プロダクトマネジメントによって得られる4つのもの

及川卓也氏(以下、及川):(スライドを示して)では、何がプロダクトマネジメントによって得られるのかというと、主にここに書いてある4点です。

今の時代はお客さんが求めているものが「暑いから何か涼しくなる扇風機がほしい。技術が進化したからクーラーがほしい」(という)ような(わかりやすい)時代ではありません。ビジネスユーザーもコンシューマーユーザーも、とりあえず物には充足している状態で、でもいろいろ課題があり、本人さえ(欲しいものが)わからない(状態)です。

それをうまく発見してくる。そういったことを行うのがプロダクトマネージャーだし、あとはそういった課題に関してイノベーティブな、クリエイティブなソリューション・解決策を考えつくのも、プロダクトマネージャーを中心としたプロダクトチームが行うことです。実際にお客さんに対してユニークな独自性のあるバリューを提案するのも、プロダクトマネジメントです。

でも、こういったものは課題にしても解決策にしても、あくまでも仮説に過ぎません。いかに今の不透明の時代の中で、これが本当に顧客に求められているものかを検証する必要があります。実際に顧客に求められているものだと判明、検証できたとしても、顧客は移り気であり社会の変化は激しいので、常にその仮説が正しいのかを検証し続けなければいけません。この仮説検証を行うための組織や考え方を持つこと自体が、プロダクトマネージャー、マネジメントによって行えることです。

こういったことを通じて、プロダクトの飛躍的かつ継続的な成長がプロダクトマネージャーによって行えることになります。

プロダクトマネージャーに必要なスキル

(スライドを示して)では、このようなプロダクトマネージャーにどんなスキルが必要か。プロダクトマネージャーに限らないのですが、土台があり適切な養分があれば、人材は育っていく、育成されていくと考えることができます。

パーソルとエクサウィザーズと私どもTablyでこのような土台や素養や養分を考えました。

心持ち、マインドセットのようなものを含めて素養だと考えています。

次に基礎力で、簡単にいうと小中学校の算数・数学がわからない人が、そのあとにいくらやる気になって大学受験して理工系の学校に行こうと思ってもなかなか難しいのと同じように、まずは基礎的な知識なりスキルなりが必要だろうと。(そういう意味で)「基礎力」と書いています。

今知識とスキルを混ぜて言っちゃいましたが、その上にいわゆる「知っている」レベルの知識があり、(その次に)それを実際に使いこなせるというスキルに昇華していく。この4段階があるのではないかと考えています。

これは一種の2階建て構造になっていて、素養や基礎力の一部はいわゆる1階の部分で、しっかりと持っていなければいけません。これは多くの日本の企業に勤めている方々は、当たり前のようにみなさん持っているものです。日本人の基礎力・潜在力は非常に高いのでこれを持っています。

その上に知識として身に付けるもの、さらにそれを組み合わせて実際に使えるようにするところが2階建ての一番コアな部分になります。(スライドを示して)よくプロダクトマネージャーとして必要と言われるビジネス、UX、テクノロジーやチームをマネジメントしていく部分、さらにそれらを組み合わせて実際に使えるスキルをここでは6個ほど書いてあります。こういったものが必要であろうと考えています。

プロダクトマネージャーを目指すためのロードマップ

(スライドを示して)では、こういったプロダクトマネージャーを目指すためにはどういうロードマップを組めばいいか。今の2階建て構造のところで話したように、ビジネス、テクノロジー、UX、さらにはチームを率いていくという3つ(のこと)プラス1つの全部で4つのものが必要であり、これは非常に幅広い知識、幅広い理解が必要になります。

(スライドを示して)一つ一つは説明できないのですが、先ほどお話しした組み合わせる部分も、ザーッと文字面を読んでもらうとわかると思います。

構想する力とエグゼキューション、実行する力の2つに分かれていて、戦略立案、顧客理解、発想、実現、仮説検証は先ほども出てきたところです。あとはチームといったものがあります。

先ほどの4つの知識から6つのスキル(に)というかたちでうまく知識からスキルに昇華させ、さらにスキルを身に付けたところで必要なものが見つかったなら、知識として展開していくことが必要です。

こういった、例えばこの4つの知識と6つのスキル、さらには素養力も含めて、一番大事なのはまず4つの知識や6つのスキルにはどういったものがあり、どういったレベルのものが自分や自分たちの組織に求められているかをしっかりと決める必要があります。次に自分自身をしっかりと振り返ってみて、自分と実際に求めるものにどれだけのギャップがあるかを理解しないといけません。

そこのギャップが理解できたならば、それをどのようにして埋めていけばいいかを(考える)。今はたくさん方法論があるし、まだ英書のほうが多いですが書籍もたくさんあるわけですが、まずは自分をしっかりと客観的に理解することが必要です。

