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DeNA役員が考えるどこでも活躍できるエンジニアになるための3つの戦術(全5記事)

「コンフォートゾーンからの脱却なしに、さらなる成長はない」 チャレンジした上での失敗は“賞賛されるべき”と考えるワケ

技育祭は「技術者を育てる」ことを目的としたエンジニアを目指す学生のための日本最大のオンラインカンファレンスです。ここで登壇したのは、株式会社ディー・エヌ・エー 常務執行役員の小林篤氏。どこでも活躍できるエンジニアになるための3つの戦術について話しました。全5回。5回目は、エンジニア戦術その3「失敗するなら前のめり!」について。

エンジニア戦術3 「失敗するなら前のめり!」

小林篤氏:では最後、「失敗するなら前のめり!」というお話をしていきたいと思います。

この中に「俺、失敗経験したことないぜ」という人はいますかね? いたらぜひ教えていただきたいです。僕なんか失敗の連続なので、もしこの中にいたら……というところなのですけど。

もし「俺、失敗したことない」という人がいたら、今からでも失敗しまくってください。失敗していないということは、自分の限界を超えるチャレンジができていないと思ってもらっていいんじゃないのかと思います。

自分のできることを淡々としていれば、当然失敗する可能性や確率は減ると思うんですよ。よほど外的要因がなにかない限り。でもそれは自分のチャレンジをしていないんです。僕も失敗ばかり、人生失敗しかしていないので大丈夫ですよ。

少しでも自分の境界線を広げていくことがすごく重要です。これを日々ちょっとずつでも、1ミリずつでもいいので広げていく。そういった思いでやはりなにかに取り組んでいくことで、いつの間にか自分の境界線が広がっていて、いろいろなチャレンジができたり、いろいろなことができるようになっている可能性が出てきます。

いろいろな失敗する中で自分自身が傷ついたり、いろいろなところで擦りむいたりするかもしれませんが、それも大事な経験だと思います。ぜひ、そのチャレンジを続けていってほしいと思います。

チャレンジしていくことは、不安との戦いでもすごくあると思うんですよね。やったことのないことをやるのは、すごく不安だと思います。だから人間はチャレンジをしないんですよ。不安だから。これをよく「コンフォートゾーンからの脱却」と言います。

コンフォートゾーンとは、自分ができることや、自分の居心地のいい場所という意味です。コンフォートゾーンは居心地がいいので、出る必要性がなければ基本はやはり出ないんですよ、人間って。

もちろん、コンフォートゾーンがあるからこそ、自分自身が守られるとか、気持ちが安らかでいられるというのはあります。でも、その中にいる限り、絶対にそれ以上の成長はしないです。なので、コンフォートゾーンから自分自身を出していくことをぜひやってもらいたいと思います。

もしくは、失敗していないということは天才ですね。天才の人はもうこんな話を聞く必要もなく、好きにやればいいと思います。だいたいの場合、そんな天才なんてなかなかいないので、努力していかないといけない。その中で、コンフォートゾーンを脱しながらチャレンジしていくことが必要だと思います。

できる人と比べるのではなく、今の自分には何ができるかを考えてやっていく

(コメントを見て)「できる人と比べてしまい、時々自信をなくす」とコメントが来ています。これはすごくよくわかるし、多くの人がそうなのだろうと思います。まさにね、そうだと思うんですよ。これね、なんだろうな。比較するなと言われても、比較しちゃうんですよね。周りにスゲェ人がいたら、「ああスゲェなぁ」と。あんな人と自分を比較すると、自分はちっぽけだと思う人が圧倒的に多いと思います。

でも、「それを言って成長するかな?」と僕はちょっと思ったんですよね。自分がやっていることに自分が満足しているというのも、1つの幸せだと思うんです。結果、それが自分の成長につながっていて、いつの間にかこんなこともあんなこともできるようになっていた。

自分がやりたいことをやれるようになっている状態をきちんと作っていくことはすごく重要だと思います。

比較をしてしまってしんどい、自信をなくすとかあると思いますが、比較されている人もいろいろな苦悩だったり、苦しみを抱えながら取り組んでいることも実は多いと思います。なので、自分だけがそういう苦しさを持っているのではなく、みんなも持っている。だから、そういうところを超えて今の自分には何ができるかを考えてやっていくといいんじゃないのかなと思います。

あと、「追い越したい」という気持ちもありますね。こういったモチベーションを持つのはすごくいいと思います。できないことをできるようにする。例えばその人をベンチマークしながら、あの人にはなれないかもしれないけれど、あの人がやっていることをしっかりと理解して、自分自身の学びにしていこうというモチベーションでやればいいと思うんです。

僕自身もオープンソースでいろいろなプロダクトを作っていましたが、周りは天才と言われるぐらいのすごい人ばかりだったんですよ。年齢もほぼ一緒だけど、僕がその人たちのこと知った頃には、その人たちはもう本当に雲の上の存在だったんですよ。

僕からすると本当に雲の上の存在だし、その人たちと比較すると「あ、自分ぜんぜんできてねぇな」と思うことがいっぱいありました。でも、その中で少しずつ自分ができることや、自分の興味のあることなどに取り組んでいく中で、少しずつ自信もついてきたんです。

いきなり自信をつけることなんて無理なので、この#3のテーマになっていることでもありますが、失敗も繰り返しながらチャレンジして成長していくということをきちんと着実にやっていく。特にみなさんはまだまだ若くて、まだまだ時間はいっぱいあります。なので、ぜひ必死にいろいろなチャレンジをしてもらいたいと思います。

