山本氏が語る、自身の2軸

では、自分の事例の紹介ですね。自分の場合はどうだったかを、経験談として話そうと思います。

(スライドを示して)まず、学生時代のプリセットはこんな感じでした。デザイン情報系の学部に所属していて、両軸の専攻でした。社会に出てもどちらもやりたかったというか、伸ばして活かしたかったというところが自分のなりたい姿のほうに色濃く出たかなと思っています。

もしなにか気になるところがあれば、あとで質問などをしていただければと思います。質問のディスカッションコーナーみたいなのも設けたいので、ぜひ質問を考えておいていただけるとありがたいです。

話を戻して、じゃあ自分の2軸は何だったのか? というところですが、結論からお話しすると、夢や野望は、「とにかくエンタメで人の心を動かしたい」というところと、別軸で、交わってもいいと思いますが、「日本社会をもっと良くしたい」という漠然な心持ちがありました。なりたい姿は、「物事を企てるところから俯瞰してモノ作りがしたい」というところ。

あとは、やはり「デザインとエンジニアリングを掛け合わせたビジネススキルを伸ばして活かしたい」というところと、夢のほうにつながるのですが「事業をリードし、そして社会に良い影響を与える人間になりたい」みたいなところがありました。

少し詳しく口頭で言うと、夢的なところのエンタメ部分はそのままずっと持っています。だけど、「日本社会をより良くしていきたい」というところを分解していくと、デジタル化の遅れみたいなことが巷の話題に出てくる中で、やはり今の産業をそのままにするのではなくて、きちんとDXして、爆発的に再燃させて日本を盛り上げたいとか。行政ももっとDXして、官民双方の負担を減らしたいみたいな気持ちがけっこう強く、それらによって、今後危惧されている人手不足を解消することで、今の住みやすい日本社会を維持・進化させたいという感覚が大きかったです。

なりたい姿的には、やはり右側のこれらを合算して、今ある職種に結び付けていくと、まず目指すべきは作る対象のモノをどう作ればよいかを理解しているPdM。つまり、モノ作りの部分にこだわりを持てるPdMですね。エンジニアリングもデザインもけっこうわかるPdMを目指したいなと思いました。

まとめると「DXでめちゃくちゃ社会を良くしたい!」というところと、「まずはモノ作りにこだわりを持てるPdM」をキャリアの直近の目標にしたいなと思いました。

ちなみに「DX」という言葉ですが、DXって単なるデジタル化じゃないなと思っています。DXというのは、新たな事業としてデジタルの文脈に載せて、その事業をデザインし直すことだと思っていて、それを企てるところから実行するところまでハンドリングして関わりたいと、自己と向き合った結果、思いました。

いろいろな分野がわかった上で、経営的な部分も理解して関われるようになっていく、話せるようになっていかないといけないなと思いました。そういうふうにDXの言葉の定義も掘っていく中で、より夢となりたい姿が交差していって、やるべきこととして出力できたのかなと思っています。

ディー・エヌ・エーを選んだ理由

それで就活をしている中で、まさにディー・エヌ・エーの事業がこの2領域で構成されていることを知って、「夢の部分もどちらも捨てなくていいじゃん!」と(思いました)。面談でいろいろと話を聞いていると、IT業界は今は全体的にPdMが足りていないらしいのですが、PdMのなり手を増やそうとしていたり、エンジニアからPdMや事業リーダーになった事例をけっこう聞いたりしました。

あとは幅広い属性の人材ですね。〇〇エンジニアみたいな感じで細く入り口を閉ざすのではなく、エンジニアとしていろいろな属性の人間を募集していることがわかってきたと。ここまでは僕の同期や各々の持っている思いを事例として挙げた感じなので、本当に多種多様な人が募集されて(ディー・エヌ・エーに)存在しているということがわかりました。

そして、DXや新規事業が協業を結んだプロジェクトとして多々あるということがわかったこと。つまりプレイヤーとして、DXを一貫してやれるんじゃないかと感じたので、めちゃくちゃマッチしているなと思いました。ロールモデルになりそうな方をいろいろと紹介してもらって面談させてもらうことで、自分は入社という運びになりました。

入社後に行われた研修の振り返り記事を過去書いていて、今チャットに送られたと思うのですが、よかったら参考に見ていただきたいなと思います。研修の後の配属の時に、技術的な志向性と事業的な志向性のアンケートをそれぞれ取ってくれて、これもけっこうすごいなと思いました。

このアンケートとコミュニケーションタイプのアンケート、配属希望のアンケートを合算して、面談を通して配属という運びですね。これらを通してやりたいことを伝えて、人事や配属候補先の方々に相談に乗ってもらうことで、最終的に今の医療系のアライアンスDX新規事業のプロジェクトへ配属されました。

これはすごく良かったなと思っています。最初はフロントエンドエンジニアとして勤務して、コンポーネント開発あたりから始まりました。Reactですね。Remixというフレームワークを使っていました。それでHTMLの構造、CSS、使いたいアーキテクチャの話などを仕込まれつつ開発業務に取り組んでいって、その中で上長やメンターの方と1on1を通してやりたいことを相談し続けたんですね。

