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2017年6月19日 安倍首相記者会見(全2記事)

【全文】安倍首相会見、加計問題について謝罪「つい強い口調で反論してしまった」

通常国会が閉幕した6月19日、安倍首相が首相官邸で記者会見を行いました。加計問題に始まり、60本以上の法成立などに言及。最後に日中韓サミットの開催の準備に取り組むとし、会見を終えました。

安倍首相が記者会見

安倍晋三氏(以下、安倍):昨日、通常国会が閉会しました。4年前、政権奪還後の最初の通常国会において、私は「建設的な議論を行い、結果を出していこう」こう、各党、各会派に呼びかけました。

その原点は今なお変わることはありません。しかし、この国会では建設的議論という言葉からは大きくかけ離れた批判の応酬に終始してしまった。政策とは関係ない議論ばかりに多くの審議時間が割かれてしまいました。国民のみなさまに大変申し訳なく感じております。

印象操作のような議論に対して、つい強い口調で反論してしまう。そうした私の姿勢が結果として政策論争以外の話を盛り上げてしまった。深く反省しております。

また、国家戦略特区をめぐる省庁間のやりとりについて、先週、文部科学省が徹底的な追加調査を行った結果、新しく見つかったものも含め、文書を公開しました。

これを受け、内閣府の調査も行い、関係する文書等を明らかにしました。しかし、最初に調査した段階ではそれらの存在を確認できなかった。二転三転したかたちとなり、長い時間がかかることとなりました。

こうした対応が国民のみなさまの政府への不信を招いたことは、率直に認めなければなりません。

「信なくば立たず」であります。なにか指摘があればその都度、真摯に説明責任を果たしていく。先週も、調査結果の発表後に、予算委員会の集中審議に出席いたしましたが、4年前の原点にもう一度立ち返り、建設的な議論を行い、結果を出していく。そうした政治が是正するよう、政権与党としての責任を果たしてまいります。

国民のみなさまから信頼が得られるよう、冷静に、一つひとつ丁寧に説明する努力を積み重ねていかなければならない。その決意を、この国会の閉会にあたって、新たにしております。

今月も、イギリスで、フランスで、そしてイランで、テロ事件が発生しました。テロの恐怖は世界に拡散しています。こうした時代に、東京オリンピック・パラリンピックを3年後に控える我が国にとって、テロ対策の強化は待ったなしであります。

テロを未然に防止するため、国際組織犯罪防止条約を締結し、国際社会と連携を強めていく。今回成立したテロ等準備罪処罰法は、そのために必要なものであります。

今後、通常国会での審議、さまざまなご指摘などをしっかりと踏まえながら、本法を適正に運用し、国民の生命と財産を守る。そのことに万全を期してまいります。

今国会で60本以上の法律が成立

天皇の退位等に関する皇室典範特例法が成立いたしました。国民のみなさまの理解のもと、衆参両院の議長、副議長をはじめ、与野党の枠を超えたご協力をいただきましたことに改めて御礼を申し上げます。

本国会では150日に渡った会期の間に政府が提出したほぼすべて、60本以上の法律が成立しました。民法・刑法についてそれぞれの分野で1世紀ぶりとなる、歴史的な改正が行われました。衆議院の区割り法も成立し、1票の格差を是正するとともに、かねてからお約束していた衆議院定数の10削減が実現いたします。

改正福島復興特措法のもと、原発事故により大きな被害を受けた福島の生業の復興をさらに加速してまいります。雇用保険法を改正し、4月から雇用保険料率の引き下げを行いました。中小小規模事業者のみなさんの負担を低減いたします。

あわせて本年の春闘では、高い水準の賃上げが4年連続で是正していますが、これと相まって働くみなさんの更なる手取りアップを図ります。現在、有効求人倍率はバブル時代をも上回る極めて高い水準にあります。

この春、高校や大学を卒業したみなさんの98パ―セントが無事就職を果たし、社会人人生をスタートさせました。これは調査開始以来もっとも高い水準であります。雇用を増やし、所得を増やす。経済の好循環をさらに力強く回転させていくため、これからも安倍内閣は経済最優先で取り組んでまいります。

その鍵は成長戦略の実行、構造改革の断行にかかっています。今国会では全農改革や酪農改革など、8本に及ぶ農政改革関連法案のすべてが成立しました。農業を魅力ある成長分野に変え、農家の所得アップを実現する。若者が夢や未来を託すことができる農政新時代を切り開いてまいります。