すべての失敗が今の自分につながっている

(コメントを見て)「簿記を勉強していますが、いざアルバイトで弥生会計を使って起票するとミスばかり起こしてしまいます」、はい。ミスは起きるんですが、なぜミスしたんだろうというふりかえりがきちんとできているかがすごく重要だと思います。ミスが起きたのは事実で、じゃあその事実がなぜ起きたのかという原因をしっかりと探る。その原因がはっきりわかったのであれば、その原因が起こらないようにしていくことを意識するといいんじゃないかなと思います。

(コメントを見て)「できる人にわからないことを聞いたりして、自分の糧にするようにしています」、ああ、これもすごくいいと思います。僕は、若手のエンジニアとか仕事で関わりを持った人に「無駄なプライドは捨てろ」とよく言っています。

無駄なプライドがあることによって、その人の成長は絶対に止まります。わからないことは聞くし自分で調べる。自分ができないということを隠す必要はまったくないです。なので、無駄なプライドは捨てていくといいと思います。

(コメントを見て)「昨今、一度のミスや炎上で人生が壊れていくのを見ると、ついつい怖がってしまいます」、そうですね。炎上と自分の失敗とはまた違うのかなと思っています。

例えば、いろいろな技術を学んでいく中でのチャレンジでちょっと失敗して炎上することはほぼ無いと思うんです。炎上する時は、人とのコミュニケーションで心無い一言を言ってしまったとか、だいたいそういうちょっとしたところからな気がするんですよ。

もし「心無い一言を言っちゃったな」「余計なことを言っちゃったな」「人を傷つけるようなことを言っちゃったな」と思った時に、素直に謝るのは実はけっこう重要です。

これも先ほどの「無駄なプライドを捨てる」と一緒ですが、僕も失敗したら「ごめん!」とすぐ謝ります。謝るというのは自分の心も楽にするし、相手のささくれも少し減らしてくれるので、なにか自分が悪いことをやったと思ったら、謝るといいと思います。

僕もすごくいっぱいいろいろな失敗をしています。当然、仕事もそうだし、プライベートでもいろいろなところでコケたり擦りむいたりいっぱいしています。でも、それがすべて自分につながっていると思います。もちろん、失敗しないに越したことはありませんが、そういったところも全部含めて今の自分があると思っています。

地に足つけて、楽しんでプログラムを書いてください。楽しむのが一番だと思います。僕もコードをめちゃめちゃ書いていた時はめちゃくちゃ楽しくて、本当に寝るのを忘れて書いていました。

(コメントを見て)「現在、バイト先でDX化を任されており、自分がこのほうがいいのではないかと思う提案と、現場の方が選ぶものが違うことがよくあります。もちろん仕事なので現場の方の意見に従うのですが、プロトタイプを見てもらったら考えが変わるのではないかと思い、家で作ってみることがあります。作るのは楽しいですが、お金は発生しません。これは自己犠牲に入ってしまうのでしょうか。また、僕の場合の対処方法があればご教示いただきたいです」。

プロトタイプを作って見せることはすごくいいことだと思っています。僕はこれを自己犠牲だとはまったく思わないですね。より良くするために、任されていることの期待を超えていくために、言葉の説明では理解されにくいことを「例えばこういうかたちでやってみるんだけど、どう?」と見せていくのは、すごくいいアクションだと思います。

それによって相手が「確かにそうだな〜」と思えば、次からの対話が変わってくると思うんですよね。そういう良いチャレンジじゃないかなと僕は思いました。

そこで金銭的なリターンが発生するかどうかを求めてしまうと、たぶんそれはそれでしんどくなるので、自分のやりがい。やりがいを搾取するというかたちにはあまりなってほしくないので、「やりがいのためにやりましょう」とはあまり言いたくありませんが、そういう観点を持ってもらってもいいんじゃないのかなと思います。

チャレンジしての失敗は賞賛されるべきである

時間がそろそろ来てしまったので、最後だけ駆け足でちょっとお話ししたいと思います。基本的に、失敗は成功の母と言われていますし、失敗学という学問があるぐらいなので、ぜひみなさんも失敗してください。その中で重要なのが、同じ失敗をしないことだと思っています。

失敗を繰り返す中で、先ほど言ったふりかえりをすることで、正しい失敗の仕方を覚えられるようになります。無茶はするが無理はしないという観点で、いろいろチャレンジをして、コンフォートゾーンからどんどん脱していってもらいたいと思ってます。

さらに、チャレンジしての失敗は賞賛されるべきだと僕は思っていて、僕が今一緒に働いている、開発しているチームには、むしろ「箱に収まるな」とよく話しています。例えば、僕のオーダーを超えるなにかで失敗したとしても、「良くしようと思って失敗している失敗だったらぜんぜんいいじゃん!」みたいな話をよくしています。

「コケるなら前のめり!」「後ろにコケんな!」と言っています。後ろにコケるぐらいだったら前にコケてくれという話をよく言っているぐらいです。なので、みなさんにはぜひいろいろな失敗をしてもらって、その失敗から学んでもらいたいと思っています。それがいつの間にか失敗だと思わなくなり、良い経験になっていく。それはもう最高だと思うんですよね。ぜひみなさんには、そうなってもらいたいと思っています。

(スライドを示して)まとめはこの3つです。今日はいろいろとお答えするかたちで、最後まで拾いきれなかった部分もありますが、この3点をなんとなく意識してチャレンジしてください。そうすると、良い未来というか、良い経験を積んでもらえるんじゃないのかと思っています。

宣伝としては、『フルスイング』というのがあります。DeNAのオウンドメディアです。この中にはいろいろなチャレンジが散りばめられているので、ぜひ見てもらいたいです。そして、Twitterの@DeNAxTechというアカウントをフォローしてもらえば、DeNAからのいろいろな発信が受け取れると思うので、ぜひみなさんフォローしてもらいたいなと思います。

ということで、ちょっと時間オーバーしちゃいましたけれども、本日はみなさんありがとうございました!

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