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プロダクトマネージャーが身につけるべきデータ分析スキルとは? プロデザ!BY リクルートvol.4(全4記事)

データ分析には“適切な好奇心”、企画作りには“国語力” プレイヤーとマネジメント、それぞれに必要なスキルと経験

リクルートの複数のプロダクト現場で活躍するプロダクトマネージャーが、それぞれの経験に基づいて、日々どのようなデータ分析業務を行っているか、どのようなスキルや経験が求められるか、個人として組織としてどのようにデータ分析スキルを身に付けるかを語る「プロダクトマネージャーが身に付けるべきデータ分析スキルとは? プロデザ!BY リクルートvol.4」。ここで加藤氏、永石氏、今井氏、松本氏が登壇。さらに、データ分析に必要なスキルについて話します。前回はこちらから。

データ分析に「こういうスキルがないといけない」はない

加藤舞子氏(以下、加藤):3つ目です。「リクルートのPdMとして働く上で求められるデータ分析スキル・経験は、どういうデータ分析をしてきたら活かせますか?」とか、「まだデータ分析の知識とかがなくて、やったことがないんです」という人もいっぱいいると思います。

ちょっとそのあたりをどうやって身に付けていったのかを聞いていきたいと思います。みきちゃん(松本氏)は2018年に転職してきてくれたんだよね?

松本美希氏(以下、松本):はい。

加藤:「どういうスキルが必要だったと思う?」ということを、転職した身のみきちゃんからぜひ伝えてほしいんですけれど。

松本:データ分析は1つの手段で、分析のスキルでいうと例えばSQLを書けるとか、そういうことは1つの手段でしかないと思っています。なので、明確に「こういうスキルがないといけない」というのはあまりないと思います。

実際に私も転職してきた時は、「ピボットテーブルはなんとか使えた」ぐらいだったので。実際にSQLを書いてセグメント分けをしてとか、そういう分析はリクルートに入ってから学んだと思っています。

リクルートに入ったあとも、あまり分析の型というものが明確にあるわけではないと思っています。大事なのは“適切な好奇心”ではないですが、データを見ていて「なんでだろう」と感じたり、「ここから何が言えるのかな」ということを頭の中で繰り返すことが一番大事じゃないかなと思っています。

加藤:“適切な好奇心”という言葉が出ましたね。いいですね。実際はピボットテーブルとかExcelとかでの分析はやっていたけど、ということだよね?

松本:はい。

加藤:先ほどのスマホとアプリのユーザーの違いとか、ボリュームを出しているということだったと思うんですけれど、リクルートに入ってどういう手順でスキルを習得していきましたか?

松本:SQLの書き方とか、「向こうからこういうデータが取れている」ということは、最初に先輩から教えてもらいました。体系立てられたレクチャーがあるというよりは、実践ベースで分析をして慣れていった部分が大きいと思っています。

分析の実際の仕方とかはググったり、SQLだと先輩のクエリを参考にしました。初期は分析スキルで「クエリを書くか」というよりは、何を言いたくて、仮説は何で、そのためには「どんなアウトプットが出るといいんだっけ」ということを壁打ちしてもらったことがかなり勉強になったと思っています。

加藤:それは先ほどまーいー(今井氏)が言っていたこと? 後輩に対して仮説がない時に言う言葉と一緒ですね。

(一同笑)

“適切な好奇心”は本当に大事

加藤:まーいーは2020年にまなび領域から飲食領域に異動したんだよね?

今井隆文氏(以下、今井):そうですね。

加藤:キャッチアップはどうだった?

今井:正直、やはり最初は事業状況とかのキャッチアップは大変だったんですけれど、飲食の場合はSQLを実際に書くこともありますし、Tableauを使うことも多いです。(ただ、)よく見る指標のようなものが、ワークブックとして一覧でまとめられている整備もされています。なのでけっこう大変ですが、そういったものを使ってキャッチアップをしながら、比較的すぐにデータ分析に着手することができたと思っています。

加藤:そうなんだ。「このデータ分析をしてみよう!」という講座はあるの?

今井:そういう講座はないですね。

(一同笑)

ただ、やはりすべてがゼロから始まるわけではなかったのが、すごく大きかったと思っています。先ほど松本さんも言っていましたが、先輩が書いたクエリとか、先輩が過去に見ようと思って作ったものとかがけっこうたまっていました。

なので、そういったところを自分なりに作り替えてみたり、自分が見たいようにアップデートをかけながらやっていくことでデータ分析をしていました。最初の一歩目を踏み出すのは難しいと思いますが、そこはすごく軽くなったと思っています。

加藤:「こういうのをできるようになろうね」というより、好奇心でどんどんスキルを付けていったほうが楽だし楽しいよという感じ?

今井:そうですね。松本さんがまさしく良い言葉を言ってくれたと思っているんですけど(笑)。「適切な好奇心」は本当に大事だと思っていて、それがあればスキルが身に付く環境にあると異動した時にも思いました。

企画を作るためには“国語力”も必要になる

加藤:じゃあマネージャーを担当している永石さんにちょっと聞いてみたいと思います。実は、私も今日のアンケートをデータ分析したんです(笑)。

永石陽祐氏(以下、永石):さすが(笑)。

加藤:データ分析をした時に、マネジメントを担う役職の人も多く参加していることもわかったので、マネジメント側に必要なスキルも聞いてみたいと思うんですけれど。何が必要ですか?

