小城氏の自己紹介
小城久美子氏:よろしくお願いします。ミノ駆動さんの発表おもしろかったですね。そのあとはやりづらいなという気持ちもありつつ、がんばっていければと思っています。よろしくお願いします。
私の発表のタイトルは「エンジニアが推進するプロダクトマネジメント」というところで、話をしていければと思っています。どうぞよろしくお願いします。
はじめに簡単に自己紹介をしたいと思います。(スライドを示して)私はいわゆるエンジニア出身のプロダクトマネージャーです。女性なのでエンジニアのバックグラウンドがあるということが、なかなか伝わらなかったりするんですが、ミクシィやLINEという会社でエンジニアをやって、「mixi」や「LINE」や「みてね」などのサービスをやっていました。
LINEという会社で「LINE CLOVA」というスマートスピーカーの立ち上げの頃からプロダクトマネージャーをやって、そのあとに、プロダクトマネジメントでいろいろな失敗をしました。
その自分の失敗をいかに「どうすれば繰り返さなくていいのかな」みたいなことを考えていたら、どんどんプロダクトマネジメントの方法論みたいなところに興味が湧いてきて、プロダクトマネジメントの体系化みたいなことにチャレンジをしています。
(チャットを見て)今チャットでも(コメントを)もらったんですが、ミノ駆動さんが2023年に取られた「ITエンジニア本大賞」を1年前に取った、『プロダクトマネジメントのすべて 事業戦略・IT開発・UXデザイン・マーケティングからチーム・組織運営まで』という本を共著で書いている者です。
あとはSlackコミュニティの「プロダクト筋トレ」をやっています。気づいたら(コミュニティの人数が)4,000人ぐらいいて、みんなで「どうすればプロダクトってもっと良く作れるんだろうね」みたいな話をしています。というような人間です。本日はどうぞよろしくお願いします。
(コメントを見て)昨日本を買っていただいた。ありがとうございます。うれしいです。
エンジニア時代に感じていたモヤモヤ
(スライドを示して)私はこのスライドを先ほどのミノ駆動さんのお話のあとに出すのはすごく勇気がいるので直前まで消そうか悩んでいたんですが、ちょっと出してみました。
みなさんに1つ質問があります。エンジニアライフを楽しんでいるでしょうか? 人によっては背中を預け合える仲間みたいな人がいて、すごく喜んでくれるユーザーさんがいて。ただ喜んでくれるだけでなくちゃんと喜んで「すごく良いね」と言ってお金を払ってくれるみたいなところまで喜んでくれている人がいて、もう毎日楽しくて仕方ないみたいに働いている方もいるかなと思います。
私もコードを書いていること自体はすごく楽しくて、エンジニアだった頃は本当に毎日楽しくやっていましたが、やはりちょっとネガティブな感情もありました。
先ほどのミノ駆動さんのお話で「感情に振り回されていきましょう」みたいなものもあったと思うので、「もうちょっとうまくできたかな」みたいな感情をいい感じに活用していければなと思っています。
私がエンジニアだった頃、その頃はまだプロダクトマネジメントみたいな考え方がまだあまりなかったので、エンジニアといわゆる企画の人とのコミュニケーションみたいなところで、自分の中でちょっとモヤモヤすることが多かったです。
自分の主観として「この仕様書は今本当に実装しなきゃいけないのかなぁ」みたいに「納得できないな」と思いながら、「でも仕事だしな」と思いながらやっていたり。けっこうダイレクトな酷いワードになっちゃうと思うんですけど、「これって本当に今必要なんですかね?」みたいなことを言って、議論するのもうまくできなくて、ちょっとぎくしゃくさせてしまったりとか。
こんなようなことをけっこうしてしまったなと思っていて。自分が今と同じ頭を持ったままエンジニアに戻るなら、もうちょっとうまく議論ができたなと思っているんです。
その頃の自分の気持ちをもうちょっと分解をしてみると、「自分がなんでそれが良いと思っているのか」みたいなところとか、「なんでその仕様書がイケてないと思っているのか」をうまく伝えられなかったんですよね。(でも)それを「イケてない」と言っちゃったとして、「じゃあ代替案はあるの?」と言われたら別の代替案を出すとかも無理だしなと思っていました。
あとは、すごくきれいな仕様書みたいな感じで出来上がっているから、今さら「これちょっと良くないんじゃないの?」みたいなことを言うのも申し訳ないと思ってしまって、そのままモヤモヤしながら仕事をしてしまっていたなと思っています。
「プロダクトマネージャー」が出てきたがゆえに起きている“良くない分業”
