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株式会社ディー・エヌ・エーによる記者会見(全5記事)

「2人の有望な若者を正しく導けなかった」 DeNA南場氏が処分の村田マリ氏、中川綾太郎氏に言及

医療系サイト「WELQ」で著作権や正確性に問題のある記事が見つかり、大きな問題となったDeNAのキュレ―ション事業について、3月13日に第三者委員会による記者会見、ならびにDeNA首脳陣による記者会見が行われました。質疑応答では、問題の原因が買収企業にあるのか、DeNAの運営にあったのかについてなど、記者からの質問に答えました。

コンプガチャの教訓は活きるか?

記者10:日経BPITproのタマキと申します。今後の再発防止策についておうかがいしたいのですが、コンプライアンス管理体制の強化とか、意識改革とか、どれも必要なことなんですけども、なかなか形になって見えづらいことばかりです。どのようになれば「DeNAは変わった」と内外から言えるということお考えなのか、こういった再発防止策のマイルストーンとか、次の具体的な目標みたいなものがあればぜひお聞かせください。

守安功(以下、守安):まさにこれから検討して行かなければいけないことが多いので、現時点でマイルストーンを明確にお示しできるような状況にはなっていないのですけども、まず、枠を整えると申しますか、今回のようなことが起こらないようにするためにコンプライアンス管理体制を強化する。

先ほど冒頭にも申し上げましたように、いわゆるコンプライアンスに専任した取締役レベルの人材を配置して、そこにリスク情報が一元管理されるようにしていくというようなことに関しては、仕組みを整えて人材を配置して、当然その下の部門も強化しなければいけませんので、採用等ありますので一定の期間は掛かりますが、それほど時間は掛からないで形は整えられるのではないかというふうに思っております。

一方で、それを整えても枠、箱を整えるということになってきますので、本来的にはその中身、ソフトの部分でいわゆるどういった事業を展開して行くのか。お客様に価値のあるサービスを展開して行くのかということがしっかり明確になって、「本当により良いサービスができてきたね」「世の中に貢献できる事業ができてきたね」ということが1番重要な、みなさまに見える形での評価をいただけるポイントになるのかな思っております。

その点につきましては、具体的にどういったタイミングでお示しできるのかということは難しいですけれども、枠を整えて、仕組みを整えて行くということに関しては、きっちり進めて行けるのではないかなというふうに考えております。

南場智子氏(以下、南場):1点だけ補足しますと、今、守安が申し上げた2つの点は非常に重要ですが、加えまして社員の声というものも、もっと頻繁に聞いていきたいなと思っております。今回の事案を受けまして幅広く調査も行いましたけども、それなりに問題意識を抱えていて、それが十分に聞き取れていなかった部分もあったのかなというふうに反省しておりますので、そこは一定の定点観測のようなかたちになるのか、あるいは何かの区切りごとに聞いて行くことになるのかわかりませんが、そういったことも継続的に行っていきたいと思っております。

記者10:もう1点すみません。コンプガチャ問題の時の教訓というのは活きますかね。今度こそ変われるのでしょうか?

守安:はい。そうですね。本当にコンプガチャ問題に関しては非常に大きな問題であったと思っております。そこに関して当然ながら、反省をして仕組みを強化してということで、今回、第三者委員会の報告にも一部記載しておりますが、いわゆるゲーム事業においては、コンプライアンスを含めしっかりしていると一定の評価をいただいておりますように、今、主力のゲーム事業に関しては、かなり強化してきたということなんですけども。

その事業領域が増えて行く中において、同じようなレベルでの管理、コンプライアンスの徹底ができていなかった。いわゆる事業においての凸凹が存在していたというようなことが今回のような問題に繋がって、またそうなってしまったことが、経営としては非常に大きな問題であると考えておりますので、そういった事業単位での凸凹みたいなものが発生しないように、きっちり全社としてそこを固めて行くというようなことが、今回の大きな反省であるというふうに考えております。

記者10:ありがとうございます。

コミュニケーションに不備があった

記者11:日本経済新聞のニッタです。よろしくお願いします。3点あります。まず守安社長なんですけども、これまでのご自身のマネージメントに関して、こういう所が悪かったんじゃないかと、そこを今後どういうふうに変えていけばいいのかと、お考えになっているのか教えてください。

