけれども、条件のなかでかつて若山研でこの論文に至るような研究をやっていた時に、酸処理として主としてやっていたのは、塩酸とともに、主にATPでやっていた、ということを本人から聞きましたので、特にATPについては論文には記載されていませんでしたけれども、加えることにしました。
他の条件については、とてもこの期間のなかで検討することは出来ませんので、他のストレス処理の条件についての検討は全く行っていません。
記者:小保方さんは、ATPと塩酸処理と、どちらが効率が良いとおっしゃっていたんでしょうか?
相澤:検証実験の開始前には、ATP処理のほうが塩酸処理よりもずっと効率が良いということを言っていました。それで、検証実験をするにあたってはATP処理をすることによってこの頻度が上がるものと実は想定していましたけれども、そういうかつての状態を、今回の検証実験では彼女自身、再現することが出来ていません。
記者:ATPについては若山先生にも同じように、塩酸処理よりも効率が良いのか、ということをお尋ねになりましたでしょうか?
相澤:若山先生にはそのことはお尋ねしていませんが、若山先生自身がその当時、ATP処理でほとんどのSTAP細胞をやっている、ご存知だったことは承知しております。
記者:それではなぜ論文に、塩酸ではなくてATPで記述をしなかったんでしょうか?
相澤:それは我々が答えられることではありませんので、なぜそういうことをしたかという事について、推測というのは個人的にはありますけれども、この場では差し控えさせていただきます。
記者:わかりました。では丹羽先生にお伺いいたします。丹羽先生もプロトコルを発表した時に、小保方さんが作成する様子を2月に2,3回確認されたとおっしゃっていました。その時の方法はATPはなくて塩酸だったんでしょうか?
丹羽:3回やったなかで、ATPで行っていた回もありましたが、基本的には塩酸で行った実験を見ています。
記者:ATPは弱酸性溶液を用いる時に一般的なものではないというふうに思うんですけれども、その点、どのようにお考えでしょうか?
丹羽:本人から一度、なぜATPを使うことを思いついたのか、という話を聞いたところでは、ガラス管を通してダメージを与えた細胞を回復させるために使っていたと。それが同時に弱酸処理になることを見つけた、ということを聞いています。
相澤:念のためにお伝えしてしておきますけれども、ATPは細胞の中にはそのままでは入りませんので、そのことだけはご確認ください。細胞の中に取り込まれる時はATPは一旦、リン酸が分解されない限り入りませんから。ATPの効き方をお考えかと思って、念のためにお伝えしました。
記者:その小保方さんの説明では、刺激を与えるためにATPを当初ATPを使っていたわけではない、という事だったんですよね、丹羽先生。
丹羽:そのように記憶しています。
記者:ところが、研究を続ける過程で、弱酸性溶液が作れると。
丹羽:それはやっていれば簡単に気付いたであろうことで。というのは、我々は培養液のなかにフェノールレッドという、PHの変化で色が変わる試薬をいつも入れています。それが黄色くなるっていうのが酸性化を示すことで、ATPを垂らすと黄色くなったということで、これはPHも変えているんだな、ということは、もしもそういうことを一度やれば、すぐに気がつくことだろうと思います。
記者:じゃあ丹羽先生としては、ATPで弱酸性の刺激を与える、という説明に納得されたんですね?
丹羽:納得していました。
記者:それをプロトコルに記載する必要性は感じられなかったんでしょうか?
丹羽:論文を発表し、プロトコルエクスチェンジを発表する段階においては、確かにATPを使っても出来る、そのオルタナティブチョイスとして聞いてはいましたが、論文記載の実験は塩酸でやったと聞いていました。それがプロトコルエクスチェンジで、塩酸だけを記載した理由です。
記者:論文に沿って、ということですね。でもより効率が良いということを聞いていても、なおATPは記述しなかった、ということになりますよね。
丹羽:そうです。そこで論文との齟齬をきたすと、改めてそこが問題になると考えました。
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