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SFから現実へ ~近未来に訪れる社会課題と向き合う~(全5記事)

日本の先駆者たちが挑む“SFの現実化” 政治家・ロボット開発者・AI起業家・宇宙ビジネス経営者が語る未来

京都で開催されたIVS2024において、SFの世界を現実に変える挑戦者たちが集結した「SFから現実へ」というテーマのセッション。政治家、ロボット開発者、AI起業家、宇宙ビジネス経営者、そして投資家が登壇し、それぞれの専門分野からSFと現実の接点を語り合いました。全5回。

登壇者紹介

佐藤将史氏(以下、佐藤):はい。1時半になりましたので始めたいと思います。こちらですね。「SFから現実へ」ということで、このステージで3回目のセッションになります。モデレーターを務めさせていただきます、Beyond Next Venturesの佐藤と申します。よろしくお願いいたします。

(会場拍手)

佐藤:「SFから現実へ」ということで、今日はたぶんSFファンの方とか、アニメファンの方とか、いろんなけっこう変わった趣味を持っている方が多く集まっているんじゃないかなと思いますけど。スピーカーの方々もだいぶエッジが効いていらっしゃるメンバーが揃っているので、これから紹介をしていきたいというふうに思っています。

阿部圭史氏の自己紹介

佐藤:ではですね、まず始めに私のお隣にいらっしゃいます、阿部さんから自己紹介をお願いしていきたいなというふうに思っています。日本維新の会の阿部圭史さんになります。よろしくお願いいたします。

阿部圭史氏(以下、阿部):ありがとうございます。みなさん初めまして。今は選挙区が神戸なんですけども、日本維新の会で衆議院議員の支部長をしております、阿部圭史と申します。よろしくお願いします。これは私の簡単なバックグラウンドですけれども、もともと医者をやったあとに、厚生労働省で行政関係の政策をやっていました。そこでは主にヘルスケア関係ですね。医療、介護、そういった関係の政策もやっていました。

あとは外交関係、そういったこともやっていました。その中で一番取り組んでいたのが危機管理。本当に国家の危機にどういうふうに対応するのか。例えばテロとかですね、あとは感染症、武力攻撃事態、いろいろありますけれども、そういったことをやっていました。そのあと国連に移りまして、コロナの最中はWHOでいろんなオペレーションをしたりしていまして、その後はマッキンゼーとかいろいろ民間に移って事業をやったあとに、今は政治の道でやっている人間です。

こんなかたちで私の専門のポートフォリオは、医療・公衆衛生分野と、外交・安全保障・危機管理ということで、2つ専門があるというかたちになっています。まさに自分で医者として診療したりというのもありますし、この2つの分野をまたがるようなかたちで政策をやったりしているところです。また同時に左下に軍服を着ていますけれども、安全保障分野もやっているということでいろんな軍事関係、防衛関係、そして外交関係をやっている人間です。

今日はこの2つの観点から、いろいろとお話をさせていただこうかなと思っています。今日はSFということですので、My SFポートフォリオということで書いてきました。「私の専門は2つ」と言いましたけれども、だいたいバイオテクノロジーと、リスク、セキュリティ、安全保障と危機管理ということで、またあとでもちょっとお話しますけれども私の一番推したいSF作品は、『機動戦士ガンダムSEED』ですね。

ガンダムはいろいろありますけれども、私はガンダムSEEDの大ファンで、私の人生はガンダムSEEDが作ってくれたというふうに思っています。そのぐらい好きですね。あとは『攻殻機動隊』と、みなさん『銀河英雄伝説』を知っていますでしょうか? アニメでもありますし、小説でも非常に長い小説なんですけどね。宇宙の対戦の小説ですけども、今日はこの観点からいろいろとお話をさせていただきたいと思っています。以上です。

石井啓範氏の自己紹介

佐藤:はい。阿部さん、どうもありがとうございました。政治家の方でここまでアニメのレパートリーを持っている方はなかなか少ないですよね。あとで詳しくおうかがいしたいと思います。では続いてお隣ですね、ツバメインダストリ CTOの石井さんになります。よろしくお願いします。

石井啓範氏(以下、石井):はい。ご紹介ありがとうございます。ツバメインダストリのCTOをしています、石井です。私はですね、もともと本当に最初のファーストガンダムがもろの世代でして、そこでやはり搭乗型ロボットを作りたいと学生の頃に思ってですね。ヒューマノイドロボットですね。

早稲田大学で「WABIAN」というヒューマノイドロボットの研究開発をやっていました。その時に、身長が180センチメートルぐらいのロボットだったんですけど、それが歩いているのを横から見ていて「やはり乗って動かすロボットがやりたいな」という思いがあって、そのあとは乗って動かすロボットを作るために必要な技術は何かというのを考えて、その後に日立建機という建設機械メーカーのほうに入りました。