2点目が先ほどの第三者委員会でも「永久ベンチャーは免罪符ではない」というすごい強い言葉があったのですが、今後も「永久ベンチャー」を旗印に使って行かれるのかどうかというのを教えてください。

3点目が南場会長なんですけども、今回代表権に復帰されまして、ただご自身では代表権は1人がいいんじゃないかというお考えなのですが、今回のコンプライアンス体制の強化ですとか管理体制の強化ですとか、一連のことに目処がついたら、代表権はもう1度返還をされるのかその辺りのお考えを教えてください。

守安:はい。まず1点目の私のマネージメントスタイルと申しますかマネージメントにおいて今回認識した課題ということになるのですけども、大きく2つあると思っております。1つ目がコミュニケーションになるんですけれども、いくつか第三者委員会の報告書にもあるかと思います。そして、今回の問題が発生して以降ですね、幹部も含めていろんなメンバーと話し合いもしました。

その中でやはり私として伝えた意図が、こちらは伝えたつもりでもそのようには解釈してもらえてないことがけっこうあるなということで、伝えたつもりになっても伝わってなければ、コミュニケーションとしてはNGとなりますので、そのコミュニケーションのスタイルをもうちょっと工夫する。いわゆるヒアリングといいますか、何を考えてるのかというのをもうちょっと引き出すようなスタイルに変えることによって相手の考えもわかるし。

その上でこちらの考えも伝えてという、そこのところでもうちょっと上手くやる必要があるなということで、このコミュニケーションスタイルということを1つ変えていくべきだというふうに思っております。そしてもう1点目がこれも会議ということになりますけども、やはりサービスとしてどうなんだ、サービスとしての価値を提供できているのか、そしてそれが実際のお客様の声も含めて本質という所が伝わっているのかという所を、もっと自分で興味を示して。

そういったことを議論していかないといけないということで、会議等の進め方を抜本的に変えていきたいと。これは自分が参加する会議だけでなくて、それ以外のところもそうなんですけども、そういったところを変えていきたいなという所で、コミュニケーションのやり方、会議のスタイルという所を、まず徹底的に反省して、変えていきたいというふうに思っております。

スタートアップと大企業の良さをバランスさせる

そして2つ目が「永久ベンチャーということが免罪符ではないんだ」ということで第三者委員会のところで強く期待されております。私の中でも振り返りをして、いわゆるスタートアップの良さを活かすということで、世の中いろんなスタートアップが出てきていて、非常に早いスピードで成長している会社もあって、そういうところが羨ましいな、取り入れたいなというのが今回の買収の経緯にも繋がったわけなんですけども。

その中でスタートアップの良さを活かすということは、これはある一定程度必要であると思ってます。例えば人を採用する場面などにおいて、スタートアップであれば申し込みというか相談がきて翌日面談して、その日に決めて採用というようなことが、企業が大きくなってくると、お問い合わせをいただいて1週間書類審査をして、それから返答をして面接に1週間掛けて、2次面接がということで1ヶ月以上掛かるというようなことであれば。

そういうことは採用マーケットにおいて勝てないのでないかと、競争力がないのではないかと、そういうものは可能であれば、そういったスピード感は取り入れるべきだというふうことで、そういう意味ではスタートアップの良さを取り入れるのは必要なんですけども、事業に必要なものを整理して管理をするということも履き違えて、スピード感というものになってしまうと、やはり必要なブロックが効かない、管理が効かないというようなことになってきますので。

今回の反省としてはスタートアップのスピードの良い面は活かすけども、きっちり管理していかなければいけないものは当然必要だということで、これが大企業の良さと言いますか、本来、我々がスタートアップと一緒にやる時にもですね、そういう部分が必要だったわけなんですけども、そういういいところを合わせてバランシングして強くしていくということが必要だと思ってます。

そうなので大企業かスタートアップということではなくて、その両方のいいところを合わせていくということが必要であろうかと思ってます。ご質問いただいた「永久ベンチャー」という言葉の定義自体が、世の中的にも決まっているわけではございません。例えば新しいことに挑戦していくんだという姿勢は絶対に必要だと、持ち続けたいなというふうに思っているんですが。

