2024.10.10
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安倍総理大臣 集団的自衛権に関する記者会見(全1記事)
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安倍晋三(以下、安倍):本日「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」から報告書が提出されました。外交、安全保障、そして法律の専門家の皆さんが約2年半検討を、そして議論を重ねてきた結果です。まず、冒頭、柳井座長、北岡座長代理をはじめ、委員の方々の高い見識と貢献に心から感謝御礼申し上げたいと思います。
本日は、この報告書を受けて今後どのように検討していくか、その基本的方向性について、国民の皆様に私から直接ご説明させていただきたいと思います。この報告書を受けて考えるべきこと、それは私たちの命を守り、私たちの平和な暮らしを守るため、私たちは何をなすべきか、ということであります。具体的な例でご説明をしたいと思います。今や海外に住む日本人は150万人、さらに年間1,800万人の日本人が海外に出かけていく時代です。その場所で突然紛争が起こることも考えられます。
そこから逃げようとする日本人を、同盟国であり、能力を有する米国が救助、輸送しているとき、日本近海で攻撃があるかもしれない。このような場合でも日本人自身が攻撃を受けていなければ、日本人が乗っているこの米国の船を日本の自衛隊は守ることができない、これが憲法の現在の解釈です。昨年11月、カンボジアの平和のため、活動中に命を落とした中田厚仁さん、そして高田晴行警視の慰霊碑に手を合わせました。あの悲しい出来事から20年余りがたち、現在、アジアで、アフリカで、たくさんの若者たちがボランティアなどの形で地域の平和や発展のために活動をしています。
この若者のように医療活動に従事をしている人たちもいますし、近くで協力してPKO活動をしている国連のPKO要員もいると思います。しかし、彼らが突然武装集団に襲われたとしても、この地域やこの国において活動している日本の自衛隊は彼らを救うことができません。
一緒に平和構築のために汗を流している、自衛隊とともに汗を流している他国の部隊から救助してもらいたいと連絡を受けても、日本の自衛隊は彼らを見捨てるしかないのです。これが現実なのです。
皆さんが、あるいは皆さんのお子さんやお孫さんたちがその場所にいるかもしれない。その命を守るべき責任を負っている私や日本政府は、本当に何もできないということでいいのでしょうか。内閣総理大臣である私は、いかなる事態にあっても、国民の命を守る責任があるはずです。そして、人々の幸せを願ってつくられた日本国憲法が、こうした事態にあって、国民の命を守る責任を放棄せよと言っているとは私にはどうしても考えられません。
こうした事態は机上の空論ではありません。連日、ニュースで報じられているように、南シナ海では、この瞬間も力を背景とした一方的な行為によって国家間の対立が続いています。これは人ごとではありません。東シナ海でも日本の領海への侵入が相次ぎ、海上保安庁や自衛隊の諸君が高い緊張感を持って24時間体制で警備を続けています。
北朝鮮のミサイルは、日本の大部分を射程に入れています。東京も、大阪も、皆さんの町も例外ではありません。そして、核兵器の開発を続けています。かたや、サイバー攻撃など、脅威は瞬時に国境を越えていきます。これは私たちに限ったことではありません。もはやどの国も一国のみで平和を守ることはできない、これは世界の共通認識であります。
だからこそ私は積極的平和主義の旗を掲げて、国際社会と協調しながら世界の平和と安定、航空・航海の自由といった基本的価値を守るために、これまで以上に貢献するとの立場を明確にし、取り組んできました。積極的平和主義の考え方は、同盟国である米国はもちろん、先週まで訪問していた欧州各国からも、そしてASEANの国々をはじめとするアジアの友人たちからも高い支持をいただきました。
世界が日本の役割に大きく期待をしています。いかなる事態においても、国民の命と暮らしは断固として守り抜く。本日の報告書ではそうした観点から提言が行われました。今後、政府与党において具体的な事例に即してさらなる検討を深め、国民の命と暮らしを守るために切れ目のない対応を可能とする国内法制を整備します。
