登壇者の自己紹介

後藤智氏(以下、後藤):では、始めたいと思います。今日は「ChatGPT」、もしくはAI周辺について、お話をしたいと思います。

モデレーターを務めさせていただく、キリロムでCTOをやっている後藤と申します。よろしくお願いします。それでは、お一人お一人紹介をしていただきたいなと思います。小林さんからお願いします。

小林聡汰氏(以下、小林):小林です。2022年の5月にUCバークレー、カリフォルニアにある大学のコンピューターサイエンス学部を卒業して、現在はシリコンバレーにあるAI系の会社のソフトウェアエンジニアをしています。本日はよろしくお願いします。

後藤:よろしくお願いします。櫻庭さん、お願いします。

櫻庭洋之氏(以下、櫻庭):櫻庭と申します。「zaru」というIDで活動しています。今は、東京のWeb系のSaaS会社でCTOをやっています。個人では「ムーザルちゃんねる」をYouTubeでやっていて、そこでAIや技術にまつわる話をしています。今日はよろしくお願いします。

後藤:よろしくお願いします。輝さん、お願いします。

小酒井輝氏(以下、小酒井):輝です。サンフランシスコの電通イノベーションスタジオでエンジニアをやっています。担当は、インフラ、サーバー、Webのフロント、モバイルのフロント。フルスタックエンジニアという感じでやっています。よろしくお願いします。

後藤:よろしくお願いします。

ChatGPTを触ってみて感じたこと

後藤:みなさん、それぞれ技術にお詳しいとは思いますが、まず率直に、ChatGPTが出てきた当初、触ってみてどのように感じたかをそれぞれお聞きしたいと思います。小林さん、いかがでしょうか?

小林:最初に出てきた時は、いつものよくあるAIの、「すごく声は大きいけど、実際そんなことはない」というプロダクトの1つだとは思っていました。

はっきり憶えているのは、初めてChatGPT使ったのが、初めてアメリカのバーに行く日だったんですよ。バーにあまり行ったことがなくて、正直何を頼めばいいのかがわからなかったので、「初心者にお薦めの」というところで一通り会話をしたのですが、これが思ったよりナチュラルにできて、実際そのバーでの立ち振る舞いも大丈夫だったと思うので、最初の体験としてはなかなか良かったですね。

それ以降もちょっとずつ触ってはいますが、やはり仕事の仕方、プログラミングに対する取り組み方は、ずばり大きく変わったと思います。

後藤:ありがとうございます。櫻庭さんはいかがでしょうか?

櫻庭:僕も小林さんと同じで、最初は懐疑的というか、「いつものやつかな」という感じでした。実際に触ってみると、やはり出来が今までとぜんぜん違って、すごく昔の、Webが牧歌的な、個人のWebサービスがまだまだ通用するような20年ぐらい前のあの雰囲気にちょっと似ているなと思っています。

今はChatGPTに限らず、AIの力を使って、個人のアイデアでなにか一勝負できるみたいな、そういう波を感じています。

後藤:なるほど。輝さんはいかがでしょうか?

小酒井:出てきた時は、チャット形式だったので「何だこれは!?」という感じでした。

僕は2016年からディープラーニングをやっていたので、知り合いの人たちと「これはちょっと違うな」と話していて、これは「Transformer」だというので、それを調べ始めて、これはなんかヤバいぞというので、もうひたすらTransformerを調べまくっていましたね。

後藤:なるほど。Transformer自体が出たのは2017年だったと思います。実際にGPTの1もだいたいそのあたりに出たと思いますが、そういう意味でいうと、輝さんはそのあたりからもう触られていたということですね。

小酒井:いや、ぜんぜん知らなかったですね。

後藤:そうですか。

小酒井:そうです。Googleが作った「Bard」が出ていたのですが、誰も気にしていなかったんですよね。チャット形式のChatGPTが出て、みんな気づいたというのが、やはりすごかったです。

後藤:ということは、そこまではノーマークだったということですか?

小酒井:まったく知らなかったです。

後藤:まったく知らなかった(笑)。

小酒井:「ChatGPT-2は危ないので公開しない」と発表したことで知っています。

後藤:GPT-2はけっこう前なので、けっこう前から知っていたということですか?

小酒井:名前は知っているぐらいでした。

後藤:わかりました。

ChatGPTを使うことでエラーの解決などがしやすくなった

後藤:今、実際にみなさんは業務で使っていると思いますが、ChatGPT、もしくはGPTのAPIを使うことによって、業務がどのように変わったかを、まず小林さんの体験談としていただけますか?