挑戦を続けるのであれば、それが新しい分野なのであれば、我々は未知の領域になるわけなので、それだけじっくり調査もして体制も作って管理もしなければいけないというような足場を固めるのとセットで、やはり挑戦ができるわけなんですけども、そこのところを履き違えてしまうと、今回のような問題に繋がるということで、挑戦をし続けていくのであば、それに見合った管理の体制をしっかり作るという、この両輪をしっかりしていきたいというふうに思っております。

言葉として「永久ベンチャー」を使うかということは、社内でも一部それを誤認しているものがあれば、それは正さなければいけないと思っているので、言葉を使うかというよりは、その精神のところをきっちり会社として認識した上で、皆が行動していけるようにしていければと考えております。

南場:それでは3点目のご質問にお答えします。体制強化、管理、コンプライアンスのプロセスと体制がしっかりと構築されたら、代表権を返還するのかというご質問でありましたが、今、はっきりしているのは、私としてはというより当社としては、当然ですけども、その時、その時でベストなトップマネージメント体制を敷くということであります。

従ってこの2人が代表権を持ってやったところを、もし上手く行かなければ、すぐにでも返還させていただくことになるかもしれませんし、これが整ったらこうですということではなく、代表権2人というのが、やってみたらすごく上手くいって、私のこれまでの代表権、執行のトップは1人で明確なほうがいいんだというのが、未熟な経験に基づいた判断だったということになるかもしれないし、それはやってみないとわからないことでございます。ですから何があったらどうするということではなく、常にその時、その時の経営課題に応じてベストな布陣を敷かさせていただくということであります。

記者11:ありがとうございました。

問題の原因は買収か、その後の運営か

記者12:東洋経済のワタナベと申します。今回の問題においてキューレーションメディア事業については買収して参入したと思うのですが、その時点から法務リスクについては言及があったと思うのですけども、それが巡り巡って現在のような大きな問題になったと思うのですけども、振り返って考えた時に買収そのものが失敗だったのか、買収しなければよかったのか、もしくは買収した時に得ていた情報が間違っていたのか、それが問題だったのか。それとも買収した後、運営が失敗したのか。どういったふうに今回の問題を捉えていらっしゃるでしょうか?

守安:まず第三者委員会の報告にもございますように、買収の判断自体が間違っていたというふうには考えておりません。ただ買収の過程において理解したリスクであるとか定義というもの自体が、今回は買収とその後のPMIの体制も別の責任者が実行していたことなども含めて、うまくそこが買収の時に決めたことがうまくPMIに引き継いで、しかもその後の事業を成長させる過程において、なかなか引き継がれなかったというようなところが大きな問題であったというふうに思っておりますので。

買収してPMIそして事業を推進していく中において、リスクの管理ができていなかった、あるいは当初から考えていた事業モデルと定義とか理解が不十分であったということで、さまざまな問題が生じてしまったということで、事業を拡大して行くフェーズの中で、適切な管理ができなかったというのが、問題であったと考えていますので、その辺りも含めて先ほど申し上げましたけども、どの事業においても同じ水準でそういったことが徹底できるように、全社的に管理体制やコンプライアンス体制を強化すべきということで反省して改善したいと考えております。

記者12:ありがとうございます。定義がずれていたというのは、それはメディアなのかプラットフォームなのかそういったところの定義になるのでしょうか?

守安:そうですね。メディアなのかプラットフォームなのかというと本来的にはハイブリッドと申しますか、メディアということもあれば、いわゆるプロ責法(注:プロバイダ責任制限法)を適用する部分もあるということで始めたのですが、どういう場合にプロ責法が適用されるのか、あるいは一部人によっては、一旦プラットフォームの機能として展開してしまえばすべてはプロ責法が適用されると解釈した人間もいたということで、その辺りの定義であったり理解が上手く伝わって行かなかったという所が、非常に大きな問題であったと考えております。

