手間やコストをかける上で壁はなかったのか?

反中望氏(以下、反中):週3回お店を訪問するとか、チームメンバーが現場にしっかり出向いたりとか、ある意味、手間やコストをかけてやるんだと、言うのは簡単で、やったほうがいいよねという話だと思うんですけど、例えば柴田さんが、「本当にここまでやるべきなんだっけ?」みたいなところで葛藤したり、あるいは社内から「そこまでコストかけるべきなんだっけ?」みたいな抵抗や壁はなかったんですか?

柴田直幸氏(以下、柴田):やり始めてからは正直あまりなかったのですが、やはりやっていく上での反対というか、どちらかというと、「今、本当にそれをやる必要があるのか?」ということを検証をはじめる前に経営陣とけっこう議論しました。

やはり、お客さんがこういうことに悩まれているので、新しくこういうことをしたいですというのは、元々経営陣と約束していた業務内容にはなかったことなので、既存の業務もきちんとやる中で、余剰の時間をこれに当てていったんですよね。

なので、どう既存の業務を圧縮するかに頭をけっこう使ったというか、「100でやると言っていたことを70の労力でやったんだから、30は好きなことをやっても影響ないですよね?」という状態に持っていったというところがポイントだったかなと思っています(笑)。

反中:やはり認識としては、30は現場にきちんと入り込むことにフォーカスしないと絶対うまくいかないと、けっこう確信としてあった感じだったんですか?

柴田:そうですね。でも確信というよりは、そっちのほうがいいだろうなと思っていたのと、ほかのメンバーも巻き込んでいたので、メンバーにもいろいろなことを体験してもらいたかったんです。仮に失敗したとしても得られるものは大きいなと思っていたので、迷ったらなるべくチャレンジするということを、チームとしてやっていきました。振り返りは後からいくらでもできるので、とりあえずやってみるというか。失敗しても、最悪プロダクトを作らないという意思決定をするだけなので、そこの線引きをして、「じゃあ、そこを越えないようなチャレンジってどういう取り組みなの?」と考えました。

それこそ、事前に、検証ポイントを絞っていた関係もあったので、それに準ずる開発だったら好きにしていいよともともと言われていたんです。

言葉を選ばずに言うと、「当初握った範囲の中でしか、僕たちは遊びません」と(笑)。

(一同笑)

柴田:なので、「この遊び場を越えない限り、好きに遊びます」というものを作りにいったというところが大きいですね。

「リサーチしすぎないことは大事」

反中:遊びみたいな話がありましたが、ある意味、新しい体験を作りたいという、仕事だけじゃない熱意みたいなものに裏打ちされて動いているんだなと思います。

徹底的に現場に入るのが大事だと言われる中で、それができる人、組織、チームと、なかなかできない人、組織、チームがあると思いますが、そのあたりの差分を、外から見てどう感じるんでしょうか?

安藤昌也氏(以下、安藤):大きな違いがありますよね。まず、今、「そっちのほうがいいだろうな」とおっしゃったのがすばらしいなと思いました。

(一同笑)

安藤:「リサーチしなきゃ!」って力を入れて、やることは大事だと思うのですが、目的はリサーチではないわけです。

プロダクトを良くしていくこと、仮説を検証して磨いていくことに目的があるわけで、きちんと動くプロダクトにするために現場が必要なんだというところが、今のお話を聞いていて私が一番グッと来たポイントです。

私は、人間中心設計やUXデザインをやっているので、いろいろな企業、特に製造業の大手の企業などにUXデザインを導入したりしているのですが、どうしても「やらなきゃ!」という話になってくるんですね。

安藤:いや、やるのはいいんだけど、「じゃあ、そこで何をするの?」という次の問いがすぐやってくるわけなので、そもそもそれを先に議論したほうがいい。そこがはっきりしているというほうが、私はすばらしいなと思います。

だからこそ、現場での検証活動というか、お客さんとのコミュニケーションを含めた活動がうまくいったんじゃないかなと思いました。

反中:確かに、「リサーチをやらなきゃ」みたいな、頭で考えてやらなきゃみたいなシーンって、けっこう目にすることがありますよね(笑)。

そうじゃなくて、プロダクトとしていいものを作りたいとか、先ほど言っていたような、飲食店の課題を解決したいというのが先にあって、そのためには現場を見たほうがいいに決まってんじゃんという感じで、ある意味自然に動いている。それが、柴田さんがうまくいったポイントなのかなって思いましたね。

