親が納得しないんだったら「あぁ、そうすか、それで?」でいい

司会者:では次は、どれにしようかな。ひろゆきさんもなにか気になるものがあったら、ぜんぜん触れてもらって大丈夫です。

ひろゆき氏(以下、ひろゆき):はい、了解です。

(コメントを見て)「ひろゆきさんに質問です。発達障害テストで、理系脳、高IQ処理能力、人間の中で高スペック、CPU、視覚優位軽度ASDと判明。今さら研究職に就けないが、半年あればプログラマーになれると言われました。支援職に就きたい気持ちもあります。ひろゆきさんのご意見を聞きたいです」

やってみたら(笑)? 「プログラムに向いているかどうかわからないんですけど、どう思いますか?」みたいな人ってけっこういるんですけど、僕はとりあえず『とほほのWWW入門』でHTMLを書けるようになってみろってアドバイスを必ずしているんですけど。

HTMLが書けるような人は、だいたいエンジニアになれるので、とりあえずHTMLを書くところから始めてみるといいんじゃないかなと思います。

司会者:ありがとうございます。次の質問です。けっこうこれ系の質問は何回かいただいているんじゃないかと……親御さんとの関係みたいなところで、「親との価値観がズレています。なかなかコミュニケーションが取れずに苦労しています。今後のひとり暮らしでも不安です」というところです。

キャリアの中で、親がいろいろ言ってくるという方はけっこう多いと思うんですが、どう思われますか?

ひろゆき:二十歳を超えていたら、親を説得する必要はないんですよね。なので、自分はこう考えてこうやりますという……あぁ、もう今は18を超えたらか。

親が納得しないんだったら、「あぁ、そうすか、それで?」でいいと思うんですよね。

ただ、実家に住んでいるとか、親に生活費を出してもらっているとかであれば、それはもう言われるがままにならざるを得ないので。なので、早めに自分で金を稼ぐようになって、「僕はこういうことをやっているよ」と説明するだけで、納得してもらう必要ないポジションに行ったほうがいいんじゃないと思いますけど。

司会者:そもそも、納得させる必要があるのかということですね。

一番早くお金を稼げるようになるには?

ひろゆき:(コメントを見て)前の質問で「HTMLはプログラミングですか?」っていうのがあるんですけど、僕は、広義でHTMLはプログラミングだと思っている派なんですよね。

要するに、機械が理解するかたちで、機械になにかの機能を提供させるという点で、例えばHTMLで、「< b >」というタグで挟むと文字が太くなるよねっていうのは、機械に対して命令を与えてテキストを太くしているので、根本的にはプログラムと変わらないと思っているんですよね。

HTMLと、HTMLの中に含まれているJavaScriptって、もうほぼ一緒じゃないですか。だから、どこからプログラムかを考える必要はなくて、もうそこらへんは全体全部プログラムだよって僕は思っている派です。

司会者:ありがとうございます。あとは、お金稼ぎ系がけっこう来るので、質問です。「プログラミングを勉強しようと思っていますが、一番早くお金を稼げるようになるには何をすればいいのでしょうか?」

ひろゆき:ノーコードで書くことじゃないですか? もうわりとノーコードでアプリが作れちゃうので、ノーコードのサイトにお金を払ってアプリを作って、そのアプリを買う人がいたり、広告をつけて使う人がいれば儲かります。ノーコードのサイトだったら、もう今日から作れるんじゃないですか?

