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日産自動車 西川廣人社長 記者会見(全4記事)

【全文1/4】日産、新たな無資格検査を受けて新車の出荷停止 西川社長「再発防止策を信頼していただいたみなさまに大変申し訳ない」

日産自動車が2017年9月に無資格の従業員に新車を検査させていた問題で、新たな無資格検査が発覚しました。これを受けた10月19日、西川廣人社長が本社で会見を行い、全6工場で新車の出荷を停止することを発表しました。

新たな無資格検査の問題が発覚

司会者:たいへんお待たせいたしました。それでは時間になりましたので、ただいまより完成検査にかかわる不適切な取扱いに関しましての記者会見を始めさせていただきます。

本日はこのような時間で直前のご案内、また足元が悪いにもかかわらずご出席いただきまして、誠にありがとうございます。それでは、社長の西川のほうからご挨拶申し上げたいと思います。では西川さん、お願いします。

西川廣人氏(以下、西川):西川でございます。みなさん、今日は遅いところお集まりいただき、ありがとうございます。今日は大変申し訳ない、そして残念な報告をさせていただきます。

9月19日に、ご案内のとおり、不適切な完成検査の事案が発覚いたしました。それ以降、再発防止策を打ったうえで、国内の販売・登録を再開させていただいたわけでございます。

ところが、緊急の対策、再発防止策を打ったにもかかわらず、すでに報道のありました、日産湘南の問題に加えて、さらに日産自動車の工場で別件の事案が発見されました。

結果として、現在、日本国内向けの出荷・登録の停止をしております。台数的にお客様にお届けした台数は、前回リコールした以降の台数でございますので、3万4,000台ということで限定的にはなりますけれども。

残念ながらその登録したお客様にお届けした分につきましては、前回同様の点検のためのリコールをさせていただけなければならないということになると思います。

再発防止のために第三者機関の調査を決定

西川:みなさま、そしてこのフロアにおられますお客様、日産自動車のいわゆるこの再発防止策を信頼をしていただいたみなさまに大変申し訳ないことをしてしまったというふうに思っております。深くお詫び申し上げます。

今回ですね、前回申し上げたとおり、再発防止をするために第三者委員会、第三者を含めた検討をして、そしてその調査をベースに要因対策の深掘りと。

そして対策を打つということで、1ヶ月程度のお時間をいただきたいということを申し上げました。ただし今回の状況に鑑み、1ヶ月という面ではまだ道半ばでございますけれども、お集まりをいただいた次第でございます。

それでは、まずCCOの山内のほうから、どういうことが起きたかということについて、その事実のご報告をさせていただきたいと思います。じゃあ山内さん、お願いします。

新車の出荷停止を決定

山内康裕氏(以下、山内):日産自動車でものづくり部門全体を統括しております、山内でございます。よろしくお願いいたします。また、この度は関係者、お客様のみなさまに大変なご心配とご迷惑をおかけてしております。深くお詫び申し上げます。

それでは、起きたことを説明をさせていただきたいと思います。今、西川が申し上げましたけれども、まず私がお話をさせていただくのは、この直近に起きたことをお話をさせていただきたいと思います。

10月17日、一昨日の夜でございますけれども、追浜工場の完成検査工程の一部が完成検査工程ではないほかのラインにて実施されていて、さらにその検査行為が任命された完成検査員ではない検査員によって行われていた。こう疑われる事象が確認されました。

ここに2つの問題がございます。1つは、完成検査工程というのは車が立ち上がるときに国交省にお届けをして、こういう工程で完成検査をするというお届けをしております。その完成検査工程が変更されていたと。

変更する場合は30日以内に国交省にもう一度お届けをするということになっておるんですが、これは変更されたのが今年の8月1日。したがいまして、我々がこれを発見した時点ではもう30日を過ぎておりまして、届け出なしに変更してしまったということが1つであります。