柴田:往々にして新しいプロダクトを作っていくとなると、リサーチが必要になるのは当然かなと思いますが、リサーチしていくと、「やらないほうがよくないか?」みたいなケースもけっこうありがちだなと、個人的には思うんですよね(笑)。

(一同笑)

柴田:ネットなどに出ている情報を断面でカットした時にはわからない、別の課題があったり、そもそも課題が知られていなかったりするなと思った時に、まずは、5クライアントぐらいに使ってもらえるプロダクトをきちんと作っていくというところが大事だと思います。

だって、リサーチも下手したら何千万とかかかるわけじゃないですか。だったら同じコストを使って、5クライアントぐらいで試して、「ダメだったね」とか言って、その後で、プロダクトを作ってみたら勝ち筋になりそうだとか、どういうのが提供価値になってくるかというところからリサーチをすると、どういう切り口だったら、勝っていけそうかが見えてきたりします。

なので、リサーチしすぎないことも大事だなって……今話して思いましたね。

(一同笑)

反中:確かに。いいですね、リサーチしすぎない(笑)。

「なぜやるのか」という大本の意義を最初に定義することが大事

反中:今聞いていて、今回の案件の秀逸だったポイントというか、学びのポイントは何かなと思った時に、やはり、「リサーチしすぎない」というキーワードだったり、「もうやったほうがいいじゃん」みたいなところから始めるというところにつながるのかなと思います。

「最初に机上で考えて、しっかりリサーチして、作る」というプロセスではなくて、今回は最初に構想したら、作りながら調べていくということをたぶんやっていて、「作る」と「調べる」を、同時にやりながら良いものにしていくというプロセスが、すごく良かったのかなと。

結局、作って出して、使ってみると発見があって、それがリサーチ以上の学びになってくるみたいな、循環が回っていくというところなのかなと思います。

それは今回に限らず、いろいろなケースでも学んでいけるところなのかなと、個人的には思いました。

安藤先生、いかがですか?

安藤:いや、本当にそのとおりだなと思います。

今回の場合は、むしろやりたいことが明確だったと思いますが、さりとてその中で一番越えなければいけない、体験を実現するために越えなきゃいけない部分を、検証する中ではっきりさせようとしてこられた。

その検証すべき仮説をいつも考えながら、しかもミニマムで、必ずここはやろうと合意しながら進めてこられたところがポイントだったのかなと思いました。

反中:ありがとうございます。柴田さん、あらためてこの案件を振り返った時に、話してみてわかったことはありますか?

柴田:安藤先生からもお話がありましたが、やはりリサーチが中心になるとか、その後、往々にして「何をやるんだっけ?」となることがあると聞くと、やはり、「そもそもなんのためにやるか」だったり、「なぜやるのか」という大本の意義をきちんと最初に定義していくことが、やはりすごく大事だと思います。

結局そこがないと、「とりあえずリサーチしよう」「とりあえずUXっぽい取り組みをしよう」みたいなところで終わっちゃうんだろうなっていう。

柴田:いわゆる課題設定というところがやはりすごく大事だなとあらためて思いました。

反中:ありがとうございます。

本当にやるべきことは何か? 本質を追究するための土台を作ることが求められる

安藤:やりたいことは、本質的な問題の解決だと思うので、そこにしっかり取り組むために、社内のコミュニケーションや、関係者とのコミュニケーションがすごく重要になるかなと思いますね。

反中:先ほど安藤先生が、人工知能が発展する中で、いかに人間としてあるべきかという話をされていましたが、人工知能も、まさに「ちょっとかっこいいから」とか、「こっちのほうがいいじゃん」と、みんな取り組みがちなものの最近の例かなと思うんですけど。

安藤:そうですね。結局トレンドになっていますからね(笑)。

(一同笑)

安藤:そうなりがちですが、今のところ私が感じているのは、人工知能であろうと、そうでなかろうと、結果的にそのシステムの導入によって本質的にやるべきことがあきらかにされてくるんだと思います。人工知能のシステムの導入によって、人々の認識がどう変わっていくかというと、本当にやるべきことに帰っていくんだと思うんですね。