岩盤のように固い規制や制度に風穴を開ける。国家戦略特区の改正案も成立いたしました。これまでこの制度を活用して長年認められてこなかった一般企業による農地取得や学校教育に民間の知恵を取り入れる公設民営学校も解禁しました。

千葉県の成田市では国際的な医療人材の育成を目指し、38年ぶりの医学部新設が実現しました。国会終盤では、国家戦略特区における獣医学部新設について行政が歪められたかどうかをめぐり大きな議論となりました。獣医学部はこの50年以上新設がまったく認められてきませんでした。

しかしいま、鳥インフルエンザ、口蹄疫など動物から動物、さらには動物から人に伝染るかもしれない伝染病が大きな問題となっています。専門家の育成、公務員獣医師の確保は近々の課題であります。そうした時代のニーズに答える規制改革は、行政を歪めるのではなく、歪んだ行政を正すものです。

岩盤規制改革を、全体としてスピード感を持って進めることは、まさに総理大臣としての私の意志であります。当然、その決定プロセスは適正でなければなりません。ですから国家戦略トップは、民間メンバーが入って諮問会議や専門家を交えたワーキンググループにおいて議論を交え、決定されていきます。

議事はすべて公開しています。むしろ、そうした透明で公明・公正なプロセスこそが、内向きの議論を排除し、既得権でがんじがらめになった岩盤規制を打ち破る、大きな力となる。これが、国家戦略トップであります。

半世紀ぶりの自由学部新設についての審議に携わった民間議員のみなさんは、プロセスに1点の曇りもない、と断言されております。まさに、岩盤規制改革の突破口です。

民進党の対応に「誠に残念」

しかしこのトップ制度について国会では、民進党のみなさんから、制度自体を停止する法案が提出されました。改革を後退させようとする発想であり、誠に残念でなりません。岩盤規制の改革には、抵抗勢力が必ず存在します。

しかし私は、絶対に屈しません。既得権と手を結ぶことも、決してありません。今後とも、総理大臣である私が先頭に立ち、ドリルの刃となって、あらゆる岩盤規制を打ち破っていく。その決意であります。

この国会では、長年実現してこなかった返還不要・給付型の奨学金制度を、新しく創設する法律も成立しました。児童養護施設や里親のもとで育った子どもたちなど、経済的にとくに厳しい学生を対象に、すでに運用を開始しています。

子どもたちこそ、我が国の未来であります。この通常国会は、まさに未来を拓く国会となりました。どんなに貧しい家庭に育っても、希望すれば高校にも専修学校にも、大学にも進学できる。子どもたちの誰もが、夢に向かってがんばることができる日本でなければなりません。

そして、若者もお年寄りも女性も男性も、障がいや難病がある方も、一度失敗を経験した人も、誰もが生きがいを感じ、その能力を思う存分発揮することができる、「一億総活躍の日本」を作り上げていかなければなりません。

その本丸は、あらゆる人にチャンスを作ることであります。家庭の経済事情にかかわらず、高等教育をすべての子どもたちに真に開かれたものにしていく。リカレント教育を抜本的に拡充し、生涯にわたって学び直しと、新しいチャレンジの機会を確保する。

これらに応えるために当然、大学のあり方も変わらなければなりません。「人づくり」こそ、次なる時代を切り裂く原動力であります。これまでの画一的な発想にとらわれない、「人づくり革命」を断行し、日本を、誰にでもチャンスがあふれる国へと変えていく。そのエンジンとなる有識者会議を、この夏立ち上げます。

そのための体制を来月中に整えます。憲法施行70年の節目である本年、次なる70年、その先の未来をしっかりと見据えながら、人づくり革命の実現に向けて、総合的かつ大胆な戦略を構想したいと考えています。

2週間後にはドイツでG20サミットが開催されます。米国、EUのほか、中国、ロシア、韓国など、主要国の首脳が集まるこの機会を活用して、積極的な首脳外交を展開したいと考えています。

挑発をエスカレートさせる北朝鮮問題について、日米韓のがっちりとしたスクラムを確認したい。そして、来たるべき日中韓サミットの開催に向けて、準備を本格化してまいります。

課題山積ではありますが、内政に外交にさらに気を引き締めて、全力投球してまいりますので、国民のみなさま方のご理解とご支援をお願い申し上げます。

私からは以上であります。

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