そしてそのうえで、そこで行われていた完成検査の一部が任命されていない完成検査員によって実施されていたと思われるという事象が確認されました。

これを受けまして、昨日、日産自動車および日産車体の国内の工場につきまして、同様の案件がないかどうか、すべて調査をいたしました。その結果、栃木の第1工場で1件、また日産九州の第2工場で1件、同様の案件が確認をされました。

それを受けまして、今、西川が申し上げたように車の出荷を止め、そして登録を止めるということにいたったということでございます。以上が今回起きたことの事象でございます。

ハンコの貸し借りや完検と他の工程の混在が滞在化

西川:山内さんありがとうございます。まったく私としても残念なことでございます。少し補足させてください。

今、私、リコールをお届けするという体で申し上げましたが、これはこれから少々、国交省のほうへお届けをして、そういう手続きをしたいというふうに思っているということでございます。

3万4,000台ということで、これは単純にコスト的なインパクトで見ると1億弱ということでこれ自体は限定的でございますけれども、先ほど申し上げたとおり、我々が対策を打って再開をしたと。

この再開をして、我々が打った対策を信用していただいて買っていただいたお客様ですね。このみなさんに大変な信頼を裏切ってしまったということ、こちらが大変大きな問題だと私は思っております。

今、山内のほうからありましたとおり、この我々の対策、当初事案が発覚したあと、みなさんにご案内のとおり、これが常態化していたと、定常の状態の中に組み込まれていたという状態ですね。

ハンコの貸し借り、それから完検工程と他の工程の混在と。そのなかで検査をする資格を持って登録をされていない作業者が作業をしていたと、完検工程の作業をしていたということ等々、これが常態化していたというなかでの対策でございました。

常態化ということは、その後みなさまから「これは組織的な問題なのかどうか」というお問い合わせもありましたけれども、当然、組織的な取り組みがなければ常態化することはないわけですね。

そういう意味では、無資格者の検査等々が行われていたということで、組織的に行われていたなかでの対策だったわけです。

具体的に言いますと、無資格の人間の完成検査の行為の禁止と。それから2つあった予備のハンコを1つにする。それから管理の強化。それらを全部業務処理基準書に落として等々の決定を行ってまいりました。

その過程のなかで、全部ではございませんけれども、私も一部の現場に足を運んで確認をして、そして直接話を聞いてきました。そのなかで申し上げたような事案が発覚したということでございます。

まさに不徹底ということを申し上げるしかないと思います。なんでこんな、要するに決められた作業者が作業をして、やっちゃいけない人がやらないようにするということが守れないのかどうかという疑問をお持ちだと思います。私も同じ、そういう感覚をみなさん持たれるのはよくわかります。

検査不正は組織的に行われていた

西川:これは不徹底と言う以外に今のところ言い訳のしようがないのですが、結局1つ明らかなのは、今申し上げたとおり、過去に組織的に運営されていたと。その要になるのは実は課長ではなくて係長なんですね。現場の監督者である係長ということなんです。

今回、我々から生産部門のトップ、そして工場長、それから部長、課長と、そこから課長から係長へというかたちで指揮命令が伝わっていったわけですけれども。

その過程でやはり課長と係長との間のコミュニケーションのギャップというのが非常に大きくて、ここに1つ落とし穴があったのではないかなと。これはほかの件でも散見されますので、非常に重要なポイントだろうと思っております。

当面の対策ということでございますけれども、今、山内のほうから申し上げたとおり、日本の国内向けの出荷は停止をしております。

輸出がありますので生産が継続している工場ございますけれども、追浜のように国内専用の工場は止まっているということでございます。

今後、再開をしていくということを考えなくちゃいけないんですけれども、非常に慎重にいきたいと思っております。

これは一度我々再開をして登録を始めてこういう事態にいたっておりますので、今回はある意味でがんじがらめにまず、日常対応ではなくて緊急対応としてがんじがらめのところからスタートしたいと思っておりますけれども、その中身について山内のほうからもう一度お願いします。