例えば飲食店の場合、接客することが当たり前だと思っていたけれど、たとえばシステムで接客が代替できたとした時に、人は空いた時間で私たちはお客さんに対して何ができるんだろうって、そこが初めて考えられるようになる。そこからが本当に大事。人工知能にしろシステムにしろ、導入した後のほうが本当は大事。

今までのシステムの提供の仕方は、「便利な道具があります、どうぞ」で終わりでしたが、そういう認識を変えて、変質していく。つまり本質をその人たちが追求できるようにしていく土台までを一緒にサポートして作っていってあげることが求められているし、それができる企業が、より一層信頼を獲得できていくんだろうなと思っています。

反中:確かに。それを見極めるためには、実際にプロトタイプでもなんでも作ってみて、試してみて、「あぁ、これがあると次、こんなことができるんだ」みたいな発見をしていくことが必要なんだろうなと思います。

リクルートの強みは「徹底的にやること」

反中:さて、そろそろお時間となってきましたので、締めに入っていければと思っています。個人的には、新しい体験を作る時には、やはり現場に入って、現場で何が起きているか、課題をきちんと特定する。当たり前ですが、そこがスタートだと思いますし、そこを大事に思って、きちんと工数、手間、時間をしっかりかける。やり方も、その都度その都度しっかり考えることがすごく大事なんじゃないかなと、今回お話をしながら感じました。

安藤:FORUMで審査させていただくといつも驚きばかりなのですが、今回は特に体験という、私も専門にしているところだったので、非常に楽しくうかがえたなと思います。

やはりリクルートの強みは、「徹底してやるんだ」というところ。リクルートらしさは、そこだなと思いました。先ほどおっしゃっていましたが、営業も含めて、現場に実際に行けて、そこでしっかり向こうの方と関わりながら仮説検証してプロダクトを作っていける、それを実践しているというところがすばらしいなと思って、あらためて感心したところです。本当におもしろかったです。

反中:ありがとうございます。柴田さんはいかがですか?

柴田:業界的にはどこも人手不足な中で、「ただITツールを作って既存の業務に入り込みます」という考え方から、徐々に、既存の業務をソフトウェアに移行しつつ、新しい業務を作っていくという、いわゆる新しい仕事を僕らのサービスを通して作っていくというところが、これからリクルートとして取り組むポイントだなと。今日出てきている事例を見ると、やはり、なにかを変えていくことに対しては時間もかかるし、繰り返し泥臭くやっているところもある。リクルートはIT企業と言われていても、どこまで行ってもITにも泥臭さが必要というか。

(一同笑)

柴田:結局スマートに、表面上きれいにやろうというより、泥臭くお客さんのところまで行ったり、泥臭く理想を描いていったりというところで、それを会社も評価するというのは、いいポイントだなと、思いました。

反中:確かに。ありがとうございます。

最後に安藤先生。今回の案件の話や、実際、FORUMでも見ていただいている中で、リクルートへの今後の期待など、一言いただければと思います。

安藤:今やリクルートは、データ活用が最も進んだ会社の1つだと私は認識していますが、やはりデータを活用する裏には、人とのつながりとか、事業をしっかり見ていくといった活動があってこそのことだと私は感じています。

ぜひ、これからもみなさんの活動で、新しいサービス、新しい出会いを作り出していっていただきたいなと期待しています。ありがとうございました。

反中:ありがとうございます。安藤先生からもメッセージをいただいたところで、今日のセッションはこちらで終了とさせていただければと思います。安藤先生、柴田さん、ありがとうございました。

安藤:ありがとうございました。

柴田:ありがとうございました。

飲食業界におけるさまざまな要望をどうやって共通的に解決しているのか?

司会者:みなさま、いかがでしたか? それではここからは、パネルディスカッションに参加していました、反中さんと柴田さんにも加わっていただき、みなさまからいただいた質問に答えていきたいと思います。

反中さん、柴田さん、よろしくお願いします。

反中:お願いします。

柴田:よろしくお願いします。

司会者:1点目です。「飲食業界から、実際にDXを導入したいという要望はよく出るのですか?」といただいていますが、柴田さん、いかがでしょうか?