司会者:逆に言ったら、早くやったほうがいいということですよね。

ひろゆき:ノーコードである程度サンプルを作って、うまくいくことがわかってからエンジニアリングをし直す会社もけっこうあるので。わりとノーコード系のサイトって、馬鹿にできないぐらい能力が高かったりするんですよね。

仕様を作ったことがない人は、自分が考えているものを作る時にどれぐらいの規模でどれぐらい大変かがわからなかったりするんですよね。

コードを書いたことがない人って「こんなのとこんなのがあったほうがいいよね」みたいなのを思いがちなんですけど、それを、ノーコードである程度やろうとすると、「あぁ、これはめちゃくちゃ複雑だわ」とわかって、シンプルにとりあえず出してみようってなる。仕様を洗練させていくという作業自体はノーコードでも十分できるけれど、素人が「『ポケモン GO』を作ろう」は不可能なので、諦めてください(笑)。コメントであったんですけど。

司会者:最初からすごいものを作ろうとしちゃう人がいますよね。

ひろゆき:「『ポケモン GO』が好きなんで『ポケモン GO』を作りたいです」って言ったら、「うん、無理かな」っていうところからいくと思います。

問題解決好きっていう部分がないとエンジニアは難しい

司会者:続きまして、「エンジニアに向いていない人はどんな人ですか?」という質問もいただいています。

ひろゆき:学習能力がない人ですね。

司会者:学習能力?

ひろゆき:要は、エラーが出た時に、「エラーが出ています、困っています」って人に聞く人は、たぶん向いていないですね。少なくとも、エラーコードをGoogleに突っ込んで何が出てくるかぐらいは見ろよっていう。自分自身で問題を解こうとする、問題解決好きっていう部分がないと、なかなか厳しいんじゃないかなと思いますけど。

司会者:ありがとうございます。先ほどのノーコードの件で追加の質問です。「ノーコードを学ぶにあたって、お薦めのツールややり方などはありますか?」

ひろゆき:ノーコードを学ぶぐらいだったら、ちゃんとプログラムを学んだほうがいいですよ(笑)。だいたいノーコードのサイトって、ブロックを並べて、テキストのファイルを食わせるとそれっぽいものが出てくるので。

各ノーコードのサイトによって、そこらへんのブロックの並び方だったり、どういうファイルを読み込ませるかは変わるし、「どこが使いやすいよ」みたいなまとめ記事を書いている人がいっぱいいるので、そこらへんを見て、これは自分と相性が良さそうだなとか、自分が作るんだったらここがいいのかなとか(探してみる)。

あと、Googleの、GCPの上で動くほうが安全そうだよなと思うんだったら、GCPで動くやつを探す、という感じで選べばいいので。ノーコードを学ぶという時点で、たぶん方向性を間違っている気がするんですけど(笑)。

司会者:そういうことの前にとにかくやってみろってことですよね(笑)。

エンジニアに必要なのは知識に対して貪欲であること

司会者:それでは、学ぶ系の質問です。これはプログラミングに関してですが、「プログラミングに関してお薦めのツールやサービスなど、ふだん使っていて、これは意外と便利というものってありますか?」という質問です。

ひろゆき:人それぞれなんですよね。コメントで、「ゲーム開発で『Unity』と『Unreal Engine』、どっちを選びますか?」とかもあるんですけど。

僕は、他人に聞いてそれを使うもんじゃねぇんじゃねぇかなと思っていて、人それぞれで、性格によるんですよね。

僕は秀丸で書いちゃう派なんですけど、秀丸あり得ないよね、「サクラエディタ」がいいよねという人とか、「VSCode」使うよねとか、開発環境使うよねとか、「Eclipse」使うよねとか、いろいろな人がいるので、自分がしっくりくるのを自分で探すほうがいいんじゃないかなと思うんですけど。

いろいろなものを触っていくという知的好奇心が(あることが)たぶんエンジニアに向いているかどうかにけっこう関係しているので、「新しい開発環境が出たんだ、じゃあ触ってみたい」って……(コメントを見て)「Vim」はほとんどやらないです、はい、すみません。

なので、そういう感じで、新しいものに対して、「あぁ、こうやってやるんだ。これは便利だな。この機能はほかにもないかな」と、知識に対して貪欲になるのがエンジニアには必要なんじゃないかなと思いますけども。

司会者:はい、宗教論争が始まりそうですが。ひろゆきさんは、実際になにか新しいものが出てきた時はけっこう触ってみるんですか?

