ライブチケットがNFT化されることで起きること

内藤裕紀氏(以下、内藤):なんかもうちょっとないですかね。具体的に話をしていったほうがみなさんに伝わりやすいと思うので。

明日、明後日、さいたまアリーナで「GMO SONIC」が開催されますが、僕が知っている限りだと、GMO SONICのチケットはまだNFTでは販売されていないと思います。

もしライブチケットがNFTとして販売されていたら、どういう良い、悪いがあるのかを、ちょっと守安さんが答えてくれると思うので、守安さん、お願いします。

守安功氏(以下、守安):どうなんですかね、いきなり振られてちょっとわからないんですけど。

ただ、普通のチケットだとそこに入るだけなんですが、NFT化されていると、当然その前から、会場に入れる人になって、会場の中だけではなく前後のサービスで、チケットを持っている人だけなにかネット上で観られますよとか、そういうのも含めたサービスが提供できたりするんだろうなと思うので、今までのチケットとは違うかたちにはなると思います。

内藤:明日、明後日の分のチケットは、たぶんもう売り切れてしまっていると思います。ソールドアウトしているライブにどうしても行きたい場合は、ダフ屋というか、ちょっとアングラな感じで買わなきゃいけなくなるのですが、これを正規で2次流通で買って行けるという手段も生まれてくると、もっと世界として変わる部分は出てくるのかなと思います。

たぶんそろそろひろゆきさんが話し始めたい頃だと思うので、前半戦にご質問いただけたらなと思います。

ひろゆき氏(以下、ひろゆき):いや、僕は18時半に終わるので、18時20分までは自由に話してもらったほうがいいかなと。

(会場笑)

ひろゆき:ただ、このへんで夢のある話は大丈夫ですか。

西山裕之氏(以下、西山):いやいやいや、夢のある話もまだまだどんどん言ってください。

Web3でおもしろいのはブロックチェーンの技術

内藤:僕はTwitterで、ひろゆきさんが仮想通貨にはちょっと否定的な部分があるということを見ていたので、このへんでちょっと1回入っていただきたいなと思います。

ひろゆき:20年前ぐらいにWeb 2.0が流行った時代があって、「Web 2.0って何なの?」というのを、みんなが勝手にこうだよねって決めていたんですよ。

今、Web3の話をみなさんは聞いたと思うんですけど、人によって言っていることが違うんですよ。だから、Web3が本当に何なのかよくわからないんですよ。

実はWeb 2.0の時は、Web 2.0って言い出して決めた人がいるんです。ティム・オライリーっていうおっさんです。

Web 2.0って何なのかわかりやすく言うと、例えば朝日新聞のサイトを見ると、誰が見ても同じページなんですよ。でもYouTubeのトップページは人によって違うじゃないですか。要は見ている人によって、この人はこれが好きだろうとか、ユーザー情報を使って表示する情報を変えるというのが、今までの同じものをずっと送り続けるWeb 1.0とWeb 2.0の違いだよとティム・オライリーは言っていたんですよね。

なので、これでいうと、NetflixはWeb 2.0なんですよ。

守安功氏(以下、守安):僕の理解が間違っていました、NetflixはWeb 2.0でした(笑)。

ひろゆき:ユーザー情報をいっぱい溜めて、アニメばかり観ている人に『終末のワルキューレ』を出したら絶対観るという統計的なデータがあるので、アニメを観ている人には終末のワルキューレを出してみろ、ほら観たでしょ、というのを自動的にやるのがWeb 2.0なんですよ。

Web3の時に、何が今までと違うのかというと、ブロックチェーンなんですよね。要は、誰かが所有しているわけでもないデータベースがなぜかネット上に残っていて、それを自由に使えるのがおもしろいよねということです。

それを最初に実用レベルでやった人が、たぶん「Kazaa」というP2Pのソフトを作った人です。ただそこではそこまでうまく使われなくて、ユーザーベースの利用数でいくと、たぶん一番多く使われたのは、「Winny」なんですよね。

