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エンジニアからPdMへの転身に必要なナレッジとは?(全5記事)

斜め上から来る「なぜここがこんなに赤字なんですか?」 PdMが経営陣・投資家とのコミュニケーションで注意していること

「[D2P]エンジニア出身PdM/PjM/BizDevが集まる勉強会」はエンジニアからPdM/PjM/BizDevにキャリアチェンジした方などをお招きし、エンジニア視点で良い製品開発をしていく為のナレッジを共有する勉強会です。今回のテーマは「エンジニアからPdMへの転身に必要なナレッジとは?」。エンジニア出身のPdMがそれぞれの経験や知見について話しました。全5回。4回目は、PdMとして数字を報告する上で大事なこと。

数字を報告する上で気をつけていること

横澤佑輔氏(以下、横澤):では、アジェンダ4に移ります。これはちょっと出ましたが、数字についてです。エンジニアマネージャーは「チケットの進捗が」などと、PM(プロジェクトマネージャー)目線がたぶん多かったと思います。PdMになると、「とはいえ数字が」となります。PLをレポートしなくてはいけなくなると思うのですが、どのように出すものなのですか? けっこう細かく出していますか?

永嶋章弘氏(以下、永嶋):細かくは出していないですね。僕のやり方だと、基本的にはやってほしいことしか伝えていない。

横澤:上司に? うまいですね。

永嶋:「この数字で」と。数字は見ればわかるから。

横澤:「もっと金をよこせ」とか。

永嶋:「もっと人をよこせ」とか、そういうところをけっこうフォーカスしています。あと、KPIが達していない時は「こういう理由ですよ」とか。そういう普通のことですよね。

横澤:説明責任みたいな。

永嶋:説明責任的なところですね。

横澤:わかります。yappyさんはちょっと赤字という話がありますが。

鈴木康弘氏(以下、鈴木):(笑)。

横澤:やっている内容的に、絶対に最初に赤を掘るモデルだと思います。

鈴木:そうですね。余計に投資してもらわないといけません。

横澤:そうそう。

鈴木:投資をしてもらわないといけないのですが、ここに投資したらこのように伸びていきますという絵は、先ほどの3年ぐらいのラインでお互いに見せ合っています。取締役を管掌役員としているので、その人とコミュニケーションを取っています。

向こうも応援したいし、半年ぐらいでこれぐらいの結果を出してくれたら取締役会や株主に説明しやすいから、このぐらいはちょっと出したいというポイントが、管掌役員としてもあると思うんですよね。

管掌役員は無下に切りたいとは思ってはいなくて、できる限り応援したいと思ってくれていると思うので、そのタイムラインでこのぐらいまでと互いに握り合ったり約束し合ったりします。

横澤:なるほど。

鈴木:そのようなコミュニケーションは非常に丁寧にやっています。その握りが甘いと、事業継続が超あやふやになります。

横澤:永嶋さんはコミュニケーションを取っているんですか?

(一同笑)

永嶋:いやいや(笑)。特に最初は赤字じゃないですか。「赤字でここまではいいよね? 『いい』って言ったよね?」とか、あと、斜め上の直接レポートラインにいない役員から指摘されることがあるじゃないですか。

鈴木:わかるぞ(笑)。

横澤:コメントが難しいですね。それは大丈夫ですか(笑)。

永嶋:よくある話ですよ(笑)。ここはレポートラインでけっこう話がついているから、赤字を掘ってもいいよねと。何も知らない人から見ると「なぜここでこんなに赤字を掘っているのですか?」となりがちなので、そこに気を遣っている時はあります。むしろ、このようなビジョンがあって、このように投資する計画なんですよということを何の気なしにインプットする。

横澤:もうこのへんになってくると、エンジニア出身は関係なくなってきますね。

(一同笑)

鈴木:関係ないですね。経営陣・投資家とのコミュニケーション。PMも上に行くと、いち経営者なので、そのあたりの約束を守るコミュニケーションを斜め上や影響力のある人ときちんとしなければいけません。

きちんと直接コミュニケーションを取るし、周辺にいる人とも丁寧に定期的にコミュニケーションを取ります。経営会議の場で直接は言わないものの、不安に思っているポイントなど、やはり深く聞くと懸念点があるんですよね。そこをきちんと丁寧にコミュニケーションを取りにいきます。投資家に関することなので、きちんとするということはけっこう大切だとすごく学びました。

永嶋:斜め上の人の意見はけっこうありがたいですか?

鈴木:そうですね。本当にそう。

永嶋:僕らはけっこう事業にのめり込んでしまうから、「いけるでしょ」と思ってしまいます。でも、はたから見ると「お前らは何をやっているの?」などと言われる時も当然あります。そういうことをスッと言ってくれると、「いい指摘だな」と感じます。

投資家と株主が何を報告してもらいたいのかを理解することが大事

横澤:ちょうど友也さんのところは外部の投資が入って、シリーズBもけっこう大規模な投資をされている最中です。良くも悪くも、外部からの厳しい指摘があるレビュー会がおそらくあると思います。そこでのコミュニケーションでなにか気をつけていることはありますか?

伊藤友也氏(以下、伊藤):そうですね。月次で株主向けに報告会をやっていて、厳しいというか応援してもらっています。

(一同笑)

横澤:応援しているから、投資しているわけですからね。

伊藤:すごくありがたいです。コミュニケーションなので、何を報告してもらいたいと思っているかを理解することは大事だと思っていて。それはやはりフェーズによってぜんぜん変わってきます。「報告する数字を見直そう」と先月言われて、「考えるタイミングですね」という話を今まさにしています。

もう1点。何があるかわからないので、網羅的にできるだけ数字を見られる状態はあったほうがいいと思っています。手動の入力がものすごく必要で、負荷があるものは見るべきものとそうでないものを決めたほうがいいと思います。デジタルでしっかり集計できるものはなるべく網羅的に集計して、誰でも取り出せるようにしておくことも一方で意識してはいますね。

横澤:すばらしいですね。不動産はコロナの影響もあって、外部の投資家とのコミュニケーションが難しくなった時期だったと思います。その中でも数字を取れるものは全部取って、正直ベースで議論して、厳しい指摘ももらうかもしれないけど、応援をうまく活かしながらという感じですよね。

伊藤:売上や利益など、本当に大事な数字があるわけじゃないですか。ただ、その中間指標を見ることで「え、大丈夫なの?」と思ってしまう。変に不安に思わせてしまう数字もあるので、やはり何を報告すべきかはかなり考えています。

横澤:明石さんは外部の投資家ではないからこそ、なかなか難しいところもあると思います(笑)。

明石衛氏(以下、明石):伊藤さんが言ってくれたとおりだと思っています。結局、CEOや株主などのステークホルダーに対して何を説明するかといったら、今どのような状況で、どのようなフェーズで、それがうまくいっているのかいないのか、それは何が原因なのか、今後どうしていくのか、に尽きると思っています。フェーズごとに出す数字が違うだけだと思うんです。

売上の時もあれば利益を取るフェーズもあるのでと変わっていくのですが、基本的にその構造は変わらないので、きちんとそれを伝えればいいだけだと思っています。

横澤:「誠実に」ですよね。当たり前ですけど(笑)。

明石:だから、どの指標というより、きちんと説明しましょうという話だと思います。

(次回へつづく)

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