2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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福井厚氏(以下、福井):さっきのDevOpsのDevとOpsの敵対関係の話に戻りたいんですが、これは今でも相談を受けることが本当に多くて。やはり組織どころか、会社が違うというのも日本の企業にはけっこうあるじゃないですか。
協力会社さんや下請の会社さんがOpsを担当しているとか、SREベンダーさんがOps担当しているということになると、ワンチームでビジネスの成果を見ながらというかたちにはなかなか持っていけないというような悩みはけっこう聞くんですけれど。
そういう話題をされた時、どういうふうにお話しされていますか?
川口恭伸氏(以下、川口):たぶん、シンプルな解はないんだと思います。だから、一歩一歩どううまく一緒にやっていくかは人の心の問題もあるし、もちろん会計や契約関係の問題もある。契約関係の問題だとすると、たぶん経営の問題だったりするわけですけれど。
例えば、ベンダーさんと言われる人たちは給料が安かったりする社会問題も孕んでいて、非常に複雑な問題なんですけど。「とにかくこの場だけはみんなでうまくやろう」みたいな感じに持っていくこともあります。それが1つ。「だから、今の成功をちゃんとやりましょう」なんだけれど。
一方で「ちょっと待て、10年後もこれをやるの?」みたいな。「今、変えられないのはわかったよ。でも3年後、5年後、10年後を考えた時に、私たちまだ同じことをやっているんだっけ?」ということはわりとみんなに言いますね。
だから、いろいろハックする、変えるポイントはあるとは思うんです。だから先ほどの歴史の話じゃないですが、「10年前も同じことをやっていたよね」というのはやはり頭がおかしい。頭が悪いというか、我々としては忸怩たる思いがありますよね。福井さんなんかはもう、本当に悔しい思いをたくさんしていると思います。
福井:そうですね(笑)。
川口:私も悔しい思いをたくさんしていて。やはり10年前とあまり変わってないところがけっこうあるじゃないですか。
福井:あります。
川口:じゃあ、我々は何をしてきたんだろうかと。XP祭りとか、いろいろなコミュニティを一生懸命盛り上げて、みんなで活発な議論をしているんだけれど、やはり状況があまりよくなっていない部分ももちろんあって。
でも、その時に頭に浮かんでくるのは、「やはり10年後も同じことをしてちゃだめだめだよね」ということ。
福井:もう本当にそのとおりだと思います。そうは言っても、やはりどんどん変化はしていっているかなと。XP祭りももう20年やっているじゃないですか。
川口:間違いないです。そうですね。
福井:20年前と比べて、2021年とかのXP祭りで登壇されている方の話を聞くと、ちょっとずつ良くはなっているかなとすごく感じます。
川口:社内の状況がぜんぜん違いますよね。
福井:そうです。
川口:少なくとも、もうみんなぜんぜんコソコソやっていない。
福井:最初から「アジャイルでやろうぜ」がとおるような時代になってきたのは、すごく大きな変化かなと思いますね。それはすばらしいことだと思います。
川口:本当ですね。
福井:「やりたいけどよくわからない」とか、「周りにやっている人がいないからどうしよう」みたいな悩みはやはり(まだ)あるみたいなので。それこそコミュニティを活用したり、コーチングを活用したりがいいかなと思いますね。
川口:そうですね。10年ちょっと前、福井さんと初めて出会った頃は、私が福井さんに悩みを相談するとか、ほかのコミュニティの先達に相談していた頃なんですけれど。
今は明らかにその輪が広がっていて、いろいろな相談相手がいる、先達がいるので、それを徹底的に自分たちのために活用してもらって、一歩一歩進んでもらえればと思いますね。
福井:そうですね。
福井:松本さんもなにか聞きたいことがあったら、この機会にぜひ。
松本雅博氏(以下、松本):そうですね。残りのお時間をちょっともらって。聞いていてすごくおもしろかったなと思ったのは、やはり「自分事にしないとね」というところです。僕もソフトウェアの開発、エンジニアをやっていて、DevOpsみたいなしっかりしたものではありませんが、開発と運用がセットだったので自分たちでデプロイをやっていくんですけれど。
もしかすると視聴者の方もされたことがあるかもしれませんが、自動化うんぬんの前って、深夜に会社に行って、2人ペアでディスプレイの前に並んで、コマンドを流すごとに指差し確認で、電車の指差し確認のごとくコマンドを読み上げて、「よし!」と言ってエンターを押していくようなことから始まっていく。
