記者からPMに異動した背景

大野択生氏:みなさん、はじめまして。私は朝日新聞社の朝デジ事業センターカスタマーエクスペリエンス部でPMをしている大野択生と申します。

(スライドを示して)スライドに表示しているように、本日は「未経験で自社ニュースサイトのPMになって半年の私が取り組んでいる3つのこと」というテーマで話すので、どうぞよろしくお願いします。

すごいですね。100人ぐらいの方が「わぁ」って、パチパチってやっているので、「わぁ、人が聞いているんだ」って思って……。どうもありがとうございます。拍手までいただいて。緊張しています。よろしくお願いします。

自己紹介を先にしておきます。このイベントの案内には別のタイトルで出していたんですが。私はもともと、弊社で記者をしていました。

2016年に入社してから、主に放送、美術といった文化の記事や、一時期は長野県で地域のニュースを取材して記事を書く仕事をしていました。2022年12月に、希望を出して、デジタル部門に異動して、現職に就いています。

なぜ記者をやっていたのにいきなり異動しようとしたのかという話を簡単にします。

知っている方も多いと思うのですが、今の新聞社は弊社を含め、紙の新聞だけではなく、パソコンやスマホなど、インターネット上でニュースを配信しています。

弊社の場合は1995年にインターネットでニュースを配信し始めて、2011年からサブスク型のニュースサイト「朝日新聞デジタル」を配信しています。

私が入社した頃にはかなりそういうことをやるようになっていたのですが、新聞の記事を出すという今までの流れだと、記者が取材をして、原稿を書いて、それを記事に載せて、個別の記事や報道に対するご意見などを読者の方から投書や電話でいただいていました。

最近ではネットに出すことで、PVなどの数値的な、定量的な指標も見られるので、これをまた記事作りに活かしていこうということでやってきました。

そういった仕事を私もしていたのですが、それをしていくうちに、プロダクト作りをやってみたいなと思って希望を出したわけですね。

半年前の話です。プロダクトを良くしていく仕事をやりたいなと思ったけれど、開発やデザインのスキルはぜんぜん持っていませんでした。

「どうしようかな」と思っていたら、部長が「大野君、PMやってみない?」と。聞けば、プロダクトを使って読者の方の課題を解決する仕事ということで、「あっ、私のやりたかったことなんじゃないかな」「おもしろそう! ぜひやります!」と言いました。

そもそもPMが何なのかわからない状態からのスタート

でも「そもそもPMって何だ?」ということで、進め方もぜんぜんわからなかったのですが、いざやってみると、聞いたこともないチームの役職があって。PMという(表記の)中でも、プロダクトマネージャーなのかプロジェクトマネージャーなのかといったところから……。あとPOですね、プロダクトオーナーだったりと、いろいろな名前が出てきて、どういう関係なのか、役割の違いがよくわかりませんでした。

さらに他チームとの調整。弊社のWebやアプリのフロントエンドを担当するチーム、あるいは認証課金システムをやるチーム、デザインチームやQAをするチームといった他のチームとの調整もいろいろあって、どこから手をつければいいかわからない状態でした。

(スライドを示して)私の担当しているサービスは「コメントプラス」という、朝日の記事に専門家のコメントを表示するサービスです。読者にコメントを表示する仕組みと、専門家が投稿をするための仕組みの両方をやっています。

どの開発から着手するかは、社内のステークホルダーの要望を踏まえて決めます。未経験のPMがやるにはなかなか骨だな、けっこう大変な仕事だなと思っていました。

PMになって半年でやってきたこと 戦況を理解する

(スライドを示して)この半年で私がなにをやっていたかというと、主にこの3つです。戦況を理解する。ボールのあるところに顔を出す。そして自分の状況を理解するということで、どういうことなのか1個ずつ説明していきます。

まず、戦況を理解するというのは、私は未経験の状態でいきなり現場に飛び込むので、まず状況を理解することが必要なわけですね。

自分のチームや他チームのドキュメント、ConfluenceやSlackのやり取りを読み込んで、自分のプロダクトの方向性、朝日新聞デジタルがこれまでどういう開発の方向性でやっていたかとか、開発の体制がどう変わってきたのか知ることを意識しました。

あと競合他社のサービスも日々チェックしています。国内や海外のニュースサイト(のコメント機能だけでなく)、レストランやホテルのレビューサイトなども参考にしています。

(こうしたサイトのユーザーにはお店の)レビューを投稿する人もいれば、そのレビューを見て訪問するか参考にする人もいる(点が、コメントプラスと似ているなと思っています)。似たサービスがどういうふうにユーザーを集めているのかを見ています。

それから、進捗報告の機会があれば積極的にエントリーをしました。毎月月例でチームごとの報告会みたいなものがあると思うのですが、そういう時に「私、やります」と言って発表内容を考えると業務理解にもつながるかなと思い、そういうことをやっていました。

PMになって半年でやってきたこと ボールのあるところに顔を出す

次に、ボールのあるところに顔を出すということです。(スライドを示して)サッカーの絵をここに置きましたが、リアクションがあると「あっ、あの人リアクションくれるな」ということを覚えてもらいやすいとかで……。私は途中から入ってきた者なので、まずチームの人と溶け込むことをかなり意識してやっていました。

あとはSlackなどにいる人で、「あっ、この人おもしろいな」と思ったら1on1を申し込んでみて、雑談レベルのことや担当分野のことなどを聞くと、意思疎通がスムーズになりやすいです。それから、ふだんリモートが多いのであれば、時々出社してみると新しいことが見えてきたりします。

PMになって半年でやってきたこと 自分の状況を理解する

最後に、自分の状況を理解するということです。自分やチームのミッションについて認識合わせをしたり、私はエンジニアの知識などがないので、わからないことを知ったかぶりせず、どんどん恥ずかしがらずに質問したりします。

それでもやはりまだまだできない部分がたくさんあるので、そういう時は自分を受け入れて、PMの仕事がタスクが集中して目詰まりすることもあるので、そういう時は「すみません、助けてください」と言うことをやっています。

PMは日々精進あるのみ

結局、最後は日々精進あるのみということです。とにかくPMの仕事は多岐にわたります。仮説構築や企画を立てたり、あるいはステークホルダーとの利害調整、あるいは上司に報告するなど、いろいろとやることがたくさんあります。

すぐにできることはそうそうないので、ジタバタせず、やれることからやっていく。少年漫画の主人公のように、日々やはり修行をしていくことでしか近づけないということを受け入れて、こういった講演会や勉強会、書籍などでインプットをして実践し、振り返りをするというPDCAのサイクルを回すことが一番大事なのかなと思っています。

ということで、最後に一緒にがんばりましょうということで、特に偉いことをしゃべっているわけではないのですが、一歩一歩、「わたしたちのたたかいはここからだ」と、がんばりましょうということで、簡単ながら今日の私の発表を終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。