完成検査を所定の場所に集約

山内:それでは、今考えている当面の対策についてお話をさせていただきたいと思います。

まず、先ほど申し上げたように、完成検査工程が一部、届出なしに変更されておりましたので、完成検査工程を届出された状態に即刻戻すということでございます。

そのうえで、その完成検査工程が、認定された完成検査員のみを工程に配置をするということを徹底をいたします。

さらに今回、問題の1つは、いわゆる完成検査のラインとは少し離れた場所のほかのライン上で完成検査をしていたということがございますので。

通常、ほかの少し離れた場所でやっている完成検査の工程の一部を、すべて、いわゆる我々がテスターラインと呼んでいる完成検査の工程の場所に集約をして、そこですべての完成検査を行うという体制を整えます。

そのために、その敷地を確保し、合有して、さらにセキュリティゲートを設けて、完成検査員でなければその場所には立ち入れない状態にすることを今検討しております。

こういったハードの面を実施した上で、さらにチェック機能を強化してまいります。

今検討している内容は、各工場のシフトごとに2回、完成検査工程の作業が完成検査員のみで実施されていることや、工程が届け出た状態に保たれていること、また作業が標準書通りであることを確認してまいります。

これに加えて、外部の専門の監査機関に依頼をして、当面の間、週1回の監査を実施してまいりたいと思います。

もう1つは、先ほど届け出た完成検査工程が変更されていたと。それについて我々が気が付かなったというお話を申し上げましたけれども、そういった事態を避けるために、原則、届け出た完成検査工程の変更を禁止として、もし変更がどうしても必要な場合には、工場長の決済というようなルールに変えてまいります。

こういった内容を早急に講じて、この内容をみなさまに説明をさせていただき、国交省のほうにもご相談をして、準備が整い次第生産を再開するということをこれから考えていきたいと思っております。以上です。

山内CCOが陣頭指揮をとる

西川:ありがとうございます。今ご説明した通りなんですが、各工場を順次、今、山内から申し上げた通りの段取りをして、したがってその場合には稼動を止めることになると思います。順番に稼働を止めて、手当をして、そして準備をして確認していくという行為を行います。

これはいろんなかたちで、絶対に混在・混入がないように、間違いないようにしていきますので、慎重に進めたいと思っております。

多少時間をかけてもいいと思っておりますので、今、我々の方での段取りが終わるのは、工場ごとにやっていきますので、2週間程度をかけてやろうと思っております。したがって、その間は、まだ正常にならないということですね。

そのうえで、準備ができたところで、ものづくりの長でありますCCOの山内と、それから外部の監査機関で、まず監査を工場ごとにして、確認をすると。

そのうえで、国交省のみなさんの監査をいただいて再開にこぎつけるという段取りでやっていきたいと思っております。

で、この実施にあたっては、やはり先ほど申し上げた通り、我々が思っていることが現場に届かない。そこで直接それが反映されないといけないですから、今、生産部門の副社長、役員ということで、工場長、それから部課長ということで、そういう階層で仕事をしてましたけれども、少しその節目を外して、緊急対応として、山内をヘッドとして、各工場に直接指示をすると。そして、そのなかでも必要な事例、一番の要である係長を直接コントロールをする、指示をするという体制。

これは言ってみると、習慣化したものを抜いていくという、緊急体制、非常体制といいますか、そういう体制になると思うんですけれども、そういうことで、今山内が申し上げたことを進めていく。そして、みなさんから見て再開ができるという状態を作り上げていきたいと思っております。

そういう意味では、繰り返しになりますけれども、みなさんの目から見て「検査をしちゃいけない人がやらなければいいだけなんだから、簡単なことだろう」と言われるかもしれないんですが、やはり長年現場の中で常態化してきたこと。

このクセを抜くためには、このくらいのことをしないと何かが起きると、われわれも身にしみて感じました。

まずそれをやっていくということです。これが第一歩ということですね。その上で、運営の中では今申し上げたとおり完成検査員が潤沢にいるということが非常に大事なんですけれども、その要員配置をかなりゆとりを設定したいと思っています。