そこで双腕仕様機アスタコという、腕が2本あるような機械とかの研究開発をやっていました。それで、もうちょっと早く辞めるつもりだったんですけど意外とテーマがおもしろかったので続いていてですね。2018年から、横浜の動くガンダムのテクニカルディレクターということで、そちらのほうに移って動くガンダムの開発をやっていました。

そちらが、ちょうど2024年の3月で展示が終わったんですけれども、その開発がひと段落したあとに、いよいよ重機の技術と動くガンダムで得たエンタメのロボットを動かす技術を含めて搭乗型ロボットの開発に挑戦しようと。ちょうどその時に、弊社の吉田が「X」で、開発メンバーを募集していたのに手を挙げて、そこからのツバメインダストリで「アーカックス」というものを開発しています。

ツバメインダストリは、今回のこのトークセッションのテーマにも近いんですけど、まぁ、いわゆるSFですね。サイエンスフィクションの世界をサイエンスリアリティへということで、SFで夢見たロマンを、いかに実現するか。我々で言えばそれは搭乗型ロボットをなんとか実現したいという思いになるんですけれども。そのロマンを実現したいというかたちで創業した会社になっていまして、こちらの今写真にあるのが最初に開発したプロトタイプのアーカックスになっています。

こちらが、全高が4.5メートルで、この黄色の部分の中にコックピットがあってその中に人が乗って動かせるものになっています。こちらのアーカックスについても今回のトークセッションを通していろいろとご紹介をさせていただければと思っています。本日はよろしくお願いします。

佐藤:はい。石井さんよろしくお願いします。ありがとうございます。ちなみにガンダムとガンダムSEEDは、けっこう世代が違うんでしたっけ?

石井:世代が違いますね。15年ぐらいですかね?

佐藤:宇宙世紀の歴史はつながっているんですか?

石井:宇宙世紀は別です。

佐藤:ストーリーもぜんぜん違うガンダム。ファーストガンダム派の人!

(会場挙手)

佐藤:SEED派の人!

(会場挙手)

佐藤:あまり勝負がつかなかったですね。

(一同笑)

佐藤:あとで深めていきたいと思います(笑)。

安野貴博氏の自己紹介

佐藤:では次は、お隣ですね。合同会社機械経営の安野さんになります。安野さんはいろいろと肩書きを持っているので、なかなか表現しづらいんですけど、今日は機械経営の安野さんということで。

安野貴博氏(以下、安野):はい!

佐藤:お願いします。

安野:今日は機械経営の安野としておしゃべりします。3つですね、今まで職業をやって参りました。1つはAIエンジニアというところです。東大の工学部の松尾研究室というところを卒業してAIのエンジニアをしていました。特に自然言語処理の分野でいろいろとやって参りました。2つ目が、そのAIの技術を使った起業家というところです。2社ほど、自然言語処理と機械学習の技術を組み合わせたスタートアップを創業していました。

1社目は株式会社BEDOREというところで、チャットボットですね。コールセンター向けのチャットボットを提供しているような会社でした。2社目が、MNTSQ株式会社というところで契約書を機械に読ませて、弁護士の先生とか法務部の方をサポートするツールを作っていました。それでですね、3つ目がSF作家というところでハヤカワSFコンテストという、国内のSFの新人賞ではもっとも規模が大きいものがあるんです。

そこで『サーキット・スイッチャー』という作品で、受賞しましてデビューをいたしました。やはり、AIなどを使った近未来の東京を描いています。これはバラバラにいろいろとやっているように見えるかもしれないんですけど、基本的にはテクノロジーを使って未来を描くという職業をやっていまして、そういう軸で今はいろいろとチャレンジをしています。

実は今、東京都知事選に出ていまして、7月7日に投票日があるんですけど、それもこのテクノロジーを通じて未来を描くという活動の一環です。

佐藤:はい、ありがとうございます。コメントをしていいのかどうか迷っていたんですけど、ご自分で切り出されたので。実は先ほどまでタスキを掛けられていて、タスキで出てくるのかなと思ってどうやって突っ込もうかなと思っていたんですけど、タスキだけは外されて。

安野:タスキはちょっと「止めて」と言われたので(笑)。

佐藤:ということで、さらの安野さんとして来ていただきました。ありがとうございます。

(会場拍手)

岡島礼奈氏の自己紹介

佐藤:では、そのお隣。ALE CEOの岡島さん、よろしくお願いします。

岡島礼奈氏(以下、岡島):はい。株式会社ALEの岡島と申します。私たちは、これちょっといいですか? すみません(笑)。(スライドを)出していただいちゃって、すみません。(スライドが)長い(笑)! 伝えたいことがいっぱいある。こっちだ。