ここで技術的な学びを得つつ、事業のビジョンや背景をヒアリングして「こういうことがやりたいです!」みたいなことを伝え続けていました。そうすると、ちょうど新規系(のプロジェクト)だったので、チームとしても要件定義を充実させる必要性が高まってきて、そのタイミングでちょうどいろいろな会議に出たり、意見を言ったりという感じになっていたので、流れるようにステークホルダーへのヒアリングだったり、要件定義、アライアンス先の方に機能を提案したり、ファシリテーションしたり、デザインディレクション業務みたいなところも兼任するようになっていきました。

やりたいことをすごく発信し続けることで流れができていったみたいな感覚です。これはTipsですが、発信の一貫で、チームのカレンダーを見ていて自分が興味のある議論が行われそうな会議を見つけたら、「ちょっと、ここに入ってみたいんですけど」みたいな感じで、いろいろ入っていたのが結果的にいろいろな状況を作れたのかなと思っているので、そういうのもすごく有効でした。

この時によくメンターさんに言われたのが、自分が参加する理由です。「自分がやりたいことに加えて、今後自分が参加することで、チーム的にもこういういいことがありますよ、みたいなベネフィットも説明できると、よりスムーズに『あ、じゃあ来てきて』みたいな感じで話に呼ばれたり、意見を聞かれるようになっていくよ」と言われて、すごくこのノウハウも活きているので、ここで紹介しておきます。

そんな感じで1年半が経って、今はプロダクトマネージャー兼デザインディレクターみたいな業務をメチャクチャやっています。なので、自分がやりたいことの軸と、そこからの選択肢はものすごく良かったなと振り返って思っているという事例の紹介でした。

やりたいことにしっかりと耳を傾けてくれる、ありがたい環境

入社して感じたことですが、やりたいことにしっかりと耳を傾けてくれる会社だなと思っています。みんなそれぞれやりたいことがあると思いますが、その必要性が高まりそうな部署が多種多様に存在するなと思っています。なので、いろいろな人にマッチする環境だと思いますし、挑戦できる環境がまさに整っているなと思いました。

これは単なる無茶振りではなくて、サポート環境や頼れる人が存在する状況の中で、手を伸ばせば届くんじゃないかというタイミングで、「じゃあ、やってみる?」みたいな感じで声をかけてくれるので、すごくありがたい環境だなと思っています。

まぁ、就活していると「挑戦できる環境はあります!」みたいなことをどの会社さんもおっしゃるので、「本当かよ」と思う学生さんもいるかもしれません。

そこに関しては、名立たる方々が登壇される中で「じゃあyamasoが発表してみる?」という感じで任せられているというところで証明とさせてください。自分の経験談はそんな感じですね。

まとめ

最後にです。まとめですが、就職も配属もやはり結局需要と供給のバランスなので、居たい場所と求められる場所を一致させることが大事ですし、その一致のために発信し続けることが大事です。自分を求めている場所を見つけて、自分がやりたいことを考えると、夢や野望に向かって進んでいけるし、自分のなりたい姿にも近づいていける。

その発信するために、第1章で紹介したように、自分の関心からいろいろと発掘して言語化していきましょう。友だちや先輩でもいいのですが、聞いて、話して、書いてを繰り返して自分のビジョンを語れるようになりましょう。

“僕たち”が主体となってより良い社会作りをしていきたい

最後に、せっかく登壇させていただいているので、メッセージ的なものも言いたいなと思って、メッセージです。

最近は本当に社会課題解決を始めとして、本当に世の中の根底をITが支えなくてはいけない時代になってきているのかなと思っています。これまでみたいに短期的にスクラップ&ビルドを繰り返して楽しいことをするというIT業界の側面がそのまま残りつつも、別軸で長期的な目線で事業を引っ張っていけるエンジニアの必要性もめちゃくちゃ上がってきているなと、社会人になってからけっこう思うんですよね。

なので、私たちが住んでいるこの社会を維持しつつ盛り上げるために、ちょっと主語が大きいですが、年や属性の近い僕たちが主体となってより良い社会作りをしていきたいなと、僕はずっと夢として思っています。

変革的欲求と最初に紹介しましたが、こういう強い言葉や記号を設ける必要はなくて、やはりその良い部分は残して、変えるべきところは変えていこうというのが、まさにその文化的な活動なのかなと思うので、言うなれば社会をバージョンアップしていけるような仲間をめちゃくちゃ募集しています。

登壇を聞いてくださって、それがきっかけになって、みなさんがやりたいことを見つけて、叶えられるように楽しく活動しているところに、また会えることを僕も楽しみにしています。自分も本当にこれからメチャクチャがんばろうと思うので、ぜひ一緒にがんばっていきましょう! というところを、最後の結びの言葉にして登壇を終えようかなと思います。

みなさん、ありがとうございました。ここからは質問などがあればぜひ話しましょう。以上です。

相手の需要を聞き出すコツは?