人数が足りないところは稼働スピードを落とす

西川:そういう意味で言うと、人数が足りないところは稼働のスピードを少し落として、作業の負荷を下げて作業をするということも考えています。

慎重に進めていきたいと考えていますので、そういうかたちで進めながら、並行してできるだけ早く、今もやっていますけれども、完成検査員の資格を持つ検査員。これを増やしていくと。

そしてさらにゆとりのある配置をして、将来的な日常管理に戻しても、相当な揺れをもっても、まずそうではない人間が入り込まないという状態を作り出そうと思っております。

これから、恒久対策ではない別の部分の対応でございますけれども、恒久対策は、これは前にお約束しましたとおり、第三者の目もいれてご意見もうかがいながら決めていきたいと思っております。

その中では、当然の事ながら、いま山内から申し上げた出入りのところですね。ITを使うとか、あるいは指紋認証等も他社で導入をされようとしていますので、これも検討したい。

それからもう1つ、今申し上げたわれわれの検査員の教育、任用、資格を持つ検査員を育てるための仕組みですね。これは期間、それに要する期間を含めて、現状にあったアップデートが必要だと思っておりますので。

ここは国交省のみなさんのご指示ご指導を仰ぎながら、われわれに直接なかなか聞きにくい他社の事例等もうかがいながら、われわれもできるだけ現状にあった形にしていきたい。

これは何年と正確には言いませんけれども、20年以上変えてこなかった仕組みでございますので、そこもより多くの検査員を早く育てるようにしていきたいと。これは現場の運営の余裕を見ますので、そこをぜひ進めていきたいと考えています。

マネージメントや教育プログラムを徹底

西川:それからこれらの現場レベルの対策に加えて、われわれマネージメント。経営側の課題として、先ほど申し上げたとおり検査部門を含む日本の各工場の現場ですね。

現場というのは係長が指揮をする、実際に工場を運営する組織と思っていただいていいんですけれども、その係長以下と生産部門の、あるいは品質保証部門の役員、部課長。この間のギャップ。

これはコミュニケーションという面で見ると、当然指示の徹底ということにもなりますし、それからもう1つは彼らが抱えている問題を正確に把握すること。

例えば要員が足りないのであれば、要員配置をきちんとする。あるいは先ほど申し上げたとおり、教育プログラムですね。完成検査の検査員の教育プログラムがアップデートが必要なんだというふうに現場が思っているのであれば、それもきちんと意義をくみ取って仕事をすると。

基本的なギャップを埋める、コミュニケーションを改善をしていくと。このギャップが非常に大きいということ。これはわれわれが想像した以上に、大変申し訳無いですけれども。

われわれが想像した以上に大きいということで、実はまだ第三者を入れた聞き取り調査は終わっておりません。その中で、すでに先生方から実は指摘をされているところでございます。

日本のものづくりは現場の自立性や強さに支えられてきた

西川:実はここがかなり大きい問題ではないでしょうか、と指摘をいただいています。ここはもちろん今回の検査の問題もありますけれども、さらに改善を図っていくところであろうと思います。

もちろん日本のものづくりは、みなさんもご承知の通り現場の自立性とか、現場の強さというのは日本のものづくりの基本であります。ただし、それを管理する側、管理者のほうがおまかせでいいのかというと、そうはいかないわけですね。

したがって、この部分もどういうかたちでさらに前向きに改善していくのかというのが、実はいま山内が申し上げた、がんじがらめの対策から、徐々に日常管理に戻していくということに加え、非常に大きなテーマであると、私は今、認識しています。

その他の点に関しましては、まだみなさんいろんなご質問があると思うんですけれども、先ほど申し上げた第三者を含めた聞き取り確認。それをベースにまた第三者を含めた対策検討等々、この部分が完了しておりません。私も途中経過は聞いておりますけれども。

まだまだそこは十分で咀嚼できていない部分もございますので、その部分についての説明は今日は差し控えさせていただいて。

ここまで大変に申し訳ない結果になってしまったわけでございますけれども、ここまでをご報告として、あと残りの時間で質問があれば受けたいと思います。よろしくお願いします。

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