これまでの憲法解釈のもとでも可能な立法措置を検討します。例えば武力攻撃に至らない侵害、漁民を装った武装集団が我が国の離島に上陸してくるかもしれない。こうしたいわゆるグレーゾーン事態への対処を一層強化します。さらに、PKOや後方支援など、国際社会の平和と安定に一層貢献していきます。
その上で なお現実に起こり得る事態に対して、万全の備えがなければなりません。国民の命と暮らしを守るための法整備がこれまでの憲法解釈のままで十分にできるのか、さらなる検討が必要です。こうした検討については、日本が再び戦争をする国になる、といった誤解があります。しかし、そんなことは断じてあり得ない。日本国憲法が掲げる平和主義は、これからも守り抜いていきます。このことは明確に申し上げておきたいと思います。
むしろ、あらゆる事態に対処できるからこそ、そして、対処できる法整備によってこそ抑止力が高まり、紛争が回避され、我が国が戦争に巻き込まれることがなくなると考えます。
今回の報告書では、2つの異なる考え方を示していただきました。
1つは、個別的か、集団的かを問わず、自衛のための武力の行使は禁じられていない、また、国連の集団安全保障措置への参加といった国際法上、合法な活動には憲法上の制約はないとするものです。しかし、これはこれまでの政府の憲法解釈とは論理的に整合しない。私は憲法がこうした活動のすべてを許しているとは考えません。したがって、この考え方、いわゆる芦田修正論は政府として採用できません。自衛隊が武力行使を目的として湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことは、これからも決してありません。
もう1つの考え方は、我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるとき、限定的に集団的自衛権を行使することは許されるとの考え方です。生命、自由、幸福追求に対する国民の権利を政府は最大限尊重しなければならない。憲法前文、そして憲法13条の趣旨を踏まえれば、自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置を採ることは禁じられていない。そのための必要最小限度の武力の行使は許容される、こうした従来の政府の基本的な立場を踏まえた考え方です。政府としてはこの考え方について、今後さらに研究を進めていきたいと思います。
切れ目のない対応を可能とする国内法整備の作業を進めるに当たり、従来の憲法解釈のままで必要な立法が可能なのか、それとも一部の立法に当たって憲法解釈を変更せざるを得ないとすれば、いかなる憲法解釈が適切なのか。今後、内閣法制局の意見も踏まえつつ、政府としての検討を進めるとともに、与党協議に入りたいと思います。
与党協議の結果に基づき、憲法解釈の変更が必要と判断されれば、この点を含めて改正すべき法制の基本的方向を、国民の命と暮らしを守るため、閣議決定してまいります。今後、国会においても議論を進め、国民の皆様の理解を得る努力を継続していきます。十分な検討を行い、準備ができ次第、必要な法案を国会にお諮りしたいと思います。
日本は戦後70年近く、一貫して平和国家としての道を歩んできました。これからもこの歩みが変わることはありません。しかし、平和国家であると口で唱えるだけで私たちの平和な暮らしを守ることはできません。私たちの平和な暮らしも突然の危機に直面するかもしれない。そんなことはないと誰が言い切れるでしょうか。
テロリストが潜む世界の現状に目を向けたとき、そんな保障はどこにもありません。政府は、私たちは、この現実に真正面から向き合うべきだと私は考えます。私たちの命を守り、私たちの平和な暮らしを守る、そのためにはいかなる事態にも対応できるよう、常日頃から隙のない備えをするとともに、各国と協力を深めていかなければなりません。それによって抑止力が高まり、我が国が戦争に巻き込まれることがなくなると考えます。
先ほど申し上げたような事態においても、しっかりと日本人の命を守ることこそが総理大臣である私の責任であると確信します。今後、検討を進めるに当たり、国民の皆様のご理解を心からお願い申し上げる次第であります。私からも引き続き、あらゆる機会を通して、丁寧に説明をしていきたいと思います。
