2024.10.10
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安倍晋三 内閣総理大臣 記者会見(全1記事)
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安倍晋三氏(以下、安倍):本日、衆議院を解散致しました。この解散は、アベノミクス解散です。アベノミクスを前に進めるのか、それとも止めてしまうのか。それを問う選挙であります。連日、野党は「アベノミクスは失敗した」と批判ばかりを繰り返しています。私は、今回の選挙戦を通じて、私達の経済政策が間違っているのか、正しいのか、本当に他に選択肢はあるのか、国民の皆さまに伺いたいと思います。
2年前を思い出していただきたいと思います。リーマン・ショックから4年が経ち、国際経済は立ち直ろうとしていたにも関わらず、日本だけはデフレに苦しみ、3四半期連続のマイナス成長となっていました。行き過ぎた円高は多くの企業を海外へと追いやり、空洞化が進みました。私の地元、山口県でも、若者たちを500人以上雇用していた大きな工場が、円高のために工場を閉めざるを得なくなりました。
どんなに頑張っても、どんなに汗を流しても、どんなにいいアイデアを出しても、行き過ぎた円高のために競争に勝てない。そして多くの雇用が失われていたのです。
失業者は増え、下請け業者は仕事がなくなり、連鎖倒産という言葉が日本中を覆っていました。当時私は野党の党首でありましたが、どこへ行っても「安倍さん、この景気をなんとかしてくれよ」と言われたことを、今でも忘れません。
その日本を、日本全体を覆っていた強い危機感が、私たちの政権交代へと繋がりました。強い経済を取り戻す、これこそが総選挙で示された、国民の皆さまの総意であると信じ、3本の矢の政策を打ち続けて、経済最優先で政権運営にあたって参りました。
その結果、雇用は100万人以上増え、高校生の就職内定率は10%アップしました。9月末の時点ですでに、半分以上の学生が内定をもらっている。15年ぶりの出来事です。
今年の春は過去15年間で過去最大の賃上げが実現しました。企業がしっかりと収益をあげれば、雇用を増やし、賃金を上げることが出来る。その好循環を回していく、これがアベノミクスなんです。
アベノミクスの成功を確かなものとするために、私は消費税10%への引き上げを、18ヶ月延期する決断を致しました。消費税引き上げを延期する以上、社会保障を充実させるスケジュールも見直しが必要です。
しかし、子育て世代の皆さんを応援する、その決意は揺らぎません。子ども子育て支援、その新制度は、来年7月から予定通り実施します。2年間で20万人、5年間で40万人分の保育の受け皿を整備し、待機児童を無くしてまいります。さらに小1の壁を打ち破り、学童保育についても待機児童0を実現していく、そのスケジュールは全く変わりません。
女性の輝く社会を実現する、この安倍内閣が掲げた旗は、これからも高く掲げてまいります。この臨時国会では、女性の活躍推進法案は、残念ながら、野党の協力が得られず廃案となってしまいました。しかし、私は必ずや実現させます。来年の通常国会では確実に法律を成立させる、その決意であります。
消費税の引き上げ延期は野党がみんな同意している、だから選挙の争点では無い、といった声があります。しかしそれは違います。野党の人たちは、ではいつから10%へ引き上げるのでしょうか。その時期を明確しているという話を、私は聞いたことがありません。
そこは極めて大切な点であります。財政を立て直し、世界に誇るべき社会保障制度を次世代へと引き渡していく責任が、私たちにはあります。私たち自民党・公明党、連立与党はその責任をしっかりと果たしてまいります。
そのために平成29年4月から、確実に消費税を引き上げることと致します。今回のような景気判断による延期を可能とする、景気判断条項は削除致します。本当にあと3年で景気が良くなるのか、それをやり抜くのが、私たちの使命であり、私たちの経済政策であります。
今週、経団連の会長が、経済界は来年の賃金を上げて、経済の好循環に貢献していきたい、そう宣言してくれました。さらには再来年、その翌年と、賃金を上げていく。アベノミクスを続けていくことが出来れば、必ずや実現できると確信しています。
良い話は大企業ばかりで、アベノミクスの風なんて中小企業には届いていない、という方がたくさんいらっしゃることも私は承知しています。円安によって、ガソリンや原材料があがって困っている。これについては、今度の経済対策でしっかり対応してまいります。
しかしアベノミクスが始まって、行き過ぎた円高が是正されました。そうしたなかで、空洞化の時代が終わり、仕事がいよいよ国内へと戻ってまいりました。
日産自動車は、アメリカの工場に移そうとしていたエンジン生産を、福島県のいわき市で行うことを決めました。600人近い雇用が守られたのです。