Winnyは東大で研究をやっていた金子さん(金子勇氏)が作ったソフトです。金子さんは中央集権のサーバーが一切ない状態で、ユーザーがソフトウェアやいろいろなものが流通できますよとやったんですが、逮捕されて、最高裁までいきました。無罪になったのですが、無罪判決を受けた1年半後に亡くなってしまいました。

来月か再来月に金子さんの映画が出るので、興味がある人は見てもらいたいと思うんですけど。

という感じで、ネットワーク上にホストを置かないでデータが残せるよねというところがブロックチェーンがおもしろかったところなんですけど。

ただ、Winnyのネットワークの場合は、どうやってそのデータを変えるかが、いまいち誰もよくわからない状況で自由に動かされていました。

ビットコインの場合は、ナカジマ・サトシさんじゃなくて、誰だっけ?

内藤:サトシ・ナカモトさんですね。

ひろゆき:サトシ・ナカモト(笑)。

内藤:一説では金子さんかもしれないと言われている、サトシ・ナカモト。

ひろゆき:たぶんオーストラリア人のあの人だと思うんですけど……が、こういう仕様でデータを作って、手数料を払って一定の確率で出てくるものを当てた人だけがデータを変えることができる。

わかりやすく言うと、サイコロを16回振って、全部0を並べられた人だけがデータを変えられるようにすると、それはそれでデータを変えるのは大変です。

みんなでデータを変えようという時に、0を16個出した人は、データを変えた場合に手数料がもらえます、という仕様でソフトウェアを作ったのがビットコインです。

要は誰も管理していないんだけど、なぜか自律的に銀行の預金通帳がネットワーク上にあるという状態にできたのがビットコインがやったブロックチェーンなので、ブロックチェーンは珍しくおもしろい技術なんですよ。

ただ、Web3はそれ以外におもしろい技術の話は一切ないんですよ。Web3でよく言われている、仮想通貨をユーザーに配って、配ったユーザーががんばるよねというのは、何ができるかというと、本来であれば法律上ストックオプションであったり、売上に協力してくれた人に対する業務契約だったりなのですが、それが、Web3になって仮想通貨を使うことによって、脱税とグレーゾーンの脱法行為がしやすくなったというところだと思うんですよね。

(※ゴングが鳴る)

(会場笑)

仮想通貨による脱法行為のしやすさがWeb3の胡散臭さを引き起こしている

内藤:今、ひろゆきさんが言ったように、普通のスタートアップは社員にしかストックオプションを配れなかったのに、ユーザーにバンバンストックオプションを配りながらサービスを作ったら、そりゃ早く成長するよねというのが、今起こっている世界なのかなと思うので、おっしゃるとおりの部分はあるのかなと思います。

ひろゆき:おもしろいものができるようになるのはすごく同意するんですけど、ただそれって、グレーゾーンで脱法行為だよねというラインを超えられないので、Web3をしている人たちの胡散臭さはそこだと僕は思うんですよね。

マイナーな通貨をもらってアプリを作って、そのマイナーな通貨の価値が上がった時、ストックオプションだったら税金を払うんですよ。でも仮想通貨だと税金を払わなくていいよねというのは、やはりある種のグレーゾーンじゃないですか。

Web3がグレーじゃないかたちで、こういうことができるからすごく便利になったんだよと言っている人を、いまだに僕は聞いたことがないんですよね。

守安:でもこれは、ひろゆきさん。私たちは、インターネット黎明期からいますが、インターネット自体もかなり胡散臭かったじゃないですか。Googleの検索エンジンはどうなんですかと。日本法で見たらあれも著作権侵害じゃないですかと。YouTubeはどうなんですか、著作権侵害じゃないですか、みたいなところからいろいろなものが生まれたところがあるので。

僕は、そういうカオスの中から死んでいくものもあれば、世の中に認められてでかくなるものもあるんじゃないかと思っているんですけど、そのあたりはいかがですか?