再度申し上げますが、まさに紛争国から逃れようとしているお父さんやお母さんや、おじいさんやおばあさん、子供たちかもしれない。彼らが乗っている米国の船を今、私たちは守ることができない。そして、世界の平和のためにまさに一生懸命汗を流している若い皆さん、日本人を、私たちは自衛隊という能力を持った諸君がいても、守ることができない。そして、一緒に汗を流している他国の部隊、もし逆であったら、彼らは救援に訪れる。しかし、私たちはそれを断らなければならない、見捨てなければならない。おそらく、世界は驚くことでしょう。こうした課題に、日本人の命に対して守らなければいけないその責任を有する私は、総理大臣は、日本国政府は、検討をしていく責務があると私は考えます。私からは以上であります。
内閣広報官:それでは、皆様からの質問をお受けいたしますので、ご希望される方は挙手をお願いいたします。私が指名いたしますので、ご所属とお名前を明らかにされた上でご質問をお願いしたいと思います。 まず、幹事社の方からの質問を先にお受けしたいと思います。どうぞ。
記者:東京新聞の城島です。総理は、憲法解釈の変更に言及されました。歴代政権が踏襲してきた憲法解釈を一政権の判断で変更するとしたら、憲法が政府の政策を制限する立憲主義の否定ではないでしょうか。政権が自由に憲法解釈を変更しても問題ないとお考えですか。総理は、日本が再び戦争をする国になることは断じてないと強調しました。しかし、集団的自衛権を認めれば、将来的に自衛隊が他国の戦争に参加する可能性は否定できません。これが総理の掲げる積極的平和主義でしょうか。
安倍:今、私が説明をしたように、この事態でも私たちはこの船に乗っている、もしかしたら子供たちを、お母さんや多くの日本人を助けることはできないのです。守ることもできない。その能力があるのに、それで本当にいいのかということを私は問うているわけであります。
立憲主義にのっとって政治を行っていく、当然のことであります。その上において、私たち政治家は、こうしたことができないという現状から目を背けていていいのかということを皆さんにも考えていただきたいと私は思います。人々の幸せを願って、まさに生存していく権利があるわけなのです。そして、その権利を私たち政府は守っていく責任があるのです。その責任を放棄しろと憲法が要請しているとは、私には考えられません。
会見をご覧になっている皆さんや、皆さんのお子さんやお孫さんが、こうした立場になるかもしれないという、そのことを考えていただきたいと思います。この議論は、国民の皆様一人ひとりにかかわる現実的な問題であります。北朝鮮のミサイルは、日本の大部分を射程に入れています。このような日本を取り巻く安全保障環境の大きな変化を踏まえて、7年がかりでこの問題に取り組んできました。いかなる事態にあっても国民の命と暮らしは守っていく責任が私たちにはあるはずです。こうした観点から研究を進めてまいります。
他方、私は、日本国憲法が集団的自衛権を含め、自衛のためならすべての活動を許しているとは考えていません。自衛隊が武力行使を目的として他国での戦闘に参加するようなことは、これからも決してありません。それは、今、申し上げたとおりであります。憲法が掲げる平和主義は、これからも守り抜いていきます。
今回の検討によってですね、他国の戦争に巻き込まれるといった批判があります。こうした批判は、1960年の安保改正の際、盛んに言われました。この安保条約の改正によって、むしろ反対論の中心はそこにあったのです。この日米安保の改正によって日本は戦争に巻き込まれる、さんざん、そう主張されました。
しかし、50年たってどうだったでしょうか。この改正によって、むしろ日本の抑止力が高まり、アジア太平洋地域においてアメリカのプレゼンスによって、今、平和がより確固たるものになるというのは、日本人の常識になっているではありませんか。まさに、私たちが進めていこうとすることは、その抑止力を高めていく、そして、日本人の命を守るためにやるべきことはやらなければならない、という観点から検討していかなければならないということであります。
巻き込まれるという受け身の発想ではなくて、国民の命を守るために、何をなすべきかという能動的な発想を持つ責任があると、私は思います。 繰り返しになりますが、抑止力が高まることによって、より戦争に巻き込まれることはなくなると、私はこのように考えております。