司会者:ありがとうございます。それでは質疑などを受け付けますかね。まだ少しだけ時間がありますからね。

山本:はい。質疑応答は自分で拾っていけばいいですかね。

司会者:そうですね。お願いします。

山本:質問を遡りながら見てみましょうか。(コメントを見て)「相手に需要を聞き出したいけれど、それをやっただけで避けられた経験があります」。なるほど。誰に聞いたかはちょっとわかりませんが、いろいろな会社と関わるタッチポイントで聞いてみると、きちんと答えてくれるのかなと思ったりします。こういうタイミングをうまく使っていきましょうという感じですね。

学生時代の勉強法

(コメントを見て)「学生時代に参加していたハッカソンを具体的に教えてください」。そうですね。Hack Uというハッカソンや友人づてで誘われたハッカソンにはけっこう参加していました。

(コメントを見て)「学生時代の勉強はどんなふうにしていましたか」。単純に、演習や実習がけっこう多い学科だったので、そこでいろいろとものづくりをして実践したり、UXデザインやエンジニアリングで学んだことをハッカソンで実際にやったり、作りたいものを作る感じで試していましたね。

ほかにはゲーム制作団体を運営していてゲーム企画もしていたので、エンジニアの友だちと一緒にアプリを作ったり、ゲームを作ったりしていました。

エンジニアリングの能力がもっと欲しいなと就活前に思っていたんですね。いろいろとハッカソンに出る中でご縁があって、Flutterでのアプリ長期開発インターンに参加させてもらったり、UXデザインのところも当時は職業として考えていたので、企業のPX向上とカルチャーデック作成プロジェクトや、ニューカマー向けのノベルティデザインみたいなのにもアルバイトで参加したりなど、いろいろとやっていましたね。

大学の勉強は大学の勉強でめちゃくちゃ貴重だと思うので、わりと積極的に参加していました。

やりたいことができる大学か、それともより良い学歴か

次ですね。(コメントを見て)「大学入試がもうすぐあるのですが、ビジネスとデータサイエンスが混ざっている学科です。『あなたは何になりたいですか?』や『あなたはどんなキャリアを歩みたいですか?』と聞かれた時に、どのように答えるのが適切ですか? AIやビジネスに興味はあるのですが……」。

これはまさに今日の発表を軽く見返してもらって、(スライドを示して)この2軸を深堀ってみて、それが交わるのはどういう事業をやっている会社で、どんな職種に就くことだみたいなことを考えてみてもいいでしょうし、今明確に(やりたい)職種がなくても、後々言語化される職種があるかもしれないので、こういう事業の中でこういう働き方をしてみたいみたいに、内容の言語化をしてみるのがまずはおすすめですね。

「デザインディレクションをしながら作るものを理解した上で、要件を書き出していくPdM」みたいな感じで言語化すると良いと思います。

(コメントを見て)「やりたいことができる大学か、良い学歴を取るかを悩んでいます。アドバイスをお願いします」。これは難しいですね。やりたいことができる大学がいいんじゃないですかね。やりたいことができないというのは避けたほうがいいと思います。

やりたいことがあるなら、やりたいことができるところのほうが良いと思いますが、自分で機会とかを作っていけばどこに行ってもやりたいことができる機会はわりとあるのかなと思うので、それを発見できるようになるのが良いかもしれないですね。

あと3分。(コメントを見て)「自分は柔軟性や実行力があるんですが、視野が狭く計画力がないので事業を引っ張っていけないのではないかと思います。御社には合っていないと思いますか?」。

これはぜひ面接を受けてくださいという感じですが、柔軟性や実行力のほうを活かしていけるポジションを探せばいいんじゃないですかね。例えば引っ張っていくことが苦手だったとしても、スペシャリストとしてプロジェクトを下支えする、ガッツリ支える人。こういう人こそまさに大事だと思うので、その柔軟性や実行力が活かせる働き方をなりたい姿として落とし込む。

そのためにはまず自分の得意なスキルで、〇〇エンジニアになってみるのもいいでしょうし、その実行力とスペシャリズムを活かして、プロジェクトになくてはならない存在になることはできるので、自分の得意なことを活かせるように考えていけるといいと思います。どんな会社でもそういうポジションは絶対に必要性があるので、いいんじゃないかなと思います。

長期的な目線で事業を引っ張れるエンジニアとは?

(コメントを見て)「長期的な目線で事業を引っ張れるエンジニアの事例」。IT業界とは、スキルを基に求められているアウトプットをして、短期的に2、3年で転職を繰り返してしていく、そういうものですみたいな、まことしやかな伝説があるじゃないですか。

社会的な物事をより良くするためには、長期戦になることが多いので、自分のエンジニアリングのスキルや素養を活かしながら「事業としてはこういうふうにやるべきだ」みたいなことを長期的に考えながら引っ張っていける人が、けっこう長い時間がかかるプロジェクトでも、それを最短にできるようにがんばりながら、引っ張りぬけるというか。主体となれるエンジニアだと思います。

パチッと一発ではめなくてもいいので、長期的な目を持って、ゆっくりその理想の姿と得意なことが重なるポイントを見つけていくというか、結び合っていくのが大事だと思います。ということで、最後にします。ありがとうございました。