キヤノンはこの2年間の変化を見て、国内生産比率を半分の5割まで戻すことを決めました。アジアに出て行ってしまったプリンターなどの生産を、茨城や滋賀で行うそうです。海外へ逃げていった投資が、国内で動き始めたんです。
大企業が国内で投資をすれば、部品や材料を作る中小企業の仕事が生まれます。足元では、企業の倒産件数が民主党政権時代から2割も減りました。倒産が少ないのは、24年ぶりのことです。
もしあの行き過ぎた円高に逆戻りしてしまうようなことがあれば、また空洞化、根こそぎ仕事が無くなってしまいます。仕事がある、これが皆さん、一番大切なんです。
この臨時国会では、地方創生のための基本法案が成立し、大きな一歩を踏み出すことができました。
中山間地や離島をはじめ、地方にお住まいの皆さんが伝統ある故郷を守り、美しい日本を支えています。まだまだ厳しい地方経済へと、景気回復の暖かい風を送り届けていてこそ、アベノミクスは完成する。私はそう考えています。
地方の皆さんの生活を豊かにしていく、これも必ずやり抜いてまいります。都市と地方の格差が拡大し、大企業ばかりが恩恵を被っている、そうした声があることも私は充分承知をしています。
それでは日本の企業がしっかりと収益をあげるよりも前に、皆さんの懐から温まるような、手品のような経済政策が果たしてあるんでしょうか。またバラマキを復活させるんでしょうか。その給付を行うにも、その原資は税金です。企業が収益を増やさず、そして給料が上がらなければ、どうやって税収を確保していくのでしょうか。それこそが、2年前までの風景じゃありませんか。
私たちは違います。私たちは、景気を回復させて、企業が収益をあげる状況を作り、そしてそれが皆さんの懐へと回っていく。この経済の好循環を力強く回し続けることで、全国津々浦々に至るまで景気回復を実感できる。この道しかないんです。
景気回復、この道しかありません。そのことをこの選挙戦を通じて、皆さまにしっかりと訴え続けていきたいと考えています。そして国民の皆様の信頼と協力と得て、賛否両論、抵抗も大きい、その成長戦略をしっかりと前に進め、国民生活を豊かにしていく。その決意であります。私からは以上であります。
記者:NHKです。まず解散の大義についてから伺います。野党側はアベノミクスの失敗隠しの大義なき解散だ、と対決姿勢を強めているわけですけれども、今回の衆議院の解散に国民の理解は得られているとお考えでしょうか?
また、先に総理が示しました「与党で過半数」という勝敗ラインですが、現有議席を90議席近く減らしても「勝利」ということに、野党側からは絶対安定多数の266議席や、少なくとも安定多数の249議席を目指すべきではないか、という声もありますけれども、これについての受け止めをお願いします。
安倍:まずアベノミクス隠しではないかと、それは間違っています。今申し上げたように、この解散はアベノミクス解散だ、とこのように申し上げておりますし、我々はこの政策が正しいのか、間違っているのか、他に選択肢があるのか、どうどうと国民の皆さまに問うているわけであります。
そして何と言っても先ほど申し上げましたように、この選挙、消費税引き上げを18ヶ月延期をしました。それを自民党は政権公約に書いていなかったではないか、という批判がありました。だからこそ私たちは選挙を行うんです。
民主主義の原点は税制であります。税制に重大な変更を行った以上、選挙をしなければならないと考えております。そしてこの選挙戦を通じて、私たちの経済政策についてしっかりと訴え、そしてこの選挙の大義についても、国民の皆さまのご理解をいただいていきたい。
選挙によって国民の皆さまの声を伺い、力を得て、はじめて私たちの困難な難しい改革を遂行することができると思っています。
そして当選ライン。選挙の勝ち負けは、政権選択。衆議院は政権選択です。どちらの党が過半数を取るのか。これは自民党、公明党、与党で共通の政策を訴えていきます。当然、どちらの勢力を選ぶのか、それが分岐点になると思います。
小泉総理も、あの郵政解散、自民党・公明党で過半数を取った。私はこの政策を続けていく、取れなければ退陣する、そうおっしゃいました。
私は野党時代、自民党の衆議院議員は、119名しかありませんでした。それを倍増以上して、政権を取る。それが私の約束だ。90名どころか100名以上私は増やさなければ、私の責任は果たせない。
ただもちろん選挙戦、私は自民党のリーダーです。300議席近い議席を私達は持っている。私は当然、全員の当選を目指してまいります。
記者:西日本新聞です。選挙の争点について伺います。総理は18日の会見、それから今の会見でも、消費税増税の先送りの判断、それからアベノミクス継続の是非、これを問うとおっしゃいましたが、一方で昨年の特定秘密保護法、それから今年7月の集団的自衛権行使容認の閣議決定、それから年明けにも見込まれる原発再稼働、こういうテーマについては国民の意見が真っ二つと言われています。
総理はこの選挙戦で、こうしたテーマについても積極的に、単に自民党の公約に書き込むだけではなくて、積極的に争点として位置づけられるお考えでしょうか?
