2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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西尾泰和(以下、西尾):準備をしている間つないでいきたいと思います。残り2つの発表ですが、両方とも僕がメンターをしています。西尾です。よろしくお願いします。
これから発表される曽田さんとクルモフさんのプロジェクトですが、ここに来ている方は学生の方が多いですよね。学生の方で一番問題なのは何かというと、勉強だと思うんですよね。
「勉強をどうしたらもっと良くできるだろう」みたいな感じで。みんな「そうそう」「うんうん」と頷いてくれていますが、そういう人たちのためのソフトウェアを作ったのが彼らのプロジェクトです。なので、立場でいうと僕はメンター側ですが、メンターはおじさんなので、最近は学校の勉強みたいなものをしていないわけですよね。
なので僕は顧客ではなくて、むしろみなさんがこのソフトウェアの顧客になるような、想定ユーザーであるような感じのプロジェクトになっています。
このプロジェクトは2人のチームで開発しています。特に曽田さんの側はデザインにすごくこだわりがあって。「とてもかっこいいデザインのアプリを作りたいんだ」という強いパッションがあって、こだわったデザインで作っています。このアプリはすでにApp Storeでダウンロードできるようになっています。
先ほどの質疑にもちょっとありましたが、Androidの人からはちょっとヘイトがあるかもしれません(笑)。
(会場笑)
それに関しては、実はAndroidにも対応できるような……何だっけ? 名前は忘れましたが、ReactNativeか何かで作っているので大丈夫だと思います。というわけで、では発表よろしくお願いします。
(会場拍手)
曽田柑氏(以下、曽田):はじめます。メチャクチャ緊張しています。初めまして。2022年、未踏ジュニアに採択されました。チームで開発しています、曽田柑と。
クルモフ斗務氏(以下、クルモフ):クルモフ斗務です。
曽田:プロジェクト「StudyRec」の発表を始めます。まず、2人の自己紹介を行います。(スライドを示して)僕は今回のプロジェクトの企画とデザインを担当しました。公立の中学校3年生です。CA Tech Kidsが主催するクリエイター育成プログラムに5年前に採択され、そこでデザインとプログラミングを初めて学びました。
中学校に入ってからは、試行錯誤して物事を解決するプロセスがプログラミングに似ていることから、自分で工夫しながら勉強することが楽しくなり、塾に入らずに独学で勉強してきました。
デザインはTech Kidsを卒業したあとに自分で趣味として行ってきて、文房具も趣味なので、ペンケースのデザインや、シャーペンや消しゴムのケースのデザインを自分で作って発注したりもしていました。
「スマホで勉強の効率を上げるサポートができるのではないか」という思いつきから、今回のプロジェクトが始まりました。
クルモフ:初めまして。(スライドを示して)今回のプロジェクトでプログラムを担当しました、クルモフ斗務です。僕は小学3年生の頃からスクールに通ってプログラミングを学び、AppJaming Summit 2019という大会で日本3位となり、香港までプレゼンをしに行ったことがあります。スクールを卒業してからは趣味でプログラミングをしていて、書けるようになった言語は10言語以上あります。
今回、柑にこのプロジェクトに誘われ「久しぶりに自分の技術を他人のために活かしてみたい」と思い、参加しようと思いました。
曽田:では、なぜこのアプリを作ろうと思ったのかの経緯を話します。今回勉強アプリの企画をしましたが、(僕は)勉強が昔からメチャクチャできていたというわけではまったくもってなくて、2年前まで勉強することが苦手で、塾に通ったこともありませんでした。
中学1年生の後期にはまわりの友だちにも置いていかれて、「さすがにまずい」と焦りを覚えて勉強本を1冊読み、次のテスト勉強で試したところ、それまででは絶対に取れないような結果を出すことができました。