もし今日そういう(ことに)共感をしてくれる方がいるなら、今日の話を役立ててもらえればうれしいなと思います。今日は「そういう議論をもっとうまくできるようにするにはどうすればいいか」みたいな話をしようと思っています。
というところで出てくるキーワードが「プロダクトマネジメント」というやつですね。
(スライドを示して)向かって左の図から説明をしようと思います。この図はプロダクトマネジメントをかじっている方はめちゃくちゃ見る図だと思います。プロダクトマネジメントといえばまさにこれみたいな図ですね。
これは何かというと、「プロダクトマネージャーという役割はどういう人?」ということを書いた時に、「UXとTechとビジネスという3つのベン図の交差領域にいるのがプロダクトマネージャーですよ」ということを2011年から言われている図になっています。
この図が言っているのは、デザイン部、開発部、あとは企画部みたいな人たちが、企画部が考えたやつをデザイン部がやって、それをエンジニアが実装して、マーケ部がマーケしてみたいな分業制をやるんじゃなくて、ソフトウェアやハードウェアといったプロダクトを作るのは、UXとTechとビジネスの専門家がみんな集まって、全部の交差領域のところで、専門家の意見をちゃんとプロダクトマネージャーがリードして意思決定をしていきましょうという図です。
これがプロダクトマネジメントの根幹にある考えだと思っていて、UXの専門家とみなさん(のような)Techの専門家と、ビジネスの専門家のみんなで、各々のところも交差領域としてお互いのメリット・デメリットをしっかり議論できるようになって、分業制じゃなくて重なってお互いにお互いの技術領域をちゃんとわかった上で意思決定しましょうというのがプロダクトマネジメントの根本だと思っています。
プロダクトマネージャーがここ5年ぐらいでだいぶ市民権を得てきたかなと思っているんですが、そのプロダクトマネージャーという、(右側の図を示して)この真ん中の交差領域の人が出てきてしまったがゆえに、本当は被っていなきゃいけないのに、最近はこのプロダクトマネージャーさんだけがノリになっていて。UXとTechとビジネスが離れたままになって、プロダクトマネージャーさんががんばって引っ付けているみたいな感じの、良くない分業になってしまっています。
あとは、そもそもこのプロダクトマネージャーがいなくて、UXとTechとビジネスの人が分かれたままになってしまっていることがあるんじゃないかなと思っています。そうすると、重なっていないのでTechの考え方とUXの考え方とビジネスの考え方が交わらないので、うまく議論ができなくて、私がもともと感じていたモヤモヤみたいなところで、「もっとUXがこうなるといいのにな」みたいなところをUX領域の人とちゃんと議論できないみたいなことが起きてしまうなと思っています。
なので理想としては、プロダクトマネージャーがプロダクトマネジメントをやるんじゃなくて、今日はエンジニアさんに話すのでエンジニアだけを大きく書いたんですけど、プロダクトマネージャーとエンジニアとデザイナー、ビジネスの人みんなでプロダクトマネジメントチームを作りましょう、と。プロダクトマネジメントチームでプロダクトマネジメントをするのが、すごく理想的だと思っています。
PMだけがプロダクトマネジメントをやるのは絶対止めたほうがいいことだと思っていて。PMはこのプロダクトマネジメントチームをリードするのが大事な役割だと思っています。
という意味で、今日はエンジニアさんにたくさん来てもらっていると思いますが、エンジニアさんにもプロダクトマネジメントを推進してもらいたいと思っています。
その推進をするために、今日のゴールとしては、プロダクトに関する議論をよりうまくできるようになるために何か持ち帰ってもらえるものがあるとうれしいなと思って、いろいろしゃべっていこうかなと思います。
本セッションのお品書き
(スライドを示して)このあと私は30分ぐらいしゃべるんですが、お品書きとしてはこういうことを予定しています。まず前半で「ゲームのルールを理解する」と書いたんですが、いきなり「プロダクトマネジメントを推進してください!」と言われても、何が大事な考え方なのかみたいなものがわからないと、進められないと思います。
なので、プロダクトマネジメントがどういうことが大事なのかみたいなことを、私がエンジニアからプロダクトマネージャーになった中で、「このスイッチが必要だったな」と思うものを4つ紹介しようと思っています。そのあとに、「プロダクトマネジメントをエンジニアさんが推進するためにこう動くとどうでしょうか?」みたいな提案を3つするという流れでいこうかなと思っています。
(次回につづく)