柴田:そうですね。やはり僕らもお取引上、すごく多くのお客さまとお話をしていく中で、人手不足だったり、なにかしらのITツールを入れたいというお声はけっこう多いです。

その悩みは、決済周りだったり、注文の部分だったり、受付の簡素化だったりで、どこをIT化していきたいかは、多種多様ですが、どこかしらはしていきたいという要望はけっこういただきます。

反中:個別の要望っていっぱいあると思いますが、それを1個1個解決するのではなくて、プロダクトである程度共通的に解決していくのが仕事でもあるじゃないですか。

共通化して、いろいろな要望をまとめて、こうやって解決できるみたいなものを見つけるのはどうやってやるのかなと思って。

柴田:例えば、Aのお店、Bのお店にはそれぞれこういうオペレーションがあるから、それに合わせたプロダクトを作ろうとなると、それこそ何万店、何十万店、飲食店分のプロダクトが必要になると思います。

やはりある程度、「こういう使い方だったら」とか、「これ(プロダクト)に業務を合わせられますよね」というかたちで、プロダクトに業務をどんどん寄せてもらう中で、飲食店としては大事にしたい部分は残しつつも、そうじゃない部分を共通的ないわゆるシステムに置き換えてもらっています。探しどころというか、「ここは共通化してもいいよね」というところをやっていますね。

反中:なるほど。おもしろいですね。それを見つけるために、1つに入り込んで、見つけて、探していくという感じなんですかね?

柴田:そうですね、本当にそのとおりだと思います。

他業界を参考にするためにナレッジシェアを活用

司会者:ありがとうございます。では2点目、いきますね。「プロダクトを作る上で、ほかの業界、今回であれば飲食業界以外なども参考にしますか?」といただいています。参考にされましたか?

柴田:そうですね。やはり本当に日常がすべて観察というか(笑)、それこそ、今回のケースは、旅行業界を参考にさせてもらっていますが、いろいろな業態でDXが進んできているのを見ると、それを自分たちの業界にどう持ってこられるんだっけと参考にすることはあります。

完全に同じものを持ってくるのは難しいと思いますが、「近いエッセンスってこうだよね」とかそれこそ、例えば髪を切るという体験の中からでも、「ここらへんは、もしかしたら自分たちの業界にもフィットできるかも」とか、けっこう見ているので、本当に日々いろいろな業界を見ながらやっていると思います。

反中さんは、どうですか?

反中:日々の自分の体験から学んでいくこともありますし、リクルート社内でのいい事例を全社に展開するFORUMなど、社内で、他業界を参考にするための事例共有が1つの手段として定着しています。

旅行業界の案件もFORUMで選ばれていますし、いろいろな業界のこういうことを取り組んだという事例を共有する時に、ある程度ほかの業界、ほかの領域でも使えるように、ここがナレッジポイントなんだよときちんと咀嚼して伝えるところにもかなり力を入れています。

うちはすごく幅広く事業をやっているので、ナレッジシェア、情報共有でその強みを活かしているのかなと思います。

司会者:反中さんはナレッジシェアを推進されているので、汎用的なナレッジをいかに多く現場から吸い上げるということにすごくこだわられていますよね。

Howに飛びつくのではなく「どうしたら解決できるのか」を一緒に考える

司会者:では、3番目の質問ですね。「最初から新しい働き方や体験を作ることを目指していたのか、飲食店の方からお話を聞く中で、そう思うようになったのかを知りたいです」ということです。

柴田:個人的にはやはり後者ですね。僕がどんなに「これが便利だ」とか「これがものすごいスマートだ」と言っても、飲食店の人からそっぽを向かれたらそもそもそのプロダクトは結局自己満足でしかありません。

要は、やはりお客さんと話していく中で、どこに課題があるのかをけっこう見ているので、後者かなと思います。

一方で、最近どの業種のお客さんと話していてもそうなのですが、どう解決していくと、答えが出るのかという、いわゆる答え自体を自分たちが持っていないケースがすごく多いです。

課題はあるし、解消したいんだけど、どうやってそれを解消すればいいのかがわからないとか、やってみたいんだけど、なかなかうまくいかないというところが、けっこう各業種に出てきている感じがしています。

なのでどちらかというと、Howに向き合うというよりは、「その課題って、どうすると、より解決できるんだっけ?」とか、「新しい業務に対して組み込むと、ほかの課題とセットで解消できるんだっけ?」というところを見ている感じですね、僕の場合は。

司会者:反中さんは、いかがですか?