それから2017年4月の再増税時期についてですが、総理は18日の会見で、再び延期することはないと断言すると、また今の会見でも確実に引き上げるとおっしゃいましたが、これはどんな状況があっても必ず引き上げる、という意味でしょうか? 以上2つ、お願いします。
安倍:まずはじめに、私たちは昨年の参議院選挙、そしてまた一昨年の総選挙においても、選挙において情報保全、しっかりとその仕組み、法整備をしていく。また集団的自衛権の行使についても、原発・エネルギー問題についても、国民の皆さまにお約束をしてまいりました。しっかりとそれを打ち出して、選挙戦を戦ってきました。それが私たち自由民主党の選挙に対する、そして政治に対する基本的な姿勢であります。
当然この選挙においても我々は、そうした全てにおいて国民の皆さまに訴えていきたいと、このように思っております。
そして平成29年4月から10%に引き上げていくと。今回、三党合意によって成立した法律における景気判断条項がありました。その景気判断条項において、私たちは今回、景気判断を行い、18ヶ月延期しました。
来年、私たちは国会に出す法案において、景気判断条項を削除します。当然、今回のような景気判断による再延期は行わない。これは明確であります。
記者:ロイター通信です。個人消費の盛り上がりがイマイチ欠けております。安倍政権としては、企業に対しては法人税減税を果敢に進めてらっしゃると思うんですが、どのような形で個人部門の刺激策として、例えば、所得税減税などはお考えでしょうか? 仮にお考えでなければ、どのような形で個人部門の消費を増やしていこうとお考えでしょうか? お願いします。
安倍:今般の経済対策においては、地域の消費の喚起など、景気の脆弱な部分にしっかりと的を絞って、スピード感を持って対応していく必要があると考えています。そのためこうした観点から、交付金を創設をして、自治体の創意工夫を活かして、個人の消費を後押ししていきたいと思います。
そして今ご質問があった所得税でありますが、所得税の減税については、元々所得税の負担の無い方々に対しては、当然これは効きません。我々はむしろ低所得の方々に的を絞っていく、ということが大切だろうと、このように考えています。
記者:朝日新聞です。先ほど総理は、エネルギーについては公約で、とおっしゃいましたけれども、鹿児島県の川内原発は早ければ来年再稼働を言われておりますし、集団的自衛権を含めた安全保障法制は春以降に法整備に入ると思うんですけれども、そういった事について、この場でどのようなお考えをお持ちか、お話いただけますでしょうか。
安倍:まずこれは従来から申し上げているとおり、原発の再稼働については、規制委員会が安全と判断したものについては、地域・地元の皆さまのご理解を得て、再稼働をしていきます。これはもう従来からご説明をしている通りであります。その考え方のもとに実行していこうと思っております。
そして安全保障に関する法整備については、今年1月1日の閣議決定に則って、切れ目のないシームレスな、国民の命を守り、国民の生活を守るための法整備、これを行っていきたいと思います。これは広範な法改正になりますが、全体をまとめて実施していく必要がある、そのほうが国民の皆さまにとってもわかりやすいんだろうと思います。
現在この法整備を進めているところでありますが、来年の通常国会に提出していきたいと思っています。
記者:日本テレビです。消費税率の引き上げを延期したことによって、来年度予算でいきますとおおよそ1.5兆円程度の税収が減ることが予想されるわけですけれども、総理は今会見でも、子育て支援などは行っていく、というふうにおっしゃいました。
となると税収減が予想されるなか、財源が厳しくなりますから、なにかは続ける以上なにかはメリハリをつけなくてはならなくなると思うんですけれども、この点についてはどのようにお考えでしょうか?
安倍:消費税率を引き上げないということになりますと、給付と負担のバランスから、社会保障というのは給付するためには負担が必要であります。その関係から言っても、全てを行うのはそれは難しいと思います。
しかし、大切な社会保障の充実であります。これからずっと上げない、と私たちは言っているわけではなくて、18ヶ月分だと、18ヶ月分をどれくらい確保できるか、出来る限り充実に向けて努力していきたいと思います。
しかしその中において、子育てをしている方々を支援していく、これはしっかりとやっていき考えであります。先ほど申し上げましたように、2年間で20万人、5年間で40万人分の保育の受け皿はしっかりと作っていく。このことはハッキリとお約束したいとまいります。
(会見終了)
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