小堀氏の自己紹介

小堀輝氏:タイトルは「残業なしで成果を出すための“あとまわし”戦略」としました。まず簡単に自己紹介などをさせてください。もともとはIT業界ではない仕事から始めて、途中からIT業界にキャリアチェンジしました。

5年ほど仕事をして、結婚、子どもが生まれる経験をして、子どもが生まれた後にコドモンに転職をしました。コドモンではちょうど1年ほど働いて、これから2年目に突入しようとしています。

コドモン入社前後の働き方

本題に入る前に、自分のキャリアの変遷みたいなものを簡単に紹介できればと思います。まずコドモンに入るまでどんなふうに働いていたかというと、もう「とにかく仕事がすべて」という働き方をしていました。

なので、時間は無限にある、制約はないと思っていて、とにかくたくさんの業務がありました。それをたくさんの仲間と一緒にやって、終電まで仕事をして、気がついたら終電が終わっていて、帰れないみんなと一緒に飲み会して、歩いて家に帰って、また翌日仕事場に行くような感じでした。労働時間としてはとんでもなかったんですけれども、それも楽しい時間だったなと思います。

しかし、子どもが生まれてからは当然そういう働き方はできず、定時で退社する働き方に変えました。変えたのですが、そこでのギャップがあまりにも大きく、子育てと仕事の両立ができる環境を探して、転職活動などを始めていきました。

そういったライフステージに合った働き方を探した時に、コドモンを見つけてそこに入ったのですが、そこからどう変わったかも簡単に紹介させてください。

コドモンで一番驚いているのは、2年目にしてまだ驚いていますが、とにかく残業がないことにびっくりしています。

今は8時に子どもを送って8時半から仕事をして、17時半に仕事を終えて18時に子どもを迎えに行って、それからご飯を作ってお風呂に入れて寝かしつけてみたいなことをやっていて、とてもスムーズに働けています。

また、子育てしているエンジニアがとても多いと思っています。子どもが病気で休む時にも「あ、それ大変だね」みたいに、けっこうすんなり理解してもらえるのがありがたいなと思っています。

また、残業がないのと一緒ですが、子どもがいるから働く時間が短いとか、いないから働く時間が長いということもなく、特に何も変わらないので、「子どもがいるからこのキャリアを諦める」みたいなことは1ミリも考えずに済んでいるのが、とてもありがたいと思っています。

そんな感じで、コドモンは自分の場合はメチャクチャ適した会社だったので、興味があればぜひカジュアル面談などを受けに来てくださいという簡単な宣伝でした。

セッションのテーマは“あとまわし”

ここから今日話したいことに移ろうと思います。今日ここに来ている方々は、絶対に何かしら時間的な制約を受けながら仕事をしているんじゃないかと思います。

これは子どもがいようがいまいが、結婚していようがしていまいが、1年目だろうが10年目だろうが、だいたいみんな同じだと思います。やりたいだけ時間をかけて何かをすることは難しい状況ですよね。

そんな中で「じゃあどうやって成果を出していくか」ということで、自分が考えていることを紹介できればなと思います。

具体的には時間を管理する、例えば、無駄な時間をカットしようとか、あるいは1個1個の仕事をスピードアップしようとか、そういう話ではなく、「どんなタスクをやっていくか」というタスク管理術に関して語ってみたいと思います。

テーマは“あとまわし”という言葉です。

“あとまわし”という言葉を聞くと、「あとまわしは基本的に良くない。すぐやるほうがやはりいいよね」となります。“すぐやる”ということは、けっこうポジティブな言葉として捉えられていることが多いかと思います。

もうすごく古いですが、市役所にも「すぐやる課」というものが一時期あったりもしました(笑)。そんな感じで、“すぐやる”のはいい意味に捉えられがちですが、このプレゼンの中ではすぐやることのデメリットも紹介したいと思います。