人工衛星を打ち上げて流れ星を作ろうという、そういうスタートアップをやっています。私は、もともとバックグラウンドが天文学をやっていて、何のためにこれをやっているのかというと、やはり科学技術を進化させないと人類の文明の存続というのが限られてしまうというのを本気で思っていて。なので科学を発展させるために民間企業でできることというのをいろいろと考えてですね。

まずは第1弾として、人工的に流れ星を作るというところをやっています。ちなみに、SFとの関わりという意味でいうと、私はあまり会社の経営とSFというのをそんなにくっつけては考えていないんですけれども、やはり未来を考えているというところ。あとは、実は個人的にSFの映画をプロに、物理学者だったりとか、大学の教授だったりとか、そういう方々に解説してもらう会というのを主催しています。

この間『三体』(劉慈欣氏の長編SF小説)でそれをやったら、もう大盛り上がりでした。こういったようなことを考えていて、今日はみなさんとお話できることを楽しみにして参りました。あと余談なんですけれども、私と石井さんは実は鳥取出身で、なんとあのガンダムの主人公のアムロ・レイも鳥取出身という噂があるのをご存じでしょうか? ということで(笑)、今日はよろしくお願いいたします。

佐藤:はい、ありがとうございます。

(会場拍手)

佐藤:なんとなく石井さんがアムロ・レイに見えてきたみたいな感じなんですけど(笑)。

佐藤将史氏の自己紹介

佐藤:はい、では、私も僭越ながら少しだけ自己紹介をさせてください。改めまして今日のモデレーターを務めます、Beyond Next Venturesの佐藤と申します。自分は、もともと社会人としては、野村総合研究所というところで経営コンサルタントをやってきたので、ビジネスバックグラウンドの人間です。

今は、いろいろと紆余曲折を経てBeyond Next Venturesに2023年にジョインしまして、大学発スタートアップの投資のアドバイザーだったりとか、あとは大学発のそういった社会実装の環境整備ということで政策提言とかのお仕事をさせてもらっています。今日ここのモデレーターになっているバックグラウンドでたぶん選ばれている理由の1つが、自分のメインの領域が宇宙なんですね。

大学時代にちょっと天文学っぽいことをやっていて、実は岡島さんと似たようなことを同じところで勉強したんです。前々職の時から、兼務で社団法人のSPACETIDEという団体をやっていて、宇宙ビジネスの全体の業界を盛り上げるような活動をもう10年近くやっています。ispaceという、おそらく今日のオーディエンス層の方は知っている方が多いんじゃないかと思うんです。月面着陸をするスタートアップにいまして、IPOなどを経て今は卒業しているんですけれども。

そういった宇宙のバックグラウンドがあるからということで、SFと近いということで選んでもらったんじゃないかなと思っています。このへんはBeyondの紹介でサラッとしますけれども、今200億円から250億円ぐらいの新しいファンドの組成をして、投資のほうを始めております。

特にディープテックにかなり力を入れているVC(ベンチャーキャピタル)でして、大学の先生や研究者、こういった方々との付き合いが多いVCじゃないかなと思います。ちょっとユニークなところが、創業の前段階から研究者の方とリレーションを取りながらやっていくということで、やはりそういう起業家の方ってSF思考の方がすごく多いんですよね。なのでこういう方々とのお話って非常に実は日常にあったりする職場環境だったりします。

領域は本当にそれぞれで、たぶん今日の登壇者のみなさまがそれぞれお得意としている領域があるんじゃないかなと思いますけど、本当にウェットサイエンスから宇宙やロボティクス、クライメイトに至るさまざまなところをカバーしている感じです。ちょっとここがインプットという意味なんですけど、宇宙が実はSFの中で現実に起こっている最たる例の1つじゃないかなと思っています。

ここに書いてある出来事って、すべて実はリアルでビジネスになっているんですね。よくニュースとかで見ていらっしゃると思いますけど、イーロン・マスクとジェフ・ベゾスが宇宙のスタートアップをやっていて、ここに書いてある6つは全部彼らがやっているんです。2、30年前から構想としてはずっとあったんですけれども、彼らは2000年代前半に会社を作って20年でビジネスにしちゃったんですね。

彼らの幼少期のSF体験というのはすごくこれに生きていて、こういうのって本当にリアルになるんだなということで、SFというのはSFで終わらないよということの例かなということで、ご紹介させていただきました。ということで自己紹介を終わりにして、ディスカッションのほうに移っていきたいと思っています。じゃあ画面の切り替えお願いします。

(次回へつづく)

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