何回かやっていると、だんだん「これ、夜中に来てやる必要あるのかな?」とか。2人で一緒にやるのもまあまあけっこう手間がかかることで、自分のためにやはり楽をしようと。「自分が楽になると組織もハッピーだ」みたいな感じで改善していこうすることはよくあったり(します)。
そういうことを他の方もやっていて、「いや、実際に1回デプロイしたんだけど面倒くさかったので、ちょっと変えてみたけどどうよ?」みたいな感じで、やはり自分事、自分がいかに楽になるか。
先ほどの北米トヨタの話で、従業員のためにみたいなこともありましたが、やはり全部自分事で、誰が楽になるかがすごく大事かなと。今日、先ほどの紹介を受けて、やはりそこが大事だよなとあらためて思い返したところがあります。
福井:すばらしい(笑)。
川口:いいまとめです。ありがとうございます(笑)。
福井:松本さん。せっかくなので、川口さんに聞きたいことがあったら聞いてください。
松本:そうですね。先ほどの2020年からコロナ禍で、だんだんリモートの話もあったと思います。アジャイルをやっていく中で「議論は集まってやっていこう」という指針がありますが、やはり2020年以降は前まで(と比べて)は集まりにくいところもあったかと思います。
実際、アジャイルをやっている現場は、コロナ禍で集まってやっていこうというところをどのようにされていたかを、もし可能であれば教えてもらえればと思います。
川口:ありがとうございます。まさにXP祭りで2020年にアンケートを取ったんですよ。コロナになってリモートになっちゃった会社が多いけど、「仕事どう?」っていうアンケートをその場で取ったら、「よりやりやすくなった」という人が半分いて「やりづらくなった」が半分ですよ。
アジャイルをやっている人たちはやはり変化に強いというのが、そこで証明されてしまったなと。多くの会社はやりづらくなったと2020年の9月に言っていたと思いますが、(アンケートの結果は)なんと中庸という。「もうこのままリモートでいい」という人が半分いる。
それはオプションだと思います。やるかやらないか、どうしたいかはたぶん経営課題だから、要因を分析して決めればいいと思うけれど、「どっちもできます」という状態になった上で決めたのか、「どっちかしかできないからこっちにいく」はぜんぜん話が違うので。
我々はもっと実験をしながら、アビリティ、能力を獲得して、組織としてやっていくこと、そういった観点がすごく大事かなと思います。どっちもできるのが大事。
松本:なるほど。ありがとうございます。確かにそうですね。みんな「変化に対応していこう」という方々なので、確かにそうですよね。とりあえずやってみようと。「リモートがだめだったら出ていけばいいし」もあるでしょうし。いいところ取りでだんだんと適応していくというところですね。ありがとうございます。
あともしTwitterになにかあればそれを取り上げたいと思うんですけれど。新たなやつは出てきていないというところと、ちょうど終了の時間になったので。
福井:そうなんですか(笑)。あっという間ですね。
松本:あっという間の1時間でした。
福井:ありがとうございます。
松本:ということで、まだまだみなさん聞きたいこともあるでしょうし、川口さんと福井さんの雑談をいろいろと聞いていきたいところもあると思うんですが、すみません、時間になったのでクロージングとしたいなと思います。
今日視聴いただいたみなさま、楽しんでいただけたでしょうか? ということで、川口さんと福井さんからも、雑談なども込みで登壇されてどうだったかを聞きたいんですけれど。まず川口さん、本日はいかがでしたか?
川口:ありがとうございます。ちょっと資料の分量が多くてバタバタしちゃったかな。みなさん聞くのが大変だったかなと思いますが、非常に楽しい議論ができました。福井さんからもズバッと本質を突くような質問ももらえて、本当にありがたかったです。ありがとうございます。一歩一歩、またみんなで変えていきましょう。
松本:メッセージをありがとうございます。では、福井さんからもコメントをもらえますか?
福井:川口さん、今日は本当にありがとうございました。貴重なお話をたくさん聞かせてもらえてとっても勉強になったし、アジャイルは人が中心だとわかって、自分はそれが好きなんだなとあらためてわかったというか、気がついたと思います。本当にありがとうございました。
またぜひ、機会があればご一緒させてください。よろしくお願いします。
川口:ありがとうございます。
松本:ありがとうございます。
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