“すぐやる”のデメリット

具体例を見ていこうと思います。例えば「仕事中にSlackが飛んできたのですぐにそれに返答してあげた」とか、あるいは「同僚から実装の相談を受けたからその場で一緒に相談に乗って解消できた」とか。「実装中に直すべき箇所を見つけ、早く直しておかないといけないなと、忘れてしまう前に修正した」ということはよくやるんじゃないかなと思います。

これらは決してどれもやってはいけないことではありません。むしろその場では賞賛されること、「ありがとう」と感謝されたり、「その行動力は素晴らしいね」と褒めてもらう機会もたくさんあるんじゃないかと思います。

(スライドを示して)ただ、観点を変えて見てみると、こういうふうに見えるのではないでしょうか。すぐやったり、その場でやったり、サクッとやったりした結果、もともとやりたかったこと、もともとやろうと思っていたことが、どんどんあとまわしになっているということです。

つまり、“すぐやる”ということは無限にできるわけじゃなくて、必ず代償があって、すぐやった結果、何かがあとまわしになっているということです。

もともと計画していたことは、計画していたんだから、きっと大事なことだったんです。でも、“すぐやる”ことによって進まないかもしれない。これが積み上がっていくと、「なんかメッチャ忙しかったんだけど結局今週何やったんだっけ?」みたいなことになりがちだということです。

特に自分のように子育てをしているエンジニアからすると、残業という選択肢がないので、“すぐやる”ことをやってしまって詰む確率みたいなものが特に上がってしまいます。

“あとまわし”の使いどころ

では“あとまわし”をどこで使うべきなのかということです。先ほど紹介したように「“すぐやる”ことによって何かがあとまわしになってしまった」「計画していたことがあとまわしになってしまった」というのではなく、“あとまわし”はこういうふうに使うといいんじゃないかというのを紹介します。

(スライドを示して)それは今日中にやらないという工夫です。どういうことかというと、突発的な仕事のほとんどはすぐやる必要もないし、「なんならこれは今日やらなくてもいいんじゃない?」ということです。ほとんどの突発的な仕事はそうじゃないですか? という発想があります。

なので突発的なタスクが入ってきても、「本当にすぐやらないといけないのか」「その場でやらないといけないのか」を、一呼吸おいて考えることが重要だという発想です。

先ほどの事例に照らし合わせてみましょう。「仕事中にSlackが飛んできたからすぐ返すのではなく、翌朝に再通知される設定だけして計画的な仕事を続けた」とか、あるいは「実装の相談を受けたけれど、その場ですぐOKよと相談に乗るのではなく、カレンダーを見直して、登録して、後日一緒に解決する」とか。「リファクタリングすべき箇所を発見しても、すぐ直したい気持ちをいったん堪えて、イシューを起票するまでにして次にまたやる」といった感じです。

こんなふうにしてしゃべるとメチャクチャ簡単なように聞こえますが、実際はなかなか難しいと思います。やってしまいたくなる気持ちが強いからです。「どうしてもすぐやりたい」と考える人もたくさんいるんじゃないかなと思います。

私も「あとまわしの使い方」をこうやって紹介していますが、実際はすぐやる魅力というか、魔力によく惹きつけられてしまいます。

「突発的にきたそのタスクは明日でもいいんじゃないか?」

最後に、軽く結論をまとめさせてください。今紹介した“あとまわし”というキーワードですが、これを上手に使うために、次の点を意識しましょうというのが結論です。

(スライドを示して)それは、突発的なタスクをすぐやるために計画されていたタスクをあとまわしにするのではなく、計画しているタスクに取り組むために、突発的なタスクをあとまわしにするということです。

具体的には、「その突発的にきたものは明日でもいいんじゃないか?」と考えてみることです。時間に追われている方は、ぜひ“あとまわし”を少し活用してみてはいかがでしょうかというプレゼンでした。

ご清聴どうもありがとうございました。以上です。