その後は、本やインターネットで毎日のように勉強法を調べてまとめ、新しい勉強法を毎日試すというPDCAサイクルを回していきました。勉強法を試していく中で結果が出たものは効果を強めるための方法を、結果が出なかったものはどうすれば結果が出るのか原因を調べていきました。
塾に嫌々行くような受け身の勉強ではなくて、自分でアレンジしていく能動的な勉強をしていった結果、新しい知識を得ることがどんどん楽しくなっていきました。
そして2021年10月にTech Kidsの同級生の斗務(クルモフ斗務氏)に久しぶりに会う機会があり、2人で未踏ジュニアに応募しようと決意しました。「能動的な勉強はとても楽しいんだ」という経験を多くの人に共有したいと思い、今回のアプリを企画しました。
現在では勉強アプリも増え、デバイスを使って勉強する機会も増えてきました。2019年からはいくつかの地域でiPadが1人1台配布され、学習とデバイスの関係もかなり強くなってきています。それでもまだ「スマホなどのデバイスを使って勉強するのは無理だ」「ITと教育は切り離すべきだ」というような考えが根強く残っています。
そこには、スマホ=YouTubeやゲームなどの娯楽という印象が強くなっていることが挙げられると思います。なので、スマホで勉強するのではなく、スマホを活用して勉強するスタイルを目指してこのアプリを開発しました。
例えば、一問一答アプリを使って暗記をしているとします。もちろん勉強することはできますが、集中力が切れてしまうとSNSを開いてしまったり、ただ内容を眺めて勉強した気になるという受け身の勉強になってしまうことがあります。
つまり、ユーザーが紙の参考書などを使って能動的に勉強して、それをアプリが補助するという関係がベストではないかと考えています。これなら「勉強するためにスマホを使う」のではなく、「勉強を記録するためにスマホを使っている」ので、スマホを上手に勉強に活用できていると言えるのではないでしょうか。
クルモフ:それではアプリの機能について説明します。
まずはこのアプリを開発する起点にもなったタイムラプス勉強法です。この勉強法はタイムラプス撮影という撮影方法を使い、自分が勉強している姿を撮影するものです。どんなに長く撮影しても30秒以内の動画に倍速されます。自分が勉強している姿を撮影することで、勉強の集中力に関してかなりの効果を得ることができます。
(スライドを示して)得られる効果の1つに監視効果があります。リビングなど誰かの監視の目がある中で作業すると、集中力が切れて他のことを始めることを抑止できます。誰かの監視の目がある環境はいつでもあるわけではありませんが、これと同じような効果をスマホのカメラで撮影することで、得られることがわかっています。また、撮影中は他のアプリが使えなくなるので、スマホに意識を持っていかれず、集中して勉強することができます。
(スライドを示して)こちらはYouTubeやTikTokに投稿された、タイムラプス勉強法を使っている動画です。この勉強法の効果の高さから、このような動画を投稿する人が最近増えていて、他の人に見てもらうことでモチベーションの増加につながります。SNSに投稿しなくても自分が撮影した動画をあとから見ることで、勉強したことに対する充実感を味わえます。
こちらは実際にタイムラプス勉強法を使ってみた動画です。この動画では2分間の勉強を撮影しました。自分も柑に教えられてからずっとこの勉強法を使っていて、かなりの効果を感じています。勉強が終わると今回の勉強の詳細を確認することができます。
(スライドを示して)この機能は自分たちが調べた限り、勉強法としてアプリに導入しているものは他になく、このアプリの特徴的な機能の1つだと言えると思います。
曽田:2つ目の機能、タイマーを活用した勉強法です。ダラダラ長時間勉強を続けるより、タイマーなどで時間を区切って集中して勉強を行うほうが、圧倒的に効率が良いです。
このアプリには学習効果の向上に役立つサイクルを3つ実装しています。サイクルの1つ目はノーマルのタイマーです。これは通常のキッチンタイマーのように、カウントアップで勉強時間を記録してくれます。