プロダクトマネージャーのスキルを可視化するアセスメント「DIA for PM」

今回(のイベントの関係会社である)エクサウィザーズとパーソルと私どものTablyというところで、このセミナーをやっている理由もそうなんですが、まず「自分を理解する」というところで日本初の(プロダクトマネージャーの)アセスメントを用意しているので、この紹介もさせてもらえればと思います。では北林さん、お願いします。

北林氏(以下、北林):はい。及川さんありがとうございます。エクサウィザーズでプロダクトマネージャーを担当している、北林と申します。よろしくお願いします。先ほど(お話に)あったとおり「DIA for PM」の紹介を簡単にできればと思います。

(スライドを示して)DIA for PMですが、プロダクトマネージャーのスキルを可視化するアセスメントです。実際に弊社のレポートの画面を見てもらうとわかりやすいのかなと思って、今日は用意しています。

まず、先ほど及川さんからあったとおり、このプロダクトマネジメントのスキルは、6つのスキルがあったと思いますが、この6つのスキルとあとはそれぞれ13の中スキルで、例えば戦略立案力でいうと環境分析、戦略・ビジネスモデル。顧客理解力でいうとターゲットのペイン・ゲイン、ユーザー体験の設計のように、体系的に整理をしています。

アセスメントですので、それぞれの尺度に対して受験するとスコアが出てきます。1.0点から7.9点まで出てきますが、例えばスコアがこの1.0点から3.0点だと「まだこれからの学習が必要なレベルですね」と。スコアが3.1から5.5では「基本的な知識を理解しています」と。スコアが5.6から7.9だと、この「基本的な業務を遂行できるレベル」で、要は一人前のプロダクトマネージャーとして求められるレベルです、というように、スキル・知識が可視化されます。

このスキルだけではなくて、先ほどのスキルの、ビジネス、テクノロジー、UX、そして真ん中にチームがありますが、これもスコアで測ることができます。

プロダクトマネージャー用ですので、プロダクトのフェーズで、0→1、1→10、10→100に対してどれぐらいのスキルがあるのかを見ることができます。

右側はリーダーシップスタイルで、その方が委任型なのか牽引型なのか、それとも協調型なのか主張型なのか、リーダーシップのスタイルがどこにあるのかを可視化できます。

最後に素養で、先見性から柔軟性まで6つの素養を定義していますが、これもどのぐらいの素養があるかを見ることができます。こういうかたちでプロダクトマネージャーのスキルを可視化できるプロダクトになっています。

続きを少し紹介すると、このアセスメントは工夫されていて、(それが)統計/AIを活用した高いスコア精度(が採用されている)というところです。例えば小学校の国語のテストは100点満点で全員に対して同じ問題が出て配点が決まっていると思いますが、このアセスメントは受検者の設問に対する回答状況によって次の設問が変わってくる、適用型といわれる方式を採用しています。

それによって受検者の実力を精緻に測定するモデルを採用しています。

先ほど及川さんからもあったとおり、及川さんのTablyさんと片岡さんのパーソルさんに協力していただいて、3社共同で作ったアセスメントです。

実はアセスメントはたくさん導入しているのですが、アセスメントするだけ、要は可視化するだけではなくて、そのあとの育成まで提案してくれよというところで、我々は今「PM eラーニング(β版)」として展開しています。

(スライドを示して)というところで、簡単に紹介します。全体像ですが、あくまでe-ラーニングなので、いきなりレベル3の一人前(を目指す)というところではなくて、その一歩手前のレベル2までしっかりと知識を付けてもらうe-ラーニングになっています。

そこから一人前になるためにはアウトプットを伴う、例えばワークショップやOJTでしっかりとやっていかないといけないと思っているので、あくまでこの一人前の一歩手前までを支援させてもらうようなかたちになっています。

3つの特徴を簡単に言うと、まず我々はただ育成のコンテンツを提供して終わりではなくてアセスメントがあるので、誰に・どういう育成をすればいいのかが足元でわかるようになっています。

特徴の2番目として、先ほどのようにプロダクトマネージャーに共通して必要とされる6つのスキル、13つの中スキルみたいなものをベースにして、それを上げていくためにはどうするのかというコンテンツをラインナップしています。

あとはコンテンツの中身です。実は今回の最後のほうに紹介するのですが、Udemy Businessの数あるコンテンツの中から本当に良質なコンテンツを厳選して最初は提供しているかたちになっています。

このように各スキル、中スキルに対してこのUdemy Businessのコースリストから、今は全31コースで約120時間ぐらいありますが、このコースリストを提供して、アセスメントをして自分の強み・弱みをちゃんと理解してもらって、そのあとに育成をしていくかたちで今は価値提供をしています。簡単ですがDIA for PMの紹介です。

及川:北林さん、どうもありがとうございます。では私の話は以上です。