永石:難しいですが、単にデータが出せる、SQLが書けるだけじゃなくて、それをいかに企画につなげていくかというところをサポートしていく部分が、マネジメントの観点ではけっこう必要だと思っています。これはよく社内では言う(ことだ)と思うんですけれど、「企画は国語と算数」という表現をしています。

いわゆるデータ分析を算数とした時に、それを目的を達成するための文脈に落としてシナリオにする。そういった国語力の部分もセットで求められるのが、いわゆる企画を作るところで必要なスキルセットだと思っています。

特に弊社だと、ボトムアップカルチャーかつ大規模サービスなところがあるので、ボトムアップ×大規模サービスという合意形成が必須という構造になっていると僕は思っています。

その人がその組織に合ったシナリオを作る。シナリオを作る力がないと、いくらデータで断片的な点のファクトを集めてきても、合意形成というかたちには至らないと思っています。データ分析はあくまでもツールなので、これを企画にしてどのような国語を設計していくか、そこをしっかり助言したり導いていくことが、マネジメントとしては必要だと僕は思っています。

国語力はどうやって伸ばせばいいか?

加藤:ちょっと聞いてみたいんですけど。

永石:なんですか?

加藤:「データのスキルは仮説を持て」という話は、先ほどみきちゃんとまーいーが言ったと思うんですけれど、国語力はどうやって伸ばせばいいですか?

永石:(笑)。どうなんですかね。でもやはり、いろいろな人に自分の考えや主張を話してみるのはすごく効果的だと思います。特に大きいサービスということもあって、弊社の場合はカスタマーに向き合っている人もいれば、クライアント企業に向き合っている人もいたりするので、それぞれで見方は違うと思うんです。

だけど「こういうことをやりたい」となった時に、「その1個のことに対してそちらの目線だとこう見えるし、こちらの目線だとこう見える」ということがあります。それを「自分はこう思っているんだけどどう思う?」みたいに聞いてみると、「そう感じるんだ」「そう見えるんだ」となると思っています。

そういった自分の思いをいろいろな人にぶつけてみて、フィードバックをもらって、「そう見えるんだ」というところから学んでいく。そして1つの文脈に落とし込むという方法論をちょっとずつ身に付けていくのがいい気がします。

加藤:確かに伝えないと国語力の点数はわからないからね(笑)。それはあるかも。

永石:あと僕は「言語化しろ」とよく言いますね。細かいことでも口頭で済まさない。口頭も言語かもしれないですが、「書いてみる」のはあります。「口頭でちゃちゃっと済ませないで言葉にしてみろ」と。自分がその言葉を見て納得できるかというと、意外と納得できない国語だったりするんです。

加藤:なるほど(笑)。

永石:だから「書いてみろ」と。「ちょっとしたことでも対話で済ませるな」と。僕はけっこう徹底したドキュメントでのレビューを実施しています。僕はそういうところがけっこうありますね。言葉にすると、自分でもロジック判断ができる(ようになる)ので。

加藤:確かにありそう。

永石:だからしっかり書く。簡単なロジックでも意外とできなかったりするので、そういうことはやったりしています。

加藤:いいですね。「データに逃げるな」。「書いてみろ」。けっこう強めだけど(笑)。

永石:僕は今日(このイベントに)出ててもいいんですかね(笑)。先ほどから話をしていて思ったんですけれど、データ分析感がぜんぜんないんですよね。

加藤:いやいや。でも確かにそうですね。ロジック判断は、自分がデータ分析をしていたら自分の中ではつながっているようで、(でも)いざアウトプットをしてみるとつながっていなかったりします。

永石:脳内では気づけないけど、後出しすると気づける。そんなことがあると思います。

加藤:確かにありそう。まーいーは新卒で入ったんだよね。

今井:はい、そうです。

加藤:国語力はどうやって鍛えられたと思う?

今井:うーん。難しい質問ですね(笑)。でも、永石さんが今マネージャーとして発言されていたことは、やはり自分がメンバーとして国語力を身に付ける方法の1つだと思っています。やはり、(他の方からも)永石さんのように言われるので。

(一同笑)

加藤:言われるんだね。

今井:何ていうんですかね。自分が常々思っているのは、足が速くなる方法として、自分より足が速い人に着いていくのが一番いいということです。その時に、自分の国語の説明力について「お前の言っていることの何がわからないか」ということを、自分よりも高い国語力で言われるので、気づかないうちに自然と運動できている感じだと思っています。

加藤:(笑)。確かにね。私も新卒なのですごくわかるんですけれど、最初は自分が正しいと思っていて、データ分析をしたのに「こうなんですよ」と言っても通じないことがありました。「わかってもらえないな」と言って、それを5人ぐらいに言うと「あれ、自分のほうが悪いのかな」と、だんだんとなってきて(笑)。

(一同笑)

「あれ?」となって。データも悪いし、国語も悪いという感じになる経験はけっこうある気がする。(弊社は)たぶんレビュー会とかが多いと思っていて。飲食の時も一緒にやっていた時は週2、3回……。今は確か毎日やっているんですか?

今井:やっています。

加藤:そうだよね(笑)。みきちゃんとかは、そういう国語・算数のレビュー会とかはありますか?

松本:そうですね。1on1とかでけっこうやってもらうこともあるし、会議で指摘をもらうこともありますね。

加藤:なるほど。永石さんは「書いてみろ」ということはどこで言っているんですか?

永石:「この件を話したいんですけど、いいですか?」と聞かれたら、「ミーティングまでに書いて持ってきて」と言ってそれでやる。結局、対面だけど言葉でレビューさせる感じです。

加藤:なるほど。

永石:口頭でゴニョニョ済ませないようにすることはけっこう徹底しています。

加藤:いいと思います。

(次回に続く)

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