リスク管理は正しく行われていたのか

記者12:ありがとうございます。2点目お願いしたいんですけれども、PMIのところに難しいところがあったということなんですが、第三者報告を見ていると、守安さんの指示については経営数値の目標といったところについてはかなりこと細かにSEOのところも含めて指示があったようですが、一方リスク管理の部分についてはあまり取締役会等でも検討、言及がなかったという話なんですけれども、そこについて問題が事前に認識されていたにもかかわらず、守安さん自体の認識というのはあまり至ってなかったという印象があるんですが、そこについてどういったお考えでしょうか。

守安:はい、経営会議それから取締役会においてもこのキュレーションの事業に関して、事業責任者も踏まえて議論する機会は何回かありましたので、合理的な配慮を欠くようなリスク管理がまったくなかったということは、なかったと思うんですけれども。

やはり本来もともとスタートアップであり、そういうような体制が完備されていなかったということであるとか、あるいはDeNA自体にもメディア事業というものの経験が不十分というかほとんど経験したものがいなかったということを踏まえると、必要以上に社内で新しい経験のある事業サービスを立ち上げるよりも、よりいっそう注意して管理体制等々をつくるべきだったところが非常に不十分であったなということで深く反省しているということでございます。

記者12:守安さんが前回の会見でお話いただいたこの問題を、大きな問題と再認識したのは去年の夏から秋ぐらいにかけてというお話だったと思うんですけれども、買収してから再認識するまでは問題についてはある程度解決したものだと認識していた、ということになるんでしょうか。

守安:はい、そうですね、大きな問題がないといいますか、それほど大きなトラブルになってないということで、そのような認識も、本来、私がお客様の声、カスタマーサービスの声とか、あるいは社内のなかでのメンバーのヒアリングとかをもっとしていればもしかしたらもっと早期に発見できたかもしれないということで、こちらについては非常に反省しているところでございます。

記者12:最後の質問なんですけれども、今回、守安さんの事業の進めかた、コミュニケーションのとりかたというところに1つ問題があったというふうにご自身お話されていると思うんですけれども、今回についてはキュレーションメディアとの対応においての問題があったんでしょうか。それとも他の事業との事業幹部とのかかわり合いでもキュレーションとあまり変わらないスタイルでやり取りをしていたのでしょうか。

守安:そうですね、基本的に各事業において自分のスタイルを変えていたということはございませんので、同じようなスタイルであったんですけれどもやはりそこが、もともとずっと長くやっていたメンバーであれば、逆に自分のスタイルも理解したうえで接しているというか、部下のほうに理解してもらっていたところも一部あるのではないかというふうに思っていますので、そういった意味で、他の事業においては自分のスタイルが問題なくてキュレーションだけが問題だったというよりは、全般を通して私のやり方、スタイルというのは変える必要があるだろうということを今回認識して反省している次第でございます。

記者12:じゃあ今まではそういったスタイでも大きな問題は起きなかったというふうに認識されている、反省する機会というのは今回が初めてだったということになりますか。

守安:ここまで深く反省といいますか、いろんなひとにヒアリングもしたうえで反省したということは初めてでございますが、いくつか、ここにいる南場にも含めて、こういうことは変えたほうがいいんじゃないかというような、そういった点でのコミュニケーションのとりかたは注意されたことはありますけども、今回のように全般的に反省をして大きく改めようと思ったのは今回が初めて、ということになります。

記者12:わかりました、ありがとうございます。

買収企業を正しい方向に導く責任

記者13:テッククランチのイワモトともうします。先ほどの方も質問されてましたが、守安社長が今回の件を具体的に知ったタイミングは昨年の夏頃だとおうかがいしました。

それで、デュー・ディリジェンスのタイミングから問題があって、それが解決してから改めて買収されるというところで条件をつけていたという話も調査報告書のほうにございましたし、同時に守安社長が隔週レベルでミーティングにも参加してSEO重視の施策を打ち出されていたとうかがっております。

そう考えたときに、今回事業担当者の2人の方に関してはかなり厳しい対応をとられていると思うんですが、一方で大企業として本来買収した会社を社会の公器として導くみたいなところって重要だったんじゃないのかなと思っております。