2つ目はポモドーロ・テクニックというサイクルです。こちらは勉強だけでなく作業系の参考書にもよく書いてあるものですが、1990年代に発案されたテクニックです。1つのタスクを細かく分割し、そのタスクを終えてから休憩を入れるという方法で、一般的に25分勉強、5分休憩のサイクルが使われています。集中する時間は各25分なので、途中で集中力が切れることもほとんどないです。
最後の3つ目は集中タイマーです。YouTubeでおもしろおかしく勉強法を紹介している、ブレイクスルー佐々木さんという方で、見たことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。集中が切れるまで勉強し、10分の休憩を繰り返すというサイクルです。
このサイクルは休憩時間のみを設定しているため、自分にあった時間で勉強ができ、休憩時間に思いっきり休憩することで、10分後にまた勉強に集中できます。
このサイクルを繰り返していると、だんだん集中力が伸びていることも実感できます。また、自分の集中力が切れるまで勉強が続けられるので、作業興奮という状態に入りやすくなり、勉強に没頭できます。実際に使っていて本当に効果があるサイクルなのでアプリに実装しました。
(スライドを示して)タイマーとタイムラプスの機能について説明しましたが、このアプリのPRポイントの1つは、これらの機能が1つのアプリにまとまっていることです。
タイムラプスとタイマーを使っている時に、今は何の教科を勉強しているのかを、右上のタブから選択できます。勉強時間は教科別に記録され、ホーム画面にグラフで表示されます。教科別に勉強した時間も見える化して強化ごとの勉強時間の偏りをなくし、安定して力を伸ばせます。
(スライドを示して)このアプリができるまでは、こちらのように手動で教科別の勉強時間を記録していて本当に大変だったのですが、アプリができてから記録がとても楽になりました。記録が手軽になったことで継続も楽しくなり、勉強を続けるモチベーションにもなったと思います。
(スライドを示して)こちらがホーム画面の様子です。タイマーとタイムラプスの合計時間が集計されて左上に表示され、円グラフと下の棒グラフで教科別の勉強時間を確認できます。記録を表示する期間は、このようにタブから1週間、1日、無期限のように多数選択できます。
クルモフ:次に紹介する機能はランキング機能です。先ほど説明があった勉強時間の統計を利用して、全国の他のユーザーと争うことができます。勉強時間を競うことで勉強することにゲーム性が生まれ、楽しく勉強時間を増やせます。ランキングには名前を入力するだけで簡単に参加できます。
クルモフ:StudyRecは未踏ジュニアの期間に援助金で作成し、収益を目的としていません。今回主にターゲットにしている学生は課金しづらい環境にある人がほとんどだと思うので、StudyRecは課金要素を一切なくし、完全無料・広告なしでアプリを提供しています。作者の自分たちは学生であり、アプリの1ユーザーでもあるので、ユーザーの学生が求めていることがアプリに反映されています。
曽田:このアプリにはデザインにも力を入れています。今回のアプリで使用したNeumorphicというデザインの手法について説明します。
(スライドを示して)有名なデザインの仕様に、フラットデザインとスキューモフィズムデザインがあります。フラットデザインは現在もっとも目にするデザインで、ほとんどのAndroid、iPhone、Windowsで用いられているもので、影を使用しないシンプルなデザインとなっています。
対称的に、スキューモーフィズムは、2013年以前のiOS 3に取り入れられていたので、見たことがある方もいるかもしれません。リアルなテクスチャと影を用いて、リアルさを追求したデザインになっています。
今回のアプリに導入したニューモーフィズムは、その2つのデザインの良い点を取り入れたデザインです。白い背景に影を使って要素に凹凸感を出すことで、レイヤーを出していることが特徴です。
使う色が他のデザインに比べて圧倒的に少ないので、洗練された印象を受けるデザインです。他のアプリでは見ないデザインにすることで、ユーザーに新鮮さを感じてもらえるようにしました。
(次回に続く)
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