ひろゆき:昔は触っていたんですけど、もう歳を取ってしまって、結局PHPで全部済むやんっていうことがわかってしまい(笑)、新しいことをやるのにあんまり意味ないなって。

エディターも、僕はVimは使わないんですけど、「Vi」は使うんですよ。Viはどこにでも100パーあるじゃないですか。だからViでいいやっていう。

細かいことは別のテキストエディターでやって、それを食わせてViで開くほうがぜんぜん便利だよねっていう感じになっちゃっています。

司会者:ありがとうございます。

ひろゆき氏のものづくりの哲学は、「まず世に出すこと」

司会者:続いての質問です。「ひろゆきさんのエンジニアとしてのものづくりの哲学があれば教えてください」

ひろゆき:動くものを早く作るっていうので、自分のモチベーションが高いうちに完成まで持っていく。

プログラムを趣味で書いている人や、アプリ作りたいと言っている人のたぶん9割は、完成していないと思うんですよね。漫画描く人も音楽作る人もそうだと思うんですけど、途中で飽きてやめちゃうことが多いので、僕はひとまず完成まで最短で持っていくことをけっこう気にしてやるんですよね。自分が飽きる前にまずプロトタイプっぽいものを作る。

プロトタイプができて世に出すと、世に出ている以上はちゃんと直さなきゃいけないよねとか、人に言われて直したりとか、それなりに使われているから、直すと喜ぶ人がいてちょっと楽しいみたいな、プラスアルファがあるんですけど、世に出ていないと、時間をずっと使っていても、それは誰にも評価されない無駄な時間で、「こんなん出しても、はやらないんじゃね?」ってなって「飲み会に行って楽しんでいるほうがいいな」ってなっちゃうので、まず世に出すことがいいんじゃないかなと、僕は思うタイプです。

司会者:完成というのは、世に出すという定義でいいんですかね? 

ひろゆき:そうです、めちゃめちゃバギーでも、とりあえず基礎機能だけありますと。ただ異常系は一切作られていないので、変なことをやるとすぐ壊れますみたいなものでも、僕は出しちゃうんですね。

司会者:ありがとうございます。

サービスをヒットさせるコツは「正解を決め打ちしないこと」

司会者:世に出してからの話だと思いますが、「ひろゆきさん流の、サービスをヒットさせるコツ、多くの人に使ってもらうポイントなどがあれば教えてください」

ひろゆき:こういうふうに使われるだろうな、これぐらいの人が使うだろうなという想定は、だいたい間違っています。出してみてから、ユーザー層はこうなんだとか、こういう使い方があるんだと、それに合わせて変えていくのが正しいと思うので、「正解を決め打ちしない」というのにけっこう尽きるんですよね。

先ほどの「仕様で1,000人来るサイトを作った時に、10万人来たら困るよね」みたいな話があるんですけど、僕、最初に1,000人向けのサイトで出すのはいいと思っているんですよ。壊れそうになった時に、これは10万人向けのサイトなのか、それとも100万人向けのサイトなのか、その時点でどっちに振るかを判断する材料は、世に出ているほうが多いじゃないですか。

さっさと世に出して、「いろんな情報を得た上でこっちが正しいよね」と判断したほうがいいので、世に出していない段階で、自分の頭の中にあるものが正しいと思わないほうがいいんじゃないかなと思うんですけど。

司会者:「世に出してからの分析の仕方として、ログ解析とかをするんですか?」とコメントもありましたが、どうやってそこのPDCAを回していくんですか?