そもそもがDeNA自体がかつて、当時はスタートアップという言葉はなかったと思うんですが、ベンチャーの雄と言われて大きくなってきた会社だと思うんですが、そのあたりを踏まえて、改めて、会社として代表としての責任というのを、守安社長と、かつてベンチャーの起業家であった南場代表、それぞれおうかがいさせていただけませんでしょうか。

守安:この3ヶ月間のあいだ、非常に私もいろんな意味で反省もしましたし、いろいろ悩みました。当然これだけ大きな、社会的な問題、しかもお客様といいますかいろんな方に大きなご迷惑をおかけしましたので、それをリカバリたいと、自分が先頭に立ってリカバリたい、回復したいという思いはずっと持っていた一方で、それを自分が先頭に立ってやるのがDeNAにとってベストなのかと、それは社内外の納得感も含めてベストなのかというようなことは非常に悩みました。

そういう点も踏まえて南場にも相談して、体制含めてどうすべきかということはこの3ヶ月間議論してまいりました。当然これは私の意思だけで決まる問題ではなくて、車外の取締役も含めて取締役会のあいだでも当然議論をして、責任の重みというのはどうなんだ、あるいは今後の体制としてなにがベストなのかというようなことを議論して、そこで決定したということでございますので、本当に今回の問題に対する反省というのは非常に深く、私自身、責任が大きいと思っておりますが。

その一方で新たなDeNAをつくっていくということもこの責任を感じていればこそ自分が実施しなければいけないというふうに思っております。またこれを自分ひとりだけでできるということはなく、南場も含めてもっと経営陣をどんどん巻き込んで一体となってDeNAの改革をしていきたいというふうに思っておりますし、それが自分の使命であるというふうに考えております。

南場:守安が申したとおり、私にも相談されましたし私自身も実際どうやっていくのが一番、今後のDeNAをつくっていく上でよいのだろうかということをずいぶんと悩みました。まず、守安自身が代表取締役社長として継続することがよいのかどうか、するべきなのかどうかということ、これもずいぶん悩みまして、当然取締役会でこのポイントについて重点的に議論も行いました。

本件に関しましては、守安は事業を推進する立場として当然責任は重いけれども、違法であるという実態を認識した時点で速やかに是正するようにという指示を適切にしてはいる、ということなど、そしてほかの事業に対する責任を全うする必要性があること、等々を鑑み、今回やはり継続でやってもらおうじゃないかということで、守安を除く取締役全員一致の見解でございます。

ただ、過去どうだったのかというよりも、今後のDeNAをつくっていくということが極めて重要ですので、そういった意味では取締役会から私ども2人の、執行のトップが厳しく監視されることになります。

2人の有望な若者を正しく導けなかった

記者13:追加で確認なんですが、すごく失礼な言いかたになるんですが、極論として、今回の対応について、買収したベンチャーのしっぽ切りみたいなふうに感じなくもなかったです。かつてベンチャーだったDeNAの創業者として南場社長は、その点はどういったふうにお考えになりますでしょうか?

南場:今回キュレーション事業において相当なコンプライアンス違反があったということ、これはやはり直接の事業責任者の責任は重いと。そこに対して甘くなっては今後のDeNAはつくれないという思いで決断したものであります。これも取締役会の総意でございます。

私個人としてベンチャー、創業社長としてスタートアップの時期もずっと経験している立場からどうなんだと言われますと、実はこの2人の事業のリーダーは、大変に一所懸命、誠心誠意、事業に打ち込んでおりましたし、またこのような事態になったあとも、非常に誠実に第三者委員会の調査にも協力してくれて、なにか悪徳なことを企んでいるような2人ではございません。

そういった意味では、この2人の有能な若者を正しく導けなかったDeNAの責任は極めて重いというふうにとらえておりまして、これはずっと私たちが背負っていかなければいけないことだと思っています。

ただ、そういった意味で私としても非常につらい決断でしたが、この2人の、直接の事業責任者に厳しい処分をするということは、やはりこれだけのコンプライアンス違反をしたら、それは重く会社としてはとらえていくんだということを私どもも社内も、そして社外にも徹底して示す必要があるということに、それは揺らいではいけないのではないかということで行った決断です。

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