ニアミーについて

細田謙二氏:ニアミーの細田です。よろしくお願いします。今日は、「交通の最適化で強化学習を使い始めた話」というところで。強化学習というと、みなさんもそうだし私もそうなのですが、「ちょっと難しそう」「使い勝手が悪そう」みたいなイメージがあって。

実際にそういう部分はあるのですが、いろいろ調査をして、最新の技術などをいろいろキャッチアップすると、「案外ワンチャンありかな?」みたいなところがあるよといったところを話せればなと思います。

ニアミーという会社ですが、大きなビジョンとしては地域の活性化を掲げていて、今は地域の移動に関する課題に取り組んでいます。メンバーは今は20人ぐらいです。

私自身のキャリアとしては、大学で機械学習を勉強して、そのあとスタートアップに入って、約10年間ぐらいいろいろなサービスやアプリをしこしこ作ってきました。

ドアツードアの移動に関する課題と、2つの解決方法

(スライドを示して)ニアミーの解決したい課題は、ドアツードアの移動に関するところです。例えばですが、今はちょうどコロナが明けて空港や観光地に人が戻ってきて賑わってきていると思うのですが、そういった中で、逆にタクシーが捕まらなくて移動しづらい問題があったり、あとは通勤などでも混雑があって、そこをうまく避けたいというニーズがあったりします。

あとは交通空白地帯など、高齢化社会の中で移動しづらい人たちが地域の中ででてきているところも課題になっています。他には終電や災害時など、突発的な需要増の時にタクシーが捕まらないこともあるので、そういったところも解決していきたいなと考えています。

これを解決する方法は今は大きく2つあって、ライドシェアみたいな感じで自家用車でうまく運ぶようなサービスを展開するか、もしくはこれは弊社がやりたいことなのですが、タクシーを活用してなるべく多くの人をシェア乗りさせて効率良く運ぶサービスを作っていくという2点です。

日本では後者のほうがたぶん受け入れられるかなと思っているので、そういったところを深掘りしてサービスを開発しています。

シェア乗りサービスの仕組み

実際にどんなサービスを開発しているかというと、同じ方向を行く人同士をマッチングさせて、マッチした人に対してタクシーを手配して、目的地まで運ぶサービスを展開しています。

一言で「バスとタクシーの良いところ取り」と呼んでいるのですが、バスよりも便利でタクシーよりも安いサービスを目指しています。

(スライドを示して)Webとアプリがあるのですが、そのアプリの画面です。これは空港送迎の相乗りサービスの例ですが、注文までの流れを説明すると、自分の出発地を入力して「〇月〇日にどこに行きたいです」と入力していくと、次の真ん中の画面に遷移します。

ここでは目的地までのルートが表示されるとともに、時間をちょっとずらすと他の人が相乗りできる場合はレコメンド画面を出していて、それを選択すると最終確認画面にいって、ここからは先はeコマースで商品を購入するようにクレカ入力して注文してという流れになっています。

注文を行うと、裏側でタクシー会社さんが触る管理画面があって、そこにどんどん注文が溜まっていきます。

特徴的なのは注文が溜まっていくところで、裏側で自動的にどの注文とどの注文がマッチするのが一番良いかみたいなものを考えて、それを自動化して、自動的にシェア乗りの組を作っていきます。

同じ方向で同じ時間帯に近いもの同士をマッチングしていきますが、この裏側のアルゴリズムが組み合わせ最適化問題を解くところになっていて、今はそこをコアにサービスを作っている状況です。

シェア乗りのサービスは昔からやっている会社さんもあるのですが、この作業自体を手作業でやっていて。オペレーションがけっこう煩雑で、1回の配車組で数時間かけてやっているみたいな状況があって。それを自動化できたというところが新しいかなと思っています。

マッチングのアルゴリズム

裏側のアルゴリズムですが、こういった注文のマッチング問題は一般に配送計画問題(VRP)と呼ばれていて、そういった問題を解くかたちになります。これ自体はけっこうツールが揃っていて、我々は「OR-Tools」というGoogleが出しているオープンソースのツールを利用して解いています。

(スライドを示して)このアルゴリズム自体はけっこうヒューリスティックな手法を用いて、泥臭く解いている感じです。これをコアにしつつも、我々の特徴としては、このアルゴリズムをうまく、よりリアルタイムな注文が入ってくる状況の中で適用することを工夫しています。

リアルタイムで注文が入ってきて、かつそれを何時間以内に回答しないといけない状況があって、承認したりキャンセルしたりするようなオペレーションの中で、シェア乗りさせたり・させなかったりみたいなところをがんばって実装しました。

結果的にうまくニーズを捉えて、リリース後は成長できて、今も順調に伸びている状況です。

今も空港送迎をメインに進めていますが、同じ仕組みでいろいろな相乗りサービスを展開できるなと思っていて、旅行向けの相乗りサービスであったり、より地域に密着した相乗り送迎サービスも展開しつつあります。

(次回に続く)