小林:私は、自分たちのプロダクトに組み込むというよりかは、自分たちのやっている内容をより効率的に処理していくという使い方をしていると思います。

例えば今まで環境設定をしていて、コンフィグレーション系のファイルを操作している中で、よくわからない深い沼にはまった時は、ひたすら「Stack Overflow」といったところを探していました。

今は、例えば「こういうエラーが出ています。設定はこういうところを使っています」と投げれば、いいヒントや方向性を示してくれるので、そういったものの解決は早くなりましたね。なので、エラーなどの解決は前よりだいぶやりやすくなったと思います。

後藤:なるほど。Stack Overflowは今、ChatGPTから記事を書くのを禁止にしていますよね。Stack Overflowを使う人自体もけっこう減ったのかなと思いますが、実際、業務でStack Overflowをあまり使わなくなって、ChatGPTに直接聞いてしまったほうがいいなという場面が増えたんですかね。

小林:そうですね、設定だったらChatGPTに投げたほうが早いかなとは最近思います。ただ、先日もSamsungの情報漏洩の事件があったと思いますが、まるまるコピー&ペーストが難しい状況では、やはりまだStack Overflowなり、そういったところを練り歩いていますね。なので、できるところ、できないところで分けて使っています。

後藤:なるほど。わかりました。

壁打ちやコード補完に使うことで効率性が上がった

後藤:櫻庭さんはいかがでしょう?

櫻庭:プログラミングしている中で、変数名やメソッド名など、みなさんもめちゃくちゃ意識して気をつけていると思いますが、いろいろな候補がある中で、どれがどうなのか? みたいな壁打ちするのにけっこう使っています。

候補をいくつか出してくれて、それぞれの英語のニュアンスで微妙に違うところを教えてくれたりするので、そこはすごく効率性が上がったなと感じます。

あとは、GitHub Copilotみたいなかたちで、一段レベルの違うコード補完をしてくれる体験は、従来のコーディング速度を、2倍、3倍ぐらいに引き上げてくれる錯覚がありますね。

後藤:それでいうと、まず1つ。今「GitHub」のCopilotが話に出ましたが、例えば「GitLab」や「GitBucket」など、Gitを収めるサイトが他にもあると思いますが、そういうところは苦境に陥ったとも言えるんですかね。

櫻庭:そうですね。GitHubは、マイクロソフトの資本が入ったことにより、僕の中では、マイクロソフトに生かされているみたいな感覚があります(笑)。すごく影響力が強くなっているので、そういう意味でいうと、他のプラットフォームがけっこう厳しいのは事実かなとは思いますね。

後藤:そうですよね。選択肢として扱いにくくなりましたよね。

モバイルのアプリのコード作成にGitHub Copilotを活用

後藤:輝さんはいかがでしょう?

小酒井:今のGitHub Copilotのネタでいくと、僕はiPhoneアプリを開発しているのですが、「Xcode」を開きながら、そのソースコードを「Visual Studio Code」で開くという、無駄なことをしているんですよ(笑)。

後藤:(笑)。なるほど。

小酒井:GitHub Copilotがモバイルのアプリのコードを書いてくれるのが、すごく便利で助かっています。

後藤:(笑)。

小酒井:これはサーバー系のことなんですが、Copilotがすごいのが、例えばデータベースのデータを取ってくるための関数名を書いてエンターを押すと、下のコードを全部書いてくれて、だいたい合っていることです。

5、6行のコードがだいたい合っていて、「お前はどうしてわかるんだろうな?」といつも思うんです。それぐらい生産性が爆発的に上がっています。

後藤:そうですよね。先ほど櫻庭さんのネーミングに関する話もありましたが、もう「lint」のレベルじゃないですからね。

lintであれば、注意をするレベルだと思いますが、Copilotはほぼ書いてくれている状態なので、さらにその一段上にいっていますよね。

小酒井:そうですね。もっとすごいのは、別のファイルで関数を書いて、違うコードでそれを使おうとして途中まで書くと、それを把握しているようで、書いてくれるんです。どこまで把握をしているのかちょっと不思議なんですよ。

後藤:僕もゲームを作るのにChatGPTを使うのですが、バグも全部把握しているし、どれがプレイヤーでどれが敵だというのも全部把握されているので、本当にお任せしていい感じですね。

(次回へつづく)