内閣広報官:それでは、幹事社の方からもう1問どうぞ。
記者:共同通信の内海です。総理は、自らが設置した安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会の報告書を受け、憲法解釈の変更が適切なのか、与党に協議を要請しましたが、安保法制懇には人選に偏りがあり、中立性を欠くという指摘もあります。この点をどうお考えですか。また、公明党は、集団的自衛権に関し、連立政権合意に書いていないテーマとし、2012年12月の衆院選、昨年7月の参院選でも大きな争点にはなっていません。安全保障政策の重大な変更を検討するに当たり、衆議院を解散して国民の信を問う考えはありませんか。
安倍:安保法制懇については、こうした課題について、まさに正面からずっと考えてきた皆さんにお集まりをいただきました。こうした問題です。こうした問題に正面から取り組んできていただいた皆さん、どうすれば日本人の命を守ることができるかということをまじめに考えてきていただいた皆さんに集まっていただきました。
報告書でも安全保障環境の変化に留意をして、いかなる事態においても国民の命と暮らしを守るために何をなすべきか、まさに専門的かつ現実的なご議論をいただいたと思います。その中で、私たちはご議論をいただいた報告書のすべてを、私たちは検討対象とはしないという判断を下したわけであります。
選挙との関係におきましては、前回の衆議院選挙、また、参議院選挙でも私の街頭での演説を聞いていた方々はご承知のことだとは思いますが、私は、国民の生命、財産、領土領海は断固として守り抜いていくと申し上げてきました。まさに、いかなる事態にあっても、このような事態にあっても、私はその責任を果たしていかなければならないと考えていると申し上げてきたわけであります。この検討は、こうした国民との約束を実行に移していくものであると、私は確信しております。
内閣広報官:それでは、これから、幹事社以外の方からの質問をいただきます。では、川上さん。
記者:読売新聞の川上と申します。集団的自衛権の憲法解釈の見直しに向けた取組は、既にアメリカからも支持をとりつけているところですけれども、総理は外遊の場などを通じて、アジアや欧州各国の首脳から具体的にどのような感触を得られておりますでしょうか。あわせて、見直しに当たっては、国民や公明党、自民党の理解が不可欠になりますけれども、今後どのようなスケジュール感で論議を深めていくというお考えでしょうか。お聞かせください。
安倍:昨年、私はASEAN10カ国を訪問いたしました。その際、この集団的自衛権の解釈変更等々につきましても、こうした実例を示しまして説明をいたしました。すべての国々から理解と支持が得られたと思います。そしてまた先般、欧州を訪れ、やはり詳細な説明をいたしました。各国からご支持をいただきました。また、NATO演説においては、この集団的自衛権の解釈変更を含めて、集団安全保障における我々の責任等についてもご説明をいたしましたが、各国から高い支持をいただいたと思います。
ある国の代表の方は、手を挙げて、憲法9条に言及されました。この憲法9条の解釈についても、日本人の命を守るために、あるいは地域や世界の平和を確固たるものにするために、その解釈の変更を検討しているということはすばらしいと。日本が大きな変化を遂げたという支持をいただいたところであります。これからも、こうした日本の安全保障政策については、しっかりと諸外国に訪問しながら、何といっても国際協調が大切でありますから、これからも積極的に貢献をしていきたいと思います。
また、今後のスケジュールについてでありますが、期限ありきではありません。今後、内閣法制局の意見も踏まえつつ、政府としての検討を進めるとともに、与党協議に入りたいと考えています。与党協議の結果に基づきまして、憲法解釈の変更が必要と判断されれば、この点を含めて改正すべき法制の基本的方向を、 国民の命と暮らしを守るため、閣議決定してまいります。
今後、国会においても議論を進め、国民の皆様の理解を得るための努力を、継続をしていきます。十分な検討を行い、準備ができ次第、必要な法案を国会にお諮りしたいと思います。その際、抽象論や観念論ではなくて、個別具体的な事例に即して議論をし、国民の皆様の理解を得ていきたいと思います。