ひろゆき:僕、ログ解析はほぼしないんですよ。

司会者:あぁ、そうなんですね。

ひろゆき:本当にお勧めしないし、ちゃんとやったほうがいいと思っているんですよ。「Google Analytics」はちゃんと見たほうがいいと思うんですけど。

司会者:見たほうがいいんですね(笑)。

ひろゆき:例えば、「この機能を出したらちょっとずつ伸びていくよね」というもの、その“ちょっと”を追ってもしょうがないよねって思っちゃうんですよね。

世の中にないものを出して、人がすげぇ喜んで群がる時に、ないものを出してどれぐらいの人が来るのかなんてわからないじゃないですか。これを出した時に、どれぐらいの人がワクワクして、このサービスをおもしろいなって思ってくれるかどうかって、数値化が難しいんですよね。

最近だと、エープリルフールのネタにすごくお金を使ってやる企業が増えちゃったんですけど、しょうもないネタでもエープリルフールネタとしてちょっとやった時に、「あっ、おもしれぇ」と思ってくれた人の、「このサイトをやっている人っておもしろいよね」っていう気持ちが、果たして1年後にそのサイトにとってのロイヤリティーとしてどれぐらい機能するかって、数値化不可能だと思うんですよ。

なので、「人はこう思うだろう」っていう決め打ちのもとに動いたほうが結果としてうまくいく気がしていて。

すごくうまくいっていて、このサイトをずっと同じようなかたちで毎月毎月ダラダラ続ければいいのであれば、ちゃんと数値で見ておいたほうがいいと思うんですけど、「これをどんどん伸ばしていくんだ」という時は、今までのユーザーを捨ててもいいぐらいの判断がけっこう必要なるんですよね。

1万人が喜ぶサービスをやっていたら、そのサービスを使わない人はむしろそのサービス使わんよねって。でも使っていない人のほうが多くて、使っていない人が使いたくなるために、この1万人が嫌がるようなことをやらなきゃいけない時は、僕はもう諦めようと。

嫌がって嫌いになる人がいてもしょうがない。でももっと多くの人が使えば「あのサイト、昔から俺は使っていたよ」と自慢ができるので、きっといなくなった人も帰ってくるだろう。だから多くの人が使うように変えようみたいなことを考えてやったりするので。

なので、ログ解析とかではなかなか出ない判断になってくるんですよね。

司会者:2ちゃんを作られた時もそういう感じで発展していったんですか?

ひろゆき:2ちゃんとかニコニコ動画はだいたいそういう感じです。

司会者:ありがとうございます。

誰も憶えていないような大失敗をいっぱいしている

司会者:非常に貴重な話を聞けましたが、もう時間が来てしまいました。まだ答えきれていない質問が、あと4、5倍あるんですけども。今日はちょっと時間ということで……。

ひろゆき:じゃあ1個だけ。「そこで多くの人が使うとはわからなくない?」っていう突っ込みがあったんですけど、これは正解。なので、僕はいろんな弾を撃つんですよ。誰も憶えていないような大失敗をいっぱいしているんですよ(笑)。いろんな失敗をしているけど、人は失敗を憶えていないので、たまたま当たったやつだけみんなが見て「あいつすげぇ」ってなるので。

2ちゃんとニコニコ動画って言ったんですけど、僕たぶんサイトを10個以上作っているんです。だけど、みんな憶えていないんですよ(笑)。そんな感じです。

司会者:ひろゆきさんでもそんなもんだよというところですね。

800人を超えるエンジニアを目指す学生たちが、今視聴してくれています。(技育祭は)技術者を育てるカンファレンスですが、最後に、そんなみなさんに向けて、一言メッセージをいただけますでしょうか?

ひろゆき:こんなおっさんがしゃべっているのを見るぐらいだったら、手を動かしてコードを書いてください(笑)。

司会者:ありがとうございます(笑)!

これをもって「ひろゆきだけど何か質問ある?」は終了ということで、非常に貴重なお話をフランスからありがとうございました。ひろゆきさん、ぜひ2024年の技育祭にまた来てください。

ひろゆき:はい、よろしくお願いします。

司会者:ありがとうございます。ひろゆきさん、ありがとうございました。みなさん拍手でお送りしましょう。ひろゆきさん、ありがとうございました。

ひろゆき:失礼します。