ひろゆき:だから、Winnyや2ちゃんねるでは、脱法行為がバリバリだったので(笑)。

(会場笑)

ひろゆき:インターネットってそういうもんだよね、ワクワクするよねという、野蛮な僕らみたいな人たちはすごく楽しいと思うんですよ。

でも、やはり、真面目な大企業は、そこがワクワクというより、まずいでしょうというラインがあるんじゃないかなという気はします。

内藤:Web 2.0の世界は、コンテンツ革命で、ユーザーが作ったコンテンツがおもしろいじゃんと。ユーザーが撮った写真はおもしろいし、ユーザーが撮った動画はおもしろいしということだったんですけど。

今回Web3で起こっているのは、金融革命なんですよね。みんなに配ったほうがおもしろいんじゃないのということをやっているので、やはり税金の話には絶対にぶつかるんですけど、Web 2.0で著作権にぶつかったコンテンツ革命と一緒なんですよね。結局は、革命が起こるとぶつかるという話かなと思います。

ブロックチェーンの課題は仮想通貨の改ざんリスクの解消

ひろゆき:僕が、Web3でNFTを持ち上げるのが違うんじゃないかなと思っているのは、NFTは結局NFTを運営している会社しかコントロールできないことです。

中央集権型をバリバリやっているだけで、その記録のブロックチェーン自体がイーサリアムを使っているから、閲覧可能だよねと。

じゃあその運営会社が潰れた時に、そのイーサリアムに残っているブロックチェーンを変えられるのかというと、不可能じゃないですか。だから結局、それは今までどおりのホストコンピューターでやっているのと変わらないんじゃないかと思うんですけど。千葉さん、どう思います?

千葉功太郎氏(以下、千葉):確かに(笑)。なるほどね。

ひろゆきさんがおっしゃるとおり、僕もブロックチェーンが本質だと思っているんですよね。僕もあれがすごく未来だなと思っています。

僕も、ビットコインが出た瞬間からめちゃくちゃ買っていた組で、痛い思いも何回かしているんですけど、ブロックチェーン自体はめちゃくちゃ興味深いです。

例えば空の話に無理やりつなげると、結局ブロックチェーンなしでは絶対になし得ません。空になにかを飛ばした時に、ハッキングされるわけですよ。そうすると、飛行機を遠隔で落とすことも可能になってくるので、そこにセキュアななにかが必要になってくる。その時にたぶんブロックチェーンが融合してくるんだろうなと実は考えています。そこは僕も、テクノロジーでめちゃくちゃおもしろいなと思っています。

ただ、Web3が何なのかは、僕もかなりやっていますが、いまだに正直わからないです。

ひろゆき:ブロックチェーン自体はすごくおもしろい仕組みなんですけど、これおもしろいよねと言ってみんながお金を入れて、でもそこのマイニングする人が少なくなった場合に、すげぇお金を持っていてコンピューターリソースを持っている人が51パーセントを乗っ取ってブロックチェーン上を改ざんするというのをモナコインでやったじゃないですか。

千葉:懐かしいですね、あれ(笑)。

ひろゆき:ああいう問題が必ず起きてしまうので、お金を払い続ける人がいればブロックチェーンは安全なんですけど、お金を払い続ける人があまりいない人気の仮想通貨は必ず改ざんされるという命題が、僕は解決していない気がするんですけど、そこらへんは、藤本さんいかがでしょうか?

藤本真衣氏(以下、藤本):仮想通貨を信頼できるかどうかという話にもつながってくると思います。

ひろゆきさんが今、モナコインの例を出してくださいましたけど、私も正直、全部の通貨が信用できることはないと思うんですよね。

だから、ビットコインやイーサリアムなど、そういう時価総額も高くてユーザーも多い仮想通貨と、今出た例の仮想通貨は、ちょっと違うのかなと思います。

ひろゆき:ユーザーが協力したらリターンがあるよねみたいな、DAO(分散型自律組織)みたいなかたちは、ビットコインとかイーサリアムはもう不可能じゃないですか。なので、DAOみたいなかたちは新興のコインしかできないけど、新興のコインはモナコインみたいなトラブルを含んでいるというのでいくと、ちょっと詰んでいません?

藤本:新しくできる通貨が詰んでいるかどうかでいうと、やはりこれからどんどん通貨はなくなってくると思います。半分以上なくなっちゃうとは思います。

ひろゆき:あぁ、じゃあ、ガクトコイン(スピンドル)はなくなると。

(会場笑)

(次回へつづく)