反中:いや、僕は聞いていただけなので、アレですけど(笑)。

(一同笑)

反中:でも本当に、対談の中でもけっこうしゃべっていましたが、やはり課題に向き合うというところが特徴的だなと思っています。

「課題に向き合う」のところは、先ほど言っていたように、Howに飛びつくんじゃなくて、この課題をつかまえた上で、「じゃあ、どうしたら解決できるのか?」を一緒に考えるというか。一緒に模索しながら考えていくということをやっているんだろうなと、すごく思いました。

司会者:本当は何に困っているのかというところで、もしかするとお客さんが気づいていないところも一緒に探りながらやっているということですね。

反中:そうですね。

司会者:わかりました、ありがとうございます。

仕事における原動力は「この課題を解決するとお客さんが喜んでくれそう」

司会者:まだお時間があるので、数問いきたいと思います。

「目的意識やチームの巻き込み力がすごいです。モチベーションの源泉が知りたいです」。知りたいです(笑)。

柴田:僕自身は、やはり「仕事をしている中で、どういう時が一番テンション高いか」に近いかなと思います。

社内で仕事をするよりも、お客さんと話しているほうがいいとか、初対面のお客さんは、「こういうこと困ってんだよね」と話してくれない、心を開いてくれないケースが多いと思いますが、「実は本当はこういうことに困っていて」とか「こういうふうになったらいいよね」と話をしてくれる中で、二人三脚で歩めそう感が出ているところとか。

実際、社内での起案をしている時もそうですが、これができたらこの店舗は使ってくれるんだろうなという、お客さんと近いがゆえに、この課題を解決するとお客さんが喜んでくれそうだな、というところがやはり大きいです。

僕は、自分の給料を上げたいというよりは、やはりお客さんと一緒に課題を見つけて、自分たちとお客さんが一緒に解決したものが世の中に出ていくというところが、やはり一番のモチベーションになっていると思います。

反中:前の対談の中でも言っていましたが、このプロダクト、『来店ディスプレイ』って、誰にも頼まれていないですもんね。

柴田:そうですね。

反中:別に事業計画にも入っていないのに、自分でやりたいと言って、起案して、どうにかしてやり方を見つけるというところで、本当にそこを原動力に進んでいるんだなと思いました。

柴田:そうですね。上から言われてやり続けるというよりは、やはり自分の内発的動機というか、やりたいと思えたものだったからがんばれたというのが大きかったかなと思います。

「プロダクトがきちんと使ってもらえるか」を重視して足繁くお店に通った

司会者:では、ラスト1問いきたいと思います。

「飲食店での実地調査でやったことを知りたい。アンケートやインタビューなど、ユーザーへの直接的な評価の収集は行いましたか?」

柴田:今回は、大々的にすごくたくさんの飲食店にアンケートを取るというよりは、まずは今回のプロダクトを作ったところで、きちんと使ってもらえるかを重視していました。

その飲食店が使ってくれるか、使ってくれないかというところが、小さいものを作っていく時にはすごく大事だなと思っていました。

インタビューみたいなところでいくと、VTRの中にもありましたが、週3回くらいお店に行って、朝は店長と話したり、「実際にバイトの子は、このプロダクトをどう思っているんだっけ?」というところから聞きました。

店長はプロダクトの導入に肯定的だけど、実はバイトは使いにくいと思っているところがある、というようなケースで、今回は足繁くお店に通うことしか実はしていない感じですね。

反中:単純にインタビューをしたり、アンケートで聞いたりするのではなくて、実際に物があって、それを本当に使ってくれるのかということ自体が一番のインプットということですね。嫌だったら使わないし、それが本当に言葉や意見よりも、本質を表していると思います。

柴田:そうですね。おっしゃっていたように、すでにあるものは想像がつくというか、見たことがあるものについて聞くだけであれば、別にわざわざプロダクトを作る必要はないと思っているんです。

今回の件だと、新しい業務や、まだまだ業界的に浸透していないものを「できる」と証明しなきゃいけなかったところもあったので、実際きちんと作るというところはすごく大事にしたポイントかなと思います。

司会者:ありがとうございます。本当はまだお答えいただきたいところではありますが、お時間になりましたので、QAコーナーを終了とさせていただきます。みなさま、たくさんの質問をどうもありがとうございました。