内閣広報官:次の問いをお受けします。関口さん。
記者:ダウジョーンズの関口と申します。よろしくお願いします。このところ、南シナ海のほうで中国とベトナムやフィリピンなどの対立が急激に緊迫化しております。総理も先ほど、人ごとではないとおっしゃった南シナ海の状況に、集団的自衛権容認によって、この地域での日本の役割や貢献がどう変化するとお考えでしょうか。
安倍:我が国の平和国家としての歩みは、今後も決して変わることはありません。我が国は一貫して紛争の平和的解決を重視してまいりました。法の支配、航海の自由、上空飛行の自由が尊重されなければなりません。力による現状変更は一切認めない。私たちが検討をするのは、まさにこのような状況でありました。このような状況が発生したとき、日本人の命に危険が迫っているにもかかわらず何もできなくていいのかということであります。
また、こうした解釈変更の検討によって軍事費が増大するのではないか、軍備が拡大するのではないかという、そういう指摘もありますが、それは的外れであります。中期防で5年間の総枠を既に閣議決定しておりまして、これが変更されることはありません。安全保障の分野では様々な事態が起こり得るわけでありますが、今、申し上げましたように、私たちが検討しているのはこうした事態であるということであります。
内閣広報官:はい、それでは次。七尾さん、どうぞ。
記者:ニコニコ動画の七尾と申します。よろしくお願いします。集団的自衛権の行使容認を含めた憲法解釈変更や関連法整備に向けまして、冒頭でご説明された代表的な例を含め、政府は詳細な事例集をまとめていらっしゃると思うのですけれども、それでも想定外のことが起きた場合への対応についてはどうお考えでしょうか。
安倍:安全保障を考える上において、あらかじめ事態を、将来起こり得る事態を想定することは容易なことではないと思います。これまで、ともすれば想定したこと以外の事態は起こらないという議論が行われてきました。事実、今、私が挙げた例、こうした例から目を背けてずっと今日に至ったのです。つまり、そんなことは起こらないということで目を背けてきたと言ってもいいと思います。内閣総理大臣である私は、いかなる事態にあっても国民の命を守る責任があります。想定外は許されないわけであります。国民の命と暮らしを守るため、現実に起こり得るあらゆる事態に対して切れ目ない対応を可能とするため、万全の備えをなしていくことが大切だろうと思います。
内閣広報官:それでは、もう1問だけお受けさせていただきます。では、吉野さん。
記者:テレビ朝日の吉野と申します。法制懇の報告書についてお伺いしたいのですけれども、今、総理はすべてを検討対象とはしないと、事例に即してということをおっしゃったのですけれども、法制懇の報告書にも幾つかの事例が入っておりますけれども、どれを検討対象としてどれを検討対象としないのか、その理由もあわせて教えていただければと思います。
安倍:今回は、2つの異なる考え方を報告書によって示していただきました。1つは、個別的か集団的かを問わず、自衛のための武力の行使は禁じられていない、また国連の集団安全保障措置への参加といった国際法上合法な活動には憲法上の制約はないという考え方であります。しかし、これは、これまでの政府の憲法解釈とは論理的に整合しないと考えます。私は、憲法がこうした活動のすべてを許しているとは考えません。したがって、この考え方、いわゆる芦田修正論でありまして、我々が自衛権を行使できるのは芦田修正によるという考え方でありますが、その考え方は政府としては採用しないということであります。もう1つの考え方は、我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるとき、限定的に集団的自衛権を行使することは許されるとの考え方でありまして、政府としてはこの考え方について、今後さらに研究を進めていきたいと思います。
内閣広報官:それでは、予定した時間を過ぎましたので、これをもちまして記者会見を終了させていただきます。皆様、どうもご協力ありがとうございました。(編集・江口晋太朗)
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